2020.09.25 (公開 2019.10.10) 水槽・器具
ハイドールの小型水流ポンプ「コラリア ナノ」の使い方
60cm水槽、あるいはそれより小さい水槽で水流をつくるのであれば、イタリア製の水中ポンプ「コラリアナノ」が最適です。このポンプはサンゴや魚が好む水流を再現するために開発された水流専用ポンプで、吸盤だけでなくマグネットでしっかり固定できるのでポンプが落下するようなこともなく、安全に水流を作ることができます。今回はこのコラリアナノの特徴をご紹介します。
コラリアナノとは
イタリア北東部 バッサーノ・デル・グラッパにあるアクアリウム関連メーカー、ハイドール(Hydor)社から発売され、日本ではエムエムシー企画レッドシー事業部が輸入販売している水中ポンプです。スタイリッシュなデザインをもち、水流を再現するのに最適です。これ以前のポンプではマキシジェットなどにディフューザをつけて水流を発生させていましたが、この商品は水槽に取り付けるだけで強く太い水流をつくることができます。しかしその一方、マキシジェットのように揚水ポンプとして使用することはできません。
▲球状連結部の採用で向きを自由に変更できる
また従来は吸盤だけで水槽壁面に固定するタイプの水中ポンプが多かったのですが、この商品は吸盤とマグネットを使って水槽に固定するタイプです(現在主流)。そのため吸盤が劣化して水中ポンプが落下し、砂が舞ってしまい魚やサンゴが全滅…という事故が起こりにくくなります。さらに吸盤部への接続については球状連結部を採用し、これにより水流の向きを自由に変更しやすくなっています。
コラリアナノのラインナップ
コラリアナノには「900」「1600」「2200」の3種類があります。いずれも流量からきており、「900」であれば流量が毎時900リットルであることを示します。60cm以下の水槽であれば2200では大きすぎるかもしれません。ただし、流量の値はメーカーの公表値であり、実際にはもう少し低いこともあります。
注意しておかなければならないのは、コラリアナノはヘルツフリーではないということです。東日本用の50Hz用と、西日本用の60Hz用があります。そのため、とくに通信販売などでポンプを購入するときは注意が必要です。また県内でも50Hzと60Hzの地域が分かれる長野県や静岡県、新潟県などではちゃんと住んでいる地域にあった商用周波数のものを購入しなければなりません。なお、筆者が使用しているのは「コラリアナノ900」になります。
コラリアナノ 3製品の比較
名称 | 流量 | 水量(海水水槽) | 定価(税抜) |
コラリアナノ900 | 900L/h | 36~60L | 5,300円 |
コラリアナノ1,600 | 1600L/h | 64~100L | 6,300円 |
コラリアナノ2,200 | 2200L/h | 90~140L | 7,000円 |
(エムエムシー企画 コラリアナノ紹介ページより)
コラリアナノのサイズ
▲本体わずか6cmとコンパクト
コラリアナノは流量が異なる3種がラインナップされていますが、本体サイズは各種共通です(上位モデルであるエボリューションも同様)。本体はわずか6cm、マグネットのついた吸盤部も含めて8.5cmという極めて小さな水流ポンプです。
付属パーツ
コラリアにはケーブルの部分を保護するためのカバーが付属しています。これはケーブルをかじるような生物からケーブルを守るためにあるものです。必要に応じて使用しましょう。
水槽別・コラリアナノの使い方
小型水槽でコラリアナノを使う
60cmほどの水槽ではコラリアナノはメインの水流ポンプになりえます。小型水槽で大容量のポンプを使うと砂が水中を舞ったりして魚が病気になったり砂がサンゴの上にかぶさってサンゴが死んでしまうこともあります。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ということです。コラリアナノだけでは水流が単調で気になる、というときは同じハイドールの小型水中ポンプ「ピコ エボマグ」を使用したり、ウェーブコントローラーを使うのもよいでしょう。
