アブラヤッコの飼育方法~初心者にはやや難しい小型ヤッコ

アブラヤッコ

アブラヤッコは、英語名を「キーホールエンゼル」といい、暗色の体に白色斑という体で、派手ではないものの美しく人気がある魚です。しかし、アブラヤッコは小型ヤッコの仲間としては飼育がやや難しい魚です。

アブラヤッコを飼育したいのであれば、まずは飼いやすい小型ヤッコを飼育して小型ヤッコの飼育の基礎を学んでから本種の飼育に挑戦することをおすすめします。なお、本種はアブラヤッコ属の最大種で、大きなものでは19cmにもなります。

標準和名 アブラヤッコ
学名 Centropyge tibicen (Cuvier, 1831)
英名 Keyhole angelfishなど
分類 条鰭綱・スズキ目・スズキ亜目・キンチャクダイ科・アブラヤッコ属
全長 15cm(最大19cm)
飼育難易度 ★★★★☆
おすすめの餌 配合飼料に餌付くのに時間がかかる。アサリや海藻、カイメンなどから餌付けをはじめる
温度 25℃
水槽 90cm~
混泳 性格はややきつめ、ほかのヤッコと争うおそれあり
サンゴ飼育 不可

アブラヤッコってどんな魚?

アブラヤッコは、キンチャクダイ科アブラヤッコ属の魚です。アブラヤッコ属は「小型ヤッコ」もしくは属の学名から「ケントロピーゲ」という名前でよばれることが多いのですが、このアブラヤッコは全長15cmを超え、レンテンヤッコなどと並んでこの属では最も大きく育つ種類といえます。体の色は暗色で、体側に白色斑があることが特徴です。このことから英語圏では「キーホールエンゼル」という名前でよばれています。

アブラヤッコ属には「Xipipopus亜属」「Centropyge亜属」という二つの亜属がありますが、アブラヤッコはCentropyge亜属の魚種です。この亜属にはコガネヤッコ、ヘラルドコガネヤッコ、エイブリーエンゼルなどが含まれ、一方Xipipopus亜属にはルリヤッコ、アカハラヤッコ、フレームバック系などが含まれます。一般的に、このふたつの亜属ではXipipopus亜属の魚のほうが飼いやすいといわれ、Centropyge亜属に含まれるアブラヤッコも飼育はやや難しい印象を受けます。

このほか「小型ヤッコ」とされるものにはシマヤッコ、スミレヤッコ、南太平洋産のペパーミントエンゼルフィッシュの3種がいますが、これらの魚はシマヤッコ属という別属になっていることが多いです。ただ、シマヤッコ属はアブラヤッコ属の中に、ひとつの亜属として含められることもあります。

アブラヤッコに適した飼育環境

水槽

60cm水槽でも飼育できますが、できれば90cmほどの大きめの水槽で飼育した方がよいでしょう。これはアブラヤッコはこの属の中でもっとも大型になる種類だからです。60cm水槽でも、60×30×36(cm)の規格水槽ではなく、奥行きと高さが45cmある水槽であれば、100リットル近い水量を確保できるので、規格水槽よりはおすすめといえます。また水量も多く欲しいところですので、オーバーフロー水槽で飼育すると有利といえます。

水質とろ過システム

小型ヤッコの仲間は丈夫ではありますが、スズメダイよりはきれいな水を好みます。汚い水では病気になりやすかったり、色があせたりします。こまめな水かえを行い、きれいな水質を保つようにします。ろ過装置は上部ろ過槽がおすすめで、外部ろ過槽を使用するならほかのろ過槽と共用するようにします。このほか、圧倒的なろ過能力を誇るオーバーフロー水槽もおすすめといえます。

いずれにせよ本種の飼育はろ過槽とろ材を使用した強制ろ過に限られるでしょう。ベルリンシステムやモナコシステムなどはサンゴメインで飼育するシステムであり、サンゴを捕食するおそれがあるアブラヤッコを飼育するにはあまり向いていないからです。

水温

ほかの熱帯性魚類と同様25℃をキープします。もちろん、夏も冬もできるだけ一定の温度をキープするようにします。水温の急変があると、白点病などの病気にかかってしまうおそれもあります。病気予防には殺菌灯も重要ですが、このような水温の変動を抑えることはそれ以上に大事といえます。

ライブロックと海藻

ライブロックは水槽のろ過を手助けするという側面もありますが、ライブロックに付着するカイメンなどを食べさせることでまだ餌付いていない時期でも生きながらえることができるかもしれません。またクビレヅタ(ウミブドウ)などの海藻もよく食べますので水槽に入れてあげるとよいでしょう。

殺菌灯とプロテインスキマー

殺菌灯は必須というわけではありませんが、チョウチョウウオやキンチャクダイの仲間に発生することがある病気の発生リスクを軽減させてくれます。プロテインスキマーも海水魚飼育には必須というわけではありませんが、魚の排せつ物を生物ろ過がはじまる前に水槽から取り除いたり、水槽に酸素を供給したりします。とくに外部ろ過槽を使用した水槽では酸欠に陥りやすいという欠点がありますので、それを補うにもプロテインスキマーを設置することをおすすめします。

