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2020.03.24 (公開 2020.03.23) 水槽・器具

オーバーフロー水槽の循環ポンプ~絶対に値段だけでは選ばないこと

オーバーフロー水槽はサンプの水を水槽に注水し、水槽からあふれた水をサンプ(水溜め)におとしてその中でろ過やプロテインスキマーによる有機物除去を行い、ろ過された水を循環ポンプで持ち上げるシステムです。この循環ポンプがオーバーフロー水槽では非常に重要な役目を果たします。循環ポンプにはマグネットポンプと水中ポンプの2種類があります。はじめてオーバーフロー水槽を購入するときや比較的小型のオーバーフロー水槽であれば水中ポンプ、120cm以上の水槽であればマグネットポンプというように使い分けるとよいでしょう。ここではオーバーフロー水槽の循環ポンプの種類とその選び方についてご紹介します。

循環ポンプとは

オーバーフロー水槽をまわすためのポンプです。オーバーフロー水槽の水はフロー管を伝い落下し、サンプにたまります。このサンプにたまった水を循環ポンプを使ってくみ上げます。循環ポンプはオーバーフロー水槽の心臓部と言えます。このポンプになんらかのトラブルが発生して停止してしまえば、水が循環されず、水が汚れて魚やサンゴが死んでしまいます。ですからこの循環ポンプはよく考えて選ぶ必要があります。絶対に値段だけでは選ばないようにしましょう。

オーバーフロー水槽の循環ポンプの種類

オーバーフロー水槽の循環には、一般的に水中ポンプとマグネットポンプのどちらかが使用されますが、どちらも一長一短がありますので、水槽のサイズや状況にあわせて選択することになります。迷ったらお店の人に相談しましょう。

マグネットポンプ

▲筆者宅 大型オーバーフロー水槽メインポンプに使用しているレイシーRMD 551

マグネットポンプは陸上に置いて使用するタイプのポンプで、大型(120cm以上)オーバーフロー水槽ではこのマグネットポンプが使用されることが多いです。90cmオーバーフロー水槽であれば、このマグネットポンプを採用することも、水中ポンプを採用することもありえますが、120cm以上の水槽ではマグネットポンプの採用が多いです。

メリットはハイパワーであることはもちろんですが、ポンプ自体は陸上に置くことになるため水温の上昇が抑えられることがあげられます。デメリットは高価であること、音が気になること、実際に設置する際にサンプの加工を行う必要があることがあげられます。通常サンプに穴を開けて設置するのですが、場合によっては水漏れのおそれもありますので要注意です。オーバーフロー水槽を購入したお店にやってもらうのが一番よいでしょう。一旦設置してしまえば長くメンテナンスしなくても使用できるので、おすすめといえます。

レイシーマグネットポンプ RMD-551

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水中ポンプ

▲エーハイム製の小型水中ポンプ。パワーは低めで小型OFに最適

90cm以下の(比較的)小型オーバーフロー水槽には水中ポンプが採用されることがほとんどであり、それより大きな水槽であってもDC水中ポンプが人気の昨今では水中ポンプが使用されることも多いです。水中ポンプを使用するメリットはサンプに加工をしなくてもよいので水漏れの心配が少ないこと、比較的音が静かになることです。デメリットとしては水温を上げてしまうおそれがあること、定期的なインペラーのメンテナンスが必要になることなどです。また、マグネットポンプと比較するとパワーもやや低めです。なお、中には水中ポンプとしても、陸上ポンプとしても使えるものがあります。

パワーが低めな分水中ポンプはマグネットポンプと比べて安価ではありますが、値段だけで決めるということは絶対にしてはいけません。ECモールサイトで中国メーカーの極めて安価なポンプを購入したところ、生物に有害なグリースがべったりと塗られていた、とか、品質チェックもろくにしていないのか、それとも有名ブランドのポンプの検品除外品を販売しているのかわからないですが、全く動かなかったなんていうこともあります。エーハイム、ネワ(ナプコ)、リオ(カミハタ)など有名なブランドであれば問題はないと思いますが、使用する前によく洗浄することをおすすめします。

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ACポンプとDCポンプの違い

ACポンプ(交流ポンプ)

