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2020.09.21 (公開 2017.07.20) サンゴ図鑑

スターポリプの飼育方法~水槽に緑のじゅうたんを!

スターポリプは初心者にもおすすめできるサンゴです。安価であまり良いイメージがないかもしれませんが、上手く飼育すると増殖し、緑色のじゅうたんとなります。このスターポリプをうまく育てるにはどうすればよいでしょうか。

スターポリプの特徴

▲スターポリプは八放サンゴ亜綱のなかのウミトサカ目のサンゴ。トサカやウミキノコと同じ目。

▲ポリプの先端が8つに分かれているスターポリプ。八放サンゴの仲間。

▲完全に閉じて共肉があらわになっているもの。この個体は紫色。

和名で「ムラサキハナヅタ」とよばれる、ウミヅタ科のサンゴの仲間です。色のバリエーションは緑色の濃い薄い程度で、たまに白っぽい色彩のものがあるくらいですが、ポリプの形などにバリエーションがあります。またポリプを縮めると共肉があらわになりますが、その共肉の色にはベージュのものと、紫色のものがあり、飼育の難易度に若干の差があります。

ディスクコーラルや、マメスナギンチャクなどとともに「飼育しやすいサンゴ」の代表という言い方もできそうですが、この2種類はサンゴというよりもイソギンチャクに近い種類で、六放サンゴの仲間であるのに対し、このスターポリプはウミキノコやトサカなどが含まれるウミトサカ目のソフトコーラルで、八放サンゴの仲間です。そして、水質もディスクコーラルやマメスナギンチャクよりはきれいな水が求められます。しかしながら、ウミキノコやウミアザミほど硝酸塩などの蓄積に敏感、というものではなく、栄養塩が多めの水質でも飼育することができます。

同じウミヅタ科のサンゴにはハナヅタやツツウミヅタがいますが、これらのサンゴはやや栄養塩の蓄積に弱いようですが、スターポリプはこれらのサンゴよりもずっと飼育しやすいので、サンゴ飼育初心者にもおすすめの種です。

スターポリプの飼育に適した水槽

水槽

▲60cm水槽で飼育しているスターポリプ

スターポリプは極めて丈夫なサンゴで、水槽サイズもあまり大きいのは必要ありません。こまめに水を換えることができるのなら、30cmくらいの幅の、小型水槽でも飼育可能です。ですが、初心者の方ならば60cm水槽で飼育するのが安心です。

適した水質と水温

丈夫なサンゴで、硝酸塩、リン酸やケイ酸の値にはあるていどの範囲で耐えられますがやはりそれらの数値が低い、清浄な水で飼育してあげたいものです。ベルリンなどのナチュラルシステムでなくても、一般的なろ過槽を使用した方式でも飼育できますが、そこは注意したいポイントです。またプロテインスキマーの設置も効果的といえます。

水温は他の熱帯域に生息するサンゴと同様で、25℃くらいが適温です。清浄な水であればそれ以上でも耐えられますが、やはり基本は25℃をキープするようにしたいものです。

水流

移動することができないサンゴにとって水流は重要な要素ですが、直接当たりすぎると状態が悪くなりますし、逆に全くないと上にごみがたまってしまい、よくありません。

強すぎず弱すぎず、壁にポンプからの水流をあてて乱流を作ったり、造波ポンプの使用するのもよいでしょう。造波ポンプはかなり高価ですが値段に合うほどの効果がありますが、小型水槽では小型の水中ポンプを使用して、水流を互いにぶつけあうなどしても十分なことがあります。

好む光・照明と置く場所

比較的弱い光でも飼育できますが、ディスクコーラルよりも強い光を好みます。青系、白系のLED、蛍光灯。青色のLEDだと、極めて美しいグリーンに育ちます。メタルハライドランプを使って飼育するなら水槽の下の方においておくとよいでしょう。

