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2020.06.15 (公開 2020.06.05) 水槽・器具

海水魚水槽にレプリカサンゴ・ライブロックを入れる~人工アクセサリーの種類・特徴を解説

海水魚水槽を彩るのは魚やサンゴなどの生物だけではありません。カラフルな人工のサンゴ、人工のイソギンチャク、人工のライブロックやキャラクター商品などの水槽用アクセサリーも水槽に彩りやドラマを加えます。しかしながらこのようなアクセサリーにもメリットやデメリットが存在します。今回は水槽に入れられる人工アクセサリーの種類やメリット・デメリットをご紹介します。

水槽内に人工的なアクセサリーを入れる

水槽内にライブロックやサンゴ岩だけでなく、人工的なアクセサリーを入れて面白いレイアウトをつくることもできます。人工的なサンゴや中世のお城、ディズニーなどのキャラクター、さらには海賊船までまでいろいろな水槽用アクセサリーが販売されています。もちろんこれらの販売されている水槽用アクセサリーは魚に無害なように作られています。

人工的なアクセサリーの種類

ひとくちに「人工的なアクセサリー」といっても、いろいろな種類があります。

人工サンゴ

種類豊富なゼストのレプリカサンゴ

シリコン、もしくはプラスチック製の人工サンゴです。各メーカーからいろいろな形・素材のものが販売されていますが、とくにゼスト(ゼンスイ)から出ているものはリアルで種類も豊富です。写真はゼストのレプリカサンゴを使用して作った水槽レイアウトです。サンゴのほかにもシャコガイ、フジツボ、アオヒトデに似せたものもあります。多くの場合は本物のサンゴの骨格から型を取っているので非常にリアルです。

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レプリカライブロック

「人工ライブロック」だと、セメントを成形して海中に沈めてライブロック化させたようなものも含むので、ここではレプリカライブロックと表記します。ライブロックのような見た目のカラーリングに塗装したものです。有名なものではエムエムシー企画レッドシー事業部が輸入販売するインドネシアATS(Aneka Tirta Surya)社の「ライブロックレプリカ」というのがあります。これはグラスファイバーを材料に使用しているので非常に軽く、かつ色も本物に似せています。岩組だけでなく、オーバーフローパイプに重ねて使う「ライブロックリング」というものもあります。どうしても人工物感丸出しになってしまうパイプを隠すことができます。

もちろん本物のライブロック(人工ライブロック)とことなりシャコやイソギンチャクなどの害を及ぼすおそれのある生物が付着することはないのもメリットといえますが、バクテリアなども繁殖していません。見た目は本物のライブロックのようにも見えるのですが、やはり色の塗り方などは人工物っぽく見えてしまうことがあります。

人工水草

ジェックスなどから人工の水草も販売されています。プラスチックやシリコン製の水草で、主に淡水魚水槽ではよく使用されているものです。海水用には一部アマモを模したようなものもあるようですが、あまり販売されていないようです(少なくともお店では見たことがない)。

人工イソギンチャク

▲カミハタの「いそぎんちゃくん」とクマノミ

カミハタから出ている「いそぎんちゃくん」が有名です。いそぎんちゃくんはシリコン製のイソギンチャクで、5種の色彩(イエロー、オレンジ、ブルー、ピンク、パープル)と、それぞれ2種のサイズ(MとL)があります。触手の先端がパープル(写真)やピンクのものなどは妙にリアルで、知らない人がみたら本物のイソギンチャクと間違えてしまうかもしれません。しかし下のほうは「明らかに人工物」というちゃちな感じですので、下のほうをライブロックやサンゴ岩などで隠すように配置しましょう。

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テトラポッドなど

水族館の水槽では見栄えのよいテトラポッドだが…

海でよく見かけるテトラポッドのアクセサリーもあります。水族館などでは沿岸域を再現するアクセサリーとして使用されています。このほか、「沈没船」「橋」や「お城」などのアクセサリーもあるのですが、これらもどうも入れるとちゃちなものになってしまいがちです。おそらく大きさの問題もあるかもしれません。現実の沈没船であれば周囲を魚が群れていて、船の中にハタやアカマツカサなどがいたりするのですが、実際に水槽に入れられるサイズの沈没船は入れてもハタやアカマツカサなどのほうがかなり大きく見えてしまいます。リアリティよりもファンタジーを求めるのであれば入れても問題はないでしょうが…。

