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2020.02.12 (公開 2018.09.12) 水槽・器具

オーバーフロー水槽のサンプ~素材・システム別の選び方

オーバーフロー水槽に欠かせないのがサンプ(水溜め)です。このサンプの中にはろ材を入れて生物ろ過物理ろ過をしたり、海水中に含まれる有機物や余分なバクテリアをこしとるための強力なプロテインスキマーを入れたりします。魚を泳がせて鑑賞するための水槽とは別に、海水魚水槽を維持するための「もう一つの水槽」といえます。

サンプとは

オーバーフロー水槽がほかの水槽と大きく異なるところは、魚やサンゴを観賞するメイン水槽の海水をフロー管で水槽の下に落下させるということです。

もちろん、そのまま落下させると床が水浸しになってしまいますので、落下する海水を受けるための水溜めが必要です。これが「サンプ」です。サンプ内の水はろ過などされたのち、循環ポンプでふたたびメイン水槽に戻すことになります。

オーバーフロー水槽については下記でまとめています。

サンプの役目と設置場所

サンプはオーバーフロー水槽の直下、キャビネット内に収納するのが普通です。サンプの役目としては魚を飼育する場合はサンプにろ材を投入し生物ろ過を行い、サンゴ中心のベルリンシステムであればプロテインスキマーなどをサンプの中におさめるなど、飼育システムを構成するのに重要なものを入れておくことになります。このほかメイン水槽とは別に水をためて豊富な水量を確保することや、ヒーターやセンサーの類、水温計などをサンプに隠し、メイン水槽の見た目をすっきりさせることもできます。ただしヒーターのセンサーの水位には注意するべきです。また水温計はサンプの中に入れずに、見やすい場所に置いておいたほうがいいかもしれません。

サンプの素材

アクリル製サンプ

▲アクリル製のサンプ。ピーデー熱帯魚センターで購入

日本のアクアリウム市場においてもっとも普及しているのがアクリル製のサンプ。軽くて加工が容易なため、ろ過槽にろ材を入れて生物ろ過を行うウェットろ過を行うためのサンプはこの方式が多いです。右上にある箱状のものはウールボックスで、ここに物理ろ過のためのウールマットを収納します。

ガラス製サンプ

▲既存のガラス製水槽を用いたサンプとプロテインスキマー

日本においてはアクリル製のサンプが主流となっていますが、海外ではガラス製のサンプも見られます。例えばイスラエルのレッドシーが販売するオーバーフロー水槽「リーファー」やオールインワンの「マックス」(オプション)などにはガラス製のサンプが採用されています。

このほか、既存のガラス水槽をオーバーフローにすることも可能です。たとえば、60cmのガラス水槽で魚を飼育していて、そこから90cmオーバーフロー水槽にステップアップするときなど、既存のガラス水槽をサンプにして魚やサンゴを飼育することもできます。ただしこの場合は市販のサンプと異なりろ材を入れるための仕切りがないため、ベルリンシステムなどろ材を使わずにプロテインスキマーなどの用具をインサンプするのに限ります。我が家ではホームセンターで網カゴやかさ上げ用土台を使用してろ材を使った強制ろ過システム+プロテインスキマーを使用しています。

スキマーなどの機材を大きなごみから守るため、フロー管から落ちた水がサンプに落ちるところにフィルターバッグなどをつけておき物理ろ過を行わせるとよいでしょう。

システム別のサンプ

ウェットろ過

▲ウェットろ過のサンプ

海水魚やLPS、陰日性サンゴを飼育するのであればウェットろ過がおすすめです。実際にウェットろ過で海水魚やサンゴを飼育するのであれば、サンプはアクリル製の仕切りがついたものが最適です(写真のものにはついていない)。両方にろ材を敷き詰めてもよいですし、片方にろ材を詰めてもう片方にプロテインスキマーなどの機材を入れることもできます。このあたりは水槽に入れる魚やサンゴにあわせて選びましょう。

ちくわのようなろ材の上に置いてあるのはバイコムの「バフィー」というものでろ材の一種です。このバフィーはバクテリアが定着するのを助けてくれます。

ベルリンシステム

▲ミドリイシを飼育するならベルリンシステムがおすすめ!

