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2020.12.04 (公開 2020.03.16) 海水魚飼育の基礎

旅行や留守中の海水魚水槽の扱い~アクアリストはどうしているの?

私は、四国や九州、沖縄など、全国いたるところへ採集に出かけています。そのような話をすると、驚かれることがあります。

「え、魚を置いて出かけるんですか?」

と。結論から言えば、1週間未満の短い旅行や出張であれば、魚を放置していても問題ないことが多いのです。今回の記事では海水魚を飼育している私がどうやって旅行へいくのか、そして旅行に行っている間の世話はどうするのかということをご紹介します。

海水魚を飼育していると旅行や出張にはいけないのか?

海水魚を飼育していると旅行や出張にはいけない、ということはありません。

実際に私も魚をおいて遠出をしたことは何度もあります。

うまく水槽が立ち上がって安定している、一般的な海水魚水槽では3泊4日くらいでは問題ないことが多いです。長期間留守にするわけでなければ、旅行に行くことができるのです。ただし1週間以上の長期の旅行や出張は難しくなることがあります。その場合、信頼できる熱帯魚店に預けるなどしなければなりませんが、それをやってくれるところは多くありません。

旅行前の心がけ

海水魚を飼育していると旅行へ行けないわけではないのですが、旅行の前に気をつけておくべきポイントというのがあります。

旅行直前に生体を追加しない

▲とくにイソギンチャクは要注意!

旅行へ行く直前に新しく生き物を追加してはいけません

これは新たに追加した生き物が、旅行に伴う留守中にどのような悪さをするかわからないからです。サンゴは接触した場合、強い毒をもったサンゴがダメージを与えることもありますし、イソギンチャクなどは留守の間に動き回るようなことがあればサンゴを毒で弱らせたり、オーバーフロー管に詰まったりして水槽を壊滅させるおそれもあります。旅行に行くときは飼育しているイソギンチャクの様子についてはとくにしっかり見ておかなければなりません。

サンゴは接着剤で固定しておく

▲サンゴが崩れないよう固定しておくのは大事

サンゴは接着剤で固定しておきましょう。サンゴがカニやヤドカリ、エビなどが餌を探したり、あるいはよじ登るなどして岩組から落下してしまうおそれがあるからです。このほか軽い地震でも落下してしまうおそれがあるので、旅行に関係なく、サンゴは常に、しっかりと接着しておきたいものです。

接着には専用の接着剤を使用します。プラモデルなどをつくるときなどに使う接着剤には有機溶剤が含まれていることが多く有害なので、かならずサンゴ用の接着剤を使うようにしましょう。おすすめはデルフィスの「ウォータージェル」です。同社からでている「クイックジェル」よりも硬化するのに時間はかかりますが、水中でも接着することができるのは大きなメリットといえます。

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冬季は要注意

冬は乾燥しやすくヒーターなどを使用していることもあり、水の蒸発が起こりやすいともいえます。最悪ヒーターが露出しても最近のヒーターは故障するくらいで火災が発生しにくいようにはなっていますが、水位が減少したり塩分が濃くなり魚の調子が悪くなったりすることもあります。近年は自動給水装置などもあり、そのようなアイテムを使用してもよいですがやり方を間違えるとサンゴなどが死滅してしまうこともありますので、必ずあらかじめ動作をチェックしたり使用方法を覚えておく必要があります。

旅行の直前に気を付けること・すべきこと

だれかに餌やりをしてもらえるか聞いてみる

留守中家にだれか家族がいるのであれば、餌をあげてもらうのが一番確実といえます。あらかじめ家族、もしくは同居している人にどの餌を何回、一度にどれだけの量を与えるのか十分伝えておきましょう。

旅行前に餌を与えすぎない

旅行中に魚が腹ペコになるからといって、旅行前に餌をたくさん与える、というのはやってはいけないことです。魚は餌を食べた後排せつを行うので、その排せつ物の量も増えたりしてしまい、あるいは食べ残しが出てしまったりして、水質の悪化を招きやすいからです。極力普段通り、もしくは普段よりも少なめをこころがけましょう。

