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2018.09.10 (公開 2018.09.10) 海水魚図鑑

マッコスカーズラスの飼育方法~丈夫で飼育しやすいが雄同士の混泳は避ける

マッコスカーズラス

マッコスカーズラスはインド洋に生息するクジャクベラ属の普通種です。カラフルな色彩、丈夫で飼育しやすく多くの魚と混泳ができるなどの点で人気の魚ですが、同じイトヒキベラやクジャクベラの仲間とは争うこともあるので注意が必要です。

水質に関してはできるだけきれいな水で飼育したい魚ですが、飼育するのに特別なテクニックが必要、というわけでもなく初心者にも飼育できる魚です。

標準和名 なし
通称 マッコスカーズラス
学名 Paracheilinus mccoskeri Randall and Harmelin-Vivien, 1977
英名 Mccosker’s flasher-wrasse
分類 スズキ目・ベラ亜目・ベラ科・モチノウオ亜科・クジャクベラ属
全長 8cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド冷凍コペポーダなど
温度 25℃
水槽 60cm~
混泳 容易
サンゴ飼育

マッコスカーズラスってどんな魚?

マッコスカーズラスはクジャクベラの仲間です。クジャクベラの仲間はインド-中央太平洋のサンゴ礁域に分布していますが、本種はインド洋(タイプ産地はコモロ諸島)のサンゴ礁域に生息しています。

クジャクベラ属の魚の雄は背鰭の鰭条が長く伸びるものが多く、種類によっては5本以上伸びるものもいますが、本種は1本しか伸びません。インドネシアなど東インド洋に生息するイエローフィンフラッシャーラスは背鰭鰭条が1本しか伸びず本種にそっくりですが、臀鰭の色(マッコスカーズラスは赤色、イエローフィンフラッシャーラスは黄色)により区別できます。このほかフィジーにもよく似た種類がいます。

インド洋に浮かぶセイシェル諸島に生息するセイシェルズフラッシャーラス(アッテニュイットフラッシャーラス)も背鰭の鰭条は1本しか伸びていませんがその伸びている鰭条は細く、背鰭の色彩、尾鰭の形も違うので本種とは容易に区別できます。また日本に入ってくる数もマッコスカーズラスよりはずっと少なく、その分お値段もかなり高価です。

マッコスカーズラスに適した飼育環境

水槽

本種に限らず、イトヒキベラやクジャクベラの仲間は遊泳性が強いため、水槽内でも成長することを考えると最低でも60cmくらいの水槽を用意してあげましょう。ほかの魚との混泳も考えるのであれば90cm以上の水槽がよいでしょう。

水質とろ過システム

ヤッコの仲間と比べると水質にはあまりうるさくはないのですが、きれいな水を好みますのでできるだけきれいな水で飼育してあげましょう。オーバーフロー水槽、単体の水槽であれば上部ろ過槽と外部ろ過槽の組み合わせなどがおすすめです。魚を減らせばサンゴ水槽でも飼育できます。夜間砂に潜らず岩陰で眠るのでDSBやモナコシステムなどでの飼育もできます。

水温

生息水深は深くはなく、大体5~50mほどのサンゴ礁域に生息する普通種です。ですから水温は25℃で問題ありません。夏はクーラー、冬はヒーターを使用し、周年25℃をキープすることが重要です。

ライブロックとサンゴ岩

イトヒキベラやクジャクベラの仲間は夜間砂の中には潜らずライブロックやサンゴ岩の陰で休息します。そのため砂を敷く必要はないのですが、ライブロックやサンゴ岩で夜間の休息場所を作ってあげなくてはなりません。

フタ

イトヒキベラやクジャクベラの飼育には絶対に必要になりうるアイテムです。この仲間はよく泳ぎ、勢いあまって飛び跳ねてしまうこともあります。このような事故を防ぐためにも水槽にはしっかりフタをしましょう。

マッコスカーズラスに適した餌

海の中では主に動物性プランクトンを捕食しています。しかし、水槽内でもコペポーダなどの動物性プランクトンを与えなければならない、ということはなく、ふつうはすぐに「メガバイトレッドS」など小粒の配合飼料にも餌付くので給餌は楽です。コペポーダはどうしても餌を食べないときなどに与えますが、水を汚さないように十分注意する必要があります。

