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2019.03.24 (公開 2019.03.20) 海水魚の病気

白点病をグリーンFゴールド顆粒で治療する手順

海水魚がもっともかかりやすい病気が「白点病」です。白点病は治療が遅れると魚が死に至ることもある病気で、早期発見と治療が重要になります。海水魚の白点病の治療には、銅イオンや過酸化水素水を使用して治療する方法がありますが、銅イオンは魚を殺すリスクがあり、過酸化水素水はあまり高い効果が望めないなどデメリットも多いものです。今回は銅イオンよりもリスクが低いグリーンFゴールドを使用した治療方法をご紹介します。

白点病とは

▲白点病にかかってしまったデバスズメダイ

白点病はクリプトカリオン・イリタンスという微小な生物により引き起こされる病気です。体に白い点がつき、やがてその点が増えていき、放置しておくと最後は鰓にも点がついて死んでしまいます。そのため薬浴して治療をしてあげる必要が出てきます。

薬浴のための薬は「オキシドール」「マラカイトグリーン」「銅イオン」などがありますが、今回は使いやすくてよく効く「グリーンFゴールド顆粒」を使用して白点病を治療する方法をご紹介します。

白点病について詳しくは「白点病」の項目をご覧ください。

グリーンFゴールドとは

▲グリーンFゴールド「顆粒」であることを必ず確認!

「グリーンF」シリーズは日本動物薬品株式会社から出ている魚病薬です。そのうち「グリーンFゴールド顆粒」は主にエロモナスなど細菌性の病気に使用するものなのですが、海水魚の白点病治療薬としても使用されます。

注意しておきたいのは同じ「グリーンFゴールド」の名称であっても、「グリーンFゴールド顆粒」のほか、リキッド状の「グリーンFゴールドリキッド」というものがありますが、グリーンFゴールドリキッドは、グリーンFゴールド顆粒とは全く別の薬というところです。顆粒の主成分はニトロフラゾンとスルファメラジンナトリウムですが、リキッドの主成分はオキソリン酸です。海水魚の治療薬として使うのは「グリーンFゴールド顆粒」の方になります

また、メーカーは「グリーンFゴールド顆粒」についても海水魚用としては使用できないとしています。主成分のニトロフラゾンなどには発がん性があるとされており、同じく発がん性があるとされるマラカイトグリーン(以前、中国産ウナギから検出され問題になった)と同様、食用魚類の養殖においての使用は禁止されています(キンギョなど観賞魚については使用可能)。

治療のために必要なもの

上記の「グリーンFゴールド顆粒」以外に必要になるものについて解説します。

水槽

▲安価な小型水槽で薬浴している様子

魚混泳水槽であればそのまま治療を行うこともできますが、ろ材などにダメージを与えてしまうことを考えますと別水槽で治療するのがベストです。サンゴ水槽で飼育している魚であれば、当然ながら飼育水槽では薬浴できないので、別途水槽が必要になります。

ディスカウントストアなどで安価な値段で販売されている水槽でよいでしょう。水槽の大きさは飼育している魚の種類を考えます。今回はスズメダイなどの薬浴ですので、30cmほどの小型水槽を使用しましたが、ヤッコや大きなチョウチョウウオであれば、当然もっと大きな水槽が必要になります。今回は水作「ニューきんぎょファミリー」に付属する水槽を使用しました。

バケツ

▲バケツを使って薬浴している様子

バケツで薬浴してもよいのですが、横から魚の様子を見ることができないので白点がついていないかどうかを見ることができないというデメリットがあります。しかしバケツは必需品です。交換用の海水をつくるときや、水の交換の際に海水を捨てるときなどに便利です。写真は釣り用のコマセバケツで、安価でかつフタができるので便利です。薬浴だけでなく採集や輸送にも役立つアイテムですので、できれば複数個購入しておきたいものです。写真のバケツは伸和 コマセバケツ 角10です。

プラケースと網

▲プラケースを使用して魚を掬うようにしたい

魚を掬うときに必要なものです。魚を網でそのまま掬って水から出すと魚の体表に傷がついてしまうおそれがあります。水から出すときにはプラケースで水ごと掬うようにしましょう。

エアポンプとチューブ、ストーン、もしくは外掛けろ過槽

エアポンプ、エアチューブおよびエアストーンは薬浴水槽に酸素をおくるのに必要なグッズです。そのままにしておくと魚が酸欠で死んでしまうおそれがありますので、酸素を水槽に溶け込ませなければなりません。エアポンプは電池で動くものとコンセントに差し込み電気ものの二つがありますが、電気で動くものを使った方がよいでしょう。電池で動くものも採集や運搬、もしくは停電時に役にたつので両方あったほうがよいといえます。

