海水魚初心者におすすめのサンゴと飼育方法 | 海水魚ラボ

海水魚初心者におすすめのサンゴと飼育方法

カクレクマノミが上手く飼育できるようになると、気になってくるのがサンゴの仲間。サンゴの仲間も水槽で飼育できます。サンゴの仲間も種類が多いのですが、初心者におすすめのサンゴはある程度種類が限られてきます。ここでは、初心者がサンゴの仲間を飼育するときに注意するべきポイントをまとめました。

サンゴとは

そもそも、サンゴとはいったい何なのでしょう。動物なのでしょうか、それとも植物なのでしょうか。

答えは、「体の中に藻類を共生させた動物」といえます。サンゴにはポリプが一つある単体のものと、多数のポリプがあるものがあります。ミドリイシなどは極小サイズのポリプが集まって大きなサンゴを作っています。

口があり、餌を食べることもできます。しかし、サンゴの多くの種は褐虫藻を体内に共生させて光合成をおこない、エネルギーを得ていますので、植物的なくらしをしています。ですから植物を育てるように、強い光が重要になります。勿論、海水に生息するものなので、きれいな海水も必要となります。

昼間のマルハナガタサンゴ。ふたつのポリプがある。

大きく広がり餌を捕食しようとするマルハナガタサンゴ。中央には小さな口がある。

サンゴの分類

一般的な生物の分類では界・門・綱・目・科・属・種という、カール・フォン・リンネによる分類体系が採用されていますが、アクアリストによるサンゴの分類はこのリンネ式の分類体系が無視されていることもあります。

リンネの分類体系によれば、サンゴは刺胞動物門・花虫綱に分類され、六放サンゴ亜綱と八放サンゴ亜綱に分けられます。八放サンゴ亜綱にはソフトコーラルの仲間のウミキノコやトサカ類、スターポリプなどを含むウミトサカ目などがあります。六放サンゴ亜綱にはイソギンチャクの仲間やマメスナギンチャクなどのソフトコーラルのほか、イシサンゴ目にミドリイシやキクメイシ、オオタバサンゴなど、アオサンゴを除くすべてのハードコーラルが含まれています。

なお、刺胞動物門のその他の綱には、いわゆる「クラゲ」の仲間が含まれています。クラゲの仲間も、多くは海域に生息していますが、マミズクラゲのような淡水性のものも含まれています。

ソフトコーラルとハードコーラル

アクアリストはサンゴの分類に「ソフトコーラルか、ハードコーラルか」という分類方法をよく使います。ソフトコーラルは硬い骨格をもたず柔らかく、死ぬと溶けてしまうようなサンゴで、ハードコーラルは、イシサンゴともよばれ、硬い骨格をもち、死ぬと骨格が残るようなサンゴをいいます。死んで海底に沈んだハードコーラルの骨格にバクテリアや石灰藻、そのほかさまざまな生物が付着するとライブロックが出来上がるわけです。

初心者にはディスクコーラルやスターポリプなど骨格を持たないソフトコーラルがおすすめですが、タバネサンゴやカクオオトゲキクメイシなど初心者でも飼育できるハードコーラルがいます。しかしそのような種の飼育にはカルシウムやマグネシウムの添加など必要な事項が増えてきます。

ソフトコーラルはどれも同じような仲間と思われがちですが、ウミヅタの仲間やトサカ、ウミキノコ、ウミアザミの仲間は八放サンゴ亜綱、マメスナギンチャクなどのようなイソギンチャクに近い系統のものは、六放サンゴ亜綱の仲間になります。ですから、アクアリストによるサンゴを大きく分けるような分類は、界・門・綱・目・科・属・種を用いた分類体系とは、あまり関係がないと言えます。

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SPSとLPS

アクアリストが使うサンゴの分類には、「SPSか、LPSか」という分類方法もあります。SPSは、Small Polyp Stony coral の略で、日本語に訳せば「小さなポリプのイシサンゴ」という意味です。一方LPSはLarge Polyp Stony coralの略で、「大きなポリプのイシサンゴ」という意味です。

