シマキンチャクフグの飼育方法~サンゴとの飼育は難しい

俗に「キンチャクフグ」という名前でよばれるキタマクラの仲間は、小型種が多くカラフルな色・模様が特徴的で、海水のフグの仲間としてはもっともアクアリストに人気があるグループといえます。しかし、サンゴなどとの飼育は難しいので注意が必要です。

シマキンチャクフグについて飼育方法や注意点などをまとめました。

標準和名 シマキンチャクフグ
学名 Canthigaster valentini (Bleeker, 1853)
分類 フグ目・フグ亜目・フグ科・キタマクラ属
全長 10cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトグリーン
添加剤 アミノメガ
温度 23~25度
水槽 45cm以上
混泳 同種同士は激しく争う
サンゴ飼育 サンゴを捕食してしまうためNG

シマキンチャクフグってどんな魚?

シマキンチャクフグと同じ属のパプアントビー

シマキンチャクフグはフグ科・キタマクラ属の魚です。キタマクラ属のフグは側線がなかったり、体が側扁するなど普通のフグの仲間と体の形がやや違っており、ほかのフグ科とは別の亜科に含まれています。

キタマクラ属はインド-汎太平洋と大西洋の温暖な海域に37種が知られていますが、その中でもアクアリストに最も人気があるといえるのが本種です。

シマキンチャクフグに毒はあるの?

シマキンチャクフグもフグ科ですから毒をもちます。肝臓や卵巣に毒があるほか、皮膚からも毒を出すこともあるとされていますので、このフグが具合が悪そうなときは早めに隔離するのが望ましいです。

また他のフグと同様、危険が迫った時は体をふくらませることがあります。しかし体をふくらませるということはフグにも負担がかかってしまうようです。ふくらんだ姿を見たいからといって、フグに刺激を与えるのはいけません。

シマキンチャクフグとよく似たハナキンチャクフグ

ハナキンチャクフグは西太平洋に生息する種です。このフグはシマキンチャクフグに酷似していますが、体側の黒い帯がオレンジ色に縁どられるのが特徴です。

ハワイ諸島をのぞく西~中央太平洋にすむフグの仲間で、日本でも千葉県館山以南の太平洋岸に分布しているので、自分で採集することもできます。

シマキンチャクフグに擬態する魚

シマキンチャクフグが毒を持つことは魚にも知られているようで、魚の中にはシマキンチャクフグに擬態するものも見られます。ノコギリハギは頭部に大きな「ツノ」が生えているカワハギの仲間ではありますが、色彩がシマキンチャクフグにそっくりで、擬態と考えられます。またハタの仲間のコクハンアラは成魚ではメーターオーバーになる肉食魚ですが幼魚のうちはシマキンチャクフグによく似た色彩をしています。

しかし、これらの擬態をしていてもそれらの魚がほかの魚に食べられない、ということはないようです。実際にハタの仲間などの肉食魚が釣り上げられたとき、フグがそれらの魚の口から吐き出されるといったことがあります。

シマキンチャクフグに適した環境

水槽

シマキンチャクフグはフグの仲間ではやや小型種ですので、45cm水槽でも飼育できないことはありません。ただし50リットル以上の水量を確保できる60cm水槽、あるいは60cmの規格水槽と比べて多くの水量を確保できる45cmのキューブ水槽などもおすすめといえます。

ろ過槽

フグは餌の食べ方が上品とはいえず、水を汚してしまうことが多く、ろ過槽はしっかりしたものを選びたいものです。

外掛け式や外部ろ過槽の単用はおすすめできません。60cm水槽であれば、酸素供給も容易な上部ろ過槽を使用するか、上部ろ過槽と外部ろ過槽の併用がよいでしょう。またサンプ(水溜)でろ過をすることによりほかの方式よりも多くのろ材を入れることができるオーバーフロー水槽もおすすめです。

水温

熱帯のサンゴ礁域、それも浅瀬に多く生息する本種ですが28℃を上限とし、できれば23~25℃に抑えておきます。フグの仲間はややデリケートで病気にもなりやすいですので水温が大きく変動することのないように十分注意しましょう。

ライブロック

シマキンチャクフグはサンゴを食べてしまうおそれがありますので、サンゴではなくライブロックやサンゴ岩を組み合わせてレイアウトするようにします。

その他の機材

フグの仲間は病気になりやすいため、紫外線殺菌灯を使用して病気を防ぐようにしたいものです。またフグは水を汚しやすいということもあり、プロテインスキマーを使用して残り餌や排せつ物を生物ろ過が始まる前に水槽から取り除くのもよい方法といえます。

