2020.01.21 (公開 2019.07.26) 水槽・器具
水槽用クーラー故障の原因と故障時の対処方法
今や海水魚を安定して飼育するために必要不可欠な機械が「水槽用クーラー」です。「真夏に水槽用クーラーが壊れたら…」そんなこと、考えたくもありません。しかし、機械というのはいつかかならず壊れてしまいます。そして、水槽用クーラーが故障するのは真夏であることが多いです。真夏に水槽用クーラーが壊れてしまったらどうすればいいのか、まとめました。
水槽用クーラーが故障する理由
水槽用クーラーも「機械」ですからいつかは故障してしまいます。「水槽用クーラーを永久に故障させない方法」ではなく、「どのようにしたら水槽用クーラーの負担を減らし、長く使えるようにするか」「Xデーに生物へのダメージをいかに少なくするか」を考えることが重要です。
夏は故障しやすい
水槽用クーラーが一番壊れるのは夏です。これはよく考えてみれば当然で、夏はクーラーがフル稼働する季節であり、負荷がかかるため故障も多くなるといえます。とくに外に置いてクーラーを使用していると周囲の温度が36℃以上になり冷却されないこともあります。またほこりや風雨にさらされることもクーラーの故障を招きやすいといえますので、一般的な水槽用クーラーは必ず屋内に置いておく必要があります。
ほこりは故障の理由に!
水槽用クーラーの故障の理由はいろいろありますが、そのなかでも多いのは水槽用クーラーの内部にほこりがたまること、だそうです。水槽用クーラーの内部にほこりがたまると冷えにくくなり、ファンやそれをまわすモーターへの負荷が大きくなり、それにより壊れることがあるようです。このほか、水をかけたとか、モーターの摩耗なども故障の原因になってしまいます。
水槽用クーラーの負担軽減策
水槽用クーラーも機械だからいつかは壊れるのですが、そうであってもできるだけ長く、使いたいものです。そのためには水槽用クーラーにかかる負荷を軽減させるようにしましょう。
きちんと掃除しよう
▲とくにフィルター部はこまめに掃除しよう
先ほども述べたように水槽用クーラーの前部のフィルター部分にはほこりがたまりやすいため、定期的に掃除機などを使ってほこりを取り除くようにしたいものです。また、哺乳類のペット(イヌ、ネコ、ウサギなど)を飼育している場合はフィルター部分に毛がたまってしまうこともあるので、きちんとした掃除が必要不可欠となります。
ゼンスイ製の水槽用クーラーであればオーバーホール(分解点検修理)を行ってもらえ、内部のコンデンサーの部分も掃除してもらうことができます。
ゼンスイによるオーバーホール
ゼンスイ製の水槽用クーラーは、オーバーホールを行ってもらうことができます。オーバーホールの内容は、丸洗い洗浄と動作の点検です。とくに丸洗い洗浄では、内部を分解し高圧洗浄機で洗浄してくれ、ホコリがたまって冷えない・・・なんていう状況をある程度防ぐことができます。最後は乾燥・動作点検を行い再度発送してくれます。
一般的な家庭用クーラーであるゼンスイ「ZCシリーズ」および「ZRシリーズ」のクーラーであれば7000円(+税、2019年7月現在)でオーバーホールや洗浄を行ってくれるので、ぜひとも利用するようにしたいところです。
くわしくはゼンスイ株式会社のサイトをごらんください。
クーラーが故障した際の対処方法
まずは業者に修理を依頼
どんな故障にせよ、まずはクーラーの修理を依頼しましょう。クーラーを買ったお店でもよいですが、国内メーカーのジェックスやゼンスイであればメーカーへの連絡でも対応できます(ただし土日祝日は対応してもらえません)。
もちろんお金があれば新品のクーラーを購入してつけるのもよいですし、それがベストといえます。しかし「海水魚ラボ」を見てくださる方は初心者~中級者であることが多く、資金にも余裕がないことが多いでしょうから、業者への修理を第一に考える必要があります。
我が家はゼンスイとジェックス製の水槽用クーラーを使用しています。このうち、ゼンスイ製クーラーの修理の流れについてはこちらをご覧ください。
氷で冷やすのはだめ
▲海水魚水槽に氷は入れないように
よく「水槽用クーラー故障の際には氷を入れたりして対応するとよい」と言われますが、これらは水温の変動を大きくしたり、比重が大きく変動することもあるためやめたほうがよいです。とくに水温の変動が大きくなってしまうと、あっという間に魚が調子を崩してしまうこともあります。ですから氷を入れて冷やすのはやめましょう。
予備のクーラーを使用する
▲予備の水槽用クーラーを使用して水槽を冷却
もし予備の水槽用クーラーがあるようならばそれを水槽に接続すればよいだけですので話は早いです。このとき予備の水槽用クーラーの内部に古い水が入っていないか注意します。古い水がはいっているようならば、まずその水を抜いてから使用するようにしましょう。高級な魚(深場の魚や東太平洋などに多い魚)や近海魚、高水温に弱いサンゴをたくさん飼育するのであれば、予備の水槽用クーラーを持っておいても損はありません。
高級魚や深場の魚をうまく飼育するためには「もしクーラーが故障したら…」ということを常に頭に入れておき、備えも万全にしておきたいものです。高級魚の中には数十万円するものもいますが、常に魚よりも器具に予算を使うようにしたいところです。
室温を下げる
▲室内用クーラーで冷却する
予備の水槽用クーラーを持っていないのであれば一番現実的な方法です。水槽用クーラーの修理を業者に依頼した後、室内のクーラーを20℃くらいに設定して水温を下げるようにします。また、部屋にたくさんの水槽があるようなときは、ひとつひとつの水槽に水槽用クーラーをつけるより、部屋ごと室内用クーラーで冷却し個々の水槽をファンで冷却するという方式が使われることがありますが、あまり冷えすぎると部屋の住人が風邪をひいてしまうことがありますので注意が必要です。
冷却ファンの使用
小~中型水槽の場合、冷却ファンを使用すれば、水槽用クーラーほどではないにせよ水温を下げることができます。ただし、30℃以上の水温を20℃に冷やすような効果はありませんので、過度な期待は禁物です。室内のクーラーとうまく組み合わせて使用したいものです。蒸発により水位が下がる(=水が減る)のが難点です。常に水位と比重には注意を払うようにしましょう。
照明は控えめに
▲ミドリイシ飼育に最適なメタルハライドランプやT5蛍光灯は水温上昇を招く
照明も水温を上げる要因になります。とくにメタルハライドランプや、T5蛍光灯など、ミドリイシに代表されるSPS飼育に実績のある照明はどうしても熱を出してしまいます。SPSをうまく飼育するのであれば、それらの飼育に実績のある機材、を充実させることが上手く飼育するために必要になってきますが、水槽用クーラーが故障した場合どうするか、ということも考えておきましょう。そうなれば、予備の水槽用クーラーを購入するということは、決して高くない投資といえるかもしれません。
水槽用クーラー故障の対応まとめ
- 夏はクーラーにとって最も負荷がかかる季節
- 水槽用クーラーのフィルターにたまるほこりは故障の原因になりうる
- ゼンスイ製のクーラーならオーバーホールという手も
- 水槽用クーラーが壊れたらまず修理を依頼
- 氷で冷やさず室内用クーラーで対処を
- 予備の水槽用クーラーを持っておけば対処はスムーズ
- 照明は控えめに
- 高級魚やSPSを飼育するなら二つクーラーを持っていても損はない