アブラヤッコに適した餌

アブラヤッコは最初から配合飼料を食べるということはほとんどなく、最初のうちはアサリなど生の餌を与える必要があります。アサリを餌として認識すれば、それに配合飼料を混ぜ合わせるなどして慣らす方法をとっていきます。どうしても食べない場合はアサリのみで飼育していきますが、アサリは栄養が偏りやすい、というデメリットもあり、できるだけ配合飼料に慣らしたいところです。ほかカイメンや海藻などを与えるのもよいでしょう。

アサリを与える場合食べ残しを取り除くのに、サラサエビや小型のヤドカリ、クリーナーシュリンプを入れておくのもよいでしょう。クリーナーシュリンプであれば食べ残しのほかアブラヤッコの体表につく寄生虫も食べてくれるでしょう。

配合飼料に餌の嗜好性を高める添加剤を添加するのもおすすめです。ブライトウェル(マーフィード)から出ている「エンジェリクサー」はスポンジ(カイメン)と同じ比率のアミノ酸で、カイメンを食する魚(ヤッコのほか、チョウチョウウオ、ツノダシなど)全般に効果的な餌です。やはりブライトウェルシリーズの「ガーリックパワー」は強力なニンニクエキスのニオイで餌の嗜好性を高め、魚の外部寄生虫に対する抵抗力も高めてくれます。

また、購入したもので配合飼料を食べていたものでも、新しい水槽に入れると餌を食べなくなることもあるので注意が必要です。混泳相手や水温、比重、pHなどの急変には気を付けた方がよいでしょう。

アブラヤッコを入手する

水深2m弱の場所で出会えたアブラヤッコ

▲水深2m弱の場所で出会えたアブラヤッコ

アブラヤッコは静岡県以南の太平洋側に生息し、シュノーケリングでも見られるため手網を使用して採集することも不可能ではありませんが、サンゴ礁域をちょこまか泳ぎ回るため採集は難しく、観賞魚店での購入する方が入手しやすいでしょう。

アブラヤッコの分布域は東インド洋からフィジーまでの海域ですが、おもにフィリピンやインドネシアなどから入ってくることが多く、また安価な魚であるため、雑な扱いを受けやすいともいわれます。できるだけ入荷してすぐの個体は購入しないようにし、長旅の疲れが癒えた個体を購入するようにしましょう。ただ先ほども述べたように、お店で餌を食べていても、環境が変わったり強い魚が水槽にいると餌を食べなくなることもあるので注意が必要です。もちろんアブラヤッコを購入するときは魚をよくみることも大事なことです。体表に白いこまかい点や赤いただれがあるもの、あるいは鰭などが溶けているものなどは選んではいけません。

また、長期飼育を目指すのであればなるべく大きな個体は避けた方が賢明です。これは大型個体は配合飼料に餌付ることが難しいからです。一方小さすぎる個体は頻繁に餌を与えなければならず、これも初心者向けとはいえません。これは小型ヤッコの仲間の多くの種にあてはまることですが、アブラヤッコのように初心者にはやや飼育が難しい種であればなおさらです。白点病などにかかることもあり、水温を一定にしたり、定期的に換水を行うなどして病気を予防しましょう。

アブラヤッコと他の生物との関係

他の魚との混泳

Centropyge亜属の魚は結構気が強めなので注意が必要といえます。とくに近い仲間の小型ヤッコとは激しく争うこともあり、このような魚とは混泳させないほうがよいでしょう。大きく成長した個体はクマノミさえ追い回すほどです。

同種同士の混泳はペアでの飼育は可能かもしれませんが、ペアをつくるのが難しいといえます。

サンゴ・無脊椎動物との相性

サンゴは突いて食べてしまうおそれがあります。そのためサンゴとの飼育は不可です。とくにイシサンゴの仲間との飼育はやめた方が無難ですので、飾りサンゴを使用するとよいでしょう。一方甲殻類はあまりにも小さいものは食べてしまうことがありますが、小型のヤドカリ類や、クリーナーシュリンプなどは概ね大丈夫でしょう。

アブラヤッコ飼育まとめ

  • 小型ヤッコというが全長19cmに達する。属の中では最大級
  • 一見地味だがよく見ると美しい種
  • 飼育はやや難しく初心者向けではない
  • やや大きくなるので90cm以上の水槽を推奨
  • 水温は25℃、病気予防のためには水温が安定していることが大事
  • ライブロックに付着する生物を捕食することもある
  • 最初のうちから配合飼料をたべないこともある
  • 配合飼料を食べないときは海藻やアサリなどを与える
  • やや気が強めなのでほかの小型ヤッコとの混泳は避ける
  • 安価ではあるが雑な扱いをされていることも。個体をしっかりチェック
  • 大きいものは飼育が難しい
  • サンゴは突いて食べるおそれあり
  • クリーナーシュリンプに体表を掃除してもらうのもよい

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