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2020.10.07 (公開 2020.10.07) 海水魚図鑑

ナンヨウミドリハゼの飼育方法~緑がきれいなピグミーゴビーで混泳は注意

ナンヨウミドリハゼは、南日本の太平洋岸や琉球列島のサンゴ礁に生息する小型のハゼ(ピグミーゴビー)です。その名の通りの緑色がきれいなハゼです。しかし全長3cmほどと、非常に小さいハゼなので、混泳には注意が必要です。今回はナンヨウミドリハゼの飼育方法をご紹介します。

標準和名 ナンヨウミドリハゼ
学名 Eviota prasina (Klunzinger, 1871)
英名 Greenbubble dwarfgoby
分類 スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・イソハゼ属
全長 3cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 コペポーダシグマグロウBなど
温度 25℃
水槽 35cm以上
混泳 ほかの極小サイズの魚との混泳にとどめたほうがよい
サンゴ飼育 おおくのサンゴと飼育できるがイソギンチャクは避ける

ナンヨウミドリハゼって、どんな魚?

ナンヨウミドリハゼはハゼ科イソハゼ属のハゼで、その名の通り鮮やかな緑色が特徴的なハゼです。イソハゼの仲間はよくにたシマイソハゼ属やベニハゼ属とならび、ハゼの仲間でもとくに小型の部類に入ります。種類数も非常に多いのですが入荷する種類はそれほど多くはありません。しかしナンヨウミドリハゼについては沖縄便を扱うお店であれば比較的入ってくる種類といえます。イソハゼ属の種類は非常に多く、そっくりなものも何種かいます。とくにミドリハゼやミナミイソハゼなどは本種によく似ています。本種は内湾からサンゴ礁域に広く見られ、タイドプールにもいるなど、小さい体ながら幅広い環境に適した魚といえるでしょう。なお鰭には雌雄で差があるようで、雄の第1背鰭は少し伸びています。

ナンヨウミドリハゼ飼育に適した環境

水槽

大きな水槽で飼育すると、水槽に入れてもどこへ行ってしまったかわからない、なんていうこともありますので、小型水槽が最適です。クロスミニや、グラステリアAGSなど小型オーバーフロー水槽で飼育するのもよいでしょう。ただし水槽のフタはしっかりしめるようにしましょう。なお、この水槽の個体はニッソーの小型水槽「クロスミニ」で飼育しています。

水質とろ過システム

硝酸塩の蓄積にもよく耐えられる強い魚ですが、できるだけきれいな海水で飼いたいものです。ろ過槽はしっかりしたものを選びます。小型の外掛けろ過槽は酸素がいきわたりやすいというメリットがありますが、ろ材を入れられる量が少ないというデメリットがあります。外部ろ過槽は多くのろ材を入れられますが、酸欠になりやすいというデメリットがあります。どちらか片方、ではなくできるだけ二つの方式を組み合わせるようにしたいものです。そうすればどちらかのろ過槽が故障してもどちらかが循環していれば魚は生きていけるからです。このほか外掛けろ過槽ではなく小型のプロテインスキマーを使用するという方法もあります。

オーバーフロー水槽については一般的なオーバーフロー水槽では広すぎて観賞しにくいことがありますが、先述のような小型オーバーフロー水槽であればおすすめといえます。ナンヨウミドリハゼはサンゴとの相性はよく、ベルリンシステムでの飼育もできますが、サンゴを多く入れた水槽では観賞しにくいというデメリットもあります。

水温

水温は25℃を保てばよいでしょう。大体22~27℃くらいで飼育できます。ナンヨウミドリハゼは小さくても丈夫な魚ではありますが、水温の変動が大きいと丈夫なナンヨウミドリハゼも体調を崩してしまうことがあります。またそれにより病気が発生することもあります。年中ヒーターとクーラーで温度を一定に保ちます。

隠れ家

ナンヨウミドリハゼは臆病なので、隠れ家としてライブロックやサンゴ岩などを入れてあげるようにします。ただしナンヨウミドリハゼを肉食性の魚と混泳するとどんなに隠れ家をいれてもいつの間にか捕食されていなくなってしまうのでいけません。