マッコスカーズラスの入手方法

スリランカ産と思われるマッコスカーズラス

▲スリランカ産と思われる個体

インド洋に生息していますが、便数の多いスリランカなどから入ってくるので入手にはそれほど苦労はしません。高くても3000円前後のお値段で購入できるでしょう。ただし若干色彩が違うケニアなど東アフリカ産の個体はスリランカ産のものよりもかなり高価です。

販売されるのはほとんどが雄の成魚個体で、雌や幼魚はあまり販売されているのを見ません。本種に限らず東南アジアなどに生息するイトヒキベラやクジャクベラのうち、安価な種ではド派手な雄ばかりが来ることが多く、雄よりも地味な雌や幼魚などはなかなか入ってこないのが残念なところです(高級な種はペアで入ってくることが多い)。

購入時のチェックポイントは、ほかの魚と大して変わりません。口や体表、鰭に傷や赤いただれがないか、鰭に白い点やワタのようなものがついていないか、眼はよく動くものに反応するか、などです。また入荷直後の個体は長旅で疲れていることも多く、状態もわかりにくいため入荷後時間が経ったものを選ぶことをおすすめします。私が購入した個体は観賞魚店で数か月も売れ残っていた個体です。このように長期ストックされた個体は配合飼料もよく食べる健康な個体であることが多く、おすすめといえます。ただし、ストック水槽でも成長した大型個体が多いです。

マッコスカーズラスと他の生物との相性

他のベラとの混泳

同じイトヒキベラやクジャクベラの仲間とは争うおそれがありますので注意が必要です。これらのベラの数や種類を多く入れたり隠れ家を多く入れるなどの工夫をすれば複数種のイトヒキベラやクジャクベラの仲間と組み合わせられます。しかしこれは中・上級者向けのテクニックといえます。とくに同種同士の雄は激しく争う恐れがありますので注意が必要です。

このほかニシキベラ系のベラやホンベラの類など砂に潜るベラとの関係は概ね悪くはありません。ただしニセモチノウオやキツネベラの仲間などは小ぶりでも性格がきついものがいるので注意が必要です。

他の魚との混泳

マッコスカーズラスとハナダイやカエルウオの混泳事例

▲ハナダイやカエルウオなどとの混泳もできる

イトヒキベラやクジャクベラの仲間を除けば、多くの魚と飼育できます。ただしマッコスカーズラスの口に入ってしまう魚、逆にマッコスカーズラスを捕食するおそれがある魚、あるいは好む水温が大きく異なる魚との混泳はできません。メギスの仲間や大きなスズメダイなどは性格がきついので混泳には注意が必要です。

サンゴ・無脊椎動物との関係

マッコスカーズラスとサンゴとの相性

▲サンゴには全く無害

クジャクベラの仲間はいずれもサンゴには無害ですのでソフト・ハード問わずほとんどのサンゴと組み合わせることができます。生息水深も幅広く、ミドリイシなどのSPS、ハナガタなどのLPS、ソフトコーラルいずれもよく似合います。ただしクマノミと共生するような大型のイソギンチャクの仲間や陰日サンゴのウチウラタコアシサンゴなどは魚を捕食してしまうことがあるので要注意といえます。

海では主にプランクトンなどを捕食しているのでほかのベラほどエビなどの甲殻類を襲うことは少ないといえますが、グラスシュリンプなどは捕食されることもあります。スカンクシュリンプ、ホワイトソックス、サンゴヤドカリなどは問題ありません。オトヒメエビは大きなハサミをもち、夜間岩陰で休息中のマッコスカーズラスを襲うおそれもありますのでできれば避けた方がよいでしょう。同様にイセエビの仲間や大型のカニ・ヤドカリなども避けましょう。

マッコスカーズラスの飼育まとめ

  • インド洋に生息するクジャクベラの仲間
  • 背鰭の鰭条のうち1本が長く伸びる
  • よく泳ぐので大きめの水槽で飼育したい
  • 飛び出すおそれあり。フタは確実に
  • 夜間は砂に潜らず岩陰で休息する
  • 飼育下では配合飼料もよく食べる
  • 体や口、鰭に白い点やきず、ただれがあるものなどは購入しない
  • イトヒキベラやクジャクベラの仲間とは争うおそれがある
  • ほかの多くのサンゴ礁魚類との関係は良好
  • ほかのベラほどエビの仲間を襲わない
  • 大型の甲殻類には襲われることも
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