ヒフキアイゴの飼い方~鰭の毒に刺されないように注意! | 海水魚ラボ

ヒフキアイゴの飼い方~鰭の毒に刺されないように注意!

標準和名:ヒフキアイゴ
学名:Siganus (Lo) unimaculatus (Evermann and seale, 1907)
分類:スズキ目・ニザダイ亜目・アイゴ科・アイゴ属・ロ亜属
全長:25cm

ヒフキアイゴは、特徴的な顔、鮮やかな黄色い体、そして水槽の壁面やライブロックなどに生えたコケなどを食べてくれるため、観賞魚として人気があります。このヒフキアイゴを上手く飼育するにはどうすればいいか、まとめてみます。

ヒフキアイゴってどんな魚?

アイゴ科(世界で29種)唯一の属であるアイゴ属の中でも吻部が長く伸びるグループの代表的な魚です。

体側や背鰭・尾鰭・臀鰭が黄色くなり、体側に黒色斑があります。ただしこの黒色斑の大きさや形には変異があり、全くないものもありますが、これは別種とされることもあります(後述)。

ヒフキアイゴの仲間はその頭部の形から「フォックスフェイス」ともよばれます。数種が知られ、東インド洋に生息するカラフルなアンダマンフォックスフェイスや、南太平洋にすむ黒と黄色が特徴のバイカラーフォックスフェイスは日本にもまれに輸入されます。

ヒフキアイゴに刺された!取扱いにご注意

ヒフキアイゴは背鰭・腹鰭・臀鰭の棘に毒をもっており、刺されると痛みます。ヒフキアイゴだけでなく、他のアイゴや、一部のニザダイの仲間の鰭にも毒があるとされ、素手で触らないように注意します。

また腹鰭の棘は多くの魚では1本の棘をもつか、または棘がないのですが、アイゴの仲間は腹鰭に2本の棘を持ちますので、取扱いには注意する必要があります。刺されたら患部をよく洗い流し、お湯に患部を漬けておきます。

ヒフキアイゴの種類について

ヒフキアイゴの中には体側に黒色の斑紋があるものと、ないものがあります。それぞれ別種であるとも、これらは同じ種類であるともされており、決着がついていません。

体側に黒色があるものはSiganus (Lo) unimaculatusという学名が使用され、こちらにヒフキアイゴの標準和名があてられます。一方黒色斑がないものはSiganus (Lo) vulpinusとされています (標準和名なし) 。

もしこの2つのタイプが同じ種類であれば、先取権の関係から後者の学名が採用されます。なお、この2つのタイプにおいて飼育方法の違いはありません。

ヒフキアイゴ飼育に適した環境

水槽サイズ

幼魚は45cmくらいの水槽でも飼育可能ですが、成長することを考えますと最低でも60cm以上の大きさの水槽が欲しいところです。

理想は90cm以上の大型水槽での飼育です。大型水槽での飼育は遊泳スペースが確保しやすく、同種同士の複数飼育も可能になり、水質が安定しやすいなど多くのメリットがあります。

水質

栄養塩の蓄積にはある程度耐えられますが、褪色や病気になりやすいなどの問題を招くおそれもありますので、蓄積されすぎるのはよくありません。

定期的な水換えを行い、きれいな水を保つようにします。特にハードコーラルを飼育するなら、定期的な水換えが必要です。プロテインスキマーを併用するのもよいでしょう。

水温

ヒフキアイゴはサンゴ礁の浅場に生息する魚で、水温は22~27℃、理想は25℃前後をキープしておけば問題ありません。ヒーター、電子式サーモスタット、そして水槽用クーラーを使用して、周年同じ水温を保つようにしましょう。

一般的に、クマノミの仲間などサンゴ礁の魚を飼育するのに適した水温は23~25℃といわれています。 サンゴ礁域の浅場で水温30℃近くにな...

ヒフキアイゴの選び方

ヒフキアイゴは西太平洋に生息し、日本においても沖縄県と東京都小笠原諸島に分布していますが、観賞魚としては主にフィリピンからやってきます。最近はフィリピンの魚も状態がよくなりましたが、飼育する前に以下のような個体を選ぶのは避けるようにするべきです。

入荷したばかりの個体は避ける

他の魚と同様に、ヒフキアイゴも観賞魚店に入荷してすぐの個体は避けるようにします。できれば入荷して数週間が経過し、よく餌も食べている個体が良いでしょう。やや痩せやすい魚なので太っている個体を選びたいものです。これはヒフキアイゴだけでなく、他のアイゴの仲間やニザダイの仲間も共通です。

背肉が落ちて体がペラペラなものは避ける

栄養失調と考えられます。痩せてしまっている個体も選ぶべきではありません。特に上記の特徴が2つとも出てしまっているような個体は回復させるのは難しく、選ぶのは避けるようにします。もちろん泳ぎがフラフラしているものも避けるべきです。

鰭や体表に白い点がついているものは避ける

寄生生物の付着が考えられます。白点病などの可能性もあるため、このような個体も避けるべきです。販売水槽の中で泳いでいる個体をよく観察しましょう。

取材に協力していただいた茨城県土浦市「コーラルタウン」の販売水槽。 海水魚を販売するのには、動物取扱業登録などは必要なく、基本...

