リムフォシスティスの治療方法~クマノミやヤッコは要注意

リムフォシスティスにかかったハナビラクマノミ

クマノミやヤッコ、チョウチョウウオはリムフォシスティスというウイルス性の病気にかかることもあります。ウイルス性、といっても恐ろしい病気ではありません。

病気の進行は遅いため、落ち着いて対処することができます。本記事ではリムフォシスティスという病気の原因と、治療の具体的な方法についてまとめています。

リムフォシスティスってどんな病気?

リムフォシスティスの拡大写真(1目盛は1mm)

リムフォシスティスの拡大写真(1目盛は1mm)

リムフォシスティスは、リムフォシスティスウイルスによる病気です。鰭や体表などに白いカリフラワー状の粒が付着します。この病気に罹ると鰭や体表などに白い粒がつきます。白点病と勘違いしやすいのですがこの粒は動かず、次第に大きくなっていくのが特徴です。

病気の進行速度は遅く、別に怖い病気というわけでもありません。また伝染性も強くありません。ただ鰓付近にできてしまうと呼吸がしにくくなりますし、体表についてしまうと見栄えもよくなく、海水魚の魅力を大きく損ねてしまうことになるでしょう。ですからなるべく早いうちに対処したいものです。

英文によるスペルはLymphocystisとなります。書類や文献によっては「リンホシスチス」「リンフォシスティス」などの表記のゆれが見られますが、ここでは「リムフォシスティス」という名称で統一します。また、その病気の状況から、カリフラワー病とよばれることもあります。

リムフォシスティスにかかりやすい魚

リムフォシスティスはかかりやすい魚とそうでない魚がいます。とくにかかりやすいのはヤッコやチョウチョウウオ、クマノミの仲間がかかるケースが多いようです。

また混泳水槽で飼育していても、同じ種類の魚で、ある個体では発症しているが、別の個体では発症しない、なんていうこともあります。

海水魚だけではなく淡水の熱帯魚水槽でも出てくることがあります。汽水域に生息するミドリフグもこの病気にかかることがあります。このほか観賞魚だけではなく、食用となるヒラメなどの魚もこの病気にかかることがあり、かかってしまうと商品価値が落ちてしまうので対策が研究されています。

リムフォシスティスの治療方法

淡水浴

薬を使った治療方法もあるようですが、魚を水槽から隔離できるのであれば淡水浴を行い爪の先などで白い粒を取ってあげるのが一番安全といえます。この治療方法については後ほど解説します。淡水浴については以下をご覧ください。

生物兵器を使った対策

白点病やウーディニウム、トリコディナと異なり、生物兵器が有効な場合もあります。

ホンソメワケベラ

ホンソメワケベラはリムフォシスティス予防となる

クリーニング中のホンソメワケベラ(幼魚)

おなじみのクリーナーラスです。白点病やウーディニウムなどの原生生物による病気には効果がありませんが、リンフォシスティスについては小さいうちは突いて取ってくれることもあります。ただし個体差も大きく、取ってくれることも取ってくれないこともあります。

ホンソメワケベラのデメリットとしてはやや飼育が難しいことがあげられます。状態のよいものを入手できれば餌付けも楽ですが長期飼育となると意外と難しいものです。自家採集の個体や沖縄、インド洋のものは比較的飼いやすいといえます。

アカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)

リムフォシスティス予防となるアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)

こちらもホンソメワケベラ同様、有名なクリーナーです。やはり白点病やウーディニウムなどは取ってくれませんが、リンフォシスティスについては小さいうちは取ってくれるようです。そのほか魚の体表につくベネデニア(ハダムシ)や、甲殻類の仲間の寄生虫を食べてくれます。

メリットはどこの海水魚店でも簡単に手に入ること。また、ホンソメワケベラよりも飼育が容易であることがあげられます。ただし水槽導入時の水合わせは慎重に行う必要があります。

デメリットとしてはホンソメワケベラと同様、個体によっては取ってくれないことがあげられます。我が家のスカンクシュリンプは残念ながらハナビラクマノミに付着したリムフォシスティスは取ってくれませんでした。このように生物兵器を投入しても個体によっては食べてくれないこともあるので注意が必要です。また弱ったサンゴを襲うこと、脱皮したてのときなどエビを好む魚に襲われてしまうこともあるので注意が必要です。

クロオビダイ(ポークフィッシュ)

カリブ海やメキシコ湾、西大西洋のサンゴ礁域に生息する魚で、英語でポークフィッシュ、もしくは東太平洋にすむ近縁種と区別するためアトランティック(大西洋)ポークフィッシュなどとよばれる魚です。和名に「タイ」とあり見た目もタイの仲間のように見えますがイサキ科・アツクチイサキ属に含まれる魚です。

