2022.08.09 (公開 2019.03.11) 餌・添加剤
バイタリス LPSコーラルペレットをサンゴに与える
バイタリスのLPSコーラルペレットは、その名の通りペレット状のサンゴフードです。小麦粉やグルテンなど消化しにくい原材料を使用しないためサンゴに最適の餌のひとつといえるでしょう。今回はこのLPSコーラルペレットの特徴や、サンゴに上手く与える方法をご紹介します。
バイタリス LPSコーラルペレットとは
「バイタリス」はイングランドのサウスヨークシャーにあるワールドフィーズリミテッドのブランドです。ホームアクアリウム用の餌のみならず、水族館用のものなど、さまざまな生き物の餌を作っている会社です。日本において「バイタリス」ブランドの商品は「レッドシー」「H&S」「ポリプラボ」といったブランドと同様、エムエムシー企画レッドシー事業部が取り扱います。
WEBサイトなどによっては、「ヴァイタリス」などの表記もありますが、ここでは一般的に使用され、エムエムシー企画のサイトでも表記されている「バイタリス」の表記で統一します。
バイタリス LPSコーラルペレットの姉妹品
▲バイタリスブランドのコーラルフードたち
日本国内で展開されているバイタリスブランドのコーラルフードは4種あります。本製品のほか、以前ご紹介したソフトコーラルフード、SPSコーラルフード、アネモネペレットです。これらのうち本製品とアネモネペレットは大きな粒のペレットフードで、ソフトコーラルフードとSPSフードはパウダー状のフードです。パウダー状のフードには専用のスプーンが付属するのですが、ペレット状の本製品には付属しません。このほか海水魚や熱帯魚用の餌が日本国内でも何種か販売されています。
なお、イギリスでは水族館用として、600g入りのバケツ入りのものが販売されているようですが、日本国内で販売されているのは50g入りのみです。バイタリスから出ているほかのコーラルフードも同様です。
粒の特徴とサイズ
▲LPSコーラルペレットのサイズ(小目盛1mm)
粒はメガバイトなどよりもかなりやわらかいフードで、以前紹介したLSS研究所の「コペポーダペレット」ほどではないものの、指に力を入れるとすぐにつぶれてしまうようなやわらかさです。
サイズは大きさ1.5mm前後の粒です。これよりも大きな粒のものとしては、イソギンチャクに最適な「アネモネペレット」があります。アネモネペレットは粒が4mmもあり、その名の通りイソギンチャクに最適な餌ですが、オオバナサンゴやオオタバサンゴなど、ひとつひとつのポリプが大きなサンゴによいでしょう。
原材料
魚肉およびその抽出物、軟体動物、甲殻類、オイル、脂質、ビタミン類、ミネラル類を使用しています。サンゴが消化しにくい小麦粉やグルテン類などは使用していません。
実際に与えてみました
▲スプーンは付属しないので手でつかんでビーカーに入れる
ビーカーの中にLPSコーラルペレットを入れます。前回ご紹介したバイタリスのパウダーフード「ソフトコーラルフード」には給餌のためのスプーンが付属していましたが、ペレットフードであるこの商品には付属しませんので、手でつまむか、ほかの餌に付属するスプーンを使って入れます。ビーカーでなくても計量用カップなど、同じようなサイズの容器で代用できますが、不潔なものはNGです。また容器は使用する前に水洗いするようにします。
▲ビーカーに海水を加える
コーラルペレットが入ったビーカーに水槽の海水を加え、ペレットを沈みやすくします。
給餌する前に循環ポンプや水流ポンプの電源を一時的に停止させるとよいでしょう。ポンプを使用することにより発生される水流が強いと、サンゴに餌がいきわたりにくくなることがあるからです。
▲オオタバサンゴに給餌
スポイトを使用し水ごと餌を吸い取り、サンゴに給餌します。給餌するときに使うスポイトはLSS研究所からでている「ターゲットスポイト」などの長いスポイトを使用するとよいでしょう。サンゴは魚とは異なり、自ら餌をとりにいく、ということができません。そのためスポイトを使用してポリプひとつひとつに給餌してあげる必要があります。
▲よく広がったオオバナサンゴ。夜間にブルーLEDのもとで撮影
ポリプを広げている時間にフードを与えます。オオバナサンゴやキクメイシ、オオトゲキクメイシの類などは夜間ポリプを大きく広げます。オオタバサンゴなど昼でもポリプを広げるようなサンゴは昼間に給餌してもよいでしょう。オオバナサンゴなどに昼間給餌することもできなくはないのですが、多くの魚の活動時間と重なってしまい、餌を魚にとられてしまうこともあります。
この餌を与えるとよいサンゴはコハナガタサンゴ、オオバナサンゴ、カビラタバサンゴ、オオタバサンゴ、ハナガタサンゴ、アザミハナガタサンゴ、キクメイシ、カクオオトゲなどのオオトゲキクメイシ類、ウスカミサンゴ、ウミバラなどです。ハナガササンゴやアワサンゴなどはあまり食するようなことはなく、キッカサンゴは種類にもよりますが餌が大きすぎます。
▲給餌後のオオタバサンゴ
オオタバサンゴは給餌したらポリプを縮めます。このサンゴは昼間にポリプを広げますが夜間には閉じてしまいます。昼間はほかの魚も起きており、オオタバサンゴの餌を横取りしてしまうこともあります。最後に、循環ポンプを停止させていたのであればポンプを再度始動させることを忘れてはいけません。これを忘れてしまうと魚やサンゴが死んでしまうおそれもありますので、絶対忘れてはいけません。
バイタリスLPSコーラルペレットまとめ
- イギリス製のサンゴ用高品質ペレットフード
- 大きさ1.5mmほどの粒状でとてもやわらかい
- 魚や軟体動物の肉、オイル、ビタミン、ミネラルなどを配合し小麦粉などは含まない
- 給餌の際はスポイトを使用しサンゴのポリプひとつひとつに餌がいきわたるように
- 水流が強いときは循環ポンプや水流ポンプを停止させて与えるとよい
- 給餌が終わったら循環ポンプや水流ポンプは再始動させることを忘れずに