ナベカ族・イソギンポ族魚類の飼い方~餌・混泳のポイント | 海水魚ラボ

ナベカ族・イソギンポ族魚類の飼い方~餌・混泳のポイント

前回は、イソギンポ科の仲間の「カエルウオ族」というものを取り上げてきましたが、今回はイソギンポ科の、科の和名にもなっているイソギンポ族の魚と、ナベカ族の魚をご紹介したいと思います。カエルウオの仲間が含まれるカエルウオ族以外にも、イソギンポ科には楽しい魚はまた色々といるわけです。

今回はご紹介する魚の範囲は上図の緑色で囲った範囲になります。イソギンポ科魚類のうち独特な遊泳性の魚であるニジギンポ族、新大陸に多く日本での分布が異端なコケギンポ科と美しい色彩を見せるヘビギンポの仲間はまた別に紹介いたします。

ナベカ族・イソギンポ科魚類のメンバーたち

イソギンポ族のメンバーたち

▲イソギンポ。和歌山県串本で採集した個体

▲イソギンポは口の奥に大きな犬歯をもつのが特徴。

▲タテガミギンポ。愛媛県宇和海で採集した個体。

▲タテガミギンポは後頭部の皮弁が特徴。

イソギンポ族のメンバーは日本には少なく、2属3種のみが知られています。眼の上や後頭部に皮弁があるのが特徴で、一見カエルウオによく似たグループです。本州~九州にかけては科の和名にもなっているイソギンポやタテガミギンポが分布します。イソギンポは上顎に大きな犬歯をもちます。イソギンポは成長がかなりはやく丈夫で飼いやすいです。

イソギンポ属の魚は大西洋や地中海に多くの種類が知られ、日本にはイソギンポとカワイイソギンポの2種が知られています。タテガミギンポ属の魚は世界で7種が知られ、殆どが大西洋産で、日本に分布するのはタテガミギンポのみです。

主な種 (★は日本にも分布する種)

イソギンポ属 Parablennius 

★イソギンポ Parablennius yatabei (Jordan and Snyder, 1900)

★カワイイソギンポ P. thysanius (Jordan and Seale, 1907)

タテガミギンポ属 Scartella

★タテガミギンポ Scartella emarginata (Günther, 1861)

ナベカ族のメンバーたち

▲族・属の和名になっているナベカ属のナベカ。福岡県産

▲熱帯性のナベカ属の代表種クモギンポ。高知県産

日本産は10種と少ないですが、ナベカやイダテンギンポ、クモギンポは磯遊びの際に、あるいは防波堤での小物釣りの際などに出会う機会が多いといえます。海外では西太平洋のサンゴ礁域に生息するクロギンポ属のイエローフィンブレニーがたまに輸入されます。黒い体で後ろ半分の黄色が美しいギンポの仲間です。

基本的にイソギンポ科の魚は海産ですがこの仲間は汽水域にも入り、また淡水域に進出する種もいます。インド-太平洋域広く分布し、種類によっては南東大西洋にも分布します。またイダテンギンポは日本にも分布しますが、西大西洋にも移入され問題になっています。

主な種 (★は日本にも分布する種)

ナベカ属

★ナベカ Omobranchus elegans (Steindachner, 1876)

★イダテンギンポ  O. punctatus (Valenciennes, 1836)

★トサカギンポ O. fasciolatoceps (Richardson, 1846)

★クモギンポ O. loxozonus (Jordan and Starks, 1906)

★カワギンポ O. ferox (Herre, 1927)

★ゴマクモギンポ  O. elongatus (Peters, 1855)

クレステッドブレニー O. anolius (Valenciennes, 1836) (豪州沿岸)

ヒルギギンポ属 Omox

★ヒルギギンポ Omox biporos Springer, 1972

クロギンポ属 Enchelyurus

★クロギンポ Enchelyurus kraussii (Klunzinger, 1871)

イエローフィンブレニー E. flavipes Peters, 1868 (西太平洋、南シナ海)

カラスギンポ属 Parenchelyurus

★カラスギンポ Parenchelyurus hepburni (Snyder, 1908)

マダラギンポ属 Laiphognathus 

★マダラギンポ Laiphognathus longispinis Murase, 2007

イソギンポ族・ナベカ族魚類の入手

▲釣りで入手できたイダテンギンポ

観賞魚店で販売されることは多くありませんがハゼやカエルウオ、ネズッポ、ジョーフィッシュなどのいわゆる「底モノ」に強いお店で販売されていることもあります。最近はオーストラリア方面から珍しいナベカ族の魚が来るなどしており、今後も海外からこの仲間の面白い魚が来るのではないかと考えると、わくわくしてしまいます。