パイプ・土管

▲ウツボ水槽にはパイプを入れることが多い

ウツボなどの長い魚の隠れ家としてパイプを入れることが多いです。ひとつのパイプに何匹もウツボが入っていることがあります。ライブロックなどでもよいのですが、ウツボのパワーはすさまじいため岩組を崩したり、水槽面に傷がついたりすることもあるので、ウツボ水槽にはこのようなパイプが適しているといえるでしょう。なお小型のハゼなどには専用の土管が販売されています。このような商品は色がブラウンやグレーで、水槽の景観を極力損ねないような工夫がされています。

キャラクターもの

ディズニー映画「ファインディング・ニモ」「ファインディング・ドリー」などが公開された後、登場したキャラクターのアクセサリーがいろいろ販売されています。「ドリー」の映画に出てきたタコやシロイルカなど、マイナーであったり、飼育しにくい生物のキャラクターも製品化されています。生きてはいませんが、映画の雰囲気を出すのには十分でしょう。ほかにエアーを入れると動物の口が開閉するような楽しいアクセサリーもあります。

人工的なアクセサリーを入れるメリット

チョウチョウウオなどの入った水槽にも入れられる

▲サンゴを食べるチョウチョウウオ水槽でも人工サンゴなら入れられる!

チョウチョウウオはサンゴを食べてしまうので、チョウチョウウオを飼育している水槽ではサンゴを入れることはできません。またチョウチョウウオは病気にもなりやすい魚ですが、サンゴが入っていると魚病薬も入れられないので、チョウチョウウオとサンゴの相性は最悪といえるでしょう。しかし人工のサンゴであればサンゴが食べられる心配はありません。配合飼料に餌付いていないチョウチョウウオには、人工サンゴに配合餌を練ったものを付着させることにより、餌付けに使うこともできるでしょう。

魚を多く入れられる

サンゴを飼育すると魚を多く入れることはできません。魚は餌を食べ、排せつすることによりアンモニアが蓄積され、それらがバクテリアにより亜硝酸塩、最後には硝酸塩に分解されるのですが、硝酸塩は一般的には分解されず、水槽に蓄積されることになります。サンゴはこの蓄積に弱いのです。

なお、家庭の水槽だけでなく、水族館でもサンゴ礁水槽でたくさんの魚が入っているようなところでは、人工サンゴを使用していることが多いようです(後述)。

魚を傷つけにくい

人工のサンゴはシリコンなどの材料で作られていることも多く、とがった飾りサンゴなどとくらべ、傷つけにくいといえます。魚水槽で混泳を行うときには大きなメリットといえるでしょう。また同時に軽量であるというメリットもあります。とくにATS製のライブロックレプリカはグラスファイバー製で非常に軽量で使いやすいといえます。

飼育が難しい生き物(の偽物)も水槽に入れられる

▲イソギンチャクは初心者には飼育困難

人工アクセサリーの中にはカミハタの「いそぎんちゃくん」のように飼育が難しい生物をモデルにしたものもいます。イソギンチャクは飼育しにくい生物で、飼育が難しいだけでなく、水を汚しやすい、歩き回ってサンゴにダメージを与える、有毒の触手で魚をとらえて食べてしまう、配管につまり水の循環をとめる、もしくは水をあふれさせるおそれがあるなど、飼育しにくい生物です。とくに初心者がクマノミとイソギンチャクの共生を楽しみたいと思って購入した場合、高い確率で水槽が崩壊するおそれがあります。そういうときにはこのいそぎんちゃくんが役に立ちます。ただし「必ず入る」という保証はありません。もっともこれはいそぎんちゃくんに限らず本物のイソギンチャクにもいえることですが。

