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2021.01.31 (公開 2019.02.25) 海水魚図鑑

コウワンテグリの飼育方法~雌雄の判別・餌付け方法などご紹介

コウワンテグリ

コウワンテグリはサンゴ礁に生息するネズッポ科の海水魚です。雄は背鰭が大きくて目玉模様が3~4個あり、雌は背鰭が黒いのが特徴です。

性格はおとなしく、同種や近縁種を除きほかの魚をいじめることもありませんが、ほかの魚からいじめられるおそれがあるため、強い魚がいないような水槽で飼育するようにしましょう。サンゴにも無害なためサンゴ水槽での飼育にも適しています。ただし餌付けは初心者にやや難しく、ある程度飼育経験を積んだ中級者向けの海水魚といえます。

標準和名 コウワンテグリ
学名 Neosynchiropus ocellatus (Pallas, 1770)
英名 Ocellated dragonet
分類 条鰭綱・スズキ目・ネズッポ亜目・ネズッポ科・コウワンテグリ属
全長 8cm
飼育難易度 ★★★☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド
温度 25℃
水槽 45cm~
混泳 同種同士、とくに雄同士の混泳は避ける。おとなしいが活発な魚との混泳には向かない
サンゴとの飼育

コウワンテグリってどんな魚?

コウワンテグリ

コウワンテグリはスズキ目・ネズッポ科の魚です。ネズッポ科の魚はネズミゴチやトビヌメリなどがキス釣りなどで釣れることもあり、釣り人にはおなじみの魚といえます。

サンゴ礁に生息するネズッポの仲間は小型種が多く、本種も全長5~6cmほどの小型種です。斑紋は暗褐色の大理石模様で地味(ただし稚魚は背中が白っぽい)ですが、ユニークな泳ぎ方をするので人気があります。サンゴにつくヒラムシを食べるといわれますが、過剰な期待は禁物です。

雌雄の違い

ネズッポの仲間は雌雄で第1背鰭の形状や模様が異なっているものが多く、本種も例外ではありません。雌の第1背鰭が小さくて黒色、縁辺が白色という色彩なのですが、雄の第1背鰭非常に大きく3~4個の目玉模様があります。雌は背鰭の色彩からミヤケテグリの雌と間違えられることもありますが、体色が異なります。ミヤケテグリは赤みを帯びた色で、コウワンテグリは灰褐色の大理石模様です。

名前

販売名は色々あり、たとえば通販大手の「チャーム」や、英語圏では「スクーターブレニー」という名前で販売されていますが、本種はブレニー(ギンポ亜目)の仲間ではありません。比Fishbaseでは「Ocellated dragonet」という名称を採用しています。「眼の模様があるネズッポ」という意味で、雄の背鰭に因むようです。「Dragonet」は小さな竜のことをいいますが、ネズッポの仲間を指す英名としても広く使用されています。なお標準和名は産地によるもののようです。

コウワンテグリに適した飼育環境

水槽

小型水槽でも飼育できますが、初心者は最低でも45cm以上の水槽で飼育するようにしましょう。できれば水質が安定しやすい60cm水槽が理想的な選択といえます。

水質とろ過システム

きれいな水を好みます。できれば硝酸塩濃度の低い、サンゴが飼育できるような環境が理想的です。上部ろ過槽、もしくは上部ろ過槽と外部ろ過槽を組み合わせた強制ろ過システム、オーバーフロー水槽のサンプでろ過するシステム、あるいはベルリンシステムなどのナチュラルシステムがよいでしょう。ただしナチュラルシステムでは魚は多く入れられないので注意が必要です。

水温

22~26℃くらいの水温で飼育するようにしますが、朝は22℃、夜間26℃というのでは体調を崩してしまうおそれがあるのでよくありません。ヒーターとクーラーを使用して、常に水温をキープするようにします。理想は25℃前後です。

ライブロック

飼育をはじめてすぐのうちはライブロックを入れておくようにします。餌付いていないうちにライブロックを入れることで、小型のゴカイ類など、コウワンテグリによい餌が供給されます。

底砂

投げ釣りで釣れるネズミゴチほどではないようですが、コウワンテグリも砂中に体を埋めていることがあります。細かいサンゴ砂を水槽の底に敷いてあげましょう。

フタ

普段は海底を這うようにして泳ぐコウワンテグリですが、たまに水槽の上方まで泳ぐことがあります。この際に飛び出して死んでしまうおそれもあるので水槽にはフタをしておきましょう。

