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2022.08.09 (公開 2017.06.11) 水槽・器具

海水魚の飼育に必要な器具・揃える道具について

今回の記事では魚との暮らしに最低限必要な器具をまとめました。一気にそろえるのは高価なので、少しずつそろえるようにすればよいのですが、ほとんどすべての器具は海水魚を購入する前にそろえておく必要があります。

必要になるもの

ここでは海水魚を飼育するのに確実に必要になるものをご紹介します。

水槽

▲初心者におすすめの60cm水槽

飼育する魚によって必要な水槽サイズは異なりますが、初心者がうまく海水魚を飼育するのであれば60cm水槽が理想的です。それよりも小さい水槽では管理が難しくなるためです。また逆に大きすぎる水槽では初心者にありがちなトラブル(餌を落としたなど)があったときに水槽の全部の水をかえるのも難しくなります。初心者であれば45~60cm水槽がおすすめです。

詳しくはこちらのリンクもご覧ください。

ろ過槽とろ材

ろ過槽

▲上部ろ過槽(ジェックス デュアルクリーン600)の使用例

海水の水をきれいにするためのろ過槽には、外掛けろ過槽、上部ろ過槽、外部ろ過槽、底面ろ過槽などがありますが、60cm水槽では上部ろ過槽、外部ろ過槽、底面ろ過槽が選択肢になります。

初めて海水魚を飼うのであれば上部ろ過槽が最適です。これは上部ろ過槽はろ材を多く入れることができ、空気を巻き込みやすい(酸欠になりにくい)、掃除しやすいなどメリットが多く初心者にも扱いやすいからです。

魚を多く入れたいのであればこの上部ろ過槽に外部ろ過槽(パワーフィルター)を追加します。外部ろ過槽は密閉式のフィルターで酸欠になりやすく、密閉したフタをあけないと掃除ができないというデメリットもありますが、ろ材が多く入れられることや、殺菌灯、水槽用クーラーを取り付けやすいというメリットがあります。ただし上部ろ過槽は単独でも使用できますが、外部ろ過槽を単独で使用しない方がよいでしょう。底面ろ過槽は底砂を一面ろ過槽にできますが、定期的に行う必要がある「毒抜き」が面倒くさいです。

予算があればオーバーフロー水槽のセットを購入するのがベストです。水槽の下に大きなサンプ(水溜)を設け、このサンプをろ過槽にすることで、ほかのろ過槽よりも圧倒的なろ過能力を得ることができるからです。

ろ材

淡水魚用のろ材は海水魚では使用できません。とくにpHを下げるようなものは絶対に使用してはいけません。また、ウールマットなどの物理ろ過は外部ろ過槽、外掛けろ過槽、オーバーフロー水槽では使用してもよいのですが、メンテナンスをする際いちいち水を止めてフタを開けなければならない外部ろ過槽では使用しません。

海水魚のろ過のメインとなるのは生物ろ過で、この生物ろ過をおこなうバクテリアが繁殖しやすいように多孔質のものが最適です。リング状のガラス繊維のものや金平糖状のもの、サンゴ砂など色々ありますが、迷ったら大粒のサンゴ砂を使うとよいでしょう。

水槽のフタ

ガラス水槽を購入するとガラス製のフタがついてくることも多いです。しかしガラス製品は割れやすく、落として割ったら再度購入する必要があります。

水槽台

水槽は必ず水槽台の上に置くようにします。自作することもできなくはないのですがジェックス、コトブキ、マーフィードなどからでている既製品を購入したほうが早いでしょう。変な台の上に置いたら水槽の重みに耐えられず台がつぶれてしまうこともあります。

照明

▲極薄タイプのLED「ゼンスイ ナノスリム」

照明は従来はメタルハライドランプ、蛍光灯が主流でしたが現在の主流はLEDとなっています。一般的な海水魚であればLEDで問題なく飼育できます。ゼンスイ製LEDライト「ナノスリム」などがおすすめです。アマゾンで売っているLEDの中には安いものもありますが、中国からの発送でなかなか届かなかったり、粗悪なものも多く品質にはブレがあり、「安かろう悪かろう」だけでなく、最悪煙が出たという事例もあるため聞いたことのないようなメーカーの照明には手を出さないのが無難です。

ヒーターとサーモスタット

▲水温を安定させるためにヒーター、できればクーラーも欲しい

熱帯性海水魚の適温は22~27℃、平均でだいたい25℃くらいです。ヒーターには温度調節ができるサーモスタットつきのヒーターと、温度設定がされているが温度調節ができないオートヒーターの2種類があります。温度調節できるヒーターのほうが便利です。

さらにサーモスタットつきのヒーターにも、サーモスタットとヒーターの取り外しができるものと、できない一体型のものがあります。できれば取り外しができるもののほうが長い目でみると使いやすいです。これは、一体型の場合サーモスタットとヒーターのどちらかが壊れたら両方取り換える必要があるからです。取り外しができるものであれば、故障した方を交換するだけですみます。