SPSに含まれる種類はミドリイシ、コモンサンゴ、ハマサンゴ、ショウガサンゴ、ハナヤサイサンゴ、トゲサンゴなどで、LPSに含まれるサンゴはハナガササンゴ、アワサンゴ、カクオオトゲキクメイシ、タバネサンゴ、オオタバサンゴ、オオバナサンゴ、ナガレハナサンゴなどです。

この分類方法も、リンネ式分類体系とは異なるところが多くあります。たとえば、ハナガササンゴやアワサンゴはLPSですが、科としてはSPSの一種であるハマサンゴとおなじ、ハマサンゴ科に分類されています。

一般的にSPSは光、水質、水流などの求められる要素が多く、飼い難いサンゴとされます。その一方でLPSはそれらの要素に幅広く対応でき、ハナガササンゴなど一部の種をのぞけば比較的飼いやすいものが多いです。

好日性サンゴと陰日性サンゴ

陰日性サンゴの代表種・イボヤギ。

先ほど「サンゴは褐虫藻を共生させて光合成をしている」としましたが、すべてのサンゴが光合成をしているということはありません。光の届かない深海や、洞窟の中にもサンゴが生息しています。

そのようなサンゴは触手を使いプランクトンなどの小さな生物を捕食してエネルギーとします。スリバチサンゴやウィスカーズコーラルというサンゴは陰日性サンゴの代表種といえるキサンゴの仲間ですが、これらは光合成もして餌も食べるので、ずっと飼いやすい種です。

サンゴ飼育のポイント

サンゴ礁のタイドプールにいたソフトコーラル(ウミキノコの仲間)。潮溜まりで高水温にさらされているが水はきれいなので、長く生きている。

水質

アンモニアや亜硝酸はもちろん、硝酸塩があまり検出されないような綺麗な水で飼育するようにします。理想は1週間に1回の水替えで、硝酸塩を水槽から取り除きます。リン酸・ケイ酸塩などもたまるとよくありません。そのようなものは吸着剤を使い、水槽から取り除くようにします。ミドリイシやショウガサンゴ、ハナヤサイサンゴは硝酸塩の蓄積に弱いので、一般的なろ材を用いた飼育ではなく、ベルリンシステムなどのナチュラルシステムで飼育するのに向きます。

成分

サンゴは海水中のさまざまな栄養を取り入れて成長します。ヨウ素、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、微量元素などです。ソフトコーラルの場合とくにヨウ素と微量元素が重要です。添加剤で添加します。

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初心者におすすめのサンゴは蛍光灯や安価なLEDの光で飼えるサンゴです。ミドリイシなどは水質にも十分気をつかいますし、求められる成分が多いのですが、光も強いものを必要としますので初心者にはおすすめできません。逆に光をまったく必要としない陰日性サンゴは光こそ不要ですが逆に餌を与えないと飼育が難しいので、これも初心者向きとはいえません。

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水温

サンゴは魚よりも高水温に弱いです。沖縄やオーストラリアのグレートバリアリーフ周辺で大規模な白化現象がおこったように高水温が長く続くとサンゴが死滅してしまいます。大体25℃前後の水温で飼育することを心がけます。現実的にはクーラーが必要かもしれません。また低い水温も嫌います。冬はヒーターを使用し23~25℃を保つようにします。もちろん急激な水温の変化は良くありません。

陰日性サンゴなど、深い場所に生息する種はさらに低温を好みますので、クーラーがないと飼育は難しいです。

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水流

サンゴの仲間には水流を好みます。水流があることにより、表面についている砂やゴミが取り除かれます。ソフトコーラルの仲間、とくにトサカやウミアザミの仲間、飼いやすいサンゴでもスターポリプなどには強い水流が必要です。陰日性サンゴは水流にのって流れてきたプランクトンを捕食します。