水かえをするときは軽く

旅行中に水かえ、というのは通常はできませんので、旅行前には軽く水かえをしておくとよいでしょう。ただし「軽く」というのが重要で、がっちり水をかえるようなことはしないほうが無難です。がっちり水を大量にかえてしまうと、それによって万が一魚やサンゴに問題が起こっても留守中なので対応することができないからです。

二つのろ過装置を設置する

▲小型水槽に使用している二つの外掛けろ過槽

オーバーフロー水槽以外で海水魚を飼育している場合は、二つ以上のろ過装置を併用するとよいでしょう。これはろ過槽がトラブルなどで止まってしまうのを防ぐためです。とくに外掛けろ過槽はちょっとしたことですぐ止まってしまうので、上部ろ過槽などほかのろ過槽をつけるのが安心です。また上部ろ過槽を使用していても水の蒸発などにより停止してしまうことがあるので、保険のためにも二つのろ過槽を使うようにしたいものです。

ただし停電などが発生してしまったらどうしようもありません。通電するだけで簡単に復旧する投げ込み式ろ過器などをつけておくのも手です。

旅行時のお役立ちグッズ

タイマー

水槽の照明をつけっぱなしにしておくと、魚は夜間も眠ることができず、ストレスを感じてしまいます。またずっと水槽を照らすことになるので、水槽の壁面やガラス面にはコケが大量に発生してしまいます。逆に真っ暗だと魚は起きることができますが、サンゴにとってはよくありません。そのため、水槽の電気をつけたり、消したりしてくれるタイマーを使用するようにしましょう。

ただし、タイマーに接続してよい機材は照明と水流をつくるための水中ポンプだけです。循環ポンプやろ過槽、ヒーター、クーラーなどには絶対タイマーを接続してはいけません。循環ポンプやろ過槽が動かなくなるとろ過がなされなかったり、酸欠により魚が死んでしまうおそれがあります。ヒーターやクーラーにつないでしまうと水温が一定にならなくなりますので魚が病気になったり、死んでしまうことがあるからです。

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自動給餌器(オートフィーダー)

自動給餌器(オートフィーダー)は、自動で餌を与えてくれる便利なアイテムです。ただし取り付けるときに水槽上部にピッタリしたフタができなくなってしまうため、ハゼの仲間などを飼育しているときなどは注意が必要です。

いろいろなメーカーのものが販売されていますが、ジェックスやテトラ、エーハイムから販売されているものが間違いないでしょう。購入する前にはどこが販売しているかチェックしなければなりません(日本のアマゾンや、チャームなど日本国内のペットショップから配送されてくるのがおすすめ)。中国メーカーや検品落ち品を購入するよりは若干高くても日本国内から発送されてくるものを購入したほうが迅速かつ保証もしっかりしており安心です。

自動給水装置

冬季は水が蒸発しやすく、塩分は蒸発しないので海水の塩分が濃くなってしまうことがあります。その蒸発のときに役に立つのが自動給水装置です。

この装置にもフロート式や光センサー式などいくつかのタイプがあるのですが、トラブルが発生すると塩分が薄くなりサンゴなどに致命的な害を与えることもありますので、この装置を使う場合も自動給餌器同様、旅行の前にあらかじめ作動させて使用方法を覚えておく必要があります。

ニッソー 自動給水器水足しくん

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お役立ちグッズを使う際の注意

あらかじめ出かける何日も前に実際に作動させておき、動きなどをしっかりチェックしておきましょう。タイマーやオートフィーダーが不良品で餌が出てこないとか、タイマーの使い方がわからない、餌の量が多すぎた、なんていうトラブルをふせぐためです。

まとめ

  • 海水魚を飼育していると旅行や出張へいけない、ということはない
  • しかしそれでも注意しておくべき点がある
  • 旅行前には生体を追加しない
  • イソギンチャクは状態に要注意
  • サンゴは接着剤でしっかり固定する
  • 冬季は水分の蒸発に注意する
  • 誰かに餌やりをしてもらえるか聞いてみる
  • 旅行前には餌を与えすぎない。いつも通りか、やや少なめに
  • 旅行直前に水をがっちりかえない
  • 二つ以上のろ過装置を併用するとよい
  • タイマー、自動給餌器、自動給水装置などお役立ちアイテムもある
  • 旅行前にあらかじめ使って動作を確認しておくこと

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