具体的な対策は以下で細かく解説しているので併せて御覧ください。

シマキンチャクフグに適した餌と添加剤

シマキンチャクフグの小型個体は配合飼料などに餌付けやすいですが、フグに与える餌としてはフレークフードよりは粒状のものが適しているといえます。

ただ与えるのもいいですが、餌に水を含ませてふやかしたり、アミノ酸などを添加して栄養価を高めたりする工夫をしてみるのもよいでしょう。すべての生物に必須のヨウ素の添加もおすすめです。

シマキンチャクフグを入手する

▲シマキンチャクフグの幼魚

シマキンチャクフグは常に海水魚店で見られるという魚ではありませんが、コンスタントな入荷がありますので入手はそれほど難しくないでしょう。

観賞魚としてはフィリピンやインドネシア、沖縄から入ってくることが多く、それほど高価な魚でもありません。

注意点としては体表や鰭に白い点がついていないもの、鰭がぼろぼろ、あるいは溶けていないものを選ぶようにします。またほかの魚と同様、入荷直後の個体も避けるようにします。

またあまりにも大きすぎる個体は選ばないようにします。大きすぎると配合飼料に餌付きにくいことがあるためです。逆に小さい個体は配合飼料に餌付きやすいのですが、餌を多く与えるようにする必要があります。もちろん、痩せてしまっている個体も選んではいけません。

静岡県以南の太平洋岸では採集することも可能ですが、ハナキンチャクフグと異なり本州~九州の沿岸ではあまりみることができません。琉球列島では浅場で数多く見ることができ、筆者も奄美諸島のタイドプールで採集したことがあります。

シマキンチャクフグの病気対策

シマキンチャクフグなどフグの仲間は病気にかかりやすいところがあります。白点病などの原生生物による寄生虫や、ペンネラとよばれる小型の甲殻類などもつくことがあります。

白点病治療は「グリーンFゴールド」などの魚病薬を用いますが規定量の半分以下にとどめておくのが無難といえます。銅イオンは魚を殺してしまうリスクもあり、あまりおすすめできません。小型の甲殻類がついている場合は、甲殻類を剥がしてしまえばよいですが、強引に引き抜いたらフグが出血してしまうおそれもあるので注意します。

病気予防には紫外線殺菌灯が効果あるようにいわれることも多いのですが、水を常にきれいにすること、水温を一定にしておき変動しないようにすることがずっと大切です。その上で紫外線殺菌灯を使うことではじめて病気の予防に効果があるといえるのです。

また病気ではないのですが、歯が伸びてしまい餌を食べられなくなることがあります。このような場合はのびすぎた歯を小さなペンチなどで切ってあげます。その際はフグの体をなるべく手で触らず、海水で濡らしたタオルなどでフグを包んであげるとよいでしょう。

シマキンチャクフグの混泳

シマキンチャクフグと他の魚との混泳

シマキンチャクフグはペア以外の同種同士では争いますので、極力同種との混泳は避けます。

他のフグやおとなしい魚との飼育はできますが、鰭などをかじってしまうおそれもありますので注意が必要です。

シマキンチャクフグとサンゴ・無脊椎動物との相性

シマキンチャクフグはソフト・ハード問わずサンゴを食べてしまうおそれがありますので、サンゴ水槽での飼育はおすすめできません。またホヤやカイメン、海藻を食べることもあり、キンチャクフグの仲間を飼育するのであれば、それらの生物との飼育は避けるようにします。

甲殻類もエビやカニ、ヤドカリなど甲殻類も好んで食べてしまいますので、そのような生物がいる水槽では飼育しない方がよいでしょう。

シマキンチャクフグの飼育まとめ

  • キタマクラ属のフグではもっともよく知られている種
  • ハナキンチャクフグとは色彩で見分けられる
  • 毒をもつので、弱ったら早めに隔離
  • 60cm水槽で、上部ろ過槽と外部ろ過槽の併用
  • オーバーフロー水槽もよい
  • 水温は25℃
  • 餌は粒餌が適する
  • 安定した水温・きれいな水・紫外線殺菌灯で病気予防
  • ペアをのぞき同種同士では混泳しない
  • サンゴや甲殻類との飼育は難しい

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