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2020.09.21 (公開 2019.11.25) サンゴ図鑑

フラグサンゴって何?今後の主流になりうるサンゴの販売形態

フラグサンゴは、枝打ちしたサンゴを専用の「プラグ」と呼ばれる土台や、小さなプレートに接着したものです。最近のインドネシアのサンゴの入荷がストップし今後主流になりうるであろうサンゴの流通形態といえます。また、アクアリスト自らがフラグサンゴ化することもでき、アクアリスト同士がフラグサンゴを交換することもあります。しかしその一方、「フラグサンゴは初心者向き」などという誤った情報も流布されているのが現状です。今回はフラグサンゴの基本についてご紹介します。

フラグサンゴとは何?

▲フラグサンゴの作成に使用される「プラグ」

フラグサンゴはサンゴをカットし、専用のプラグや小さなプレートに接着したサンゴです。現在はインドネシア産サンゴの輸出ストップや、環境保全の意識の高まりもあり、今後の流通はこのフラグサンゴがメインになるといっても過言ではないでしょう。今回はこのフラグサンゴについて知っておくべきことをご紹介します。

フラグサンゴ以前のブリードコーラル

▲大きな土台に接着されたシコロサンゴ

フラグサンゴ以前はセメントで作られた土台に、海中でブリードされたサンゴをそのまま接着していました。大きいサンゴを枝打ちして接着するもので、接着した後は再び海中に戻され再度成長させ、ある程度のサイズになれば出荷されます。この一連の作業はインドネシアで行われていましたが、2018年以降はインドネシア産サンゴの輸出が停止されており、これらのサンゴも手に入らなくなってしまいました。フラグサンゴよりも大きいものが販売されていましたが、土台も大きく、レイアウトもしにくかったという意見もあります。

現在は沖縄などでもサンゴの養殖がおこなわれています。その中で石垣島近海で養殖された「ちゅらフラグ」と呼ばれるものが有名です。

フラグで購入できるサンゴとできないサンゴ

▲オオバナサンゴなどはフラグサンゴにできていない

現在はほとんどのハードコーラルをフラグサンゴとして購入できますが、オオバナサンゴやハナガタサンゴといった種類はまだフラグサンゴとしては販売されません。実際にオオバナサンゴや、アザミハナガタサンゴの近縁種であるスコリミアはすでにカットして育てるところまではできています(コーラルフリークス誌Vol.14 P.116を参照してください)が、販売できるまでには至っていないようです。

フラグサンゴ購入の際の注意点

専用のプラグなどに活着して時間が経っていないと、サンゴがプラグからはがれてしまうこともあります。実際にフラグサンゴを購入するなら、プラグにしっかり固着しているものがよいでしょう。そのほか、フラグサンゴ購入時の注意点を以下の記事でまとめていますのでご覧ください。

フラグサンゴの値段

フラグサンゴの値段は、元となるサンゴの種類やその色彩などにより左右されます。色がきれいでない、もしくは成長が早いミドリイシやコモンサンゴなどは比較的安価なものが多いのですが、アメリカで見られ、アクアリウムのコミュニティサイトに掲載されるような派手なものは当然ながら極めて高価ですし、キッカサンゴやカクオオトゲキクメイシの極美カラーのものも、ひとつで数万円することもあります。アメリカでもいいサンゴは日本円換算で数万~数十万円で取引されることがあります。

フラグサンゴは飼いやすい?

トゲサンゴのフラグ。飼うなら強めの光・水流が欲しい

フラグサンゴは小さく、安価なものも多いため「飼いやすい」「お試し用」などといわれることがありますが、私はこの意見には賛同しかねます。当然のことながら飼育の難易度は飼育するサンゴの種類により異なるからです。シコロサンゴであれば飼育はしやすいですし、カクオオトゲキクメイシやキッカサンゴは餌をあたえれば大きくなり、ミドリイシやトゲサンゴを飼育するなら清浄な水と強い光、適切な水流が必要になります。

また、フラグにするということは、サンゴの枝を折ったり、骨格を切って接着してくっつけるのですが、カットしたところから感染症にかかったりするおそれもあり、注意が必要なところがあります。とくにフラグサンゴにしたばかりのサンゴは注意しなければなりません。

はじめてフラグサンゴを飼うのであれば、シコロサンゴやキッカサンゴなど、飼育しやすく成長させやすいサンゴがおすすめです。ただしそれでも、フラグ化して時間がたったもの、骨格がプラグを覆っているものなどを選ぶようにしたいものです。

フラグサンゴ化することもできる

▲筆者が作成したアオサンゴのフラグ

アクアリストがソフトコーラルやミドリイシやコモンサンゴなどのSPS、もしくはオオタバサンゴなどのLPSを飼育していて、大きく育ちすぎてほかのサンゴとの接触を防いだり、サンゴの一部が白化、もしくは死んでしまったりして、被害を食い止めるためにサンゴのカットをおこなうこともあります。カットしたサンゴはライブロックなどに接着することもありますが、カットしたサンゴ片が小さければ、専用のプラグを購入し、プラグに接着して、フラグサンゴにしてもよいでしょう。

また、アクアリスト同士が育てていたサンゴをフラグサンゴ化して交換したり、イベントなどで販売したりということもあります。フラグサンゴの作り方や、作成に必要なものは、別項で解説したいと思います。

フラグサンゴまとめ

  • 今後のサンゴ流通の主流になりうる
  • 枝打ちしたり割ったサンゴをプラグやプレートなどに接着したもの
  • プラグに接着して時間が経ったものを選ぶこと
  • フラグサンゴにできるサンゴとできないサンゴがある
  • ミドリイシやコモンサンゴなどは安価だが、数10万円するような高価なものもある
  • サンゴの飼育難易度はサンゴの種類に左右される。初心者向けといえないサンゴも
  • 飼育しているサンゴをフラグ化することもできる
  • アクアリスト同士がフラグサンゴを交換したりすることも
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