ハナダイギンポの飼育方法~カエルウオの仲間だがコケは食べない

ハナダイギンポはカエルウオやヤエヤマギンポと同じ、イソギンポ科カエルウオ族の魚です。カエルウオの仲間といえば「コケを食べてくれる」イメージがありますが、ハナダイギンポはコケを食べず、ハナダイの仲間と一緒に潮通しのよい場所で、流れてくる動物プランクトンを食べます。またやや大きくなるカエルウオの仲間ですので、小型水槽では飼育しにくいかもしれません。

標準和名 ハナダイギンポ
学名 Ecsenius midas Starck, 1969
英名 Persian blenny, Midas blennyなど
分類 条鰭綱・スズキ目・ギンポ亜目・イソギンポ科・カエルウオ族・ニラミギンポ属
全長 12cm
飼育難易度 ★★☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトグリーンなど
温度 25℃前後
水槽 60cm~
混泳 同種同士やメギス(ニセスズメ・ドティバック)などとの混泳は避ける
サンゴとの飼育 イソギンチャクなどには捕食されるおそれあり

ハナダイギンポってどんな魚?

▲ハナダイギンポの尾鰭

▲背鰭には欠刻がない

ハナダイギンポはフタイロカエルウオや、テールスポットブレニーと同じくイソギンポ科・カエルウオ族・ニラミギンポ属の魚です。細長い体で、尾鰭はほかの多くのカエルウオとは異なる、明瞭な三日月形になるのが特徴です。同じような尾鰭をもつものとしては紅海にEcsenius gravieriという種がおり、この種はやはり紅海特産のイソギンポの仲間で、有毒の牙をもつ遊泳性が強いMeiacanthus nigrolineatusという種に擬態しています。そしてハナダイギンポも遊泳性が強いハナダイの仲間に擬態しているようです(後述)。

一方背鰭の形状はフタイロカエルウオやヒトスジギンポのように欠刻がない、ニラミギンポなどに似たタイプとなります。また、ニラミギンポも尾部がやや伸びるなど、遊泳性が強い種です。

英語ではペルシアンブレニー、もしくはミダスブレニーといいます。前者は本種の分布域(ただし東アフリカからマルケサス諸島までのインド-太平洋熱帯域の広範囲に分布)、後者はおそらく触れたものすべてを金にしてしまうミダス王からきているのでしょう。和名はハタ科の一グループであるハナダイ類にちなみます。色がきれいでハナダイ類と一緒に泳いでいる様子がよく観察されるからでしょうか。全長10cmをこえ、ニラミギンポ属の魚としてはフタイロカエルウオなどとならび大きくなります。

色彩

ハナダイギンポは灰色のもの、色鮮やかな黄色のものがいます。ただしこの種はともに群れるハナダイの仲間(後述)にあわせ、色彩を変えることができる、ともいわれています。また、肛門の周辺は黒っぽくなっていることも特徴です。眼にも青い線が入り、とてもおしゃれな魚です。

夜間などはフタイロカエルウオと同様灰色の不明瞭な斑紋がでることがあります。

習性

ハナダイギンポはイシガキカエルウオなどと同じニラミギンポ属の魚ですが、残念ながら水槽壁面のコケはほとんど食べてくれません。ニジギンポやテンクロスジギンポの仲間ほどではないのですが、よく泳ぐ種類です。サンゴ礁域の浅場でキンギョハナダイやハナダイダマシなどと遊泳し、一緒にプランクトンを食べる様子がよく見られます。

ハナダイギンポ飼育に適した環境

水槽

▲90cm水槽で飼育しているハナダイギンポ

ハナダイギンポはニラミギンポの仲間としては比較的大きくなり、全長10cmをこえるサイズにまで成長し、また、カエルウオ族の魚の中でもとくに遊泳性が強いので、60cm以上の水槽で飼育したいものです。我が家では90cm水槽で飼育していました。とくにカエルウオ同士の混泳であれば90cm水槽が有利です。

水質とろ過システム

丈夫な種が多いカエルウオの仲間としては若干デリケートで綺麗な水を好むようです。外部ろ過槽は単用せず上部ろ過槽と併用して使うようにします。外掛けろ過槽はどうしても小型水槽用で、60cm以上の水槽で飼育したいハナダイギンポの飼育にはあまり向いていません。

ハナダイギンポはサンゴ水槽での飼育もできます。とくにミドリイシなどSPSと飼育するのであれば当然ベルリンシステムなどに代表されるナチュラルシステムや超低栄養塩システムなどがベストです。もちろんこのようなシステムでは魚を多く入れることはできません。

水温

サンゴ礁の浅場に生息する種なので、25℃ほどの水温で飼育することができます。白点病などの病気を防ぐためには「殺菌灯」を使用すれば…と思いがちですが、水温を一定にすることのほうが病気予防のためにはずっと大切です。クーラーとヒーターを使用し年中水温をキープするようにしましょう。

