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2020.10.16 (公開 2020.10.16) 水槽・器具

ゼンスイ「QQ1」レビュー!小型サイズの外掛けベンチュリー式プロテインスキマー

ゼンスイから販売されている「QQ1エターナルナノスキマー」(以下、QQ1)は小型水槽向けのスタイリッシュなプロテインスキマーです。小型水槽ではエアポンプとエアストーンを用いた「エアリフト型」が主流ではありますが、このQQ1は大型水槽向けのスキマーと同様にベンチュリー式を採用し、かつDCポンプを使用した高性能モデルです。今回はこのQQ1の使用方法や特徴などをご紹介します。

QQ1とは

中国のBubble-magus(バブルメイガス)社の製品で、日本においてはゼンスイから販売されている小型プロテインスキマーです。Bubble-magus社は自社ブランドで販売するほか、海外有名メーカーの製品作成も行っているものです。スキマーのほかにも、カルシウムリアクターやメディアリアクター、水中ポンプ、ドージングポンプなどを製造しており、以前はLSS研究所がBubble-magusブランドのドージングポンプを販売していましたが、今では扱っていないようです。このQQ1においてもフタの部分やポンプなどに「Bubble-magus」のロゴを見ることができます。

QQ1の大きな特徴としてはその形状とサイズにあり。外掛けろ過槽のように水槽の縁に引っ掛けるタイプで、サンプを必要としません。対応水量は100リットル以下とされていますが、それより半分~2/3くらいまでが安心かもしれません(生物ろ過併用時)。

なおこのシリーズではほかに上位機種としてQQ2、QQ3があります。QQ3は最近日本でもゼンスイが販売をはじめましたが、その中間のQQ2は日本で市販されていません。アリエクスプレスやAmazonなどの海外ECモールサイトで購入できますが、日本の電圧などに対応しているかは不明で、もちろんPSEなどの取得もなされていませんので、自己責任でお願いいたします。なお、「プロテインスキマーって何?」という方は、こちらもご覧ください。

ゼンスイQQ1の特徴

ゼンスイQQ1は小型プロテインスキマーなのですが、ほかの小型プロテインスキマーと異なる特徴として、ベンチュリー方式を採用していることがあげられます(後述)。専用の小型ポンプを使用しており、ほかの小型スキマーよりもずっと高い性能を誇ります。水槽に引っ掛けるだけで設置でき、一見外掛けろ過槽に見えますが、生物ろ過の機能はなく、純粋なプロテインスキマーとして使用するべき製品です。写真ではなぜかオーバーフローホースが外れてしまっていますが、この状態だとオーバースキム(粘り気の少ない泡と水が大量に巻き上げられること)した際に水が外へ流れ出るため、しっかり取り付ける必要があります

中国のメーカーであるからか、ポンプは中国が最近得意とするDCポンプを採用しています。DCポンプはACポンプに比べて電子部品が多用されているとのことで、耐久性には劣るのですが、駆動音が静かなのが特徴です。

そのほかの小型プロテインスキマーとの違い

▲カミハタの海道河童。スキマー付きのろ過槽だがスキマーのパワーは弱い

この「QQ1」以外に多くの小型スキマーが販売されています。具体的なメーカー、ブランドをあげればエムエムシー企画レッドシー事業部の「オルカミニット」、マメデザインの「マメスキマー」、カミハタ「海道河童」などがあります。しかしこれらのプロテインスキマーはエアリフト方式と呼ばれるもので、ウッドストーン、もしくは専用のセラミックストーンからでる細かい泡が汚れをカップに押し上げていくというもので、どうしてもパワー不足に陥りやすいといえます。またウッドストーンを定期的に交換する必要があること、パワーのあるエアポンプを購入する必要があることもデメリットとして挙げられます。つまり初期投資はある程度必要になるのですが、維持費を抑えることもできます。

LSS研究所からはTUNZEのComline DOC Skimmerや、ウェーブリーフのナノスキマーなどDCポンプを用いたスキマーが販売されていますが、ややお値段が高めで、LSS研究所製品の販売店でも在庫していないことがあり、購入しにくいといえます。

本製品の最大のライバルとなりうるのはカミハタから販売されている「海道達磨」です。しかし海道達磨はQQ1とは比べ物にならないほど大きなプロテインスキマーで、高さ45cmにもなる大型のスキマーになります。そのためQQ1との単純な比較は難しいです。QQ1はメーカーのうたう対応水量100リットルに対し、海道達磨は生物ろ過を併用することで360リットル以下が目安、とパワーはあるのですが、小型水槽には合わないこともあります。60cmくらいであれば海道達磨もしくは先述のQQ3、小型水槽であればQQ1というふうに使い分けることができます。

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使用例

サンゴやイソギンチャクを飼育する

コーラルタウンに設置されている60cm水槽のQQ1。外部ろ過槽とセットで使用

使用例としては写真のように外部ろ過槽や外掛けろ過槽との併用が考えられます。写真はコーラルタウンの60cm水槽で、海水は外部ろ過槽でろ過していますが、外部ろ過槽だけでは酸欠になりやすいため、このようなスキマーは有機物をこしとるだけでなく、酸素供給の役割もするのです。また写真右側にイソギンチャク(ロングテンタクルアネモネ)がいますが、これはなかなかのトラブルメーカーで、餌をあげるとよく成長することがありますが、餌を吐き出したりして水を汚すことがあります。この汚れをこしとるためにプロテインスキマーが役に立ちます。もちろん水かえや定期的な元素の添加もお忘れなく。

