モンガラカワハギの飼育方法~初心者に人気だが混泳は不可

モンガラカワハギはその派手なもようから人気がありそうな海水魚です。「人気がある」のでなく「人気がありそうな」としたのは、この種は実は経験を積んだアクアリストからの人気がいまいちな魚だからです。なぜかというと、やや大きくなること、強い歯でサンゴやライブロック、最悪の場合コードをかじってしまうおそれがあること、性格が非常にきつくほかの魚を入れるのが難しいことがその理由です。しかしながら今でもこの魚を飼ってみたいというアクアリストは初心者を中心に多いようです。今回はこのモンガラカワハギの飼育方法をご紹介します。

標準和名 モンガラカワハギ
学名 Balistoides conspicillum (Bloch and Schneider, 1801)
流通名 ホンモンガラ
英名 Clown triggerfishなど
分類 フグ目・モンガラカワハギ科・モンガラカワハギ属
全長 40cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 25℃前後
水槽 120cm~
混泳 成魚は同種を含めほかの魚との飼育は難しい
サンゴとの飼育 不可

モンガラカワハギって、どんな魚?

モンガラカワハギはフグ目モンガラカワハギ科に含まれる魚です。カワハギ、と名前についてはいるのですが、カワハギとはやや異なる仲間で、背鰭に3棘があり(カワハギでは2棘)、体には大きな鱗がある(カワハギでは微小)のが特徴です。色彩的には腹部の大きな白色斑、背中の黄色い模様、口の周辺の黄色がカラフルです。インド―太平洋域の熱帯・亜熱帯のサンゴ礁に生息し、カワハギの大部分の種よりも大きく、全長40cmくらいになり、最大で50cmくらいになるといわれています。

カワハギとは異なり、モンガラカワハギは食用としてはあまり使用されません。これは内臓が毒化するおそれがあったり、シガテラ毒を有する可能性があるからです。モンガラカワハギ科の一部の種、たとえばキヘリモンガラやゴマモンガラ、オキハギなどの種は刺身、煮つけで食べられ美味ですが、これらも肝臓などの内臓は食用にされていないようです。

モンガラカワハギの仲間の英語名は「Triggerfish」(引き金の魚)です。これは背鰭の特徴からきています。危険が迫ると岩穴などに逃げ込み背鰭と腹鰭の棘を立てて引きずり出されないようにして身を守るのです。本種はその中でもClown triggerfishと称されます。Clownとは道化師のことで、体側の変わった模様からついたのでしょう。

モンガラカワハギの仲間

▲ムラサメモンガラ

モンガラカワハギの仲間は(同定が不確実なものも含め)世界から43種が知られています。うち日本には24種が分布もしくは報告されています。モンガラカワハギ同様、カラフルなものや面白い模様を持つものが多く、どの種も観賞魚として人気がありますが、気性が荒い種も多く、ほかの魚との混泳には向いていない魚といえるでしょう。また種類によっては幼魚と成魚の色彩変化を楽しむことができるようなものもいますが、そんな種は大型化して歯もつよくなるため取り扱いには注意が必要です。なお、ほかのモンガラカワハギの仲間と区別するために種の標準和名でモンガラカワハギと呼ばれるものは「ホンモンガラ」の名前で流通することもあります。

取り扱い注意

意外と強い歯を有するので取り扱いに注意

モンガラカワハギは大きな歯と強い顎を有しており、かまれるとケガをするおそれがあります。また尾柄付近にも棘列がありますので、できるだけ素手や網でつかんだりせず、水ごとプラケースやバケツなどで掬ったほうがよいでしょう。本種に近縁なゴマモンガラは歯が強くかまれると危険ともされます。

モンガラカワハギ飼育に適した環境

水槽

▲コーラルタウンのオーバーフロー水槽で飼育されているモンガラカワハギ

水槽はアクリル水槽のオーバーフロー水槽をおすすめします。筆者はこれまでガラス製の水槽をすすめ、また一般種についてはオーバーフロー水槽でなくても飼育できるということを記述していますが、モンガラカワハギの仲間に限ってはアクリル製のオーバーフロー水槽を強くすすめます。それにはいくつかの理由があります。

大型になる

モンガラカワハギは自然下では全長40cm、飼育していても30cm近くにはなります。そのため水槽も大きいものが欲しいところです。最低でも90cm、できれば120cm水槽を用意してあげたいところです。またこのようにある程度大きくなる魚は排せつ物の量も多く、しっかりとしたろ過槽も必要になってきます。そのため、オーバーフロー水槽が最適といえるのです。

ヒーターなどのコードをかじる恐れがある

モンガラカワハギは強い歯と顎をもち、かまれると危険なのですが、さらに厄介なことに、何でもかじるというクセをもっています。ライブロック、サンゴはもちろん、個体やサイズによってはヒーターやコードなどもかじってしまうおそれもあります。そうなると最悪の場合火災などの危険もあります。そのようなことを防ぐためにコード類やヒーターを収容できるサンプのあるオーバーフロー水槽がモンガラカワハギの飼育に最適であるということがいえます。

ガラスを割ってしまうこともある

モンガラカワハギはまだそれほどでもないのですが、この仲間には卵を守っていたり、驚かせたりすると突進してくるような種類もいます。そのような種類はガラス水槽を突き破ってしまうこともあり、十分注意する必要があります。

