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2020.12.01 (公開 2017.09.30) 海水魚図鑑

ハリセンボンの飼育方法~混泳・餌・水槽の注意点

ハリセンボンはフグの仲間で、トゲに覆われた体と、大きな眼が可愛い魚です。さらに人にもよくなれ、「観賞魚」というよりは「ペット」に近い感覚です。

しかしながら海水魚であるハリセンボンは、海水をはった水槽内でしか飼育することはできません。ここではハリセンボンを飼育するのに必要なことをまとめました。フグの仲間を飼育する上での基本はこちらのページもご参照ください。

標準和名 ハリセンボン
学名 Diodon holocanthus Linnaeus, 1758
分類 フグ目・フグ亜目・ハリセンボン科・ハリセンボン属
全長 20cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 冷凍の魚の切り身やエビ、イカ、貝のむき身で慣らし、徐々に配合飼料へ
温度 23~25度
水槽 60cm以上
混泳 肉食性が強いため小さな魚は注意
サンゴ飼育 可だが難しい

ハリセンボンってどんな魚?

ハリセンボンはフグ科の魚によく似ている魚ですが、体に毒を持ちません。その代わりに大きなトゲを多数もち、このトゲで外敵から身を守ります。ただし、大型魚にはこの防御方法は通じないようで大型魚の胃内から見つかることもあります。沖縄では人間も本種を汁物にして食べます。ハリセンボンの仲間は可食部が少ないのですが、美味しいものです。

ハリセンボンの仲間

水族館で飼育されているネズミフグ。70cmを超える巨大な種。

世界最大の魚類データベースである「Fishbase」によれば、ハリセンボンの全長は50cmになるとありますが、通常それほどのサイズに育つことはありません。同じハリセンボン属の魚には沖縄では「ネズミフグ」という、全長70cmを超える巨大な種がいますが、ハリセンボンと異なり背鰭・臀鰭・尾鰭に小黒色斑があるので容易に区別できます。このほか日本にはヤセハリセンボンとヒトヅラハリセンボンの計4種のハリセンボン属の魚が分布します。

ハリセンボン属以外のハリセンボン科魚類には、イシガキフグやメイタイシガキフグなどが知られています。イシガキフグ属の仲間のうち西大西洋に生息するウェブバーやストライプトバーフィッシュなどはまれに輸入されます。

ハリセンボンの取扱には要注意

ハリセンボンは他のフグと異なり、筋肉や内臓は無毒とされ、皮膚から毒を出すこともありません。しかし、毒がない代わりに大きなトゲが体を覆い、危険がせまると体を膨らませます。釣りで水を汲むときに使うような柔らかいビニール製のバケツなどにいれると、トゲが貫通してしまうこともありますので、扱いには注意しなければなりません。なお、「ハリセンボン」という名前ですが、棘の数は1000本もありません。

ハリセンボンに適した環境

60cm水槽でハリセンボンを飼育している例。ろ過槽は上部ろ過槽

水槽

全長10cm前後のものが販売されていることが多いハリセンボンですが、水槽内でも成長することを考慮すると、飼育するのには最低でも60cm水槽が欲しいところです。

ろ過槽

上部ろ過槽、外部ろ過槽が現実的なところでしょう。外掛け式ろ過槽はパワーが足りず、他のろ過槽と併用する必要があります。外部ろ過槽は途中にクーラーや殺菌灯をつなぐこともできて便利ですが、密閉式であるためろ材につくバクテリアに酸素がわたりにくく、酸欠になってしまいやすいので要注意です。ろ材がたくさん入り、ろ過バクテリアにも酸素が多数いきわたる上部ろ過槽はイチオシです。

水温

水温もハリセンボンを健康な状態で飼育するのに重要な要素といえます。ハリセンボンは大体23~25℃で飼育するべきです。もう少し低くても飼育は可能ですが、水温が安定していることが大事です。ヒーターとクーラーで年中、その水温をキープしたいものです。

ハリセンボンにおすすめの餌

▲イカは栄養価が高く比較的海水を汚しにくい。おすすめ

ハリセンボンは動物食性が強くなんでも食べます。慣れれば配合飼料も食べてくれますが、最初から食べてくれる個体はほとんどいません。最初のうちは冷凍した魚の切り身やエビ、イカ、貝のむき身などを解凍して与えるようにします。いったん冷凍する理由は、病原菌や寄生虫などがついている恐れがあるためです。また保存にも有利です。釣り餌のオキアミなども食べますが、オキアミだけだと栄養が偏りやすいので、単食は絶対に避けます。