なお、水流の作り方の基礎についてはこちらもご覧くださいませ。
大型水槽でコラリアナノを使う
▲コラリアナノを90cm水槽で使用
90cmくらいの大きさの水槽では、ほかの水流ポンプ(ボーテック、ジャイル、ツンゼなど)の使用がなされたり、マグネットポンプからの強力な揚水で大きな水流が発生しますが、複雑なレイアウトのサンゴ水槽ではどうしてもよどんだ場所ができてしまうこともあります。そのような場所にピンポイントで水流を当てて、よどみをなくしたりするのに適しています。また、強い水流を好まないサンゴ(ハナガタサンゴ、タバネサンゴなど)をメインに飼育する場合では90cm水槽でもコラリアナノで十分なこともあります。写真は我が家のオーバーフロー式サンゴ水槽ですが、この写真にうつっているサンゴ(キクメイシ、カビラタバサンゴ、オオタバサンゴ、タバネサンゴ、シロスジウミアザミ、シコロサンゴなど)はこのコラリアナノ900と、メインポンプからの水流だけで飼育することができました。
ウェーブコントローラーを使う
コラリアシリーズには専用のウェーブコントローラー「スマートウェーブ」が販売されています。この製品を使えば複数のポンプを同時に管理することができ、自然に近い水流をつくることができます。ひとつだけのポンプを使うのにも有効で、さらにコラリア以外の短い間隔でのオン・オフに耐えうるほかの水流ポンプに使用することもできます。ただしオン・オフの間隔が短くなるとどうしてもポンプの寿命が短くなってしまうので注意が必要です。
交換パーツ
コラリアシリーズに限らず水中ポンプのインペラーの部分は故障しやすいので2年に1回くらいは交換できるように補修パーツを持っておくとよいでしょう。またポンプのカバーの部分も力を入れて扱うと折れてしまいやすいので専用の補修パーツが販売されています。
コラリアシリーズ上位機種
コラリアシリーズには「コラリアナノ」のほか、上位機種として「コラリアエボリューション」「コラリアサードジェネレーション」があります。
コラリアエボリューション
コラリアナノの上位機種で、モデルは「3200」「4400」「5600」の3種です。見た目はコラリアナノに似ていますが、より大きくなり(本体9cm、マグネット部も含めると14cm)、より流量も増えました。15mmまでのガラス厚に対応し、魚の侵入を防ぐフィッシュグリッドが付属しています。コラリアナノよりも大きくなって流量も多くなっているので小型水槽にはあまり向かず(112リットル以上を推奨)、値段もやや高価です。
コラリアサードジェネレーション
2015年に登場したコラリアシリーズの最新モデルで、シリーズのフラッグシップモデルといえます。「5000」「7000」「9000」の3つのモデルがあり、それぞれ最大流量に因みます。高価ではありますが、従来までのものと異なる形状の接続部をもっており、やはり水流の向きを自由自在に変えることができます。また省電力設計もなされています。さらに3種類のアタッチメントが付属しており、これを使って魚の侵入を防いだり、水流を調整したりします(ただしその分流量は落ちます)。デメリットとしてはやはり価格が高めであることのほか、低い流量モデルが販売されない(=小型水槽向きではない)というところがあります。
コラリアナノまとめ
- イタリア製の高性能水中ポンプ
- 水流専用で揚水ポンプなどとしての使用はできない
- 吸盤とマグネットでしっかり固定できる
- 球状連結部の採用で向きを変えやすい
- 本体はわずか6cm
- 購入する際は周波数(ヘルツ)に注意
- 小型水槽で最適だが弱い水流を好むサンゴなら90cm水槽でも活躍
- ウェーブコントローラの使用もおすすめ
- インペラーは故障時に備えて購入しておくとよい
- 上位機種に「コラリアエボリューション」「コラリアサードジェネレーション」がある
外部リンク
Hydor (伊・英)
株式会社エムエムシー企画によるコラリア紹介ページ (日本語)