ナベカ族・イソギンポ族・ニジギンポ族魚類の飼育方法~餌・混泳のポイント

前回は、イソギンポ科の仲間の「カエルウオ族」というものを取り上げてきましたが、イソギンポ科にはほかにもイソギンポ族、ナベカ族、ニジギンポ族という3つのグループがあります。今回はイソギンポ科の、カエルウオ族以外の魚、科の和名にもなっているイソギンポ族の魚と、ナベカ族の魚、そしてニジギンポ族の魚をご紹介したいと思います。カエルウオの仲間が含まれるカエルウオ族以外にも、イソギンポ科には楽しい魚はまた色々といるわけですす。ただしコケを食べてくれるわけではないので、しっかり餌を与える必要があります。今回はカエルウオ族以外の魚の飼育の基本についてご紹介したいと思います。

イソギンポ科の分類

日本産のイソギンポ科魚類は大きく2つ、もしくは4つのグループに分かれています。日本で一般的に使われているものは大きくカエルウオ族、イソギンポ族、ナベカ族、ニジギンポ族という4つのグループに分けるものですが、このほかに前2族を「Salariinae」、後2族を「Blenniinae」としていることもあります。観賞魚店ではカエルウオ族が多いですが、ニジギンポ族の魚もオウゴンニジギンポやヒゲニジギンポなどがたまに見られます。ナベカ族やイソギンポ族の魚はあまり観賞魚として販売されている種は少ないといえます。

おもなイソギンポ族の種

イソギンポ族の魚はインド―太平洋の熱帯域にも分布していますが種類は少なく、大西洋に多く生息しているグループです。大西洋ではカエルウオ族の魚が少ないため、その生態的地位を埋めたのかもしれません。日本には2族3種が知られています。

イソギンポ

琉球列島をのぞくほぼ日本各地の磯に生息する魚です。見た目はカエルウオの仲間に似ていますが、ややずんぐりしたからだと、ウサギを思わせる眼の上の皮弁が特徴です。温帯域に多い魚ですが比較的高水温に耐え、かつ雑食性で配合飼料もよく食うのですが、カエルウオと異なりコケ掃除はしてくれないので、そこは注意が必要です。

タテガミギンポ

イソギンポに似ていますが、眼の上の皮弁はイソギンポほど大きくなく、正中線に房状の皮弁があるのが特徴です。三浦半島から高知県柏島、日南海岸にまで分布し、海外では台湾やインド洋から知られていますが、タテガミギンポ属は大西洋に多く知られている種ということです。コケはあまり食べません。

おもなナベカ族の種

ナベカ族の魚はインド―太平洋域に生息します。海水域を中心にすみ、一部の種類はマングローブの生い茂る汽水域にも見られます。また淡水にも生息しているものもいます。

ナベカ

▲ナベカ

鮮やかな色彩から熱帯魚と思われがちですが、温帯性の魚で四国南部や九州南部などではあまり見られないようです。海藻の多い場所やカキの殻が多数ある場所に見られ、汽水域でもまれに見られます。丈夫できれいで餌食いもよいというよい魚です。コケは少し食べるようですが掃除屋さんというような働きはしません。

クモギンポ

▲クモギンポ

関東でも見られますが、和歌山や四国、九州南部、沖縄などでは潮だまりでよく見られる魚です。ナベカのいない沖縄では本種がその生態系の位置に入り込んでいるようです。飼育についてはナベカ同様でとても丈夫で飼育しやすく、うまく飼育すれば水槽内でも5年ほど生きます。また高水温にも耐性があります。

イエローテールブレニー

▲イエローテールブレニー

本種はナベカ属ではなくクロギンポ属の種です。ナベカの仲間と異なり、背鰭・臀鰭が尾鰭とつながっているのが特徴です。色彩は体の前半分が暗色、後方が黄色っぽく、フタイロカエルウオによく似ていますが、鰭の特徴で見分けることができます。インドネシアやフィリピンなどにも分布しており、たまに輸入されていますので、この族としては観賞魚店でもっともよくみられる種かもしれません。

おもなニジギンポ族の種

この族の魚はいずれも遊泳するタイプです。ヒゲニジギンポ属の魚には牙に毒があることが知られており、ニジギンポ属の何種かはヒゲニジギンポなどに擬態します。またカエルウオ族のニラミギンポ属の一部の種や、テンジクダイ科のヤライイシモチにも同様に擬態する種が知られてます。

ニジギンポ

▲ニジギンポ

この仲間では広い分布域をもち、日本の本州から九州ではもっとも普通種です。「ニジ」という名がありますが、茶褐色~黒褐色に白い線があるくらいで派手なものではありません。

下あごには大きな牙をもち、かまれるとけがをするおそれもあります。流れ藻などの浮遊物についていたり、空き缶の中に潜んでいたりするので、簡単に採集できますが、ほかの魚の鰭をかじったりすることもあるので注意が必要です。

オウゴンニジギンポ

体の前半分が青色で、後ろ半分が黄色という色彩が鮮やかなギンポです。食性は動物食性でプランクトンや小型動物を捕食しています。小型種で観賞魚としてよく輸入されています。よく似た色彩のものにイナセギンポというのがいますが、この種はほかの魚の皮膚や鱗を食いちぎるので注意が必要です。

ヒゲニジギンポ

▲ヒゲニジギンポ

黄色と黒の縞模様がおしゃれな遊泳性のつよいギンポです。この種類も海水魚店でみられますがカエルウオなどとは異なりよく泳ぐ種類のギンポですので小型水槽では飼育しないほうがよいでしょう。また牙に毒をもつのでかまれないように注意します。弱毒とされていますが、注意しましょう。ニジギンポ属の一部の種は本種に擬態していることもあります。

