海水魚飼育に最適な水温について考える

水温はアクアリストが直接目で見ることはできませんが、魚が生きていくのには大事な要素のひとつです。しかしながら魚によって好む水温は異なっており、好む水温が大きく異なるような魚は一緒に飼育することはできません。今回は魚ごとに適した水温を考えてみます。

サンゴ礁の浅瀬の魚

▲人気のカクレクマノミも浅瀬の魚

私たちが飼育するサンゴ礁の魚は多くがこのパターンになります。カクレクマノミ、スズメダイ、ナンヨウハギ、ヤッコの仲間の多くの種、ハゼの仲間の多くの種などは大体これに当てはまります。水温は大体25℃前後をキープしますが、大体22~28℃であれば健康に過ごせる種類が多いといえます。30℃くらいになると危険です。そのためクーラーをしっかりとつけておくようにしましょう。逆に水温が20℃を下回ることがないようヒーターも必要です。重要なのは年中クーラーとヒーターをつけておくことで、それにより水温を一定に保ちます。

なお、サンゴも浅瀬に生息するSPSやキクメイシ、各種ソフトコーラルなどはこの水温で問題なく飼育できます。

サンゴ礁の深場に生息する魚

▲ハナゴンベはやや深場にすむ(15~70m)

サンゴ礁のやや深場に生息する魚もアクアリストの飼育対象となっています。やや深場にすむ種、たとえば水深30m以深にみられるような魚、種を上げればハナゴンべなどハナダイの仲間、イトヒキベラの仲間、中型ヤッコ(ゲニカンの類、グリフィス、ブラバンほか)など。これらの種を飼育するのであれば25℃よりも22℃前後のほうがよいでしょう。またこれらの魚は水質もきれいなものを好み、そういう意味でも低めの水温のほうが飼育しやすいといえます(水温が高いと水質が悪化しやすい)。

なお、これらの種類はカクレクマノミなどとの飼育もできます。カクレクマノミと飼育するのであればカクレクマノミを23℃前後で飼育すればよいのです。25℃よりも23℃のほうが餌食いが悪くなるといわれることもありますが、その程度ではあまり餌食いが悪くなるといえません。ただし、もちろん26~28℃くらいで飼育しているものを一気に23℃の水槽へ移せば体調を崩してしまうことがあるので注意しなければなりません。サンゴ類は全般的にこの水温で飼育可能です。

日本近海の魚

▲メバルなどは高水温に注意

釣りで採集した日本の近海にすむ温帯性の魚を飼育しているアクアリストも多いといえます。しかしその中には高水温に耐性があるものとそうでないものがいます。前者はイソギンポ、コケギンポ、ナベカ、スズメダイ、クロダイ、イシガキダイ、メジナなどで、後者はマダイ、カサゴ、メバル類、ソイ類、ダイナンギンポ、キヌバリ、チャガラなどです。春の海に多く見られるような魚は高水温にはかなり弱いと考えてよいでしょう。このような魚は大体18℃、高くても20℃前後で飼育するようにします。また、「高水温に強い魚」といっても、一般的な海水魚を飼育するような25℃以上にはしないほうがよいと思います。

オーストラリア近海に生息する魚

▲ホワイトバードボックスフィッシュ

オーストラリア近海にもいろいろな魚がおり、珍しいものがいろいろ輸入されています。著名なのはヤッコの仲間はスクリブルドエンゼルやパソニファー、チョウチョウウオはタキゲンロクダイ、マージンドコーラルフィッシュ、ゴールドストライプバタフライフィッシュ、レインフォーズバタフライフィッシュ、タルマコーラルフィッシュなど。スズメダイ科ではオーストラリアンアネモネフィッシュ、バリアリーフクロミス、各種スケイリーフィン。そのほかではホワイトバードボックスフィッシュや、ハリセンボンの仲間のサザングローブフィッシュ、タナバタウオ科のフラフィッシュ、軟骨魚のポートジャクソンシャークやフィドラーレイ、そしてなんといってもシードラゴンなど、長くなりましたがオーストラリアは独特な種が多いのです。

ただしオーストラリアの魚といってもひとつの水槽で飼育することができるわけではありません。サンゴ礁の魚は25℃で飼育できる種類も多いのですが、南へ行くほど、つまり高緯度になるほど海は冷たくなり、その分冷たい海水を用意してあげたいものです。15℃前後と低めの水温で飼いたい種も多く、飼育したい魚はオーストラリアのどこの産なのか、そしてその海域はどのくらいの水温で飼育すべきなのか、調べてみるとよいでしょう。

ハワイ諸島の魚

▲ポッターズピグミーエンゼルは高水温に注意!

