アカハラヤッコの飼育方法~おすすめの餌・混泳・病気対策など

アカハラヤッコ

アカハラヤッコは褐色の体と赤い腹部がとても美しい小型ヤッコです。種類が多い小型ヤッコの中でも本種とルリヤッコは丈夫で比較的配合飼料にも餌付きやすいため、はじめて小型ヤッコを飼育するのに最適といえるでしょう。ただしサンゴ、とくにLPSとの飼育については注意が必要です。

標準和名 アカハラヤッコ
学名 Centropyge ferrugata Randall and Burgess, 1972
英名 Rusty angelfishなど
分類 条鰭綱・スズキ目・スズキ亜目・キンチャクダイ科・アブラヤッコ属・Xipipopus亜属
全長 10cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド海藻70など
温度 25℃
水槽 60cm~
混泳 ほかのヤッコとは激しく争うことがある
サンゴ飼育 LPSは避けた方がよい

アカハラヤッコってどんな魚?

アカハラヤッコ

▲アカハラヤッコ

アカハラヤッコはキンチャクダイ科の小型種(小型ヤッコ)です。体は褐色で腹部は赤色、尾鰭は暗色という色彩で、体側には小さな黒色斑が多数散らばるのが特徴です。個体によっては黒い斑点の一部がつながり、線のようになることもあります。

英名は「錆びたヤッコ」という意味です。これは赤い色を錆に見立てたものでしょう。標準和名の「アカハラ」も見た目の通り赤い腹部にちなみます。分布域は狭く、八丈島、和歌山県以南の太平洋岸、琉球列島、小笠原諸島、台湾、フィリピンにのみ分布しています。

よく似たヤッコにはダイダイヤッコやフレームエンゼルフィッシュがいます。これらのヤッコは何れも赤みを帯びた色彩で、たまにハイブリッドと思われるものが出現することがあります。ダイダイヤッコとは小笠原や台湾などで、フレームエンゼルフィッシュとはフィリピンで分布が重なります。

小型ヤッコの仲間としては丈夫で餌もよく食べ飼育しやすく、ルリヤッコと同様初めてこの仲間を飼育するのには最適といえます。

分類

アカハラヤッコはよく似たフレームエンゼルフィッシュやダイダイヤッコと同様のXipipopus亜属の魚です。このクシピポプス亜属にはほかにマルチカラーエンゼル、ココスピグミーエンゼルやチャイロヤッコ、フレームバックなどが含まれ、食性もサンゴ食というよりは雑食性に近いです。もう一方のCentropyge亜属にはコガネヤッコ(レモンピール)、ナメラヤッコ、ソメワケヤッコなどが含まれ、サンゴを食べるものもおり配合飼料に餌付きにくく、飼育はやや難しいといえます。またなわばりをつくるようで性格もXipipopus亜属よりキツいものが多いです。

アカハラヤッコに適した飼育環境

水槽

ベテランであれば45cm以下の水槽でも飼育できますが、初心者が安定して飼育できるようになるのは60cm以上でしょう。ほかのヤッコと混泳させることを考えるのであれば90cm以上の水槽が必要になります。

水質とろ過システム

アカハラヤッコ飼育のおすすめろ過槽はオーバーフロー水槽を使用してサンプでろ過を行う方式ですが、オーバーフロー水槽でない場合は上部ろ過槽を使用する、もしくは外掛けろ過槽と外部ろ過槽を併用して飼育するとよいでしょう。外掛けろ過槽や外部ろ過槽は単独で使用するとろ過能力が不足しがちですので、かならずほかのろ過槽と使用するようにします。

ミドリイシなどと飼育するときは、ベルリンシステムなどのナチュラルシステム、ゼオビットなどのULNSでも飼育できます。ただしこれらの水槽だと魚を多く入れることはできないので注意が必要です。また強い光を放つ照明のもとでは日焼けをすることもあるので注意が必要です(後述)。

水温

水深30m以浅のサンゴ礁にすむ魚ですので23~26℃くらいが望ましいでしょう。ただし朝は23℃、夜は26℃という風に水温が一定でないのは魚が体調を崩すおそれもあるためよくありません。ヒーターとクーラーを使用して常に同じ水温をキープするようにしましょう。