その後は徐々に配合飼料に切り替えていきます。食べないのであれば、上記の餌でそのまま飼育します。

ハリセンボンの病気対策

▲塩分の低い河川汽水域で見られたハリセンボン。寄生虫を落としているのだろうか

ハリセンボンは意外と白点病にかかりやすい魚です。薬にもあまり強くないので、まずは病気になりにくい環境を作るようにしましょう。水温を春夏秋冬一定に保つことは重要なことで、特に水温の変動が大きな春と秋は要注意です。

また病気の予防に効果がある器具も色々販売されています。例えばプロテインスキマーはサンゴ水槽のための機材と思われがちですが、魚飼育においても、残り餌や排せつ物を水槽から取りのぞき、ろ過の助けをしてくれますので、排せつ物の量が多く、独特の食べ方で水を汚しやすいハリセンボンの飼育にはおすすめといえます。汚い水によく発生する病気もありますので、スキマーの力もかりて常にきれいな水を目指しましょう。

一方紫外線殺菌灯は病気のもとになる微細な生物を殺してくれます。しかし殺菌灯からは熱がでますし、その殺菌灯を動かすポンプも熱源となってしまいますので、強力なクーラーを使うようにしたいものです。

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ハリセンボンの入手法と選び方

ハリセンボンは日本では北海道以南の各地、海外でも三大洋のかなり広い範囲に分布します。観賞魚としては東南アジアやカリブ海から入ってきます。特にカリブ海産の個体が最近人気のようです。

日本でも沖縄や本州~九州の沿岸で採集されたものが販売されます。もちろんハリセンボンを自分で採集することも可能ですが、大型の個体が多く、3cmほどのごく小さな個体はなかなか採集できません。また輸入でもそのような小さなものはなかなか見られません。成魚の数は多いのに、不思議なものです。

ハリセンボンを購入するときは、お店に来て時間が経っているもの、よく泳いでいるもの、じっとしているものでも鰭をよく動かしているもの、鰭や体表に白っぽい点がついていないもの、寄生虫がついていないものを選ぶようにします。

なお、お店で配合餌料を食べているものでも、環境が変化すると食べなくなることもありますので、それは頭に入れておきましょう。

ハリセンボンの混泳

ハリセンボンと他の魚との混泳

カサゴとハリセンボンの混泳

ハリセンボンは意外と肉食性が強く、小さな魚との飼育には向いていません。逆にかなり気が強いスズメダイの仲間や、捕食してしまうおそれがあるハタの仲間の大型種などとの混泳にも向いていません。

ハコフグをのぞく、フグの仲間との混泳は可能ですが、他のフグにいじめられていないか、逆にハリセンボンがほかのフグをいじめていないかよく観察します。また、他のどのような魚と混泳させるにしても、水槽も大きなものが必要になります。ハコフグは他の魚と一緒に飼うと餌にありつきにくく、また毒を出して他の魚を死に至らしめる恐れがありますので、ハリセンボンをふくむ、他の魚との飼育はあまりおすすめできません。

また手でつかんだりすると膨らみますが、あまりにも頻繁に膨らませるとハリセンボンにとってはストレスとなりますので、なるべくふくらませないようにします。

ハリセンボンとサンゴ・無脊椎動物との相性

ハリセンボンはウニの殻も砕いて食べる

ハリセンボンは甲殻類やウニの仲間が大好物で、2枚の歯でばりばり砕いて食べてしまいますので、それらの生物との混泳はできません。サンゴとの飼育については、サンゴを直接捕食するというわけではないのですが、餌は最初から配合飼料を食べることはなく、また餌の食べ方も「お上品」とはいえず、水を汚しやすいので水の汚れに弱いサンゴとは飼育しにくいです。

しかしながら強力なプロテインスキマーを使用するなどの工夫をすることにより、サンゴ水槽での飼育を楽しむことも不可能ではありませんし、実際この仲間の種をサンゴ水槽で飼育されている方もおります。

ハリセンボン飼育まとめ

  • フグ目ハリセンボン科の魚で、毒はない代わりに体中にトゲがある
  • 体中にトゲがあり扱い注意。膨らむとビニールのバケツなどはトゲが貫通する
  • 頻繁に膨らませたりしない
  • 大型水槽とパワーのあるろ過が必要。水温25℃で安定していることが大事
  • 最初から配合飼料は食べない。冷凍したイカやエビなどを解凍して与える
  • 病気予防のためにスキマー、殺菌灯、ヒーター、クーラーで水質と水温を安定
  • 入荷して日が経っていないもの、寄生虫がついているものは避ける
  • 他の魚との混泳は要注意
  • 甲殻類やウニとの混泳は不可
  • サンゴ水槽には不向き。しかし決して不可能ではない
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