ニセクロスジギンポ

▲ニセクロスジギンポ

一見ベラ科のホンソメワケベラに似た魚です。しかし掃除はしないどころか、ホンソメワケベラだと思って近寄ってきた魚の皮膚や鱗を食いちぎってしまうという特徴があります。その特性からほかの魚との混泳はしないほうがよいでしょう。全長12cmほどになり、その大きさから小型水槽でも飼育は難しいです。なお、インド洋のものと、日本沿岸を含む西―中央太平洋のものはそれぞれ別亜種とされています。またフィジーやサモアなどのホンソメワケベラは体側の黒い帯のところに黄色い模様が入りますが、ニセクロスジギンポも同様に黄色い模様が出るようです。

ウナギギンポ

▲ウナギギンポ

イソギンポ科の最大種で全長50cmを超えます。といっても、尾鰭が細いヘア状になっている点を除くとニジギンポの類を細長くしただけのように思います。観賞魚としてはまれに輸入される程度でなかなかお目にかかれません。日本では北海道や千葉県以南で獲れていますがやはり珍しいものです。また本種もニジギンポに近い仲間で下顎には大きな犬歯があります。その大きさから小型水槽での飼育はできません。

ナベカ族・イソギンポ族・ニジギンポ族魚類飼育の注意点

コケはほとんど食べない

ナベカなど一部の種は、付着藻類を少し食べてくれることもありますが、カエルウオのような働きはほとんどしない、と考えてよいでしょう。ただしコケは全く食べないというわけではありませんので、藻類食用の「海藻70」を与えると食べてくれる種類が多いようです。ニジギンポ族の種類は中層遊泳性でコケなどはほとんど食べません。

ほかの魚の鰭や鱗を食べる

種類によってはほかの魚の鰭や鱗をかじって食べてしまうものもいます。具体的に言えばニセクロスジギンポ、ミナミギンポ、テンクロスジギンポなどです。これらの種類はほかの魚との飼育はおすすめしません。

捕食されるおそれあり

体が細長いテンジクダイの仲間などはほかの魚に捕食されるおそれがありますので肉食性が強い魚との混泳はさけます。カサゴやオコゼ、ハタなど明らかな魚食性の魚はもちろん、大きめのテンジクダイなども小型魚を食べてしまうので、混泳はさせるべきではありません。

ナベカ族・イソギンポ族・ニジギンポ族魚類飼育の餌

イソギンポやナベカなどは雑食性が強く、はじめから配合飼料を食べてくれる個体も多いです。ヒゲニジギンポ属はプランクトンを主に捕食していますが、最初は配合飼料をなかなか食べてくれないこともあります。そういうときは冷凍プランクトンフードを与えるようにします。

カエルウオ族とはことなりコケはあまり食べませんが、中には少々コケを食うものもおり、そういうものにはメガバイトのグリーンなどを与えてもよいでしょう。

ナベカ族・イソギンポ族・ニジギンポ族魚類をお迎えする

観賞魚店で販売されることは多くありませんがハゼやカエルウオ、ネズッポ、ジョーフィッシュなどのいわゆる「底モノ」に強いお店で販売されていることもあります。最近はオーストラリア方面から珍しいナベカ族の魚が来るなどしており、今後も海外からこの仲間の面白い魚が来るのではないかと考えると、わくわくしてしまいます。

購入するときに避けるべきなのは、鰭が溶けていたり、白点がついていたり、入荷したばかりの疲れている個体です。基本的には丈夫で飼いやすいものがそろいます。

またイソギンポやタテガミギンポ、ナベカ、イダテンギンポ、クモギンポといった種類は潮溜まりや防波堤での魚獲りで採集できることもあります。イソギンポはブイの下のイガイ帯や海藻についていたりします。イダテンギンポなどはカキの殻の中に潜んでいることもあります。

混泳の注意点

ハナダイ、遊泳性ハゼ、クマノミや小型スズメダイの仲間とであれば混泳はあまり問題ありませんが、あまりにも小さすぎる魚などは大きく育ったイソギンポの仲間に襲われることがあります。

イソギンポ族、ナベカ族の魚とカエルウオの仲間との混泳は、族がことなるためあまり深刻な争いは起きにくいといえます。逆に同種同士ではかなり争うので注意が必要です。もちろんカエルアンコウやハタ、ウツボなども良くありません。ウツボの仲間ではクモウツボは比較的温和なのですが、私はクモウツボにナベカ族魚類のクレステッドブレニーを食べられてしまった経験があります。推奨するわけにはいきません。

ニジギンポ族は混泳がやや難しい仲間です。ほかの魚の鰭がかじられていないか、よくチェックしたいものです。ニセクロスジギンポやミナミギンポなどは単独種の飼育がよいでしょう。

ナベカ族・イソギンポ族・ニジギンポ族魚類飼育まとめ

  • 日本のイソギンポ科はカエルウオ族・イソギンポ族・ナベカ族・ニジギンポ族の4族からなる
  • イソギンポ族は日本では種類が少ない
  • ナベカ族は美しい種もおり一部の種は輸入されている
  • ニジギンポ族は遊泳性が強くほかの魚の鱗や鰭をかじる種も
  • カエルウオと異なりコケはほとんど食べないが、藻類食餌をあげるのもよい
  • 中にはほかの魚の鰭や鱗を食う種もいる
  • ほかの魚に捕食されるおそれもあり混泳は注意

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