この魚も幼魚のうちはホンソメワケベラと同じように寄生虫を捕食することで知られていますが、リムフォシスティスも食べてくれるようです。ただし100%食べてくれる!というわけではないと思われます。幼魚と成魚では模様が異なりますが、成長すると体側に青い縦縞模様がでて美しくなります。

この魚の難点は全長35cmとやや大きくなってしまうことと、カリブ海の魚なので高水温に弱めというところです(23℃前後での飼育が望ましい)。またイサキの仲間は大きいと甲殻類を捕食してしまうおそれがあるので甲殻類や口に入るような小型の魚との飼育がしにくいことがあげられます。同じカリブ海産のクイーンエンゼルやブルーエンゼルなど、大きめのヤッコやチョウチョウウオの仲間などとの飼育が望ましいでしょう。

実際にリムフォシスティスの治療をしてみました

我が家のスカンクシュリンプさんはどうやらサボリ癖があるのか、一向にリムフォシスティスを食べてくれなかったので、今回は淡水浴でリムフォシスティスの治療を行いました。

リムフォシスティスにかかっているハナビラクマノミ

ハナビラクマノミの背鰭に小さな白い粒が見えます。これがリムフォシスティス症です。

リムフォシスティスの治療のために夜間ハナビラクマノミを水槽から出す

クマノミの仲間は夜間イソギンチャクや、イソギンチャクがない水槽ではトサカやオオバナサンゴなどに身を寄せて眠ります。そのため夜間に二本の網を使用して掬えば比較的簡単に水槽から出すことができます。

リムフォシスティスの治療のために夜間ハナビラクマノミを水槽から出す

網から直接バケツに魚を移すのではなく、小さな別の容器を使用して水ごと掬うのがベストです。これは網で掬ったことによるスレが原因でリムフォシスティス症を発症することがあるからです。

淡水(RO水)を張ったバケツにハナビラクマノミを放す

淡水(我が家の場合はRO水)を張ったバケツに病気になった魚を3分ほど泳がせます。直接入れる前に水温を合わせるようにします。また、泳がせる前に淡水のpHを調整しておくのがベストといえます。

ハナビラクマノミを淡水浴させる

3分ほど泳がせたあと、容器で水ごと魚を掬います。写真の様な状態にして、爪の先などで白い粒を取ってやります。

ハナビラクマノミの淡水浴

治療が終わったら容器の中にスポイトなどで少しずつ海水を入れてやります。これは淡水浴のあといきなり水槽と同じ塩分の海水に入れてしまうと魚がダメージを受けることがあるからです。

リムフォシスティスにかかったハナビラクマノミを隔離

最後に海水で濡らした手のひらで優しく魚を掬い、魚だけを水槽に戻します。淡水浴は体力を消耗するため、ほかの魚やエビなどに襲われてしまう可能性もあります。そのため最初は水に浮かべた隔離ケースの中に戻してあげた方がよいと思います。

クマノミであればアズーから出ている「ビックフィッシュハウス」などがよいでしょう。魚の運搬中の隔離におすすめのアイテムであるコトブキの「ワンルームハウス デラックス」では狭すぎるかもしれません。

大型ヤッコであればサンプの中などに入れておくという方法もあります。小型の魚はスキマーのポンプなどに吸い込まれて死んでしまうこともありますので隔離ケースの中で泳がせた方が安心です。

リムフォシスティスの予防方法

上記はいくつか治療方法をご紹介してきましたが、状態のよいサンゴ水槽では自然に消滅してしまうこともあるようです。良好な水質を保つことがリムフォシスティスの予防につながるかもしれません。またスレ傷などから感染することもあり、魚は網で直接掬い上げるのではなく水ごと容器で掬うようにすればある程度予防できるといえます。

紫外線殺菌灯の使用もリムフォシスティスの予防に効果があるようです。原因となるリムフォシスティスウイルスを退治してしまうというわけです。

リムフォシスティス対策まとめ

  • リムフォシスティスウイルスによる感染症
  • 病気の進行が遅いため余裕をもって対処できる
  • クマノミ・ヤッコ・チョウチョウウオなどがかかりやすい
  • 汽水のフグやヒラメの養殖個体などがかかるケースも
  • 淡水浴させて爪先で取り除いてやるだけで簡単に治療できる
  • クリーナーシュリンプやホンソメワケベラが取り除くことも
  • 網で魚を掬わないことが予防として有効

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