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2020.06.18 (公開 2020.05.08) 海水魚図鑑

アイゴ科の基本的な飼育方法~カラフルなものもいるが毒棘にご注意を!

アイゴといえば西日本ではよく知られた釣り魚で、よく知られた食用魚です。このアイゴの仲間もいろいろおり、亜熱帯にはカラフルなものが見られます。しかしアイゴの飼育には注意すべき点があります。藻類を中心とした雑食性でやせやすいこと、鰭の棘に毒があることです。これらの点に注意しアイゴ飼育を楽しみましょう。今回はアイゴ科の魚の飼育についての基本をご紹介していきます。

アイゴ科とは

「アイゴ」というのはアイゴ科魚類の総称をさすこともあれば、その中の魚の一種(アイゴ)を指すこともあります。アイゴの仲間は海水魚飼育ではメジャーなものが何種類か含まれており、とくにヒフキアイゴやヒメアイゴは多くの海水魚専門店でみられるものです。

食用魚としても知られており、日本では関東ではあまり喜ばれないものの、西日本では食用として人気です。沖縄では幼魚を「スクガラス」にしてたべます。熱帯太平洋域でも市場に出て焼き物などにして食べられています。しかしその一方で海藻類を好んで食べるという習性があり、九州以北では海藻を食べてしまうなどの問題も起こっており漁業者からは嫌われている存在でもあります。

アイゴ科の分類

▲吻が長めのヒフキアイゴ(Lo亜属)

アイゴ科は分類学的上ニザダイ科に近いものとされており、アイゴ科、ニザダイ科、ツノダシ科、マンジュウダイ科、クロホシマンジュウダイ科、アマシイラ科でニザダイ亜目を形成します。ニザダイの仲間とは尾柄部に大きな棘がないこと、臀鰭に7本の棘があることなどにより見分けられます。アイゴ科はアイゴ属のみからなりますが、そのアイゴ属はSiganus亜属とLo亜属のふたつに分けられることが多いです。前者はアイゴ、ゴマアイゴ、ヒメアイゴなどを含み、後者はヒフキアイゴの仲間のグループです。

腹鰭の棘

アイゴの仲間の大きな特徴が腹鰭です。多くの魚は腹鰭に1対の棘をもつ(腹鰭は片側にひとつずつあり、対鰭の一種である)か無棘ですが、このアイゴは腹鰭に2対の鰭棘を有するという珍しい特徴があります。最も前に1本の棘があり、最も後ろにもう1本の棘があります。そしてその間に3本の軟条があります。

鰭棘の毒に注意

▲アミアイゴ。赤く囲んだ部分に毒棘がある(腹鰭は対鰭)

アイゴの仲間はどの種も背鰭・臀鰭、そして腹鰭に毒棘をもっています。これらの鰭にある毒棘に触るとずきずき痛みます。写真のアミアイゴの赤く囲んだ部位には毒棘があり刺されないように注意します(実際に撮影中誤って手が触れてしまった)。

分布域

アイゴの仲間はインド―中央太平洋域に広く分布していますがハワイ諸島にはいません。また大西洋やアメリカの西岸には分布していません。一方欧州沿岸ではもともとは分布していませんでしたが、スエズ運河開通後ダスキースパインフットSiganus luridus、マーブルドスパインフットSiganus rivulatusという2種類のアイゴが地中海東部(ギリシャ、イタリア、マルタ、トルコ、キプロス、レバノンなど)に入っているようです。

日本の太平洋岸ではアイゴ科の魚の幼魚が何種類か見られますが、そのうち越冬しているのはほとんどアイゴのみです。

アイゴ科の基本的な飼育環境

アイゴ科の魚は水槽内では自然下より小さいとはいえ10cmは超えますので、最低でも60cm、できれば90cm水槽は用意したいものです。また排せつ物の量も多くろ過槽もしっかりしたものが必要になります。水温はどの種も25℃前後でかまいません。アイゴはかなりの低温にも耐えられますがそのほかの種は22℃までにとどめておいたほうがよいかもしれません。

アイゴ科に適した餌

アイゴの仲間は雑食性ですが、藻類を食する習性が強いため、海藻の成分が強い餌を与えるようにしましょう。藻類食性魚用の餌は各社から販売されていますが、「海藻70」はおすすめです。また海藻をそのまま乾燥させたタイプの餌や、海藻そのものもアイゴにとってはよい餌となり、ウミブドウを大量に飼育していてもいつのまにかアイゴに丸裸にされた…なんていうこともあります。