水温計

▲デジタル式水温計。落下しないよう注意

海水中の水温をはかるためのものです。海水魚は水温の急変に弱いですので、ヒーターやクーラーを使用して水温を一定に保ちたいのですが、これらが故障していたりうまく機能していない可能性もあります。水温のチェックは必須といえます。

水温計はアナログのものとデジタルのものがあり、どちらも一長一短です。ガラス製のものは割れないように、デジタル式のものは水温計の本体を水槽内に落下させたりしないよう注意しましょう。

比重計

▲プラスチックの比重計

海水の比重を測るものです。昔ながらのボーメ計や、正確に測れる屈折計などの商品がありますが、初めての方にはプラスチック製の比重計が軽くて安価で使いやすいです。商品によっては使用する前にあらかじめ海水に漬けておき、なじませる作業が必要になることもあり、また気泡がついているとうまく測れないこともあります。ボーメ計はガラス製で計測しやすいのですが、割れやすいので取扱いに注意します。

また比重と塩分はごっちゃになりやすいので注意が必要です。塩分とは、海水に溶け込む塩の濃度のことです。当然ながら塩分は比重計で計ることはできません。海水魚飼育に適した比重は1.023前後とされ、その付近に大体分かりやすい目印がついています。

バケツ

▲おすすめのコマセバケツ

海水の水かえや病魚の治療、一時的な隔離などに最適です。おすすめは釣り具店で手に入る四角いコマセ用のバケツです。しっかりフタもできて、水替えにも治療にも磯採集にも大活躍します。100均などでも購入できますが、コマセバケツと比べると使い勝手はおちます。

ホース類

水槽から海水を抜いたり、逆に小型水中ポンプと接続しつくった人工海水を水槽に入れたりといろいろ使うことができます。後述する水中ポンプと一緒にそろえておきましょう。

スクレイパー・スポンジ等

掃除に必要なスクレイパーやスポンジです。ガラス水槽であればどんなスクレイパーでも使用可能ですが、アクリル水槽であればアクリル水槽専用のスクレイパーが必要になります。このような点からもガラス水槽をおすすめしています。

エアポンプのセット

▲乾電池で動くエアポンプを用意したい

停電してしまったときに酸素を水中に送るものです。非常時だけでなく、磯採集のときなどにも役に立つものですので、ぜひとも用意しておきましょう。

エアポンプを使用するときはエアポンプに対応した乾電池、エアポンプにつけるエアチューブ、そしてチューブの先端につけるエアストーンが必要です。ただしエアストーンはただ酸素をおくるだけでろ過する効果はないので、「水作エイト」などを先端につけたほうがよいこともあります。なお、電気で動くものは停電の際には使用できません。

人工海水のもと、はかり

▲我が家でよく使うライブシーソルト

人工海水のもとは真水に溶かして海水をつくるためのものです。見た目は食塩とあまり変わりませんが、塩化ナトリウムのほかにさまざまな物質を含み海水魚が生きていけるようになっています。ですから似ているからといって食塩で海水をつくることはできません。初心者が魚と簡単なサンゴを飼育するのであれば「レッドシーソルト」「ライブシーソルト」「インスタントオーシャン」「シーライフ」といった人工海水のもとがおすすめです。

はかりと容器を使用して正確に計測する必要があります。人工海水のうち、「レッドシーソルト」と「ライブシーソルト」は、それぞれ専用の計量カップがあり、簡単に測定できます。

中和剤

▲カルキ抜きは必要

水道水にはカルキとよばれる消毒薬が含まれており、このまま飼育すると魚がその薬で死んでしまうのです。それを中和するのが中和剤です。いわゆる「カルキ抜き」というやつで、中にはカルキだけでなく、重金属を中和してくれるようなものもあります。また人工海水の中にはライブシーソルトのように中和剤の成分が含まれているものもあります。

▲我が家でメインに使用している「メガバイト レッド」

海水魚の種類別に好む餌は異なりますが、一般的に海水魚店で販売されている初心者向けの魚であれば配合飼料を与えればよく食べてくれます。ただ1種類だけの餌を与えるのは栄養が偏りやすくおすすめできません。

おすすめは2種類以上の餌を与えることです。私はキョーリンから販売されている「メガバイト レッド」のSサイズをメインに「メガバイト グリーン」のSサイズ、「海藻70」、ナプコリミテッドの「オメガワン」などを与えています。

また餌の形状ですがフレークは常に浮いており魚には発見しやすいですが、量的に少ないのでフレークを与えるなら粒状のメガバイトなども一緒に与えるようにしたいものです。

バクテリア

ろ過をしてくれるバクテリアですが、砂を入れて海水を入れたばかりの水槽にはバクテリアはまったくいません。バクテリアをどこかから連れてくる必要があります。ライブロックにバクテリアがついており、ライブロックを導入しますが、早く水槽にバクテリアを足したいときはバクテリアを直接追加します。