購入するときに避けるべきなのは、鰭が溶けていたり、白点がついていたり、入荷したばかりの疲れている個体です。基本的には丈夫で飼いやすいものがそろいます。

またイソギンポやタテガミギンポ、ナベカ、イダテンギンポ、クモギンポといった種類は潮溜まりや防波堤での魚獲りで採集できることもあります。イソギンポはブイの下のイガイ帯や海藻についていたりします。イダテンギンポなどはカキのカラの中に潜んでいることもあります。

イソギンポ族・ナベカ族魚類の飼育に適した水槽

水槽

イソギンポは大きなものでは10cm近くなりますので、大きめの水槽が必要になります。水槽でも成長することを考えますと、45cm以上の水槽で飼育したいものです。大きい個体は60cm水槽か、それよりもさらに大きな45cmキューブ水槽が欲しくなることもあります。

ナベカなどであれば単独飼育ならば35cm水槽でも飼育可能ですが、複数種飼育ならば45cm水槽が欲しいものです。ナベカの仲間もそうですがイソギンポ科は同種同士で争うことも多く、同じ種を複数で飼育するならば60cm水槽が欲しくなります。

ろ過装置

イソギンポやナベカ族の魚を単独でなく他の種と飼育するケースが多いため、多くのろ材を入れられて生物ろ過を上手く進めるのに適した上部ろ過槽が一番です。もちろん外部フィルターなどのろ過槽も注意すべきポイントをきちんと理解した上で使用するならば問題ないでしょう。

水温

イソギンポもタテガミギンポもナベカも温帯性なのですが、国産の種は意外なほど高水温への耐性があるように思われます。25℃くらいで十分です。

ふた

イソギンポ族・ナベカ族の魚は、カエルウオ族の魚のようにピョンと飛び出すことはあまりないのですが、何かに驚くと飛び出す恐れがありますのでガラスフタをすることをおすすめします。

イソギンポ族・ナベカ族魚類の餌

イソギンポ、タテガミギンポ、ナベカ族、いずれも配合飼料をよく食べてくれます。あまり餌についての心配はしなくてよいでしょう。カエルウオよりも雑食・肉食傾向が強いようであまりこけを取ってはくれませんが、残り餌を食べてくれます。

カクレクマノミや遊泳性のハゼなどと混泳しているのであればそれらの魚に与える配合飼料をイソギンポ族やナベカ族の魚にいきわたるように少し多めに与えるだけで問題はありません。大事なのは「少し」ということ。大量に入れると残り餌が水を汚してしまいます。

他魚との混泳について

ハナダイ、遊泳性ハゼ、クマノミや小型スズメダイの仲間とであれば混泳はあまり問題ありませんが、あまりにも小さすぎる魚などは大きく育ったイソギンポの仲間に襲われることがあります。

イソギンポ族、ナベカ族の魚とカエルウオの仲間との混泳は、族がことなるためあまり深刻な争いは起きにくいといえます。逆に同種同士ではかなり争うので注意が必要です。もちろんカエルアンコウやハタ、ウツボなども良くありません。ウツボの仲間ではクモウツボは比較的温和なのですが、私はクモウツボにナベカ族魚類のクレステッドブレニーを食べられてしまった経験があります。推奨するわけにはいきません。

標準和名:クモウツボ 学名:Echidna nebulosa (Ahl, 1789) 分類:ウナギ目・ウツボ科・ウツボ亜科・アラ...

サンゴ・無脊椎動物との相性について

▲ヤドカリの仲間も一緒に飼えるけど…

甲殻類は一緒に飼育可能なものが多いですが、サンゴヤドカリなどは宿換え、あるいは脱皮の際にイソギンポなどに襲われることがありますので注意します。ケヤリムシなどゴカイの仲間はつつかれることがあり注意が必要です。逆にイセエビやオトヒメエビなど大型になる甲殻類の仲間と飼育するのは逆にナベカ族やイソギンポ族の魚が襲われることがあるため向いていません。

サンゴ・ライブロック・アクセサリーについて

▲貝の中に隠れていることもあります

サンゴやライブロック、貝殻を他の水槽に移すときには注意しないとこの仲間の魚を一緒に移動することになる場合がありますので注意します。とくにクモギンポなどは細いドジョウの様な体でにょろにょろと狭い隙間などに入ったりするので注意します。アクセサリーの中もチェックしないと、取り出して乾燥させているとクモギンポの干物と対面する・・・なんていうことが起こるおそれもありますので気を付けましょう。

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