ハワイ諸島の魚もやや低めの22℃前後がよいとされています。キイロハギなどは25℃の水温でも飼育でき、より高水温でも飼えるようですが、ブラバン(やや深場にすむ)やポッターズエンゼル、各種チョウチョウウオは高水温に弱いように思われます。そのためしっかりとしたクーラーが必要です。またヤッコやチョウチョウウオは病気にかかりやすく殺菌灯をつけたくなりますが、殺菌灯は水温を上げてしまうのでより強力なクーラーが必要になるので出費が大きくなります。

カリブ海・西アフリカの魚

クイーンエンゼルことホクロヤッコ。きれいなやや水温低めの水槽で飼育したい種だ

カリブ海の浅い海に生息している魚も23℃前後で飼育したほうがよいとされます。ただしカリブ海産の魚でもロイヤルグランマなどは29℃の水温でも短期間であれば耐えられるようです。いつも25℃で飼育してもよいと思いますが、一部の種では色褪せなどの影響が出やすいです。クイーンエンゼルの色彩の維持が難しいのはもしかしたら水温によるものもあるかもしれません。

西アフリカはガーナなどから海水魚が来ます。種類は多くなく「アフリカヌス」ことウェストアフリカンエンゼルフィッシュ、特産種のチョウチョウウオであるロブストバタフライフィッシュ、マルセラバタフライフィッシュなどが代表的です。こちらも高水温は危険で22℃くらいの低めをキープしておきましょう。カクレクマノミなどと飼育するのであれば、カクレクマノミのほうを22℃に合わせます。

ダンゴウオなどの冷水性魚

ダンゴウオの仲間の飼育は低水温で行う必要がある

ダンゴウオは冬の海の天使と呼ばれるかわいい魚なのですが、カクレクマノミやナンヨウハギなど、熱帯性海水魚との飼育はできません。水温15℃以下を保つようにしなければ短命に終わってしまうからです。このほかスナビクニンなどもダンゴウオと同じくらいの水温を維持しなければなりません。餌は最初のうちはプランクトン、ヨコエビ、ホワイトシュリンプなどで、配合飼料にはなかなか餌付きません。

深海生物

▲深海生物は12~14℃ほどの水温で飼育したい

最近は深海性の魚も飼育されるようになりました。飼育できるものはハシキンメやキホウボウなどまだごくわずかなものですが、それでも一部の種は飼育されているのです。深海性の魚は非常に低い水温と安定した環境を好みます。水温は大体12~14℃であり、それより高いと弱ってしまう種類も多いのです。そのためクーラーも非常に高価な室外機タイプのものを使用するのがベストといえます。また非常に結露が発生しやすいので常にふき取るようにします。また厚いアクリル水槽で飼育することにより結露を抑えることもできます。

クーラーは最初から余裕のサイズを!

水温を安定させるのにはクーラとヒーターを一年中使用して安定させるのがベストなのですが、ヒーターは安価で手に入ることが多いものの、水槽を冷やすためのクーラーはまだまだ高価なものです。しかしここでケチって安いのを購入してしまうとなかなか冷えないなんてこともあります。日本において海水魚水槽のクーラーを購入するならゼンスイ、ジェックス、ニッソー(マルカン)、テコ(エムエムシー企画)、レイシーといったブランドの冷媒ガスで冷やすものを選ぶのが安心です。

とくにゼンスイはアクアリウム用のクーラーだけでなくいけす料理店や市場の活魚水槽の冷却システムまであり、適切な機種をチョイスすることにより、ほとんどの種類の魚を飼うための水温をつくることができます。筆者もZC-500を使用して水槽を冷却していますが、殺菌灯を使用したところやや水温が温まってしまいキャパオーバーになってしまっているかもしれません。そのため後から拡張することを考えてクーラーは最初からかなり余裕のあるものを選ぶことをおすすめします。

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水温の計測もしっかり

水温はできるだけ毎日水温計でしっかり見るようにしましょう。水槽用クーラーを25℃に設定しても30℃になっていて、調べたらクーラーがオーバーヒートしていた、なんていうこともあります。水温計はデジタルのものとアナログのものがあります。デジタルのものは大きく見やすいところがありますが、アナログのものよりも高価で、電池が必要、水に落としたら壊れてしまいます。アナログのものは電池が不要ですが割れるおそれがあるなど、どちらもメリットとデメリットがあります。

まとめ

  • カクレクマノミなどサンゴ礁の浅瀬の魚は25℃前後で飼育する
  • ハナダイなどサンゴ礁の深場のものは22℃前後がよい
  • 日本の温帯産の魚で高水温に弱いものは20℃くらいがよい
  • オーストラリアの魚は地域により好む水温が違うので注意!
  • ハワイ産やカリブ海、西アフリカ産は22℃前後がよい
  • ダンゴウオなどは水温15℃くらいを好みカクレクマノミとは飼えない
  • 深海性の生物は12~14℃で飼育する
  • クーラーのサイズは余裕をもって
  • あとから殺菌灯などを使うことも考えよう

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