ライブロック

ライブロックを用いてアカハラヤッコの隠れ家を組んであげるとよいでしょう。また、ライブロックに付着する小さな生物がアカハラヤッコの餌になることもあります。

紫外線殺菌灯

殺菌灯は白点病などの予防に役立ちますのでぜひともつけておきたいものです。またコケの胞子なども殺すので藻類の抑制にも効果があります。ただしシステムによっては使えなかったり、水温の上昇を招く、予備のポンプが必要などデメリットもあるので注意が必要です。

また、たとえ殺菌灯を使用していても朝の水温が20℃、夕方の水温が26℃であれば魚は調子を崩してしまい確実に病気になってしまうでしょう。水温の安定の方がずっと重要です。それを頭においたうえで殺菌灯を使用するようにしましょう。

アカハラヤッコに適した餌

配合飼料

「メガバイトレッドM」によってきたアカハラヤッコ

▲「メガバイトレッドM」によってきたアカハラヤッコ

アカハラヤッコは小型ヤッコの仲間では配合飼料に餌付きやすい種です。お店で長期在庫されていた個体であれば餌食いもよいでしょう。ただお店で餌を食べていたからといって、家の水槽でも必ず餌を食べる…とは限りません。慣れた餌と違う、あるいは水温が違う、隠れ家がない、ほかの魚がいる、などさまざまな要素が絡んできます。食べない場合は飾りであるライブロックやサンゴ岩などを追加したり、気が強い魚をほかの水槽に移すなどしますが、それらはできればアカハラヤッコを水槽にお迎えするまでにやっておきたいものです。

小型ヤッコの仲間は藻類も食するため、海藻などの餌も与えるようにしたいものです。クビレズタ(ウミブドウ)などを増やして与えるのもよいのですが、海藻の成分が入った配合飼料を与えるのもよいでしょう。キョーリンから出ている「海藻70」などが入手しやすくおすすめといえます。

冷凍餌

▲ホワイトシュリンプやアサリなどを与えるときは水質悪化に注意

配合飼料をなかなか食べなくても、冷凍餌であれば食べる、という個体もいます。とくに小さい個体でなければアサリやホワイトシュリンプなどがおすすめですが、栄養的にはイマイチですので、できるだけ配合飼料を食べさせるようにしたいものです。

ただし冷凍餌は水を汚すおそれがあるので与えすぎは禁物です。もちろんろ過もしっかりしたものを使用しなければなりません。特に外部ろ過槽、外掛けろ過槽はろ過能力不足に陥りやすいので注意が必要です。

アカハラヤッコをお迎えする

アカハラヤッコ

▲購入する際は魚体をよくチェックしよう

アカハラヤッコは採集することもできますが、通常は観賞魚店で購入することになります。海水魚店であればほとんどどこでも販売されており、しかも安価ですので簡単に購入できます。しかしながら主な産地はフィリピンなどで、若干改善されているとはいえ状態がイマイチなことも多く、なるべく入荷して時間がたったものを購入した方がよいでしょう。沖縄便はフィリピンから来るものよりは若干高価ではありますが、より良い状態で届くのでおすすめです。

そのほかの購入ポイントはほかのヤッコの仲間と同様です。体表に白点や傷、赤いただれなどがないこと、鰭がぼろぼろ、もしくは溶けているような状態ではないこと、口に傷がないこと、眼は動くものによく反応していること、元気に泳いでいること、などです。

サイズ的には小さすぎず大きすぎず、6cm位の個体が最適です。小さすぎる個体は体力がないので頻繁に餌を与える必要がありますし、大きすぎるとなかなか配合飼料に餌付かないことがあるからです。

アカハラヤッコの病気対策

白点病

魚の体表に原生生物による白い斑点がでる病気です。最初数個小さな白い点が出たり消えたりしますが、できるだけ早いうちに治療するのが鉄則です。治療法は銅イオン、グリーンFゴールド、過酸化水素水をベースとした薬品で治療しますが、銅イオンは量を間違えると魚を殺してしまうことがあります。また淡水浴は白点病にはあまり効果がないため避けた方が賢明でしょう。

