2019.11.28 (公開 2017.06.11) 水槽・器具
海水魚用水槽の選び方と種類~サイズ・素材・置き場所
はじめて海水魚を飼育するときにはどのような水槽が最適でしょうか。小型水槽が可愛いので人気ですが、水量が少なく、初心者が小型水槽で海水魚を飼育するのは正直、難しいと思います。逆に90~120cm水槽は水量が多く入り安定して飼育することができますが、初心者にありがちなミスで何かを間違えてリセットが必要になったりしたときに大変などのデメリットもあります。また形状も色々あり、素材もガラスのものとアクリルのものとがあります。はじめて海水魚を飼育するのであれば、45~60cmのガラス水槽がおすすめです。
水槽のサイズで選ぶ
▲安価な60×30×36cm水槽でも海水魚を飼育できる
水槽の幅の大きさは概ね30cm、45cm、60cm、90cm、そして120cmというのが一般的によく聞かれます。
基本的に水槽は大きければ大きい方が水量を稼ぐことができ、水質が安定していてよいのですが、初心者の方は餌の与えすぎなどで失敗してしまうこともあるでしょうし、何かを間違えてしまい得体のしれぬ病気が発生してしまうこともあるかもしれません。そのため初心者には全水かえが簡単で、しかも海水魚飼育にそれなりの水量を確保できる45~60cm水槽が向いているといえます。
水槽の形で選ぶ
▲高さ45cmある背高オーバーフロー水槽(プレコ)
水槽の形も色々あります。60×30×33cmという直方体の水槽がよく販売されていますが、安価なこの水槽でも上手く飼育できます。さらに60×30×33cmの水槽の背を高くした水槽もあります。このような水槽にライブロックを組むと迫力あるレイアウトが組めます。ただ水槽の底の水流が悪くなることもあるため、小型の水流ポンプも使用したいところです。
ほかに立方体になっている水槽(キューブ水槽)はカワイイのですが、幅が同じサイズの直方体の水槽と比べて水量を稼ぐことができるので、よい選択肢といえるかもしれません。特に45cm立方体のキューブ水槽は一般的な60cm水槽(60×30×36cm、水量約58l)よりも多い、80l以上の水量を稼ぐことができます。
このような背高水槽やキューブ水槽の唯一のデメリットは重量が重くなることです。しっかりした水槽台の上に置かないと潰れてしまうおそれがあります。もっとも、それはキューブ水槽に限らず、他のすべての水槽にあてはまることですが、これらの水槽ではより注意が必要です。
オーバーフロー水槽を選ぶ
オーバーフロー水槽とは水槽にオーバーフローパイプ(フロー管)と、水槽の下にサンプ(水溜め)を設け、水槽から水がサンプに落ち、サンプに落とされた水は揚水ポンプ(循環ポンプ)で水槽に戻るという水槽システムです。上記のプレコ製背高水槽もオーバーフロー水槽です。一般的な水槽よりもずっと多くの水量を確保でき、さらにサンプでろ過を行えば、上部ろ過槽や外部ろ過槽よりもずっと高いろ過能力を得られます。デメリットは音がうるさいこと、重量があること(床の補強が必要になることも)、値段が高価であることがあげられます。
水槽の素材で選ぶ
水槽にも色々な種類があります。一般的なものでは黒や青のフレームがついている水槽や、そのフレームがついていないオールガラスの水槽、あるいはアクリル板をカットして作った水槽があります。
アクリル水槽は軽いのが最大の魅力で高い透明度を誇ります。また地震にも強いというのがメリットとしてあげられます。しかしガラス水槽に比べて高価であり、またコケ掃除などでは気を付けないと、水槽に傷がついてしまうということもあります。
ガラス水槽は量販店などで市販されているもので、例えばインドネシアなどの東南アジア製のものは安価で入手可能です。ガラスは割れるというイメージもありますが、私は熱帯魚、海水魚を飼育して20年以上になりますが、ガラス水槽が使用中に割れたことは今のところ一度しかありません。ほとんどの水槽が東南アジア製、それも水槽の多くが「10年選手」となっています。もちろんガラス製なので移動中は落とさないように気を付けるべきなのですが、取扱いさえ間違えなければガラス水槽は通常の使用で突然割れるということは考えなくてよいでしょう。
ガラス水槽のメリットとしては傷がつきにくいことです。スクレーパーなどでがりがりコケを落としてもアクリル水槽よりは傷がつきにくいです。ただしやりすぎると傷がつくこともあるので注意しなければなりません。
60cm水槽を推すもう一つの「ワケ」
▲ゼンスイ製LEDライト「ナノスリム」。60cm水槽を照らすのに最適だ
60cm規格水槽は丁度水槽の「スタンダード」。だから、60cm水槽にあうアイテムも沢山あるわけです。蓋、上部ろ過槽、スリムで細長いLEDライトや昔ながらの蛍光灯。このように水槽サイズに適合したパーツがあるか否かという点も水槽を選ぶうえでの選択肢となってくることになります。さらにいえば60cm水槽用の照明やろ過槽などは90cm水槽用のものと比べて安価なものも多いです。
水槽を置く場所
▲あまりよくない例。コンセントに水がはねないように注意したい
基本的に観賞するものなので、観賞に適した居間、寝室に置くのが良いでしょう。フィルター、ライト、ポンプ、ヒーターなどを使用するので、コンセントの近くに置くのがよいですが、あまりにもコンセントに近いと水がはねるおそれもあり危険ですので、注意が必要です。またタップを使うときも、なるべくタコ足配線にならないように気を付けましょう。
また、直射日光が当たるところはできれば避けます。ドアなどのそばも魚がびっくりすることがあるのでできるだけ避けたいところです。もちろん不安定な場所や、屋外など気温変動が大きいところも避けなければなりません。
60cmで魚はどのくらい飼育できる?
▲水槽を立ち上げてすぐに大量に魚を入れると失敗しやすい
60cm水槽では魚を何匹飼育できるか、ということは一概には言いにくいものです。
例え同じ60cm水槽でも、何匹も混泳できるような魚、逆に1匹しか飼育できないような魚もあります。そしてそれにフィルターの能力、あるいは弱めの魚が隠れるような隠れ家の有無や量、魚のパワーバランスの問題もあります。
60cm水槽で外掛け式フィルターと外部フィルターの併用なら、カクレクマノミのペア、他3~4匹前後小型の魚を泳がせるのが安全です。また、ハゼの仲間とカクレクマノミを飼育したい!というときはまずハゼの仲間から泳がせることをおすすめします。これはハゼの仲間はクマノミよりも臆病だからです。また、最初のうちは魚をたくさん入れたくなるものですが、1か月くらいは魚の追加を我慢しましょう。ここで初心者の方がつまづくことが多いように思います。ろ過バクテリアが上手く増殖したら、追加の魚をいれるようにします。追加するときは一度に1~2匹ほどが目安です。もちろん大きすぎる魚は避けましょう。
初めての水槽まとめ
- 小さい水槽は手軽だが水量が少なく不安定、初心者には難しい
- 大きい水槽はトラブルが発生したら対処しにくいことも
- 初心者には60cm水槽がおすすめ
- オーバーフロー水槽だと多くの水量を稼ぐことができる
- ガラスは傷つきにくくアクリルは軽く透明度が高い
- 60cm水槽では照明やろ過槽の選択肢が広い
- 直射日光が当たる場所やドアの近く、屋外などには置かない
- コンセントから近いことも重要だが、近すぎるのもよくない
- 60cm水槽でも魚は入れすぎないように。とくに立ち上げ初期は要注意