ナンヨウミドリハゼに適した餌

ナンヨウミドリハゼは肉食性で、主に動物プランクトンなど微小生物を捕食しています。ただし水槽内では動物プランクトンに限らず小粒の配合飼料などを食べてくれます。ただし大きい粒だと食べられないことがあります。シグマグロウの小粒(B)などが向いているでしょう。たまには冷凍のコペポーダなどを与えてもよいのですが、与えすぎると水を汚すことがあるので注意が必要です。とくに小型水槽では水質が悪化しやすいので十分に注意しましょう。

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ナンヨウミドリハゼをお迎えする

ナンヨウミドリハゼは購入するだけでなく、南日本太平洋岸の磯で採集することもできます。

採集する

▲手網に入ったナンヨウミドリハゼ

沖縄まで行かなくても、紀伊半島や高知県の磯、塩だまりなどで採集することができます。ごく浅い潮だまりに生息しており、干潮時、潮のよく引いた潮だまりでは潜る必要もないといえます。死んだサンゴの隙間などに隠れていることが多く、そのような死サンゴがあるような地域で探してみるとよいでしょう。採集してもそのまま水から開けず、プラスチック製の容器などを使用して水から掬うようにします。これはイソハゼなどのピグミーゴビーはスレ傷に弱いことが多いからです。

購入する

ナンヨウミドリハゼ購入のポイント

ナンヨウミドリハゼはイソハゼ属としては比較的お店でも見るので購入するのもよいでしょう。お店で購入する時の注意としては、色が妙に白くないものを選ぶことです。水槽底面の色が白っぽいと体色も白くなることはありますが、それでも透明感があります。透明感がない白くなっている個体は採集時など、スレてしまっている可能性もあります。このほか、採集して時間がたっていない個体、鰭がぼろぼろ、鰭や体表が溶けるようになくなっているものなどは購入してはいけません。

また販売水槽に大きめの性格のきつい魚がいるようだと、その魚にびびってしまうこともあります。そうなるとやせてしまうことがあるので、そのようなものは選ばないほうがよいかもしれません。

ナンヨウミドリハゼとほかの生物との関係

ほかの魚との混泳

▲ほかのピグミーゴビーとの飼育がベスト

ナンヨウミドリハゼは一般的に「小型」とされるスズメダイなどよりもずっと小さいので、ほとんどの魚との混泳には向いていません。ほかの魚と混泳するのであれば同じようにピグミーゴビーやネオンテンジクダイなど極小サイズの魚に限ります。大きい魚と混泳させると、その存在によりナンヨウミドリハゼがおびえてしまうことがあります。また本種は小型水槽で飼育して観察したい魚であり、そういう意味でも大きめの魚はよくありません。

なおナンヨウミドリハゼ同士の飼育は可能です。本種に限らず小型のイソハゼ類は同種同士の混泳も難なく可能ですが、温帯域に生息する大型のイソハゼなどとの混泳は避けたほうがよいでしょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

ナンヨウミドリハゼはサンゴ水槽でも飼育できます。しかし大型のリーフタンクではどこへいったか分からなくなってしまうということもあります。また大型のディスクコーラルや、ウチウラタコアシサンゴなど捕食性の強いサンゴはナンヨウミドリハゼを食べてしまうこともあります。もちろんイソギンチャクなどもだめです。

甲殻類についても一緒に飼育することは難しく、ほかの魚を襲わないようなエビ、カニ、ヤドカリであってもナンヨウミドリハゼのような小さな魚を食べてしまう可能性があります。そのため組み合わせは避けたほうがよいでしょう。ただコトブキテッポウエビ(ランドールズピストルシュリンプ)とは問題ないようでヒレナガネジリンボウなど小型共生ハゼも一緒に入れられます。貝類については魚食性のものや大きいものを除いて問題ありません。

ナンヨウミドリハゼ飼育まとめ

  • イソハゼの仲間の小型種で濃い緑色が美しい
  • 大型水槽では観察がしにくいため小型水槽がよい
  • 小型水槽でもしっかりとしたろ過が重要
  • 水温は25℃前後を一定に保つ
  • サンゴ岩やライブロックなどで隠れ家を作ってあげたい
  • 大きい配合飼料は食べられないので細かい配合飼料を
  • コペポーダなどは水質を悪化させるため与えすぎない
  • 採集することもできるがスレに注意
  • 購入する時も体が白っぽくなっているのは避ける
  • 同じようなピグミーゴビーとの混泳が望ましい
  • サンゴ類との相性はよいが捕食性のサンゴやイソギンチャクは避ける
  • 甲殻類も相性が悪いものが多い
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