海水魚飼育初心者がナマコを飼育すべきでない理由

ナマコはイモムシのような姿をしており、磯遊びの際もよく見ることができます。ベルリンシステムでは砂を攪拌したり砂中の有機物を捕食してくれます。しかし、ナマコは傷ついたり死んでしまうと強い毒のサポニンを水中に放出すしてしまいます。このような事故は水流ポンプなどに挟まれたり、岩組が潰されることにより起こることがあるので、サンゴ水槽で発生する可能性があります。サポニンを出したら大量の水かえが必要であるなど対応しにくい面もあり、初心者が飼育できる生きものとはいいにくいです。

ナマコって、どんな生き物?

サンゴ礁の浅瀬にすむイカリナマコの仲間

ナマコは棘皮動物門・ナマコ綱に属する生物の総称です。多くの種がイモムシのような形をしており、一部オオイカリナマコなどはヘビのように細長いです。骨格や殻はなく、体中に骨片が散らばっていて体は同じ棘皮動物であるウニと比べて柔らかく、深海性の一部の種は寒天状の体をもっています。高い水圧に耐えられるようにするためでしょうか。ナマコの仲間はみな海産で、淡水域には見られません。生息域は浅い潮溜まりから水深数1000mの深海にまでおよび、深海のユメナマコなどは活発に遊泳するという特徴もあります。

観賞魚店で購入できるものはリュウキュウフジナマコ、アカミシキリ、クロナマコ、ニセクロナマコ、ジャノメナマコ、シーアップルという名前で呼ばれるアデヤカキンコの類などで種類はそれほど多くはありません。ナマコは大きさもさまざまで、大きいものではオオイカリナマコのように3mにもなるものがいます。

棘皮動物とは

▲ヒトデもナマコ同様棘皮動物。写真はイトマキヒトデ。

▲アメフラシはナマコの仲間ではない(軟体動物門・腹足綱)

棘皮動物門の生物はナマコの仲間のほかに、ウニ類・ヒトデ類・クモヒトデ類・ウミシダ類・ウミユリ類などが知られています。ウニ類は明瞭な「殻」をもち、その周辺が棘で覆われています。ヒトデの仲間は5本やそれ以上の「うで」をもち、小さな管足で移動することができます。クモヒトデはヒトデの仲間のようにも見えますが「うで」の部分がヒトデよりも細くて長いのが特徴的です。

なお、ナマコと勘違いされやすい生物としてウミウシの仲間がいますが、ウミウシの仲間は軟体動物門・腹足綱と呼ばれるグループで、簡単にいえば「(外見上)貝殻をなくした巻貝の仲間」といえます。

人間とのかかわり

ナマコは人間にとっては食用になります。塩乾品が有名で、とくにマナマコの類は密漁が横行するほど人気の食材であり、マナマコの内臓を使った珍味「このわた」も有名です。棘皮動物はナマコのほかにも食用になるものが多く、ウニの仲間は食用になるほか、イシダイ釣りの餌としての需要もあります。ヒトデの仲間も食用になりますが、一部の地域で食べられる程度です。中にはトゲモミジガイのように強い毒(フグ同様のテトロドトキシンとされる)を持っているものもあり、そのような種は食用にはしてはいけません。

ナマコとくらす生物

ナマコとくらす魚にカクレウオという魚が知られています。カクレウオの仲間はナマコの腸の中にもぐりこむという奇妙な習性をもっていますが、種類によって宿主はやや異なるようで、中にはシンジュカクレウオのように二枚貝を宿主とするものや、シロカクレウオのようにヒトデ類を宿主とするもの、オニカクレウオのように自由生活をおくるものなども知られています。このほかナマコマルガザミなどのカニもナマコについていることがあります。

ベルリンシステムとナマコ

▲ベルリンシステムで飼育されているナマコ

ナマコはベルリンシステムでもよく飼育されていた生物です。ナマコは砂中を攪拌し有機物を食してくれ、「掃除屋さん」として最適な生物だからです。しかし、後述の理由から最近はナマコを入れないこともあります。マガキガイなどソデボラ類の巻貝や、ミズタマハゼやオトメハゼといったベントス食性ハゼに底砂を攪拌させることが多いといえます。

初心者アクアリストがナマコを飼育すべきでない理由

さて、そんなナマコですが、マリンアクアリウムを初めたばかりの初心者にはナマコの飼育はおすすめできません。その理由は一つですが、極めて重要な理由です。

強毒をもつ

▲水槽のガラス面を歩くナマコ

ナマコの仲間はどの種も「サポニン」という強い毒を持っています。ナマコは基本的には丈夫な生き物で、砂を攪拌して中の有機物を食べたり、底のほうを這いまわったり、あるいはサンゴ岩の中にかくれていますが、水槽の壁面についていることもあります(写真)。そして事故が起こることがあります。

サンゴ水槽に水流をうみだすための水流ポンプやパワーヘッドなどに吸い込まれて体の一部が傷ついたり、あるいはちぎれてしまい、それにより毒が放出されるという事故がよくきかれます。またパワーヘッドだけではなく、岩組が崩れてナマコがつぶれたというときにも同じようなことが起こるようです。

このサポニンは魚にとっては致命的な毒です。サンゴにとってはまだ猶予があり対処できますが魚が死んでしまい、腐敗がすすむと、当然水質も一気に悪化してしまうので、水質の悪化に弱いサンゴにとってもよくないことは確実です。ナマコが死にそうなときはすぐにナマコを水槽から出し、魚は別にきれいな海水を張った水槽に即刻避難させなければなりません。このようなことに対する対処方法が初心者には難しい面もあり、ナマコは初心者にもおすすめ!というわけにはいかないのです。

キュヴィエ管

ナマコは外敵に攻撃されたりすると、キュヴィエ管(キュヴィエ氏管・キュビエ氏管・キュビエ器管とも)を出します。ナマコをつついたりしたときに細く白い糸状の器官を出して身を守ります。これが手につくとなかなかとることができず、扱いには注意が必要です。水槽でも攻撃されたりするとキュヴィエ管を出すことがあり、注意しなければなりません。チョウチョウウオやベラなど、ナマコを攻撃するような魚とは一緒に飼育しないようにします。またヤドカリやカニなどにもいじめられていないかチェックしましょう。

ナマコ飼育まとめ

  • イモムシみたいな体をしているがウニやヒトデに近い棘皮動物の仲間
  • アクアリウムではリュウキュウフジナマコやアカミシキリ、クロナマコなどが流通する
  • ベルリンシステムなどで砂を攪拌したり有機物を食べてくれる
  • 死ぬとサポニンと呼ばれる強毒をだし魚を死に至らしめる
  • 水流ポンプで傷ついたり岩組が崩れてナマコがつぶれると悲劇が起こりやすい
  • ナマコが死にそうなときはナマコを即刻水槽から出す
  • 白い糸状のキュヴィエ管を出すことも

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