2020.11.10 (公開 2020.06.10) 水槽・器具
ウツボの隠れ家に塩ビパイプが適している理由
ウツボの仲間は細長い体をもち、岩やサンゴの隙間に身を寄せています。夜間になるとそこから這い出て餌を捕食します。水槽内でも昼間ウツボが隠れるためのものが必要になります。水族館ではパイプの中に多数のウツボが密集している様子を見ることができます。実際パイプはウツボの隠れ家には最適なものです。今回はなぜパイプがウツボに適しているのか考えてみましょう。
ウツボの隠れ家になるもの
▲我が家のウツボ水槽に使っているVU40
ウツボが身を寄せる「隠れ家」にはいろいろなものがあります。ライブロック、サンゴ岩、シリコンなどでできた飾りサンゴ、各種土管・パイプなどです。水族館へ行くと、パイプの中にたくさんのウツボやアナゴなどが身を寄せている光景を見ることがありますが、実際にパイプというのはウツボの仲間にとって最適な隠れ家といえます。パイプにもいろいろな種類がありますが、塩ビ製のものがよく用いられ、この塩ビ製のパイプが家庭の水槽でウツボを飼うのにはもっとも適しているように思えます。
なぜ塩ビのパイプがいいの?
軽い
まず塩ビパイプのいいところは「軽い」ところです。ウツボはかなり力が強いため、サンゴ岩やライブロックを動かしてしまうことがあります。それだけならまだよいのですが、サンゴ岩により水槽に傷がついたり、最悪破損してしまうこともあります。しかしこの塩ビパイプは軽量ですので、そのような心配はサンゴ岩やライブロックよりは低いといえます。
割れにくい
また塩ビパイプそのものが割れにくいということもあります。素焼きの陶器などは使用しているうちにぶつかるなどして欠けてしまうことなどもありますが、塩ビパイプではそのようなこともありません。
入手しやすい
塩ビパイプは給水・排水といった用途に使用されるもので、ホームセンターで簡単に購入することができるというメリットもあります。ウツボの大きさに合わせて選ぶようにしましょう。
有害物質が溶け出さない
金属製のパイプだと海水の使用で錆びてしまったり、有害物質が溶け出してしまうことがありますが、塩ビパイプではそのようなことが起こりにくいため安心して使用できます。
塩ビパイプのデメリット
人工物らしさが出てしまう
塩ビパイプは灰色や紺色で、どうしても人工物らしさが出てしまいます。そのあたりはデメリットといえます。
コロコロ転がりやすい
断面が円形であり、かつ軽量な塩ビパイプはウツボが動かすなどしてコロコロと転がってしまいやすいものです。そのためほかの魚がいる水槽や、サンゴを飼育している水槽では使いにくいものです。しかし、ウツボはほかの魚を食べてしまったり、水質を悪化させやすいということもあるため、あまりほかの魚やサンゴとの飼育には適していないところがあるといえます。
ウツボのサイズごとに適したパイプ
▲VU40
ウツボのサイズによって適したパイプのサイズは変わってきます。ウツボの幼魚、成魚であってもアミキカイウツボのような小型種、ウツボではないですがミミズアナゴのような小型種であれば呼び径13mm、外径18mm前後のVP13の塩ビパイプでも問題ないでしょう。なお塩ビパイプには一般的にVP管とVU管というのがありますが、VU管は薄肉管、VP管は厚肉管とも呼ばれ、VP管よりもVU管のほうが薄くなっています。アクアリウムではオーバーフロー水槽のパイプにも使用され、どちらもよく使用されておりますが、VP管のほうは落下音が軽減されるともいわれています。
アクアリウムでお馴染みのパイプ系アイテムといえば、ミニテムの「エビ土管」や「ハゼ土管」があります。直径などでみればVP13とあまり変わらないように見えますが、長さという点においては切断することで好みの長さに変えることができるVP13のほうが便利といえます。ただし、切断するためにパイプカッターやノコギリなどが必要であるところはデメリットといえます。
参考までに、我が家で使用している塩ビパイプは積水化学工業・エスロンパイプ(JIS K 6741)のVU40です。外径48mm、内径44mmというものです。長さはおおよそ50cmくらいにカットしています。このパイプの中に2匹のウツボと1匹のモヨウモンガラドオシがすっぽりと隠れてしまうのです。なお写真のウツボやサビウツボは全長40~50cm前後です。
ウツボの隠れ家まとめ
- ウツボ飼育には隠れ家が必要
- 岩やライブロックで隠れ家を組むのはおすすめしない。塩ビパイプがおすすめ
- 塩ビパイプは軽くて割れにくい
- 塩ビパイプなら欠けて割れる心配もない
- 塩ビパイプならホームセンターでも販売されており購入しやすい
- 金属製のものと異なり塩ビパイプは錆びず有毒成分溶出もない
- 塩ビパイプは人工物の感じが出てしまいやすい
- 塩ビパイプは転がりやすいので他の魚がいる水槽やサンゴ水槽には適しない
- 塩ビパイプにはVU管とVP管の2種がある
- エビ土管やハゼ土管などもあるがウツボ飼育なら切断して長さを変えられるVP13が便利