ただしサンゴの調子がよくないとサンゴをつつくこともあるので注意が必要です。とくにLPS、その中でもヒユサンゴ(オオバナサンゴ)やコハナガタサンゴなどは捕食されやすいため、一緒に飼育しにくいといえます。

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飼育される主なアイゴ科魚類

アイゴ科はインドー太平洋域、紅海、地中海(移入)から29種が知られています。そのうち日本には12種類が分布しています。

ヒフキアイゴ

観賞魚店で販売されるアイゴの仲間としては最もよく知られている魚です。小さいものはやせやすいので、写真のようなある程度の大きさに育ったものが安心ですが、個体によってはサンゴはつついてしまうことがあるので注意が必要です。60cm以上の水槽で飼育できますが、大きく育つことも考えると90cm水槽で飼育したいところです。

飼育の詳細はこちらをご覧ください。

フォックスフェイス

ヒフキアイゴに似ていますが、体側の黒色斑を欠くという特徴があります。それ以外の特徴はヒフキアイゴとほぼ同様であり、この2種は同種であるともいわれています。ヒフキアイゴやそれに似た吻が長いものはLo亜属というグループに入れられ、5種類が知られています。基本的にはどの種も飼育しやすいですがやはり幼魚はやせやすいのでこまめな餌やりが大事といえます。

ヒメアイゴ

観賞魚の世界ではヒフキアイゴに次いでよく見られる種類のアイゴです。全長20cmくらいになります。黄色い体が美しいアイゴですが、体側にヒフキアイゴのような黒色斑はなく、吻も伸びていません。ヒメアイゴによく似ているものとしては体側に青白い模様が目立つバードラビットフィシュというのもまれに入ってきます。成魚はできるだけ90cmくらいの水槽で飼育したいところです。

マジリアイゴ

ヒメアイゴに似ていますが眼を通る黒い帯の後方に帯がないのが特徴です。やや吻が長く、体も黄色い体に青白い線が入るというカラフルな色彩で人気があります。主にフィリピンやインドネシアなどから輸入されてくる種ですが、ヒフキアイゴやヒメアイゴと比べると数は少ないようです。沖縄ではアイゴ類はどの種も食用となり、本種も市場に出ており美味です。

サンゴアイゴ

黄色い体に青色の斑点が散らばる美しいアイゴの仲間です(写真ではちょっと地味な色彩ですが)。入荷量はヒメアイゴよりも少なく入手しにくいのが難です。これも海では20cmくらいに育ちますので最低でも60cm水槽で飼育し、できれば90cm水槽で飼育するようにしたいところです。沖縄では食用になるようです。

アイゴ

種の標準和名アイゴです。東北地方以南の海に生息する普通種で、海水魚店で購入するよりも磯で採集する機会のほうが多い種といえます。一見地味ですが白い斑点が特徴的です。写真は幼魚で、簡単に採集できますが鰭の棘に強毒があるため刺されないように注意します。また非常にやせやすいのでこまめに藻類食魚用の餌を与えるべきです。成魚は全長20cmほどになり、釣りの対象魚として知られますが、海藻類を食べてしまうため漁業者からはあまりよい扱いをされない魚です。

近縁種がいくつかおり、西インド洋のホワイトスポッテッドスパインフットなどは本種と極めて似ています。沖縄産のアイゴは白い点が多数ありシモフリアイゴと呼ばれ、学名もSiganus canaliculatusとなっていましたがこれはアイゴの種内変異とされているようです。また本種は河川の汽水域にもよく入り、紅海の近縁種はスエズ運河を経由して地中海にも分布を広げています。

ゴマアイゴ

ゴマアイゴはアイゴ科の仲間でもとくに大きくなる種で、海中では全長40cmにもなり、日本産のアイゴとしては最大級です。小型の個体がまれに海水魚店で販売されているものの、大きくなることを考えると、簡単に手を出してよい種とはいえません。沖縄では「カーエー」と呼ばれ釣り魚や食用として人気。近縁種にゴールドラインドラビットフィッシュという種類がおり、これは体に細い線が入ります。

アイゴ科まとめ

  • 西日本で人気の釣り魚アイゴに近い仲間
  • 吻が長めのものと短いものに分かれている
  • 背鰭・臀鰭・腹鰭の棘に強い毒があり刺されると痛む
  • 藻類食性が強く餌にも専用フードを与えたい
  • やせやすいためこまめな給餌が必要
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