コウワンテグリに適した餌

海中では微小な動物(ゴカイなど)を捕食しています。動物食性で餌付けも楽勝!と思いがちですが、実際飼育してみると最初のうちはなかなか餌を食べてくれません。しかし慣らせば粒状の配合飼料を食べるようになります。浮かんでいるフレーク状の餌はこの仲間にはあまり適していません。最初のうちはおとなしい魚とだけ飼育するようにすれば餌付けがうまくいくことが多いように思います。スズメダイやヤッコなど、活発にぱくぱく餌を食べる魚との混泳だとうまくいかないこともあります。

沈降性の配合飼料を与えたり、「メガバイトレッド S」など浮遊するタイプの配合飼料に海水を加えて沈むようにするなど工夫して給餌しましょう。どうしても食べない場合は冷凍のホワイトシュリンプ(イサザアミ)コペポーダなどを海水で溶かすようにして解凍し、スポイトを使って海水ごと餌をコウワンテグリの眼の前に落としてあげます。スポイトを見せると逃げるような個体には、よくコウワンテグリが現れる場所に餌を撒いてあげます。

コウワンテグリをお迎えする

▲幼魚はきれいでかわいいが飼育しにくい

海水魚専門店ではよく見られ、比較的安価で販売されています。しかしコウワンテグリはやや飼育しにくい魚ですので、飼育しやすいスズメダイやハゼよりもしっかり個体を見る必要があります。

頭部が大きめで体がほっそりしている個体は痩せているので購入を避けるようにします。体に明らかな傷があるもの、皮膚や鰭にただれがあるもの、体や鰭に白点がついているもの、水槽の端などでじっとしていてあまり動いていないものなども購入を避けます。元気でよく底の方をはい回るように泳いでいるものや餌を食べているものを選ぶとよいのですが、お店で餌を食べていても水槽で餌を食う保証はありません。分布域はオーストラリア西岸から中央太平洋ですが、多くはフィリピン便やインドネシア便で入荷し、着状態がいまいちなこともあります。そのため入荷直後の個体も購入はさけたほうがよいでしょう。

サイズにも注意する必要があります。小さすぎるものや大きすぎるのもよくありません。小さすぎるものは頻繁に餌を与える必要があり、逆に大きすぎるものはなかなか餌付きにくいからです。小さい個体であっても魚が少なく、小動物がたくさんいる大型のサンゴ水槽であればある程度は生きられるようですが、それだけでは長期飼育はしにくいです。

分布域は伊豆半島以南の太平洋岸で、自分で採集することもできます。投げ釣りで釣れるネズッポ属の種とは異なり、岩礁混じりの場所でよく見られます。

コウワンテグリと他の生物との混泳

同種同士の飼育

大人しそうにみえるコウワンテグリですが、同種の雄同士ではよく争います。できれば単独か、雄1、雌1のペアで飼育するようにしたいものです。

ほかの魚との飼育

▲温和な魚と混泳させたい

ほかの魚に対してはおとなしい性格のため、混泳には注意が必要です。遊泳性ハゼや小型ハゼ、小型のカエルウオ、小型のハナダイなどが最適です。ゴンベの仲間、大きなバスレット(肉食性が強い)、スズメダイ、大型ヤッコやハギなど(気が強い)との組み合わせは避けるべきでしょう。コウワンテグリを飼育したいのであれば、できるだけコウワンテグリをメインにして、あとはおとなしい魚を組み合わせるようにします。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲サンゴ水槽での飼育に最適だが、サンゴの種によっては要注意

サンゴは概ね問題ないのですが、イソギンチャク系統の種(大型のディスクコーラル)やウチウラタコアシサンゴなどは避けた方が無難です。動きがほかの魚に比べて遅く、捕食されてしまうリスクが高いからです。甲殻類は小型魚を捕食するようなものは入れてはいけません。おとなしいサンゴガニ、小型のサンゴヤドカリなどが適しているでしょう。

コウワンテグリ飼育まとめ

  • キス釣りや天ぷらでお馴染みのネズミゴチと同じ仲間
  • 最初の餌付けがやや難しく海水魚飼育中級者向け
  • 雌雄で第1背鰭の斑紋が異なる
  • スクーターブレニーという英名があるがギンポ(ブレニー)の仲間ではない
  • 45cm以上の水槽で飼育する
  • 水温は25℃前後をキープする
  • ライブロックを入れておけば餌となる微小生物が水槽に供給される
  • 砂の中に潜ることもあるためサンゴ砂を敷くとよい
  • 飛び出しすることもあるためフタもしておく
  • 粒餌に水を含ませてスポイトなどで撒いておくとよい
  • 食べない場合はコペポーダやホワイトシュリンプなどの冷凍餌を与える
  • 傷やただれ、白点がある個体などは避ける。大きすぎ小さすぎの個体もよくない
  • 同種同士の混泳は避ける
  • 他種との混泳はおとなしい魚を選ぶ
  • サンゴには無害だが捕食されることも
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