2020.09.21 (公開 2017.06.17) メンテナンス
海水の数値(比重・アンモニア・水温等)の測り方
海水の良し悪しは目で見ることは難しいです。じゃあ、難しいけれども目で見ることはできるのかと思うかもしれません。良い海水だと水は澄んできらきらしているとか、悪い海水はかなり黄ばんでいるとか、そのようなものがあります。しかし、本当にその水がいい水なのか、初心者には判断が難しいと思います。
「海水魚の飼育に必要な器具について」でもご紹介しました、比重計、水温計、あるいは水質テスタといったものは、海水の状態を私たちが目で見るよりもずっと正確に見てくれます。
飼育に適した比重とその測り方
初心者にはこのタイプの比重計が使いやすい。写真はアクアリウムシステムズのもの。
比重は1.023~1.025くらいが適しています。魚だともう少し低めでもよいのですが、サンゴの場合はやや高めで比重が安定した環境が大事です。
測り方は比重計を使います。比重計も色々ありますが初心者にはプラスチック製のの比重計が安価で使用しやすいでしょう。正確に測るための光学式比重計もありますが、これは高価です。比重が高すぎるときは25℃ほどの真水を足して適正値になるように調整します。低すぎるときは直接人工海水のもとをいれず、若干、塩分混めの海水を足すようにします。エビの仲間は比重の急変に弱いので特に注意します。
プラスチック製比重計のなかには吸盤がついていて水槽に取り付けることができるようなものもありますが、基本的に比重を測るときにだけ水につけるようにします。そうしないと、比重計にコケが生えてしまい、正確な比重が測れなくなるおそれがあります。
飼育に適した水温とその測り方
水温計で水温を常にチェック。
一般的にカクレクマノミなどサンゴ礁の浅瀬に生息する魚に最適なのは22~25℃前後です。いくら熱帯性とはいえ水温30℃を上回ると弱ってしまいます。冬は18℃を下回らないようにしたいものです。
測り方は水温計を使います。目盛を読み取るだけでとても簡単ですので1日に何度でも見ておきたいものです。このほかデジタル式の水温計もあります。
水温が高すぎるときはクーラー、低すぎるときはヒーターを使って調整しますが、クーラーが故障した際にも氷を使って冷やしてはいけません。急変は病気を招くことがありますので毎日1℃ずつ下げていく方が望ましいでしょう。いずれにせよ一番大事なのはそのような水温にならないように毎日水温をチェックすることです。
pHとは?
魚中心の水槽ではpHが下がりやすい傾向に。
水素イオン濃度です。pHが7で中性、それより数値が低いと酸性、それより数値が高いとアルカリ性になります。魚やサンゴの飼育に適したpHは大体8.2くらいです。
基本的に海水魚水槽の中は酸性に傾きやすい傾向があります。特に底砂を敷かない、魚中心の水槽では数値が下がりやすい傾向にあるといえます。
測り方はpH検査用のキット、またはpHメーターを使用します。検査キットには試験紙タイプのものや薬品を使用するものなどさまざまな製品があります。手軽な電池式のpHメーターもありますが検査キットと比べて高価です。
pHが上がりすぎるならば添加剤を添加します。一方pHが上昇することはあまりありません。
テスターでのチェック
サンゴを飼う時には水質を常にチェックするようにしたい。
テスターでは海水に溶け込む様々な成分の量をチェックすることができます。飼育を開始してすぐならアンモニア、ある程度落ち着いてきたら亜硝酸や硝酸塩をチェックするようにすればよいでしょう。サンゴ、特にハードコーラルを飼育するならKH(炭酸塩硬度)やリン酸塩、ケイ酸、さらにここでは述べませんがカルシウム、マグネシウムなどの数値などもチェックするのが望ましいです。
アンモニア
魚の排せつ物や残りの餌はやがて魚にとっては強毒のアンモニアとなります。生物ろ過が上手く機能していればアンモニアは少しは毒性が低い亜硝酸塩、そして毒性が低い硝酸塩になりますのでテスターでは検出されないのですが、立ち上げのときには十分注意する必要があります。魚を殺してしまうことを考えると、テスター代をケチらずに購入してきちんと測るというのは安い物です。
亜硝酸塩
生物ろ過の過程でアンモニアの次に出てくるのが亜硝酸塩です。亜硝酸塩もアンモニアほどではないのですが魚に有害なので低い方が望ましいです。バクテリアによる生物ろ過が上手く機能していればあまり検出されませんが、立ち上げ初期などで検出されることがあります。
硝酸塩
硝酸塩は魚にとっては毒性が低いのですが、サンゴはダメージを受けることがありますので注意が必要です。またコケが生える原因となります。ベルリンシステムなどのナチュラルシステムでは硝酸塩が出てくる原因となる糞や餌をプロテインスキマーを使用しハイパワーで水槽から取り出しますので、ほとんど検出されません。ミドリイシなどのデリケートなハードコーラルはこの成分を嫌いますので、ナチュラルシステムが向いているわけです。
硝酸塩は通常のろ過槽を使ったシステムでは分解されませんので、水かえによって水槽から取り除く必要があります。
測定については亜硝酸塩と硝酸塩の両方を測定することができるものもあります。
リン酸塩
リン酸塩は水槽にはえるコケのもとになりますが、水槽に持ち込まないわけにはいきません。なぜならばこれは餌に含まれているからです。一方餌を与える量を少なくしすぎると今度は魚の成長や健康にも支障がでてきます。蓄積したリン酸塩は水かえで水槽外に排出しますが、吸着剤を使用する方法もあります。よほどたまりすぎなければ魚には無害とされるリン酸ですが、サンゴにはよくありません。
ケイ酸塩
ケイ酸塩もリン酸塩同様に、コケのもとになります。ケイ酸塩はもともと水道水にも含まれているため、持ち込まないわけにはいきません。RO水などをつかうという手もありますが、吸着材も市販されていますので活用します。リン酸塩同様に魚にはあまり害はないとされていますが、水質にうるさいハードコーラルの飼育では要注意です。
クマノミ飼育にこれだけはチェックしたい
- 水温:23~25℃くらい
- 比重:1.023~1.025
- pH:8.0
- アンモニア:0
- 亜硝酸:0
- 硝酸塩:少なければ少ないほどよい。20mg/L以下が理想。サンゴを飼育するならもっと少ない方がよい。5mg/L。