ACポンプは従来からある製品で、DCポンプよりも静音性や省エネという観点では劣り、多くのポンプはヘルツフリーでないなどの欠点もありますが、耐久性では圧倒的にこちらが優れています。ただしヘルツフリーでないものがほとんどで、引越・転勤が多いというアクアリストには向きません。主なものとしてはナプコから販売される各種ポンプ、シッチェシンクラ(エムエムシー企画)、リオ(カミハタ)などの水中ポンプや、レイシー(イワキ)、三相などから出ているマグネットポンプがあります。我が家の水槽で使用しているのもこのACポンプになり、海水魚水槽ではリオの水中ポンプを、サンゴ水槽ではレイシーのマグネットポンプを使用しています。

DCポンプ(直流ポンプ)

最近はこちらのDCポンプが人気といえます。省エネや静音性に優れており、ハイパワーです。しかしながら電子部品が多く使用されているので、ACポンプと比べるとどうしても耐久性は劣ってしまうようです。最近はDCポンプの中でも高耐久性をうたう商品が販売されていたりしますが、非常に高価です。ヘルツフリーでないACポンプと異なり、50Hz/60Hzどちらでも使用できるというメリットもあります。主なDC循環ポンプJebao DCポンプ(LSS研究所)や、ZOOX アルティメットアクアリウム DCポンプ(エムエムシー企画)などがあります。

ただ、オーバーフロー水槽の循環というものは、循環ポンプが停止してしまえば生物の死につながります。耐久性の低いものを水槽の心臓に使用するのはどうかと思います。はじめてオーバーフロー水槽を飼育するのであれば、マグネットポンプか、従来から使用されて実績あるAC水中ポンプがおすすめです。

水槽サイズに合わせた流量選択

▲リオプラス1100を250リットルのOF水槽のメインポンプにするのは困難。上位機種を推奨

一般的には「総水量(リットル)×回転数(回/時)÷60(分)」で、ポンプの揚水量が求められるとされています。回転数というのは水が水槽を回る(ろ過槽を通過する)かというもので、一般には毎時3~6回転くらいさせるのがよいといわれます。総水量180リットルのオーバーフロー水槽で毎時4回転させるのであれば、180×4÷60で、だいたい12リットル/分の揚水量をもつポンプが最適、となります(ただしメーカー公称値はあてにならないことも多いので注意)。

ただし注意したいことがあります。ポンプの先に殺菌灯やクーラーなどをつければ抵抗になってしまいます。また配管が曲がりくねった場合はそれも抵抗になりますので注意が必要です。できればワンランク上のものを購入するようにしたいものです。そんな抵抗がイヤという場合は、殺菌灯やクーラーを別のポンプで循環させる方法もあります。メインポンプに負荷はかかりにくくなりますが、その分水温の上昇を招くことがあるので注意が必要です。多少高価になっても、やはり実績のある、信頼できるショップにおまかせするのが一番です。

ポンプのメンテナンス

▲小型オーバーフロー水槽のポンプ。水中ポンプはこまめなメンテナンスが重要だ

常に水中に置いていて、デトリタスなどが詰まりやすい水中ポンプを使用するのならばとくにこまめなメンテナンスが重要です。3か月~半年に一度はインペラーを洗浄するなどのメンテナンスを行うようにしたいものです。インペラーが壊れたらポンプは動かなくなり、そうなってしまうと水が循環されなくなってしまうので、万が一の故障に備え、予備のポンプを持っておくくらいの対策はしておくべきかもしれません。私もオーバーフロー水槽の循環用に使用していた水中ポンプが突然動かなくなった、という経験をしていますが、その時は予備の水中ポンプ(現在使用しているリオプラス)を使用することでピンチを切り抜けました。

一方マグネットポンプは一度設置してしまえば、メンテナンスフリーで長期間使用することができます。ただ本体を軽く水拭きするなどのメンテナンスはした方が長く使うのに役立つでしょう。

まとめ-マグネットポンプと水中ポンプの比較

マグネットポンプのメリット

  • パワーがある
  • メンテナンスフリーで長期間稼働させられる
  • 水温の上昇を抑えられることも

水中ポンプのメリット

  • 音がマグネットポンプより静か
  • サンプに穴を開けなくてすむ
  • 比較的安価で入手もしやすい

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