ヒフキアイゴに適した餌

アイゴ科の魚類は藻類食を中心にした雑食性の魚です。海では同種または他種とともに餌の多い場所で大きな群れをつくり、死サンゴに付着した藻類を捕食します。水槽の中では配合飼料もよく食べるのですが、サンゴ岩やライブロック、あるいは水槽壁面に付着した藻類を好んで捕食します。

このような食性ですので、餌も植物質のものを中心に与えるようにしたいものです。原材料に海藻を多く使用している植物食性の魚用の配合飼料が各メーカーから市販されています。外国製品のほか、日本のキョーリンからも「海藻70」などの製品が販売されています。

海外製品の中には海藻を乾燥させた海苔状の餌などユニークな餌も市販されています。また海藻は水槽内で育てることも容易であり、自分で育てた海藻をヒフキアイゴに与えることも可能です。ただしその場合は海藻を育てるために、別の水槽を用意する必要があります。

幼魚はきちんと餌をあげないと痩せてしまいがちなので注意が必要です。こまめに餌を与えるようにしましょう。つまり水槽のコケ掃除をさせるだけでは長生きさせるのは難しいということです。

ヒフキアイゴの混泳について

同種同士の混泳は大型水槽ならOK

自然の海では藻類を好んで食べるニザダイの仲間は餌場で大きな群れをつくります。しかしニザダイの仲間は水槽内では同種同士激しく争うこともあります。

ヒフキアイゴはニザダイほど激しく争わないので水槽内で複数飼育することも可能ですが、最初のうちはよくチェックする必要があります。また小さな水槽だと争う可能性が高くなるため、大型の水槽で他の魚と飼育するとよいでしょう。

他の魚との混泳

▲土浦市「コーラルタウン」の水槽。ニセモチノウオ類やイトヒキテンジクダイとの混泳

藻類を捕食する魚としては温和な方で、多くの魚と組み合わせることができます。アイゴの仲間は他の魚を捕食することがないのですが、強い魚の存在がヒフキアイゴにとってプレッシャーとなっていないかよく観察する必要があります。他の魚を捕食するような魚と一緒にすると、捕食する際にヒフキアイゴの毒棘が刺さって捕食した魚も弱ってしまうということがあります。

クマノミの仲間、遊泳性のハゼの仲間、共生ハゼの仲間、小型ヤッコ、チョウチョウウオなどさまざまな種の魚と混泳できます。大型の個体はさらに大型ヤッコやニザダイの仲間などとも組み合わせることができます。逆にカエルアンコウ、モンガラカワハギの仲間などとの混泳は控えましょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲ハードコーラル水槽での飼育は要注意

アイゴの仲間は基本的に藻類を捕食していますが、底生動物も捕食します。極小サイズのエビなどは食べてしまう恐れがあります。サンゴの仲間には害がないことも多いのですが、弱ったハードコーラルをつついて食べてしまうようなものもいますので、注意が必要です。常にきれいな水をキープし、サンゴを弱らせないようにしましょう。

海藻との相性

▲クビレズタなどイワズタの仲間はヒフキアイゴは大好物

アイゴの仲間はコケを食べてくれますが、海藻の仲間も大好物ですので、観賞用に海藻を育てているのであれば、アイゴの仲間やニザダイの仲間は入れてはいけません。近年本州の沿岸ではアイゴ科の代表的な種類であるアイゴがよく増殖して海藻を食べてしまい問題となったことがあります。

ヒフキアイゴ飼育 まとめ

  • 背鰭・腹鰭・臀鰭に毒棘あり。素手で触るのは危険
  • 60cm水槽、できれば90cm水槽が欲しい
  • なるべく綺麗な水で飼育する
  • 背肉がやせ、体がぺらぺらのもの、体に白い点がついているものは避ける
  • 植物質の餌を中心に与える
  • 多くの魚との混泳を楽しめるが、肉食魚はNG
  • ハードコーラルは弱っていると食べられることも
  • 海藻は大好物




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