ハードコーラルの仲間も水流を好むものがいますが、直接ずっと水流をあてたらだめになってしまうものもいますので、間接的な水流をあてるようにします。複数のポンプを使って乱流を起こしたり、オーバーフロー水槽の吐出口にパーツをつけたり、あるいはポンプにコントローラーを付けてポンプのオン・オフで水流を細かくつくったりするのも良い方法です。いずれにせよ、淀んだところがないように、水槽全体に水流がいきわたるように工夫します。

陰日性サンゴであるトゲトサカやイボヤギなどは光が不要で餌を必要とし、初心者には向きません。1日に何度でも、マメに餌やりができる人むけです。勿論そうなれば水も汚れますので頻繁な水替えが必要になります。その一方で餌やりが必須、ではなく餌をやるとよく増える、というようなサンゴは初心者でも飼育しやすいものが多いです。具体的に言えばカクオオトゲキクメイシやオオタバサンゴなどです。

毒性

夜間に強い毒性のスイーパー触手を出すサザナミサンゴの仲間。

人間に対する毒ではなく、サンゴに対する毒です。サンゴ同士が接触して毒で相手を溶かしてしまうこともあります。またある種のサンゴは夜にスイーパー触手という強毒の触手をだしサンゴを溶かしてしまうことがあります。キクメイシ、ナガレハナサンゴの仲間やミズタマサンゴ、ウミバラ、ヌメリトサカなどの種は強い毒をもつので注意し、オオタバサンゴやウミキノコなどは毒性が弱く、これらのサンゴを組み合わせるのは注意を要します。

比重

あまり比重が低すぎるとサンゴの飼育は困難です。一般的にサンゴは魚よりも高めの比重を好み、1.023より高めの方がよいとされます。海の水と川の水が混ざる汽水域にはサンゴが見られません。

pH

pHは海水魚と同様に8を切らないように気を付けます。

初心者におすすめのサンゴ

初心者におすすめのソフトコーラル

ディスクコーラル

「コーラル」(サンゴ)という名前ですが実際はイソギンチャクに近い仲間です。イソギンチャクの仲間ですがあまり移動することはなく、小さなものが多いため初心者でも安心して飼育できる種類です。比較的安価で販売されていますほか、ライブロックについてくることもあります。色は茶褐色から灰色のような地味なもの、鮮やかな紫色や赤色をしたもの、模様も放射線状の模様があるものなど、バラエティに富みます。

長い毛のようなものを持つヘアリーディスク、丸いつぶつぶが特徴的なバブルディスクのような種類もあり、このようなものは餌をあげると大きくなったり、増殖したりします。基本的に魚には無害ですが大型のものは動きが遅い魚を食べることもあります。

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マメスナギンチャク・グリーンボタン

これらの種もサンゴというよりはイソギンチャクに近い仲間です。丈夫で飼いやすく、カラーバリエーションが非常に豊富なので、集める楽しみもあります。

沖縄、ベトナム、中国、インドネシア、中央太平洋などから輸入されてくるもので、色彩のバリエーションが豊富なのが特徴。基本的に安価ではありますが、アメリカでブリードされたものの中には1万円以上の値段で販売されているものもあります。

餌を与えると簡単に増えるので、増やす楽しみもあります。餌は毎日あげる必要はありません。また、やりすぎると水を汚す恐れがあるので注意します。餌は冷凍・乾燥とわずプランクトンフードなどが適しています。

スターポリプ

和名はムラサキハナヅタといいます。ポリプを縮めたとき紫色のものと、肌色のものがありますが、肌色のものの方が飼いやすいですし、またよく増えます。マメスナギンチャクやディスクコーラルと違い、餌を与えるというよりは強めの光と水流を好みます。ポリプの色や長さにはいくつかのバリエーションがあります。主に沖縄や東南アジアで採集されたものが販売されています。