ベルリンシステムはサンゴ、とくに硝酸塩の蓄積に弱いミドリイシなどを飼育するのに適したシステムです。このシステムはナチュラルシステムと呼ばれるものの一種で、ろ材は不要ですが、その代わりサンプの中にはポンプだけでなくシステムの要ともいえるプロテインスキマーを収納しなければなりません。そのため、当然ながらサンプは大きなものが有利となります。

ゼオビットシステム・バイオペレット

▲バイオペレットリアクター

ゼオビットシステムの場合も大容量のサンプが適しています。このシステムで水槽をまわすのであれば、プロテインスキマーのほか、専用のゼオビットリアクターという器具を入れる必要があるからです。外部式のスキマーやゼオビットリアクターを設置してもよいのですが、種類が少なく選択肢が狭められてしまいます。バイオペレットを用いる場合も、サンプの中にプロテインスキマーやバイオペレットリアクター、そしてバイオペレットリアクターを動かすための水中ポンプをサンプに収納する必要がありますので、大きなサンプが適しているといえます。

サンプ別:ポンプの種類

オーバーフロー水槽用のポンプの種類についてはまた別に述べますが、ここではサンプの種類別にどのようなポンプを使用するべきかを解説します。

アクリル製サンプ|マグネットポンプ・水中ポンプ

▲レイシーのマグネットポンプ

アクリル製のサンプを使用する場合はマグネットポンプ・水中ポンプのどちらかから選択することができます。マグネットポンプは長期メンテナンスフリーであり、ほかのポンプと比べるとパワフルですが音がややうるさく、設置するときにサンプに穴あけなどの加工をする必要があるので注意が必要です。水中ポンプは比較的小型の小型オーバーフロー水槽やサンプに穴をあけるのが不安、というときに選択されますが、水温の上昇を招くことや、たまにメンテナンスが必要であることがデメリットといえます。

ポンプ途中にクーラーや殺菌灯などをとりつけることになりますので、大きなポンプが有利といえるでしょう。ただし殺菌灯を使用するときに適合流量よりも大きなポンプを使うとうまく水全体に照射されないこともあるので注意が必要です。

ガラス製サンプ|水中ポンプ

▲アクアリウムシステムズの水中ポンプ

ガラス製のサンプを使用するのであれば水中ポンプを選びましょう。マグネットポンプとくらべるとパワーは落ち、ポンプが水中にあると当然水温も上昇しやすくなりますが、サンプに穴をあける加工する必要がなく(水漏れしにくい)、サンプにポンプを投入すればすぐに使えるというメリットがあります。そのかわりこまめなメンテナンスが必要です。海外ではこちらが多いように思います。

駆動方法は「ACポンプ」と「DCポンプ」があります。写真のナプコが輸入販売しているイタリア製の「アクアリウムシステムズ ニュージェット」やカミハタが輸入販売している台湾製の「リオ」はACポンプです。一方LSS研究所が輸入販売している「ジェバオ」などはDCポンプです。DCポンプは静かで省エネに優れますが耐久性がいまいち、ACポンプは耐久性に優れており、海水魚飼育にはACポンプが安心できるでしょう。

オーバーフロー水槽のサンプまとめ

  • オーバーフロー水槽の下に置く「水溜め」
  • 飼育に必要なものを置いておく
  • 水温計やヒーター、センサーなどを入れることでメイン水槽をすっきりさせる
  • アクリル製とガラス製あり。日本ではアクリル製が多い
  • 魚やLPSを飼うならウェットろ過が最適
  • ベルリンシステムやゼオビットシステムならば大きめのサンプを
  • ガラス製サンプでは水中ポンプを使用する
  • アクリル製サンプでは水中ポンプ・マグネットポンプのどちらかを選べる
  • 水中ポンプではACポンプがおすすめ
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