カサゴの仲間の基本的な飼育方法~混泳・毒に注意

ミノカサゴは鰭が大きく鮮やかな体色をもち、アクアリストに人気があるグループです。鮮やかな体色のミノカサゴの仲間のほか、岩に化けて動かぬオニダルマオコゼや、ユニークな形のボロカサゴなど、フサカサゴ科の魚類はユニークなものが多く知られています。

しかしこれらのカサゴ類、扱い方を間違えると飼育者が落命する危険のある種を含みます。どのようにして扱えばよいのか、どうすれば上手く飼育できるのかをまとめました。

カサゴの仲間の分類

カサゴの仲間は、スズキ目カサゴ亜目に含まれる魚のことを指します。カサゴ亜目は従来はカジカ亜目およびセミホウボウ亜目とともに「カサゴ目」を形成していましたが、現在は「カサゴ目」は単系統ではないとされ、スズキ目のなかに入れられています(もっともスズキ目も単系統ではないといわれていますが)。

観賞魚として人気があるミノカサゴの仲間も含まれますが、メバル科・キチジ科・オニオコゼ科・コチ科・ホウボウ科の魚は食用魚としてもよく知られており、ミノカサゴも定置網や刺し網などで漁獲され西日本では食用にされ美味です。

今回は主にカサゴ亜目のなかでも、フサカサゴ科・メバル科・オニオコゼ科・ハオコゼ科などの含まれるグループの飼い方を中心にご紹介し、ホウボウ科やコチ科などは除外します。これらの魚も機会があればまたご紹介します。

カサゴの仲間に適した環境

水槽

▲小型種は小型水槽でも飼育可能

カサゴの種類にもよります。背鰭や胸鰭を大きく広げる姿が魅力的なミノカサゴの仲間は単独飼育であっても90cm以上の水槽で飼育したいものです。逆にイソカサゴ属やマダラフサカサゴ属の小型種は、45cmほどの小型水槽で終生飼育可能です。

ろ過槽

カサゴの仲間は外部ろ過槽と上部ろ過槽の組み合わせや、外掛けろ過槽と外部ろ過槽の組み合わせなどでも飼育できますが、外掛けろ過槽や外部ろ過槽の単独使用はおすすめできません。パワーが不足していたり、酸欠に陥りやすかったりするからです。

90cm以上の大型水槽ではオーバーフロー水槽を選択し、サンプ(水溜)でろ過する方法がおすすめといえます。大量のろ材容量を確保でき、酸欠に陥るリスクも減らせます。またサンプの部分で生き餌をストックしておくことも可能です。

水温

▲温帯域にすむメバルは20℃ほどの水温で飼育したい

一般的なサンゴ礁に生息するミノカサゴやオニカサゴの仲間などは25℃前後をキープします。メバルやカサゴなど温帯性種は20℃前後を保ちます。25℃では調子を崩してしまうこともあります。

最近は深海魚ブームの中で、深海に生息するユメカサゴなどの魚も販売されていますが、そのような種は10℃以下で飼育するようにした方がよいようです。

ハチ科のハチや、オニオコゼ科の魚の中には砂の中に潜る種も多く、パウダー状の底砂を若干厚めに敷いてあげるようにしましょう。ミノカサゴの仲間は底砂がなくても飼育できます。

ライブロックとサンゴ岩

ライブロックやサンゴ岩は小型のイソカサゴの仲間や、マダラフサカサゴの仲間を飼育するときに隠れ家として利用できるように多数入れておきます。ただしあまり複雑に組みすぎると観察できなくなります。

オニオコゼの仲間など砂に潜る種を飼育するときには、ライブロックやサンゴ岩が崩れてしまわないように注意しましょう。

カサゴの仲間の毒

フサカサゴ科やハチ科、ハオコゼ科、オニオコゼ科、イボオコゼ科など、この仲間の多くの魚類は鰭の棘に毒を有しており、鰭棘に刺されてしまうと痛い思いをします。

中にはオニダルマオコゼの仲間のように、刺されると人命にかかわるようなものもいます。刺されたらお湯につけると痛みが和らぎますが、痛みが続くようならば病院へ行きましょう。

カサゴの仲間の体

背鰭

▲サツマカサゴの背鰭棘、毒があり刺されると激しく痛む

多くの種類が10数本の棘条と、やはり同じくらいの数の軟条からなります。ミノカサゴやハオコゼ、ハチ、オニカサゴなど多くの種はここに毒をもち、刺されると痛みます。特にオニダルマオコゼの背鰭棘に刺されて死亡した例もあり気をつけなければなりません。

胸鰭

▲キリンミノ。胸鰭は派手だが毒棘はない。

カサゴの中でも「ミノカサゴ亜科」と呼ばれるグループは非常に大きな背鰭と胸鰭をもっています。ハチ科のハチやオニオコゼ科の多くの種は胸鰭の下部に遊離した軟条をもっています。胸鰭には棘がなく、毒はありません。

頭部の棘

▲大きな涙骨棘をもつハオコゼ(矢印)。刺されて痛い思いをした。

頭蓋骨にもたくさんの棘があります。この頭蓋骨の骨の様子などが同定に重要とされる種も多いので、わからないフサカサゴ科の魚類を採集したときには、ちゃんとこれらの棘も見る必要があります。

