スズメダイの仲間を飼育する前に~初心者は混泳に注意! | 海水魚ラボ

スズメダイの仲間を飼育する前に~初心者は混泳に注意!

強烈な日光が照りつける亜熱帯の海。潮溜まりを覗くとたくさんの青い宝石のような小魚がタイドプールで泳いでいる様子を見ることができます。スズメダイの仲間です。スズメダイの仲間は美しい種類が多く観賞魚としてもよく知られていますが、かなり気が強く種類によっては同じ水槽の他の魚を全滅させることもあるのです。

このやんちゃな、宝石のような美しい魚を自宅のリビングでうまく飼育するにはどのようなところに注意すればよいでしょうか。

スズメダイの仲間の分類

▲クマノミの仲間もスズメダイ科に含まれる

スズメダイの仲間は種類が多く、全世界で400種ほど、日本にはそのうち108種が生息しています。温暖な海域を好む種類が多く、琉球列島のサンゴ礁域では多くの種を見ることができます。

スズメダイ科の魚は学者によって4つの亜科にわけたり、2つの亜科に分けたりされていますが、マリンアクアリウムの世界においては他の亜科と習性などが大きく異なるクマノミ亜科と、そのほかのスズメダイ科魚類の2つに分けられることが多いです。クマノミ亜科の魚も人気の観賞魚ですが、ここではそれ以外のスズメダイの仲間を扱います。

スズメダイの飼育方法

▲魚の大きさや数などに気をつければ小型水槽での飼育も可能

スズメダイの仲間は海水魚の中でも丈夫で飼いやすいといえます。海水魚飼育の基礎さえ覚えておけばごく一部の種をのぞき、容易に飼育することができます。

ただスズメダイの仲間は値段も安価なものが多く、初心者が初めて海水魚を飼育するのに適していると思われがちですが、「価格が安い魚=飼育が容易」というわけではないため注意して下さい。

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スズメダイの性格

▲鮮やかな青い色のルリスズメダイ。温和だったらよかったのだが…。

丈夫で飼いやすく、鮮やかな色彩をしていて、しかも安い!

こんなスズメダイの仲間ですがひとつ大きな問題があります。それは「気性の荒い種類が多い」ことです。縄張りをつくって、ほかのスズメダイの仲間や、縄張りに入る魚を追い払います。ルリスズメダイを狭い水槽で多数飼育しても、最後は1匹しか残らないことも多いです。

気性の荒いスズメダイ一覧

スズメダイの仲間でも大きくなるものはとくに気性が荒くなります。幼魚がきれいな色彩のものもおり、水槽に入れたくなりますが、成長したあとのことも考えなければなりません。

ミツボシクロスズメダイ

▲ミツボシクロスズメダイの幼魚

▲ミツボシクロスズメダイの成魚。頭部の白色斑が消えかけている

ミツボシクロスズメダイは黒い体で、体側に白い円形斑があるやや大きくなるスズメダイの仲間です。幼魚のうちは頭部にも白色斑があり、これが和名の由来となっているようです。幼魚のうちはよいのですが成魚は非常に気性が荒く、家庭の水槽では暴君になるおそれがあります。

観賞魚店では非常に安価な値段で販売され、千葉県以南の磯で採集することもできますが、持って帰るのはよく考えてからにしたほうがよいかもしれません。

標準和名:ミツボシクロスズメダイ 学名:Dascyllus trimaculatus (Rüppell, 1829) 分類:スズ...

ヒレナガスズメダイ・クロスズメダイ

▲幼魚はカラフルなのだが成長するとこのような色彩に…

ヒレナガスズメダイ、クロスズメダイの仲間は幼魚がカラフルな色彩をしているのでついつい購入してしまいがちですが、成魚は地味な色彩になってしまうだけでなく、かなり気が強いので注意しなければなりません。このほか東南アジアからはクロスダムゼルやデビルダムゼルなど美しい色彩の近縁種が輸入されますが、成魚は褐色や真っ黒になり気が荒く持て余しがちです。

ルリスズメダイ

ルリスズメダイは鮮やかな青い色彩が特徴的ですが、スズメダイの仲間でも気が強い方です。青色が非常に鮮やかで、観賞魚としても人気がありますが、小型の魚との飼育は難しいでしょう。

大型水槽で大型ヤッコやニザダイなどの魚と組み合わせるのには適しています。主に南西諸島に分布しており本州や四国ではほとんどみられません。

標準和名:ルリスズメダイ 別名:コバルトスズメ 学名:Chrysiptera cyanea(Quoy and Gaimard, ...

シマスズメダイ・イソスズメダイ

▲採集したシマスズメダイ

シマスズメダイ、イソスズメダイは夏から秋にかけて本州から九州の太平洋側でもよくみられる熱帯性スズメダイの仲間です。潮溜まりに見られ子供でも容易に採集でき飼育したくなるのですが、性格が強く、小魚と飼育するのには向いていない面があります。

やはり大型ヤッコなどとの飼育が理想ですが、大型魚を負かすような個体もいますので、やはり持って帰るのはよく考えてからにするべきでしょう。

スズメダイの気性が荒くなって困る。どうすればいい?