隠れ家

ハナダイギンポは岩にあいた孔の中などに潜んでいることが多いですので、サンゴ岩やライブロックなどを入れて隠れ家を作ってあげましょう。

フタ

ハナダイギンポはカエルウオなどと異なり波打ち際にいるタイプではないのですが、驚いたときなどジャンプすることもありますので、フタはしっかりしましょう。

ハナダイギンポに適した餌

ハナダイギンポは動物プランクトンをメインとした食性を持ちます。しかし、「メガバイト」などペレットフードもよく食べてくれますので、プランクトンフードは積極的に与えなくても大丈夫ですが、偏食・拒食などを防ぐためにたまにプランクトンフードをあげるのもよいといえます。しかし生の餌は水を汚すので与えすぎないようにしたいものです。メガバイトシリーズを与える際は、小粒のSサイズがおすすめです。

動物食性ですがカエルウオ族ですので、できれば「メガバイトグリーン」や「海藻70」などの藻類を好んで食べる魚用フードも与えたいものです。ただし、アクアリウムシステムズのアラカルトなど海藻そのままのフードは食べません。そのため、クビレズタ(ウミブドウ)などの海藻との飼育もできます。

ハナダイギンポをお迎えする

分布域はインド-太平洋と広域に及び、日本でも西表島などに分布していますが、観賞魚としては主にインド洋などから入ってきます。スリランカ便などで入ってくることが多く、状態は東南アジアなどから来る種よりも概ね良好そうですが、それでも入荷してすぐの個体は購入しない方がよいでしょう。もちろん、皮膚や鰭にただれがある、鰭が溶けている、白点病にかかっている、などの個体も購入してはいけません。

ハナダイギンポとほかの生物との相性

ほかのカエルウオとの混泳

ハナダイギンポは比較的大型になる種類ですので、混泳を考えることができるのは90cm以上の水槽でしょう。ヤエヤマギンポ、カエルウオ、やや小型のアオモンギンポなどと混泳していましたが、隠れ家が多かったためか、混泳は概ねうまくいっていました。

ほかの魚との混泳

▲メギス(ニセスズメ、ドティバック)の仲間とは組み合わせない方がよい

海ではハナダイの仲間と群れているため、水槽でも再現してみたくなりますが、狭い水槽ではハナダイの仲間を群れさせるのは難しいので、120cm以上の水槽でキンギョハナダイを複数匹飼育し、後から追加するようにします。ハナダイギンポは性格的にもやや強めで、キンギョハナダイともうまく混泳できるでしょう。ほか、スズメダイの仲間(温和なデバスズメダイなどがおすすめ)、クマノミの仲間(カクレクマノミ、ハナビラクマノミなど)、小型のベラ、遊泳性ハゼ、ハギ、アイゴ、そしてもちろんヤッコなど多くの魚との混泳に適します。

逆に組み合わせてはいけないのはメギスの仲間です。メギスの仲間は同じような形、大きさの魚とは激しく争うためです。このほか大型のスズメダイなども性格がきつめなので混泳は危険です。もちろん、カサゴやハタ、ウツボのようにハナダイギンポを食べてしまうような魚と組み合わせてもいけません。

サンゴ・無脊椎動物との相性

サンゴや無脊椎動物には悪影響を与えません。SPS、LPS、ソフトコーラルなど概ね大丈夫ではありますが、クマノミと共生するような大型イソギンチャクやウチウラタコアシサンゴのような捕食性が強い生物と一緒にしていると捕食されるおそれがあるのでいけません。

甲殻類は動きが遅いカエルウオの仲間を食べてしまうことがあるので注意が必要です。オトヒメエビやイセエビ、大型のカニ、大型のヤドカリは避けた方が無難でしょう。サラサエビ、キャメルシュリンプ、ペパーミントシュリンプ、スカンク、ホワイトソックス、サンゴヤドカリの類などとは安心して混泳できます。

ハナダイギンポ飼育まとめ

  • 全長10cmを超えるやや大型のカエルウオ
  • 体色は黄色っぽい
  • 尾鰭が三日月状になり遊泳性が強い
  • 動物プランクトンを中心に食べ藻類は食べない
  • 大型になり遊泳力も強いため60cm以上の水槽で飼育する
  • ほかのカエルウオよりもきれいな水を好む
  • 水温も25℃前後で一定に保つ
  • 飛び跳ねるおそれもあるためフタはしっかりしておく
  • メガバイトなどの配合飼料をすぐ食べてくれる
  • 状態よく入ってくる個体が多いが、入荷してすぐの個体は購入しない
  • 体表や鰭にただれや白点があるもの、鰭が溶けているものも購入しない
  • ほかのカエルウオと飼育する場合は90cm以上の水槽で
  • 多くの魚と混泳できるが大型のスズメダイやメギスの類および肉食魚は避ける
  • サンゴ水槽でも飼育できるが、動物食性が強いサンゴやイソギンチャクは危険

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