それだけでは不安という方は外掛けろ過槽などを使用するのもよいでしょう。サンゴ砂などのろ材は使用できますが活性炭を含んだろ材は使用できません。これは活性炭を使用すると薬の成分も吸着してしまうからです。

海水と真水・比重計

人工海水を溶かした海水と、真水を用意します。海水と淡水を混ぜ、低い比重(1.015くらい)の水をつくるのに必要です。もちろん比重を測定する比重計も必要になります。RO水、水道水どちらも使用できますが、水道水を使用するのであればカルキ抜きが必要になります。

ヒーターと水温計

飼育している水槽と水温を同じにするためにヒーターと水温計を用います。水温の変動もまた白点病が発生する原因となるためです。もちろん、水温計を使用して水温の確認を行うことも重要です。安価で一定の水温をキープできるオートヒーターなどが最適でしょう。

ハカリと薬包紙

▲正確な量を測りたい

薬浴の際に薬の量を正確に計測するためにハカリと薬包紙を用います。グリーンFゴールド顆粒は銅イオンほどシビアではありませんが、薬の量をきちんと測って使用することが大事です。写真の電池で動くタニタ製のハカリなどが使いやすいのでおすすめです。

治療を実際に行う

1.水作り

▲比重を低めに設定

比重は低め(1.015)くらいにしておきます。これは薬の効きをよくするのか、白点病を弱らせてしまうようなしくみがあるのかはわからないのですが、低めの方が白点虫を落としやすいように思います。ただしこの方法ではハナダイの仲間や紅海産魚類のように、低比重に耐えられないような魚を治療することはできません。スズメダイや小型ヤッコ、クマノミなどならばあまり問題はないでしょう。

2.水温合わせ

ヒーターと水温計を使用して水温を合わせます。ヒーターはできれば新品のものを、薬浴専用に購入しておくとよいでしょう。

3.薬投入

グリーンFゴールドを計測し、規定量の半分くらい入れます。入れ方が悪いと底の方にかたまりになって残ってしまうのでスポイトなどを用いてかき混ぜるなどしてよく溶かすようにします。

4.魚導入

魚を網とプラケースを用いて掬い、飼育水槽から薬浴水槽へと移します。先ほども述べましたが魚を網で掬っても、そのまま持ち上げるのではなく、網の中に入った魚をプラケースを使って水ごと掬い上げるようにします。

5.換水

水かえの際はヒーターを二つ用いて、あらかじめ水温調節された水を治療用水槽に注水するのがおすすめです。水槽の水はホース、またはプラケースを使って薬浴水槽からほとんど全部抜いてしまうのですが、全部抜くときはヒーターのスイッチは消しておく必要があります。これはヒーターが水から露出したら火災が発生するおそれもあるからです。

6.繰り返し

毎日、もしくは二日に一回水替えを行い、1、2、3および5の一連の作業を繰り返します。

なお、私は最初にグリーンFゴールドを使用するときは規定量の半分使用しましたが、徐々に量を増やしていきました。魚はデバスズメダイ、アオバスズメダイ、イエローリップダムゼルなどのスズメダイとミスジテンジクダイといった丈夫な魚だったためか、とくに影響は見られませんでした。

7.薬を抜く~水槽に戻す

▲薬を抜いた薬浴水槽で飼育。再度白点が出ないかチェックしたい

白点虫が体表に見られなくなっても、すぐ飼育水槽に戻さない方がよいでしょう。これは白点病が再発してしまうケースもあるからです。薬を抜いた薬浴水槽でさらに数日間飼育し、白点虫が4~5日以上現れなくなったことを確認してから水槽に戻すようにします。水槽に問題があり白点病が発生したというのであれば、殺菌灯を取り付けたり、水温を安定させるなど、魚を戻す以前に状態を改善させる必要があります。

まとめ

  • 白点病の治療には薬浴が有効
  • 初心者には銅イオンよりも扱いやすいグリーンFゴールド顆粒での薬浴がおすすめ
  • グリーンFゴールド顆粒であることを必ず確認すること
  • 水槽・バケツ・ヒーター・水温計・エアポンプ・エアホースとチューブ・プラケース・薬包紙・ハカリなどが必要
  • 外掛けろ過槽を使ってもいいが活性炭は使用してはいけない
  • 海水の比重は低めにしておく
  • ヒーターを使用して水温を合わせておく
  • 正確に量を測った薬を溶かす。最初は規定量の半分が理想
  • プラケースなどで魚を掬い薬浴水槽に移す
  • 毎日もしくは二日に一回海水を全て換える。ヒーターが露出しないよう注意
  • 薬を抜いた後も病気がでないか4~5日はチェックしたい
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