2019.04.03 (公開 2019.04.03) 水槽・器具
アズー 隔離ケース「ビックフィッシュハウス」の使い方~大型水槽におすすめ!
魚同士の争いが酷くなると、弱い方の魚は強い魚に殺されたり、殺されないまでもけがをしたりするおそれがあります。そういう時に弱い魚、逆に強い魚を隔離するのに役立つのが「隔離ケース」です。しかし、一口に「隔離ケース」といっても用途はさまざま。水槽で飼育している魚の争いを避けるのであれば、大型の隔離ケースを用意した方がよいでしょう。今回は大型の隔離ケースのうち、アズーから販売されている「ビックフィッシュハウス」という商品をご紹介します。
アズー「ビックフィッシュハウス」とは
「AZOO」(アズー)は台湾のバイオテクノロジー企業である邰港科技股份有限公司の観賞魚関連製品のブランドです。水槽、殺菌灯、フィルターから接着剤までさまざまなアクアリウムグッズを作っているほか、(日本では法律上販売不可となっていますが)クラゲの遺伝子が組み込まれて蛍光色を発するメダカやゼブラフィッシュなどの遺伝子組み換え魚も作出しています。このほか親会社の邰港(タイコン)は海水魚を含む魚の卸業務もやっているようです。
日本においては神奈川県大和市のアズージャパン株式会社が水槽やフィルター、ろ材、添加剤などを販売しています。今回はこのアズーから販売されている隔離ケース「ビックフィッシュハウス」をご紹介します。
どんな商品?
▲隔離中のイトヒキテンジクダイとカクレクマノミ
ビックフィッシュハウスはその名の通りほかの隔離ケースと比べて大きく、サイズは30.8(幅)×14.5(奥行き)×16.5cm(高さ)もあります。本体にはフロートがついており、これにより水面に浮きます。また、一体型のフタがついており、フタを閉めることでケース内から魚がジャンプして逃げてしまうことを防げます。
内部には仕切り板があり、これにより複数の魚を隔離しておくことができます。もちろん仕切り板の取り外しも可能で、一つの大きな部屋にすることもできます。水槽の仕切り版は側面の壁と同一の規格になっており、小さな穴が開いていて水の通りがよいのも特徴です。
このほか吸盤が付属しており、ビックフィッシュハウスを水槽の壁やガラス面に付着させることもできます。ただし吸盤はややちゃちなものなので注意が必要です(後述)。
名称について
▲パッケージの表記は「ビックフィッシュハウス」
ECモールサイトなどでは本製品については「ビッグフィッシュハウス」という名前で紹介されていることも多く、箱に書かれている英文も「Big Fish House」となっています。ただし、箱には日本語でも「ビックフィッシュハウス」と書かれ、アズージャパンの商品紹介ページでも「ビックフィッシュハウス」となっており、ここでは「ビックフィッシュハウス」の名称で統一します。
メリットとデメリット
▲カクレクマノミを泳がせている様子
メリット1.サイズが大きい
ビックフィッシュハウスは幅30cmと、サイズ的には非常に大きいことがメリットといえます。これほど大きいと、ある程度の大きくなる魚も隔離することができます。
メリット2.フロート付きで浮く・フタがついている
先ほども述べたように、上部に4つのフロートがついているため、常に水槽に浮かんでいます。それにより入っている魚が本水槽へ逃げ出しにくいのはメリットの一つです。ただし浮いているといってもフタが開いていると魚の種類によってはジャンプして逃げ出してしまうこともあります。せっかくフタがついているので、フタはしっかりしめましょう。
デメリット1.サイズが大きすぎる
一方メリットのひとつであるそのサイズがデメリットになることがあります。採集時にバケツの中に浮かべて魚を隔離する用途には適しておらず、小型水槽でも使用できません。無理やり45cm水槽に押し込んでも水の流れが悪くなったりするおそれもあります。
もしバケツなどを使用し、採集魚や引越し等の運搬に使用するなら同じアズーから出ている「ミニフィッシュハウス」や、ほとんど同様の製品である「コトブキ ワンルームハウスデラックス」などを使用するのもよいでしょう。ただしこれらの製品は魚の運搬にはよいのですが、長期間の隔離には狭すぎます。
デメリット2.吸盤が弱い
▲吸盤が若干外れやすいので注意したい
このほか、先ほど「付属の吸盤を使用して水槽壁面やガラス面に吸着させられる」としましたが、その吸盤はが若干弱くてはずれてしまいやすいこともデメリットといえるでしょう。吸着させるのであればマグネットクリーナーなどの磁石で固定する方法を推奨しますが、小さなマグネットクリーナーであれば二つ使うなどする必要があります。
デメリット3.ケースの底に穴が開いている
▲餌などはこのケースの穴から落ちることも
底にも穴が開いていることも大きなデメリットといえます。この穴のせいで隔離している小魚に与えた餌が落ちてしまいます。この底面の穴は側面の穴と同様に水の通りをよくするためにあいているようですが側面にも大量の穴が開いており、この穴は要らなかったように思います。フレークフードなど、浮遊するタイプの餌を使うなどの工夫が必要でしょう。
なお、このようなケースでは対応できないケースもあります。水が水槽とつながっているため、たとえばサンゴ水槽でこの隔離ケースの中に薬を入れて病気治療を…ということには使えません。
ほかの製品との比較
スドー サテライト
▲水槽の縁にひっかけるだけ。取り付けは楽だが…
サテライトは外掛けろ過槽のように水槽のふちにかけて使用するタイプの隔離ケースです。少しの間魚を隔離しておく、あるいは餌をストックしておくなどの使い方ができます。
しかし別途エアポンプが必要で、このエアポンプを使って水を循環させる方式ですので水中ポンプを使用して水を循環させる方式と異なり循環量が少なくなってしまうというデメリットがあります。また、フランジがついている水槽では使用できないというのもデメリットといえるでしょう。
エアポンプを用いた揚水では水があまり動かず、魚を長期飼育するには難しいところがあります。特に水温は一定にしておくのは難しいです。
水作 フローボックス
吸盤は付属しますが、ビックフィッシュハウスと同様フロートによって浮くしかけとなっています。フローボックスは側面には穴が開いていますが底面には穴があいていないため、餌が隔離ケースの底から落っこちる心配がありません。
しかしこの商品はもともとグッピー用に開発された商品のようで、どうしても海水魚には狭いものです。小型のカエルウオやピグミーゴビー、あるいは幼魚くらいにしか使用できないというデメリットがあります。しかしこの狭いという要素はメリットにもなります。採集した魚をバケツで持ち帰る際、肉食性の魚、あるいは極小サイズの魚を隔離するのに使うということもできます。「ビックフィッシュハウス」ではどうしても大きいためバケツの中には入れられません。
このほかにも各社からさまざまな隔離ケースが販売されています。ただし一部の製品は金属パーツなどを使用したり、生物に有害なグリースがべったりと塗られているおそれもあるため、信頼できるメーカーの隔離ケースを購入するのが望ましいでしょう。
アズー ビックフィッシュハウス まとめ
- 台湾のメーカーが製造する30.8×14.5×16.5(cm)の巨大な隔離ケース
- フロートがついているため常に水に浮いている
- 一体型のフタがついており魚がジャンプし逃げ出すことを防げる
- 仕切りがついており複数の魚を隔離できる
- 仕切りを外して大きな広い部屋にすることも可能
- サイズが大きいのは小型水槽ではデメリットになることも
- 吸盤は外れやすく注意が必要
- 底面にも穴が開いており餌が落ちる可能性もある