予防方法として殺菌灯、もしくはオゾナイザーの導入は確かに高価的ではありますが、それよりも水槽の底砂を舞いあがらせないとか、急激な水温変動を避ける、あるいは水を常にきれいにしておくということのほうが白点病の予防にはずっと重要といえます。

リムフォシスティス

白点病とは異なり、ウイルスによる病気です。白点病は小さな点が魚に付いたり、逆に消えたりするのですが、この病気では白い点が動くことはなく、進行するにつれて白い点が大きくなっていきます。治療法は淡水浴を行い、白い点を爪の先などで剥がしてあげるだけです。

治療法についてはこちらもご参照ください。

日焼け

病気、ではないのですが強い照明のもとでアカハラヤッコを飼育していると日焼けして背中が黒っぽくなることがあります。サンゴ、とくにミドリイシなどのSPS水槽ではメタルハライドランプやハイパワーLEDなど強力な照明を使用するため、このようなことが起こりやすいといえます。背中が黒くなっても放置しておいてかまいません。本種に限らず、フレームエンゼルなど赤い体、またはやや深い場所に生息する小型ヤッコはこのようなことが起こりやすいようです。

アカハラヤッコと他の生物との相性

ほかの魚との混泳

アカハラヤッコとスズメダイの混泳事例

▲ほかの魚とも混泳させられる。大人しめのスズメダイとの混泳例。

ベントスゴビー

▲意外にもベントスゴビーとの相性は悪い

アカハラヤッコなどXipipopus亜属の魚はアブラヤッコ属の魚としては比較的おとなしいため、カクレクマノミやデバスズメダイなど、色々な海水魚と混泳を楽しむことができます。ただし本種よりも大きくなる魚でかなり強いメギスの仲間、スズメダイの仲間、モンガラカワハギの仲間、肉食魚などはやめたほうが無難です。ただしスズメダイの仲間でも比較的温和な種であれば混泳は可能です。

このほか底砂を掘りまくるベントス食のハゼもできるだけ避けるようにします。これはヤッコの仲間はクマノミの仲間やハゼの仲間よりは病気にかかりやすいからです。

小型ヤッコ同士の混泳を楽しむのであれば90cm以上の水槽で、しかも隠れることができるようなスペースをふんだんに用意してあげなければなりません。

サンゴ・無脊椎動物との相性

アカハラヤッコは比較的サンゴをつつきにくい小型ヤッコとされています。しかし弱ってしまったLPS、たとえばオオバナサンゴやコハナガタサンゴといった種はつつかれるおそれがあり、あまりおすすめできません。一方ソフトコーラルやSPSは概ね問題ないのですが、先ほども述べたように強い照明のもとでは日焼けしてしまうこともあるので照明は若干抑えた方がよいようです。またケヤリムシやシャコガイなどは突いてしまうことがあります。

ハダムシなどの寄生虫対策としてクリーナーシュリンプを水槽に入れておくのもよいでしょう。スカンクシュリンプやホワイトソックスであればヤッコや混泳する魚を襲うこともありません。一方オトヒメエビの大きいのは大きなハサミで魚を襲うこともあるため注意が必要です。大型の甲殻類も全般的にNGです。

アカハラヤッコ飼育まとめ

  • 小型ヤッコの中では餌付きやすく飼育もしやすい
  • 水槽は60cm以上で飼育したい
  • ろ過槽は上部ろ過槽。外掛けろ過槽や外部ろ過槽の単用は避ける
  • 水温は25℃前後。病気の予防のため温度の急変を避ける
  • ライブロックを入れておくと隠れ家になる
  • 紫外線殺菌灯は病気の予防に効果的。ただし水温がすぐ変動するのはだめ
  • 配合飼料にも餌付きやすいがどうしても食わないときは冷凍餌を
  • 丈夫だが購入する個体はよくチェックする
  • 大きすぎるもの、小さすぎるものは避ける。吻端から尾鰭まで6cm前後の個体がよい
  • 白点病などの病気には注意したい
  • 多くの魚との混泳が楽しめる
  • サンゴ水槽での飼育も可能だがLPSやシャコガイ、ケヤリムシなどはつつくことも
  • SPS水槽では「日焼け」に注意

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