そのまま水槽に入れられる

▲本物のライブロックにはシャコが潜んでいることも

レプリカライブロックの場合、軽く水洗いしてそのまま水槽に入れられるということがあげられます(ただし、ライブロックの中でも本物と似たような素材で作られているものは真水でなく海水で洗ったほうがよいともいわれています)。本物のライブロックであればシャコやウミケムシなど有害な生物が出てくることもありますが、レプリカライブロックではそのようなことはなく、付着生物もいないため付着生物が死んで水質に悪影響を及ぼす・・・なんていうこともありません。ただし水槽システムで重要なろ過バクテリアはついていませんので、別途バクテリアを購入して水槽に投入する必要があります。

アクセサリーを入れるデメリット

一方、人工的なアクセサリーを水槽に入れることでこのようなデメリットも存在します。

水槽がちゃちな感じになる、飽きやすい

これが一番大きなデメリットです。どうしても人工物を水槽に入れてしまうとちゃちなものになってしまう感じは否めません。また人工サンゴの多くは色が鮮やかすぎるということもあり、どうしても飽きてしまいやすいです。さらに先ほども述べたように沈没船を水槽に入れても、隠れる魚の大きさを考えるとうまく隠れられなかったりもします。上記の理由から、ある程度経験を積んだアクアリストとなればこのような人工物を水槽に入れるのは避ける傾向にあります。

また死んでしまったサンゴを塗装して水槽に入れることもありますが、塗料の種類によっては溶けだして生物に悪影響を及ぼすこともあるため危険です。自分で塗装しないようにしましょう。

バクテリアが付着していない

ライブロックレプリカには当然ながらバクテリアが付着していません。ですから実際にバクテリアを水槽に投入してあげなければなりません。ただし乾燥しておりバクテリアが付着していないということはカニやウミケムシなど害を及ぼす可能性がある生物もいないということで、一概にデメリットとはいえません。

水族館の人工アクセサリー

しものせき水族館 海響館のサンゴ礁水槽。チョウチョウウオやスズメダイが多い。サンゴは人工。

▲沖縄美ら海水族館のサンゴ礁水槽。生きたサンゴが入っているが魚はその分少ない

水族館ではサンゴ礁の魚が泳ぐ水槽に人工のサンゴが使用されることが多いです。写真の海響館のほか、全国の多くの水族館でみられるものです。これは先ほども述べたように海水魚を多く飼育するのであればサンゴを飼育するのは難しく、またあるていどのサイズになり、きれいで見栄えがよい「ザ・サンゴ礁の魚」といえるチョウチョウウオなどはサンゴを食べてしまうので水槽に入れられないからです。水族館の水槽は家庭水槽とくらべると巨大ではありますが、それでもたくさん魚を入れれば硝酸塩が蓄積されてしまいます。

水族館の中には最近、生きたサンゴを飼育している水族館もあります。写真は沖縄美ら海水族館の、入館後すぐに広がるサンゴ水槽です。しかしその場合は、魚は少なくしていることが多いです。水槽の中にぎっしりサンゴを入れており、チョウチョウウオが多少つついても問題ないようにしているようです。種類もミゾレチョウチョウウオのほか、アミチョウチョウウオやシチセンチョウチョウウオ、さらにはサンゴ食性の強いミナミハタタテダイのような種も飼育されていました。

水槽用アクセサリーまとめ

  • 人工サンゴやレプリカライブロックからキャラクターものの人形までさまざまな種類がある
  • 人工サンゴは本物のサンゴから型を取り塗装したものでリアル
  • レプリカライブロックは見た目がリアルであるが軽量。ただし塗装は若干人工物らしさが残ってしまう
  • 人工水草は海水ではあまり使われないが淡水魚水槽ではよく使用される
  • 人工イソギンチャクの「いそぎんちゃくん」は有名
  • 沈没船やテトラポッドなどは水族館でよく見られる
  • ウツボなどはパイプや土管などに隠れる
  • 「ニモ」や「ドリー」などのキャラクター商品もある
  • チョウチョウウオなどサンゴをつつく魚の水槽にも最適
  • いそぎんちゃくんはイソギンチャクの代わりにもなる
  • 水槽に人工物を入れるとちゃちな感じになり飽きやすい
  • 水族館では多くの魚を飼育するのに人工サンゴを使用するケースも
  • 生きたサンゴを飼育する水族館の水槽では魚は少量のみ飼育されている
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