魚水槽に使用する

▲我が家の水槽。なぜか海道河童と並んでいる…

外掛けろ過槽を用いた海水魚水槽の場合も、プロテインスキマーは酸素を供給する役目をします。魚水槽などではより酸欠になりやすく、魚が排せつすれば汚れも蓄積されるため、ろ過槽の補助という意味でもQQ1は重要な役割を果たしてくれます。上部ろ過槽ではごちゃごちゃしてしまいやすいので使用は現実的ではなく、外掛けろ過槽、外部ろ過槽、底面ろ過装置などのサポートとしてはよいでしょう。

なお、QQ1は右です。左は海道河童で、これはスキマー付きのろ過槽というものです。しかし海道河童のスキマーはエアリフト式と呼ばれるもので、パワーはQQ1に比べると劣ってしまいます。どちらも小型の水中ポンプを使用しています。音についてはAmazonのレビューでは「静か」という人と「うるさくて夜も眠れない」という二つの評価にわかれてしまっています。「モーターとケースの部分が接触して大きな音が出る、触らないようにしたら改善した」という意見もあります。

QQ1を設置できる水槽

QQ1は以下の条件の水槽で使用できます。その条件は、4~14mmの厚さのガラス水槽であること、水位が水面から35mm以内であること、水温10~40℃であることなどです。またプロテインスキマーは淡水では泡が上がらず使用することができません。詳しくはゼンスイのホームページで公開されている専用の取扱説明書もご覧ください。

QQ1のセットアップ

まずQQ1を水槽に引っ掛けるようにして配置します。内部にはポンプやらベンチュリーパイプなど、様々な機材が入っていますが、あらかじめ組み立ててあるため安心です。説明書には組み立て方は乗っているのですが、これはメンテナンスした後の参考にしてくださいとのこと。配置場所を決めたら、前面に露出しているねじで固定するようにしましょう。

設置場所をきめたらコレクションカップを外します。

本体に計量カップなどを用いて、海水を入れます。量としては水槽内に水が戻るようになるまで入れます。

再びコレクションカップをQQ1に取り付けます。取り付けたら電源を入れて始動させます。

電源を入れたらその直後に右側のサイレンサー上部にある穴をふさぎます。空気が引き込まれなくなり、その際に水槽内からQQ1のポンプに水が引き込まれます。1分ほどで水が本体とカバーの間から出てきます。

QQ1のスキミングの調整はコレクションカップの上下で行います。コレクションカップを上下させ、ベストな位置になったら調整ねじで固定します。

最初はもっと下に配置していましたが、オーバースキミングを発生させてしまいました。最初のうちはこのくらいの高さをキープしたほうがよいかもしれません。1週間くらいすると汚水がたまってきますので、そうなったらQQ1の電源をとめ、コレクションカップを洗浄し、また最初からセットしなおします。水の音が小さいので本当に出ているか不安になることも。なお、QQ1は最初のうちは機材に塗ってあるワセリンの影響などでパフォーマンスを発揮しないことがあり、1~2週間は「慣らし」運転が必要なようです。

QQ1のメンテナンス

QQ1のメンテナンスとしては定期的なコレクションカップの清掃があげられます。また、泡の戻りを防ぐために設けられているスポンジにもゴミやコケ、茶褐色のシアノバクテリアが付着することがあるので、これも定期的な清掃が必要になるとのことです。このほかベンチュリーパイプについてもこまめな清掃をしてほしい、ということでした。これはベンチュリーパイプにカルシウム分や石灰藻などがついていると、泡の量が減ってしまったり、泡が出なくなったりということがあるからです。

もちろんプロテインスキマーは有機物を取り除いて水質悪化を防ぐことはできますが、水かえを不要にするという効果はありません。そのため硝酸塩が蓄積された、pHが低い、サンゴが元素を消費してしまったような海水を水かえにより交換してあげる必要があります。とくに各種元素はサンゴにとって重要な成分ではありますが、プロテインスキマーにより取り除かれやすいため定期的な添加が必須になります。

ゼンスイQQ1まとめ

  • 小型ながらハイパワーで本格的なベンチュリー式プロテインスキマー
  • 上位機種としてQQ3が日本でもゼンスイから販売されている
  • エアリフト式と異なりパワーがあるのはもちろん、エアポンプやエアストーンなどが不要で経済的
  • その分初期投資が高い
  • サンゴ水槽にも海水魚水槽にも使用することができる
  • 始動の際にサイレンサーをふさぐ必要がありその点はちょっと面倒
  • 最初のうちはコレクションカップをやや高めにしておきたい
  • メンテナンスはコレクションカップやスポンジ、ベンチュリーパイプなどを清掃する

外部リンク

ゼンスイによるQQ1紹介ページ

ゼンスイQQ1取扱説明書(PDF)

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