2019.09.19 (公開 2019.03.06) 海水魚図鑑
クロオビスズメダイの飼育方法~おとなしい性格で混泳もしやすい
クロオビスズメダイは、白っぽい体と2本の黒色帯があるわかりやすい色彩が特徴のスズメダイの仲間です。スズメダイというと性格がキツいイメージですが、このクロオビスズメダイはおとなしい性格でほかの温和な魚との混泳もできます。しかし臆病な性格ですので、とくに幼魚のうちは混泳に注意したほうがいいでしょう。
標準和名 | クロオビスズメダイ |
学名 | Chromis retrofasciata Weber, 1913 |
英名 | Black-bar chromis |
分類 | 条鰭綱・スズキ目・スズキ亜目・スズメダイ科・スズメダイ属 |
全長 | 6cm |
飼育難易度 | ★☆☆☆☆ |
おすすめの餌 | メガバイトレッドなど |
温度 | 22~25℃ |
水槽 | 45cm~ |
混泳 | スズメダイとしてはおとなしめ。幼魚のうちは混泳に注意 |
サンゴとの飼育 | 可 |
クロオビスズメダイってどんな魚?
クロオビスズメダイはスズメダイ科スズメダイ属の魚で、この属にはデバスズメダイなどが含まれています。デバスズメダイはおとなしい性格でよく知られていますが、本種も同様におとなしいスズメダイです。ほかおとなしい小型のスズメダイとしては、ヒメスズメダイやコビトスズメダイなどの種が知られています。
派手な色彩ではないのですが、体側の後方に黒い横帯が入り、眼の周囲に青いアクセントが入るなど、よく見るときれいな魚です。大きくても全長6cmほどの種です。
幼魚と成魚
クロオビスズメダイは幼魚も成魚も色彩や模様には大きな変化はありません。しかし、幼魚のうちは背鰭や臀鰭を通る黒い帯が成魚以上にはっきりしています。大きく育った個体は尾鰭上下がかなり伸びるのも特徴ですが、ほかの魚に突かれたり追われたりするなどして短くなってしまうこともあります。
クロオビスズメダイに適した飼育環境
水槽
小型種ですので小型水槽でも飼育できますが、初心者であれば最低でも45cm水槽が欲しいところです。ほかの魚と混泳させるのであれば60cm水槽での飼育がおすすめです。
水質とろ過システム
スズメダイは水質の悪化には強いのですが、本種は潮通しのよい水深10m以深の綺麗な水のサンゴ礁域に見られます。そのためある程度きれいな水で飼育したいところです。
サンゴに無害な本種はベルリンなどのナチュラルシステムやゼオビットシステムなど、造礁サンゴ水槽で飼育するのに最適です。しかし、このようなシステムはサンゴのためのシステムであり、魚を多く入れることはできませんので注意が必要です。
水温
サンゴ礁の水深15m付近に生息しています。22~25℃くらいの水温で飼育するとよいでしょう。もちろん水温が一定であることは飼育の重要な条件であり、クーラーとヒーターを使用して同じ水温を保つようにしたいものです。
ライブロックやサンゴ岩
クロオビスズメダイはとても臆病な性格をしています。そのため、サンゴを入れない水槽でもライブロックやサンゴ岩などを水槽に入れて隠れ家を作ってあげたいところです。
クロオビスズメダイに適した餌
▲水中を漂う配合飼料に反応したクロオビスズメダイ
自然下では動物プランクトンを専門に捕食していますが、水槽ではすぐに配合飼料を食べることがほとんどです。小粒の配合飼料を与えるとよいでしょう。我が家では体長3.5cmほどの個体にメガバイト レッドのSサイズを与えていますが、このほかコペポーダやほかの魚のために入れているクリーンホワイトシュリンプなどをよく食べています。
クロオビスズメダイをお迎えする
クロオビスズメダイは琉球列島からフィジーまで分布しているようですが、日本では少ないです。観賞魚としては主にフィリピンから輸入されるので安価で購入することができます。しかし、安価であるということはよいことだけではありません。スミレヤッコなど高級な魚は丁寧にパッキングされ日本にやってきますが、スズメダイのような安価な魚は雑な扱いをされていることも多いからです。入荷量は多くはないのですが、入手が難しいというほどではありません。
購入してはいけないのは、入荷してすぐの個体、鰭がぼろぼろもしくは溶けている、鰭や体表に白い点やただれがある、口などに傷がある個体などです。またおかしな泳ぎ方をするようなものも選んではいけません。スズメダイの仲間は基本的には飼育しやすい魚ではありますが、しっかりと状態を見極めるようにしましょう。
クロオビスズメダイの混泳
ほかの魚との混泳
▲クロオビスズメダイとほかの魚との混泳例
同属のデバスズメダイ同様、スズメダイの仲間としてはかなりおとなしい性格なのでさまざまな海水魚との混泳を楽しむことができますが、臆病な性格ですので気が強い魚との混泳は避けたいところです。とくに小型個体はスズメダイやメギスなど、大きく強い魚との混泳は避けたほうがよいでしょう。カエルウオや小型のベラ、ハゼ、ハナダイ、テンジクダイなどとの飼育は概ね問題ありません。
サンゴ・無脊椎動物との相性
▲サンゴ水槽で飼育しているクロオビスズメダイ
スズメダイの仲間はサンゴとの相性がよく、本種もソフトコーラル、ハードコーラル問わず、多くの種のサンゴと一緒に飼育することができます。若干深場の魚ですので深場系のミドリイシ、LPSなどと飼育するのがよいかもしれません。危険が迫るとサンゴの隙間に逃げ込むという習性もあり、サンゴとの相性は非常によいといえるでしょう。ただしイソギンチャクなど魚食性が強いものには捕食されることがあるので要注意です。
無脊椎動物はクロオビスズメダイを食べてしまうようなものとの飼育はできません。具体的に言えば大型のヤドカリ、大型のカニ、あるいはイセエビやリーフロブスターの仲間などです。サンゴヤドカリや小型のオウギガニ、クリーナーシュリンプなどは問題ないことが多いですが、クリーナーのうち、オトヒメエビは大きなハサミをもち小魚を襲うこともあるので注意が必要です。
クロオビスズメダイ飼育まとめ
- 白っぽい体に2本の黒い帯が入るのが特徴
- 成長に伴う大きな模様の変化はない
- 水槽は45cm以上。混泳させるなら60cm以上の水槽を
- できるだけきれいな海水で飼育したい
- ベルリンシステムでの飼育もできる
- 水温は22~25℃
- 水槽に隠れ家を多数作ってあげたい
- 配合飼料もすぐ食べてくれる
- 雑な扱いをされていることもある。入荷直後の個体は購入しないほうがよい
- 傷やただれ、白い点などがあるものも避ける
- 強い魚との混泳はやめたほうがよい
- サンゴや無脊椎には無害。逆に捕食されるおそれも