たまにスターポリプがなかなか開かなくなることがあります。そのようなときは照明や水流の当て方など、すこし条件を変えてみるとよいでしょう。

餌と添加剤

▲ヨウ素や微量元素などを添加してあげたい

餌はあまり与える必要はありません。もし与えたいのであれば、フィトプランクトン(植物プランクトン)を少し与える程度にします。

添加剤は重要で、少なくともヨウ素と微量元素は与えるべきです。この他、ストロンチウム、マグネシウム、ビタミン・アミノ酸などを添加するとよいでしょう。

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スターポリプの選び方

スターポリプは海水魚やサンゴを扱うお店ならばどこでも手に入るでしょう。共肉がベージュ色のものと紫色のものがあります。紫色のものは綺麗なのが多いのですが、ベージュ色のものは飼育しやすく、またよく増えるので初心者にもおすすめできます。もちろん紫色の共肉をもっていても、初心者には飼育困難というわけではありません。縮んで白い膜がはっているようなものは選ばないようにします。

スターポリプにはウミウシなどが寄生していることもあるため、水槽に入れる前に「リバイブ コーラルクリーナー」や「コーラルRXプロ」などを使用して薬浴したいものです。

安価ですが美しい色彩なので、最近はフラグ付きのものも販売されています。きちんとついていて、表面を白っぽい膜が覆っているようなものでなければ問題ないでしょう。

スターポリプと魚や無脊椎動物との相性

▲多くの種の魚と組み合わせることが出来るのも魅力

チョウチョウウオや大きめのキンチャクダイ(ヤッコ)の類、あるいは水温などの条件が大きく異なる魚でなければ、ほとんどの魚と組み合わせることができるのも、初心者におすすめできる大きな理由です。

スターポリプはその形から水槽の底の方に配置されることが多いのですが、注意したいのは、ハゼの仲間のうち、アカハチハゼやミズタマハゼに代表されるベントス性のハゼです。このような種類は、砂を口に含み、砂中の餌を食べて残りの砂を鰓から出すという習性がありますが、鰓から出された砂がスターポリプの上に落ちて時間が経つとスターポリプが弱ってしまいます。スポイトなどでこまめに取り除く必要があります。またハゼと共生するテッポウエビなども砂を巻き上げるので注意が必要なことがあります。

たまに環境の違いなどでスターポリプがずっと閉じたままになってしまうことがありますがそのようなときに、コケがからんでしまうこともあります。ヤエヤマギンポなどをいれてコケを食べてもらうとよいでしょう。

スターポリプと他のサンゴとの相性

比較的毒性が強く、成長が早いので、毒性の弱いウミキノコやウミアザミ系のサンゴとはあまり触れないように注意したいものです。

逆にヌメリトサカなど極めて毒性の強いサンゴとは接触しないように注意します。水槽環境の条件が当てはまるとものすごい勢いで増えていきますので、他のサンゴ、特に成長スピードの遅いハードコーラル(イシサンゴ)を飼育されているのであれば、そのようなサンゴがスターポリプに覆われてしまわないように、適当にカットして間引く必要があるともいえます。

スターポリプの増やし方

▲増殖しつつあるスターポリプ。共肉の色がベージュのものは増殖するのがはやい。

条件がうまくあてはまればよく増えます。特に鶏皮のようなベージュ色の共肉のものは紫色のものよりも増殖するのが早く、サンゴを増やしたい方におすすめです。ただし上でも書いたように、増えすぎてもて余すことのないように、ハサミなどを使って間引くことも必要です。フラグにつけて他の方と交換するのもよいでしょう。

スターポリプ飼育まとめ

  • 初心者向けのソフトコーラルのひとつ。
  • 丈夫だが、ディスクコーラルなどよりはきれいな水が必要。
  • 水温は25℃
  • 強く、間接的に当たる水流が必要。
  • 餌はたまに植物プランクトンフードをあたえる程度。
  • 添加剤は重要で、ヨウ素や微量元素は重要。
  • ストロンチウムやマグネシウムなども欲しい。
  • 寄生虫がついていたり、膜に覆われているようなものは購入しない。
  • 砂を巻き上げる魚や甲殻類に注意。チョウチョウウオなどもよくない。
  • 毒が強く増殖スピードも早い。他のサンゴとの配置に注意
  • 増殖しすぎたらハサミなどを使用して間引く。
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