スズメダイの仲間は大きくなるにつれて気性が荒くなり、持て余してしまいやすい魚といえます。しかし、飼育していたスズメダイを海に放すということは絶対にしないでください。

スズメダイがほかの魚を捕食したりすることはあまりないのですが、寄生虫がついていたり、病気をもっていたりするなどして、どのような悪影響を及ぼすかわかりません。スズメダイに限らず、飼育魚を放すようなことはしてはいけません。

どうしても飼育することが出来なくなった、という場合は、観賞魚店にひきとってもらうのがベストといえます。

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温和なスズメダイ

デバスズメダイ・アオバスズメダイ

▲デバスズメダイの近縁種のアオバスズメダイも「デバスズメ」として売られている

気性の荒さばかりが注目されるスズメダイの仲間ですが、そのなかではデバスズメダイやアオバスズメダイといった種類はおとなしく丈夫なので初心者にもおすすめです。これらの種類が含まれるスズメダイ属の魚は比較的温和なものが多いですが、アマミスズメダイなど大きくなるものもおり注意が必要です。

九州地方ではスズメダイ属の魚を食用にする習慣があります。この属の代表種スズメダイを北部九州では「あぶってかも」とよび、奄美では別の種のスズメダイを「ずーずるひき」と呼んでいて、焼いたりして美味しい魚です。

スズメダイの色彩と模様の変化

▲美しいイチモンスズメダイの幼魚も、成長すると黒っぽく地味に…

スズメダイは成長するにしたがって、色彩や模様が変化する種もいます。ヒレナガスズメダイ属、ソラスズメダイ属、ルリスズメダイ属のスズメダイは、親子で色彩や模様が大きく異なる種がいくつか知られています。

基本的に幼魚は派手で鮮やかな色彩ですが、成長すると黒や褐色になったりするものが多いです。そして成長するにつれて性格もきつくなっていきます。なお、ルリスズメダイ属のなかでもルリスズメダイやシリキルリスズメダイ、スプリンガーズデムワーゼルなど青系の色彩のものは成魚でも鮮やかな青色をしています。

このほかデバスズメダイなどのように、繁殖期に「婚姻色」と呼ばれ派手な色彩になるものもいます。

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スズメダイの餌

▲自然の海では藻類やプランクトンを捕食していることが多い

スズメダイは基本的に雑食性です。自然下では藻類を主に捕食するクロソラスズメダイなどの種も飼育下ではさまざまな餌を捕食しています。

海水魚用の配合飼料の中には、ニザダイの仲間やブダイの仲間など、同じく藻類などを好んで食べる魚のために海藻を強化配合した餌も販売されており、そのような餌を与えるのもよいでしょう。

オキアミなども食べますがオキアミの単食は栄養が偏りやすく、水も悪くなるのでおすすめできません。幼魚は1日1~2回ほど、配合飼料をスズメダイの口に入るように手ですりつぶして与えます。成魚は1日1回ほどで問題ありません。

スズメダイの病気

スズメダイは基本的に病気にはかかりにくいものですが、汚い水やろ過がいまいちの水だと病気になってしまうことがあります。丈夫な魚だからと、水質管理に手を抜いてしまってはいけません。

また、スズメダイの仲間同士の混泳では、ケンカして鰭などが若干切れたりする恐れがあります。ひどくなると皮膚もえぐられたりし、そこから病気が発生することもあるため、観察を怠らないようにしましょう。

スズメダイと他の魚との相性

▲水族館の水槽。スズメダイの仲間のオヤビッチャと他魚を一緒に飼育している

先ほども述べたように、気性が荒いものも多く、小魚との混泳が難しかったりします。大型魚がいても物怖じしません。そのような習性をいかして、大型魚の水槽で飼育するとよいでしょう。

ただし大型魚といっても、カエルアンコウやカサゴ、ハタなどと一緒だと捕食される恐れがあります。大型ヤッコの仲間やニザダイ(ハギ)の仲間であれば捕食されることはありませんのでおすすめといえます。

同じくらいの大きさの魚との混泳では、スズメダイの仲間は後から追加するのがおすすめです。スズメダイがいた水槽に新しくほかの魚を追加するときはスズメダイの仲間を捕獲し、ほかの魚がなれるまで隔離ケースのなかで飼育しておくとよいでしょう。

スズメダイとサンゴや無脊椎動物との相性

▲小型のエビはスズメダイに捕食される恐れもあるので注意

スズメダイはサンゴに対しては無害な種類がほとんどですが、西太平洋からスリランカに生息するアツクチスズメダイという種は、サンゴのポリプを食べてしまう恐れがあるので注意します。

またルリスズメダイの仲間はサンゴを食べてしまうことはないのですが、砂を掘ることもあり、サンゴに砂がかからないように注意する必要があります。

甲殻類は種類によっては捕食されてしまう恐れがありますが、スカンクシュリンプやホワイトソックス、ヤドカリの仲間は大丈夫であることが多いです。逆にオトヒメエビやイセエビの仲間は小魚を捕食してしまうことがあるので注意が必要です。

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ミツボシクロスズメダイの幼魚はイソギンチャクの合間で見ることができます。クマノミと同じく、肉食性の魚から身をまもっているようです。ただしイソギンチャクに依存しているというわけではないようで、ウニの仲間の隙間などでも見ることが出来ます。

イソギンチャクは飼育が難しいため、そうした方にはアクセサリーの人工イソギンチャクでも代用できます。なお入る保証はありません。

スズメダイ飼育まとめ

  • スズメダイは丈夫で飼いやすく、安価で入手できる
  • 性格はきついものが多いので注意が必要
  • ミツボシクロスズメダイやクロスズメダイの大型個体はかなりきつい性格
  • 持て余しても海に逃がしたりしてはいけない
  • デバスズメダイなどのスズメダイ属の小型種は比較的温和
  • 幼魚はカラフルでも成魚では真っ黒になるものも
  • 動物プランクトンや藻類を捕食する
  • 病気にはなりにくいが、けがをすることも
  • 大型水槽で大型ヤッコなどとの混泳が適している
  • ほとんどの種類がサンゴには無害。小型の甲殻類は捕食することもある
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