水質とろ過システム

モンガラカワハギはあるていどの水質低下には耐えられる強い魚ですが、できるだけきれいな水で飼育してあげたいものです。ただし、上記の理由から、ろ過システムの選択肢は基本的にオーバーフロー水槽一択となります。なお、サンゴとは一緒に飼育できず、排せつ物の量も多いためベルリン水槽で飼育するのは困難ともいえます。魚を飼育するために、サンプに生物ろ過槽をこしらえた強制ろ過で飼育するべき魚といえるでしょう。

水温

モンガラカワハギは熱帯域に多い魚ですので25℃前後で飼育するようにしましょう。幼魚はやや深い場所にいるといいますが、それでも水温25℃で飼育できます。重要なのは水温が一定であることで、一定の水温を保たないと病気になってしまったりすることもあるからです。

モンガラカワハギ飼育に適した餌

モンガラカワハギは雑食性ですが主に甲殻類やウニなどを食べ、付着生物や藻類なども食べます。また小魚も捕食したりすることがあります。甲殻類やウニなども与えたら喜んで捕食するでしょう。ただし餌の与えすぎで水を汚すことのないように注意します。配合飼料にもよくなれ、粒状の餌もよく食べますが、できれば成長に伴い、餌の粒のサイズを変えてあげるのがベストといえます。

モンガラカワハギをお迎えする

モンガラカワハギの選び方

モンガラカワハギは海水魚店で販売されていますが、最近はサンゴ水槽全盛期であり、魚についてもスズメダイの仲間を除くとほかの魚と混泳できるような魚が人気です。そのためモンガラカワハギは一般的なヤッコやクマノミなどと比べ、あまりお店では見なくなった種類といえます。また人気は模様が細かくてかわいい幼魚に集中し、大きな個体はあまり販売されることがありません。

購入する時の注意点としてはゆったりおよいでいる、鰭のきれいなものを選ぶようにします。また鰭が妙な色をしていたり、鰭や体表に白い点がついているもの、体高がなく細長い形をしているもの、背肉が落ちている(やせている)などは購入するのを避けたほうが賢明でしょう。もちろん入荷してすぐの個体の購入も避けたほうがよいでしょう。

成魚は相模湾以南で採集できますが、キヘリモンガラやゴマモンガラ、ツマジロモンガラ、ムラサメモンガラの類とは異なり、タイドプールなどの浅瀬ではまず見られない魚です。そのためある程度潜れる人でないと本種を採集するのは難しいといえます。また、釣りで採集することもできますが、飼育できるような状態の個体が多いわけではありません。銛やヤスを使った「突き漁」で採集すると確実に死んでしまうため、これもいけません。

モンガラカワハギの病気対策

▲殺菌灯は確かに病気の予防効果があるものの万能ではない

モンガラカワハギもフグ目の魚で病気にかかることがあります。体表や鰭に細かい白い点(原生生物)のつく白点病にかかることもあります。薬浴して治療しますが、その前に病気にかかりにくいようにします。定期的な水かえを行い、常にきれいな海水で飼育し、水温も一定に保つように心がけます。病気予防といえば「紫外線殺菌灯」を思い浮かべますが、その以前に基本的なことをしっかりすることが大事なのです。

ほかの生物との関係

ほかの魚との混泳

▲小さなうちはまだよいのだが

水族館の水槽ではほかの魚と飼育されているケースも多いのですが、これは水族館の水量は家庭水槽の水量とは比べ物にならず、かつほかにも大きく強い魚が多く泳いでいることがほとんどです。したがって家庭の水槽ではほかの魚との混泳は困難であると考えましょう。小魚はばりばり食べますし、ある程度大きな魚でも体表や鰭などをかじったりしてしまうので、混泳には向いていないといえます。小さいうちはほかの魚との混泳もできなくはないのですが、モンガラカワハギが成長するに従い確実に水槽が増えていくでしょう。そのため持て余してしまうこともあります。そうなっても海に逃がしたりせず、観賞魚店に引き取ってもらうようにしましょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

モンガラカワハギは造礁サンゴやソフトコーラルさえかじってしまうのでサンゴ水槽での飼育はやめたほうがよいでしょう。またカニやエビなどの甲殻類、ウニや貝類なども好んで食べてしまうのでそれらの無脊椎動物との飼育は無理といえるでしょう。

モンガラカワハギ飼育まとめ

  • モンガラカワハギ科の魚でカワハギとはやや異なる仲間
  • サンゴ礁に生息しカラフルな色彩が特徴
  • 性格がきつくほかの魚との混泳は困難
  • 水槽はアクリル製のオーバーフローが最適
  • コードをかじることがあるのでそれらはサンプにおさめたい
  • 水質低下には比較的耐性があるが病気に注意
  • 餌は配合飼料もよく食べる
  • やせているものや鰭などに白い点がついているものなどは避ける
  • 綺麗な水と一定の水温で病気を予防したい
  • 小さいうちはほかの魚とも飼えなくはないがそのうち別水槽が必要になる
  • サンゴ水槽や甲殻類との飼育も不可

取材協力

コーラルタウン

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