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2020.11.13 (公開 2020.11.13) 水槽・器具

冬の水温対策~水槽を石油ストーブで温めてはいけない理由

マリンアクアリウムで飼育される魚のほとんどが熱帯性の海水魚です。そのため、そのままでは日本の冬の寒さに耐えられず死んでしまいますので、冬には水槽を保温してあげる必要があります。しかし石油ストーブなどで水槽を温めてはいけません。今回はなぜ水槽を温めるときに石油ストーブを使用してはいけないのか、どうやって水槽を温めるとよいのかご紹介します。

石油ストーブで水槽をあたためてはいけない理由

一酸化炭素の発生

水槽を温めるものとしてはいろいろな方法が考えられます。ヒーターの使用、水槽のある部屋をエアコンで温める、石油ストーブを使うなどの方法です。しかし、石油ストーブで水槽をあたためることはやめたほうがよいでしょう。

石油ストーブは石油を燃焼させてあたためます。しかし、燃焼させるとどうしても一酸化炭素が出てしまいます。一酸化炭素はヒトにも有毒であり、石油ストーブを使用するときに「換気しましょう」と、よくいわれるのはこのためです。そして一酸化炭素は海水中のpHも下げてしまうのです。ですから石油ストーブを水槽のそばにおいて水槽をあたためてはいけません。

ですが私たちアクアリストが「あまりにも寒いため石油ストーブをつけたい」、ということもあるでしょう。その時はしっかり換気をすることが重要です。しかしどうしてもpHは下がってしまいます。pHは定期的に測定し、減っていたら水かえやpH上昇の添加剤を使用しますが、石油ストーブよりも室内のエアコンであたためたほうがよいかもしれません。

水槽の劣化

アクリル水槽であれば、一酸化炭素が発生するだけでなく石油ストーブからの熱により劣化してしまうこともあります。そのため水槽のそばで石油ストーブを使用しないようにしましょう。

水槽の保温方法

観賞魚用ヒーターであたためる

▲原則的に水槽はヒーターであたためるようにしたい

もっとも一般的な方法です。観賞魚用ヒーター(以下ヒーター)は、大きく分けて2種類あり、サーモスタットと一緒に使って温度調整を行うものと、オートヒーターと呼ばれるサーモスタット不要のものがあります。オートヒーターはサーモスタットが不要でコストを抑えられるなどのメリットもありますが、温度調節のできるタイプのほうが何かと便利です。タツノオトシゴやヨウジウオ、イソギンチャクなどを飼育するのであれば、やけどを防ぐために専用のカバーも必要です。同様にアクリル水槽での使用も注意が必要です。

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エアコンを使用する

水槽が複数あるというのならエアコンを使用して部屋ごとあたためるのもよいでしょう。エアコンつけっぱなしというのはお金がかかるように思えますが、それぞれの水槽にヒーターをつけるよりもずっと安上がりになることがあります。観賞魚店であればヒーターを使用せずエアコンだけで対応するということもあります。

欠点としては四六時中部屋にヒーターをつけておく必要があるため、ひとつひとつの水槽にヒーターをつけるときと同様お金がかかるということです。人がいようがいまいがつけておく必要があるので家族の理解も得られにくいです。また、ヒーターを使用している場合でも夜の冷え込み対策として深夜の時間帯のみエアコンをつけておくということもあります。そうすればより安定して水温を維持することができます。

断熱材の使用

断熱材として、スチレンボードなどの断熱材を貼っている人も多いようです。また発砲スチロールを貼っても効果が得られるようです。実際に水槽と水槽台の間に敷いたり、ガラス面などに貼ったりするなどして保温するのです。ただしこれはあらかじめ水温を維持するためのヒーターを有していることが前提になります。2011年の東日本大震災とそれによる電力不足で計画停電が行われた際にはこの方法で水槽の温度を維持していたアクアリストが多かったようです。

冬にもクーラーはつけておいたほうがよい

冬季の水槽でもクーラーはつけておいたほうがよいです。その理由としては何らかの原因で水槽が過度に温められたりする必要があるからです。そのとき冷やす手段がないと、敏感な魚は病気になってしまう可能性もあります。ですから冬であっても水槽用クーラーのスイッチは消さないようにしておきます。

なおヒーターの差し込み口がある水槽用クーラーが多く販売されていますが、そのような差し込み口を使用するなら冬期であっても絶対に電源を切ってはいけません。テコ(エムエムシー企画)が輸入販売しているTK500以上の機種ではヒーター内臓のものが市販されていますが、このような機種でも同様です。

このほかの注意点としては冬季にはヒーターによる水の蒸発が夏場よりも激しいということです。水が蒸発することによって水位が低下してしまい、サーモスタットのセンサーが露出して魚やサンゴが全滅したという話もききます。我が家もヒーターのセンサー部が水面から露出してしまうという出来事がありましたが、これもクーラーが稼働していたので事なきをえました。

ストーブであたためてはいけない理由まとめ

  • 一酸化炭素が発生しpHが下がる
  • アクリル水槽であれば不具合も起こりやすい
  • アクアリストが室内でストーブをつけるなら換気はしっかりと
  • 水槽は水槽用ヒーターであたためるのが基本
  • 水槽の数が多いならエアコンであたためる方法もあり
  • 断熱材を使うと水槽の保温効果が高まる
  • 冬でも水槽用クーラーのスイッチは消さないようにする
  • 蒸発による水位の低下には要注意
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