また魚の病気予防のために殺菌灯の設置をすすめられることもありますが、殺菌灯はよいバクテリアも悪い菌も殺してしまうのでバクテリアを入れてすぐのときは消灯しておくようにします。

底砂

底に砂を敷いてあげた方がいい魚と、底砂を敷かない方がいい魚がいます。砂を敷いてあげた方がいい魚がいます。例えば砂を掘る習性があるアカハチハゼなどのベントスゴビー、テッポウエビと共生するタイプのハゼ、キュウセンタイプのベラの仲間などです。

ただしチョウチョウウオの仲間やフグの仲間、大型ヤッコ中心の飼育であれば底砂は敷かない方がよいでしょう。これらの魚は排せつ物の量が多かったり、病気になりやすかったりするからです。汚れは砂中にたまり、病気のもとになる生物は砂中に潜んでいたりするためです。また砂がなければ水槽の底も掃除しやすいというメリットもあります。

なお、一般的に海水魚水槽に入れられる底砂は「サンゴ砂」です。間違っても熱帯魚水槽用のソイルなどは入れてはいけません。

ライブロック

ライブロックとはサンゴの死骸に微小な生物が沢山ついているもので、これを水槽に入れることにより生物ろ過に必要なバクテリアを水槽に入れることができます。また、サンゴ水槽のレイアウトにも使用します。ただしチョウチョウウオなどを飼育する場合はライブロックでなくサンゴ岩などでレイアウトすることも多いです。これはチョウチョウウオは白点病などにかかりやすく、水槽に薬を入れて治療することが一般的だからです(ライブロックに魚病薬はNG)。

熱帯魚用の網・器

魚を掬うための網です。他の魚から隔離するとき、病気の魚を掬うときなどに使いますが、網の中から水ごと魚を掬うために器のようなものも欲しいものです。そのまま掬ってしまいますと、網で擦れてしまい病気になったり、病気がひどくなったりする可能性もあります。だからまず網で掬ったあと、水から上げないで器で掬うようにします。

テストキット

▲アンモニアのテストキット

水質を測定するためのテストキットです。初心者はレッドシーブランドで販売されているアンモニアのテストキットと硝酸塩/亜硝酸塩が測れるテストキットがあれば十分でしょう。魚を入れる前に1回はかり、さらに1週間後にもう1回というふうに慎重になりたいものです。

あった方がよいもの

海水魚飼育に必須ではありませんが、ここでは水槽飼育にあった方がよいものをピックアップします。

水槽用クーラー

▲安価な水槽用クーラー、ジェックスのクールウェイ

日本の夏は暑く、本当は必需品の中に入れたいものです。家庭用のクーラーで水槽を冷やしている人もいますが電気代がかなり高価になってしまい調節もしにくくなるので、水槽用のクーラーを使用した方が安心です。最近は小型水槽が流行りで、小型の水槽用クーラーも販売されています。

クーラーの選び方は、水槽に適合した水量よりも1ランクか2ランク上の機種を使用するのが望ましいです。これは飼育を始めてから機材はどんどん増えていくもので、それらの機材にはポンプを使うことが多く、それが水温をあたためることになるからです。

予備の水槽

魚がケンカしたときに避難させたり、万が一病気が出てしまったときなどに便利です。もちろん一時的な避難や隔離とはいえ、きちんとしたろ過をしていないといけません。

殺菌灯

▲60cmに最適なカミハタ・ターボツイスト

紫外線の力で殺菌をしてくれるものです。病気の予防やコケの減少に効果がありますが、きちんと水替えをしないと効果が表れにくく注意が必要です。また水中ポンプが別途必要になります。水温の上昇もしやすいので注意が必要です。

プロテインスキマー

ポンプが微細な泡を発生させ水槽内を漂う糞や餌の残りかすなどの有機物をハイパワーで水槽からとりのぞいてくれます。これにより水槽の魚をよりよく飼うことができますが、生物ろ過のしくみを理解していないと使いこなしにくい機械です。ろ過の補助をするものという考えになるでしょう。

小型水槽においてろ過の補助をするならエアリフト式のプロテインスキマーが使いやすいです。オーバーフローの大型水槽ならばベンチュリ式などのパワーがあるプロテインスキマーを使用するのがお勧めです。エアリフト式のスキマーを使用する場合はエアポンプが別途必要になります。

水中ポンプ

▲エーハイム製の水中ポンプ

コラリアナノのように水流を生み出すための専用のポンプや、マキシジェットのように水流を生み出すほかに水をくみ上げることができるものもあります。後者は水替えのときなどにも役に立ちますので1個はあったほうがよいでしょう。

各種添加剤

▲ブライトウェル(マーフィード)の添加剤いろいろ

水槽で日々減少していく成分を水槽に添加するものです。カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、ヨウ素、微量元素などを補給します。海水魚であれば定期的な水かえで対処できることも多いのですが、これらを積極的に消費するサンゴを飼育するのであれば、添加は必須です。またヨウ素などは魚にも有用なものなので、できれば添加してあげたいものです。

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