2020.09.21 (公開 2020.02.17) 水槽・器具
プロテインスキマー「HS-850」のレビュー!古くから使われるロングセラースキマー
「HS-850」はアクアリウム用品メーカー、H&S GmbH製のプロテインスキマーです。おそらくもう20年くらい販売されているであろうACポンプ・筒状のプロテインスキマーで、近年販売されているものと比較すると機能などは劣っているようにも思えますが、使いやすさや実績、ベルリンシステムでも十分使えるパワーなどから、今日でも使っているアクアリストも多いでしょう。今回はこのHS-850についてご紹介します。
また、そもそもプロテインスキマーって何?という方は、以下をご覧ください。
HS-850とは
HS-850はドイツのH&S社(H&S GmbH)製のプロテインスキマーです。プロテインスキマーにはエアリフト式、ベンチュリー式、ベケットヘッド式などがありますが、このHS-850はパワーが高い割には初心者にも扱いやすいベンチュリ―式プロテインスキマーとなっています。人気の高い機種で、もうたぶん国内でも20年近く発売しているのではなかろうかというロングセラー商品です。この商品は内部式(インサンプ式)と呼ばれるもので、プロテインスキマー本体をサンプ(水溜め)の中に入れて設置するタイプです。メーカー希望価格107,000円(+税)と高価ですが、それに見合うだけのパワーはあります。
おなじH&S社からアクアリスト向けに販売されているプロテインスキマーとしては下位モデルのHS-400、より上位のモデルであるHS-1500、HS-2200、HS-3000がラインナップされています。名称お「850」というのは最大対応水量(850リットル)をあらわしますが、ベルリンシステムの水槽ではだいたい550リットルまでです。またサンプにスキマーを入れるスペースがない、というときに重宝する外部式モデルのHS-Aシリーズもあります。こちらも同様にHS-A400、HS-A850、HS-A1500がありますが、こちらはスキマーのほかに給水ポンプを購入する必要がありますので注意が必要です。どのポンプが最適なのかは、エムエムシー企画レッドシー事業部のHPをごらんください。
なお、エムエムシー企画レッドシー事業部ではこのほかにレッドシー「リーファースキマー」、オルカ「バブルラッシュ」、ZOOX「アルティマ」など、HS-850と同様のベンチュリー式スキマーを取り扱っています。またオルカ「ミニット」のような小型エアリフト式プロテインスキマーもあります。
形状
HS-850の形状はいわゆる筒状のものであり、近年販売されているコーン状のスキマーよりもパワーに劣るといわれていますが、蒸発や水位変動などにも強く安定した稼働ができるという点ではコーンタイプのスキマーより優れている、といえるかもしれません。
ポンプの種類
ポンプは最近はDCポンプが主流ですが、このHS-850は古くからあるロングセラープロテインスキマーのためACポンプが採用されています。静音性や調節のしやすさなど、性能的にはDCポンプが優れている…なんていわれることも多いものの、DCポンプは電子部品が多く使用されているという関係上、耐久性はまだまだACポンプが有利といえます。ただしヘルツフリーではないので注意が必要です。なお、このプロテインスキマーのインペラーは剣山状になっており、細かい泡を出すことができますが、泡の出が悪くなった時にはインペラーの交換が必要となります。
HS-850を水槽に設置する
HS-850はインサンプ式のプロテインスキマーで、オーバーフロー水槽にしか設置できません。スキマーの寸法は幅340mm、奥行き170mm、高さ510mmで、それ以上の大きさのサンプが必要になります。排水は高さ275mmのところから出てくるので、ある程度の水温も必要になります。写真のように600×300×330(mm)の水槽をサンプにするのもよいでしょう。安価な水槽ですので観賞魚店だけでなく、量販店などで販売されることもあるので入手しやすくおすすめです。
スキマーの左側にあるのは仕切り板です。スキマーへ給水するためのポンプに大きなものがつまると故障の原因になってしまいます。ウールボックスなどのない、一般の水槽をサンプにするにはこのような工夫も必要なのです。
HS-850の調整とメンテナンス
HS-850の調整
HS-850の空気(泡量)調整はエア調整バルブで、水位調整はイージーコントロールパイプを使って行います。とくに水位調整はやり方をあやまるとカップに水があふれることもあるので注意しなければなりません。
エア調整バルブを使った調整
エア調整バルブは、スキマーの左側にあるエアチューブに付属する白いバルブです。円形のツマミをまわすことによりエアチューブが少しつぶれてスキマー内部に入るエアの量を調節します。地味ですが極めて重要なパーツですので、なくさないように注意が必要です。スキマーの内部の水位を調節するイージーコントロールパイプとともに調整する必要があります。
イージーコントロールパイプを使った水位調整
イージーコントロールパイプとはスキマー本体の横についているパイプのことで、このパイプを回すことによりスキマー内部の水位の調節ができます。空気量を調節するエア調整バルブと併用して使用するようにしましょう。なお、スキマーをセットするときにはイージーコントロールパイプとその下部のT字状の排水パイプの部分にある白いマークを合わせるようにし、そこから調整していきます。また、やりかたをあやまるとカップに水があふれるという事態にもなりますので注意が必要です。
日々のメンテナンス
▲汚水がカップ内にたまった様子
HS-850の上にあるカップには汚水がたまりますので、1週間に1回くらいはカップを外して汚水を取り除き、カップのなかにこびりついた汚泥を洗い流すなどして清掃したいものです。カップは反時計回りの方向に軽くひねるだけで簡単に取り外しができますので、メンテナンスが容易な機種といえます。掃除する際はぬるま湯などで汚れを落とすようにし、洗剤などは使用してはいけません。
交換パーツ
泡の量は調整する必要がありますが、あきらかに泡の量が減った、というときはインペラーの部分が寿命をむかえている可能性もありますので、インペラーは早いうちに交換しましょう。ただしモーターブロック(ポンプ)には新型・旧型の2種があり、それぞれ互換性がないので注意が必要です。つまり新型モーターブロックに適したインペラーは新型用のもの、旧型モーターブロックには旧型のインペラーを使う必要があるということです。
それでも泡が少ない場合にはモーターブロックを交換しなければならないこともあります。なお、モーターブロックはUP2000という機種になります。50Hz用と60Hz用があり、お住いの地域により選ぶ必要があるということです。
HS-850まとめ
- 初心者でも扱いやすく十分なパワーがあるベンチュリー式
- その名の通り850リットルまで対応(ベルリンシステムは550リットルまで対応)
- 昔からある筒状で安定して稼働する
- ACポンプで信頼性が高いが、ヘルツフリーではないことに注意
- 内部(インサンプ)式でサンプの中に設置する必要がある
- ウールボックスのない水槽をサンプにするには仕切り板をつける必要あり
- エア調整バルブとイージーコントロールパイプで泡の出方を調整
- カップの汚水は1週間に1回くらいは取り除きたい
- インペラーやモーターブロックは泡量が落ちたら交換する
外部リンク
H&S Aquaristik (独語)