この棘に毒があるかどうかは不明なのですが、刺されるとかなり痛む種類もいるので気をつけなければなりません。とくにハオコゼの仲間は涙骨に非常に大きな棘があり、これに刺されると痛みを伴うこともありますので、注意が必要です。

実際に高知でネッタイミノカサゴを採集。

皮膚

▲イボオコゼ科のアブオコゼの体表。手ざわりはベルベットのよう。

メバル科やフサカサゴ科の魚は細かい鱗に覆われていますが、イボオコゼ科の魚のように鱗が変化した絨毛状の突起で覆わているものや、ハオコゼやオニオコゼなどのように鱗がない種類もいます。

ボロカサゴの仲間はあまり動かないので、皮膚に海藻や様々な付着物がついていることがあり、そのようなものを落とすために定期的に脱皮をすることが知られています。

カサゴの色と模様

▲岩に擬態するサツマカサゴ

カサゴの仲間は赤褐色や茶褐色の色彩や複雑な模様をしたものが多いです。これは海底の岩に擬態するのに役に立っていると思われます。つまり、他魚に気づかれないようにひそみ、寄ってきた魚を捕食するわけです。サツマカサゴやオニダルマオコゼなど、じっとしていると本当に岩のようにしか見えません。

皮弁

▲ネッタイフサカサゴの頭部。矢印は皮弁。

とくにフサカサゴ科の魚は、頭部に皮弁がついていることが多くあります。この皮弁は色や模様と同様に、海底の岩に化けるのに役に立っているようです。皮弁の大きさや色彩などには同じ種類でも若干の差があるようです。

カサゴの仲間に適した餌

▲餌に最適な小型のテナガエビの仲間、スジエビモドキ

カサゴの仲間は慣らせばクリル(乾燥させたオキアミ)などの餌も食べてくれるのですが、最初からそのような餌を食べてくれるような種類は決して多くありません。まず最初のうちは生きた餌を与える必要があります。

餌に適しているのは小型のテナガエビの仲間です。本州太平洋岸の磯であればどこにでも生息するような種類で、磯採集のときに入手できます。イソスジエビ、スジエビモドキ、スネナガエビ、イッテンコテナガエビなどの種類がおり、特にスネナガエビなどは餌用として安価に販売されています。入手したら別にバケツか、オーバーフロー水槽であればサンプなどでストックしておきましょう。

魚類であればドロメ、アゴハゼなどのハゼ類やボラ類がおすすめです。スズメダイの仲間は骨や背鰭の棘が硬くて餌としてはあまり適していません。もちろんフグやコバンハゼ類などの毒がある魚は絶対に与えてはいけません

よく「キンギョを与える」などの記述もありますが、キンギョは海水魚の餌には適していないので止めた方がよいでしょう。

カサゴの仲間の混泳

▲同種間で混泳可能な種もいる

カサゴの仲間との混泳が難しいのはハゼの仲間や小型のカエルウオです。個体サイズにより異なりますが、これらの種はカサゴの餌食になってしまうことがあります。

同じように大きくなるヤッコやベラ、バスレットの仲間のとは飼育も可能なものが多いです。カサゴの仲間は同種では激しく争うものもいますので、同種を避け、同じくらいの大きさの魚をそろえれば混泳は可能です。ただし大きめの水槽が必要になるので注意が必要です。

サンゴ・無脊椎動物との相性

カサゴの仲間はサンゴにいたずらをすることはないのでサンゴ水槽での飼育も可能です。ただしミノカサゴの仲間のように大きく胸鰭を広げるような魚には狭すぎるかもしれません。

なかにはカスリフサカサゴなどのように、枝状のサンゴの中に生息している種もいます。このような魚をサンゴ水槽で飼育しても楽しいでしょう。ただしコバンハゼなどのように粘液毒を出す魚との混泳は食べてしまう恐れもあるので避けたほうがよいでしょう。イソギンチャクは魚を食べてしまうことがあるのであまりおすすめしません。

エビの仲間はカサゴの仲間の大好物ですのでクリーナーシュリンプ以外のエビと入れることはできません。種類やサイズによってはクリーナーも餌にしてしまう恐れがあります。

カサゴの仲間の飼育まとめ

  • カサゴ亜目にはミノカサゴ、ボロカサゴや食用のメバルなど多くの種類が含まれる
  • ミノカサゴなど大型種は90cm水槽で飼育したい。オーバーフロー水槽が便利
  • 熱帯性種は25℃
  • メバルなど温帯性種は20℃
  • 深海のユメカサゴなどは10℃前後
  • オニオコゼやハチなどは砂に潜るので砂を敷く
  • ライブロックなどの隠れ家を用意
  • 背鰭などの棘に毒があるものが多い。涙骨棘にも注意
  • 最初から配合餌を食べることはない。生き餌を用意
  • 毒魚やキンギョなどは与えてはいけない
  • 種類によっては同種同士の混泳も可能
  • 口に入る魚は食べてしまうため注意
  • サンゴには無害

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