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2020.09.25 (公開 2019.04.24) 水槽・器具

比重計の種類と使用方法~どの比重計を使用すればいいの?

海水の比重をはかる比重計は海水魚飼育においては重要なアイテムとなります。この比重計もプラスチック製のもの、ガラス製のボーメ計、屈折計などいくつか種類があります。今回はどの比重計が使いやすいのか、どの比重計が正確に比重を計測できるのかなどをご紹介します。

比重とは

比重とは「ある物質の質量の、それと同じ体積の標準物質の質量に対する比」とされています。海水の比重とは、同じ量でありの真水とを比較した値ということになります。たとえば比重1.023であれば、同じ質量の真水と比べて1.023倍重い、ということになりますが、水温によって比重というものは変わってしまいます。

海水魚を飼育する上での比重は大体1.020~1.026くらいが理想とされています。サンゴは1.023~がよいとされています。ただし魚でも紅海産のものなどはやや高い比重を好みます。これは紅海は砂漠の真ん中にあり、あまり降雨もなく大河の流れ込みもないことなどが理由のようです。ただ際限なく高すぎるのはいけません。酸素が溶けにくかったり、海水魚の生理的なものに影響を及ぼしてしまいます(脱水症状をおこし、餌食いはよくても身が締まってしまう)。一方薄すぎると海水魚の体はぶよぶよになってしまうことがあり、魚病治療や予防の際を除いて低い比重で飼育するのは避けるようにします。

また比重は、「塩分濃度」と勘違いされがちですが、こちらはどれだけ塩が溶け込んだかということになります。そもそも「塩分濃度」という言葉自体、日本語としておかしいのです。塩分というのはあまりにも簡略化していってしまえば「塩の濃度」のことであり、「塩分濃度」は「塩の濃度の濃度」という意味になりますので、意味不明な言葉となってしまいます。

比重計とは

比重計は文字通り、上記した比重を測るための器具で、海水魚飼育では必需品といえます。人工海水をつくるときに使うほか、海水は蒸発したりすることもあるため、水温などと同様、頻繁にチェックしたいものです。

比重計には大きく分けて3種類があります。プラスチック製のもの、ガラス製のもの(ボーメ計)、屈折計です。一般的によく販売されていて、日本においてもっともよく使用されているのはプラスチックの比重計です。

プラスチックの比重計

▲プラスチック製の比重計「シーテスト比重計」

アクアリウムシステムズ(ナプコ)の「シーテスト比重計(インスタントオーシャン ハイドロメーター」、カミハタの「ディープシックス」、テトラ「ハイドロメーター」など、海水魚用品メーカーからさまざまな製品が市販されています。お手軽な価格で使いやすい商品です。

ただしこの商品はあくまでも簡易式なものであり、正確に比重を測ることはできません。それでも一般的な海水魚などを飼育するのであればこれで十分でしょう。我が家でもこのタイプのものを使用していますが、魚やLPS、ソフトコーラルなどを上手く飼育できています。中には吸盤付きで水槽に入れておくことができるものもありますが、比重計にコケがつくなどすると正確に比重を測ることができなくなります。また、針を止める円形のパーツが外れてしまうなどすると使えなくなります。

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使用前にやっておくこと

プラスチック製の比重計を使用する前にやっておくことがあります。針をなじませることです。たとえば、新品のシーテスト比重計を使用すると比重の誤差が大きくなることがあり、1日ほど海水につけておくことが推奨されています。最初に海水を作るときは、比重計をお店から借りるか、お店で海水につけておいてもらうのもよいでしょう。

ボーメ計

▲ボーメ計

ガラス製のボーメ計という比重計もあります。もともと醤油などの塩分を測ったりするのに使われていましたが、これを海水魚飼育用に転用したものです。ボーメ系に泡がつかないように水槽中に沈め、静止したところの目盛を読み取ります。大体ボーメ度3.3のあたりに目印がついており、使いやすいです。またプラスチック製のものよりも正確に測れるようで、私が某水産高校にいたときはこのタイプで計測していました。

注意点としては、まずガラス製であるため割れやすいことです。私も破壊してしまったことがあります。もちろん、割れてしまったら使い物になりませんので取扱いや保管には十分注意しましょう。また、泡がついていたり、油脂類などが付着しているとうまく計測できません。

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屈折計

レッドシーやデルフィスなどから販売されているもので、小量の水でも素早く海水の比重と塩分を測定することができます。

選び方としては、必ずATC(自動温度補正機能)がついているものを選びます。これは水温により比重が変わってしまうからです。

デメリットとしてはかなり高価であること。高いものでは20000円、安いものでも10000円ほどします。ECモールサイトでは2000円前後で売られているものもありますが、こういう商品は中国製の安物であり(信頼できるレッドシーの屈折計も製造は中国でおこなっていますが…)、信頼性などに若干の不安があります。また中国から発送されるため、届くのに時間がかかるのもデメリットです。

結局どれがいいの?

▲海水魚飼育なら安価なプラスチック製の比重計でも大丈夫

海水魚飼育するのに用いるのであれば安価なプラスチック製のものやボーメ計でもよいのですが、塩分や比重の変化に敏感なミドリイシなどのSPSや、ハタゴイソギンチャクなどを飼育するのであれば屈折計でしっかり計測したほうがよいでしょう。我が家では海水魚とサンゴの中でも比較的丈夫なサンゴを飼育しているので、プラスチック製の比重計でも十分飼育できています。

比重計まとめ

  • 海水の比重を測る、海水魚飼育のマストアイテム
  • 海水魚飼育には1.020~1.026が理想
  • サンゴは1.023~1.026が理想、魚よりも適応比重の幅が狭い
  • 比重計はプラスチック、ボーメ計、屈折計の3種あり
  • プラスチック製は入手しやすいが簡易式で正確に測りにくい
  • まず海水につけておき針をなじませてから使用したい
  • ボーメ計は使用しやすいがガラス製で取り扱い注意
  • 泡や油脂類がボーメ計についていると正確に比重を測れない
  • 屈折計は比重と塩分を測ってくれるすぐれもの
  • 必ずATC機能がついている屈折計を選ぶ
  • ECモールで販売される中国製屈折計は届くのに日数がかかり信頼性も…
  • 屈折計は概ね高価
  • 魚や丈夫なサンゴを飼育する上ではプラスチック製でも問題なし
  • ミドリイシなどのデリケートな種は屈折計を使いたい
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