ウミヅタ科のサンゴは他にもハナヅタやツツウミヅタなどがいますが、その中でもこのスターポリプが一番飼育しやすいといえます。

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初心者におすすめのハードコーラル

オオタバサンゴ

飼いやすいハードコーラルのひとつです。複数の骨格が合わさってひとつの大きな骨格を形成するタイプのサンゴ。緑色や紫、写真のようなオレンジ色などの色彩のものがあります。一つ一つのポリプが大きく、餌をあげるのも容易、餌をあげるとよく成長します。

カクオオトゲキクメイシ

名前に「キクメイシ」とついていますが、オオタバサンゴに近い仲間です。色彩バリエーションが非常に多く、青いLED球で照らすと色鮮やかです。丈夫で飼いやすいサンゴで、餌をあげると増殖もしますが、硬い骨格をもつハードコーラルなので、ディスクコーラルやマメスナギンチャクなどのソフトコーラルほどは良く増えません。オーストラリアのものは非常に鮮やかなものがあり、高値で販売されています。オオトゲサンゴ科のサンゴは飼育しやすいものも多いですが、魚につつかれないように注意します。

タバネサンゴ

比較的水質悪化に強く飼いやすいハードコーラルですが、毒性がやや強めなので、他のサンゴの仲間と接触させないように注意します。キクメイシ科のサンゴで、この仲間のサンゴは飼いやすいものも多く、初心者におすすめできます。場合によっては、餌をあげることで成長が促進されます。本種も夜間に口を大きく広げますので、そのようなときに餌をあげると成長が促進されます。

タバネサンゴはポリプが大きなイシサンゴ(LPS)のなかでも丈夫で飼育しやすい種類。ハードコーラルの仲間を初めて飼育する方には最適な種...

突く魚に注意

チョウチョウウオの仲間はサンゴをつつく。

サンゴは魚の餌となる小型の無脊椎動物の住処となりますが、サンゴ自体もまた他の魚の餌になります。チョウチョウウオはアクアリストにお馴染みの魚ですが、この仲間の多くの種はサンゴを捕食するものが多いため、サンゴ水槽が人気の現在は以前ほどの人気がなくなってしまいました。このほかヤッコの仲間(種によって異なる)、ツノダシ、クロベラ、セダカギンポ、カワハギの仲間もサンゴの仲間を捕食することがあるので注意しなければなりません。ペパーミントシュリンプというエビの仲間は、毒性が強いセイタカイソギンチャク(カーリー)を退治するのに水槽に入れられることも多いのですが、スナギンチャクの仲間を食べてしまうこともあるので注意が必要です。

またここにあげていない魚や甲殻類でも、ニザダイの仲間やアイゴの仲間などはサンゴが弱ったりするとサンゴをつつくことがあるので注意が必要です。

養殖されるサンゴ

サンゴ礁が発達した海域には様々な生物が暮らしています。サンゴの隙間には小型の甲殻類が生息し、それをスズメダイやハゼなどの小魚が捕食します。小魚はサンゴの隙間を餌場として使いますが、小魚を捕食する大きな魚からその身を隠す、生活場所としても使っています。

このようなサンゴが死ぬと、藻が生えて今度はスズメダイの仲間、ニザダイ(ハギ)の仲間やアイゴの仲間などのような、藻類を捕食する魚が餌場として使います。サンゴ礁がなくなれば、それらの生き物は生きていくことができなくなってしまい、また私たちもサンゴ礁の生き物を飼育することができなくなってしまいます。

ハードコーラルは現在ワシントン条約 (CITES) により、国際的な取引が規制されています。そのため現在はインドネシアなどで養殖されている個体もよく出回っています。現在はミドリイシなどの種類が多いですが、近い将来、オオバナサンゴなどやカクオオトゲキクメイシなど、その他の養殖ハードコーラルが出回ることでしょう。最近は販売目的でなくても、水槽内でよく増えたミドリイシやコモンサンゴなどのSPSを中心に友人のアクアリスト同士で交換するなんてことがよくあります。

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