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2020.01.20 (公開 2019.08.02) 海水魚図鑑

タネギンポの飼育方法~カエルウオに近い仲間でコケもよく食む

タネギンポはコケ取りとして入れられるカエルウオに近縁な魚です。頬の部分には数本の斜線が入ることにより、ほかのカエルウオの仲間と容易に見分けることができます。ほかのカエルウオ同様コケを食べてくれるため、観賞魚店で販売されることがあるのですが、ほかの種類とともに「カエルウオミックス」として販売されていることもあります。また、水槽から飛び出してしまうこともありますので、ほかのカエルウオの仲間同様、フタをしっかりしておかなければなりません。今回はタネギンポの飼育方法をご紹介します。

標準和名 タネギンポ
学名 Praealticus tanegasimae (Jordan and Starks, 1906)
英名
分類 条鰭綱・スズキ目・ギンポ亜目・イソギンポ科・カエルウオ族・タネギンポ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトグリーン海藻70など
温度 25℃
水槽 45cm~
混泳 気が強い魚や肉食性の強い魚とは組み合わせない方がよい
サンゴとの飼育 サンゴには無害

タネギンポってどんな魚?

タネギンポは南日本の太平洋岸から琉球列島、台湾、グアムに生息するイソギンポの仲間です。和歌山や高知など黒潮の影響が強い地域ではタイドプールで採集することもできます。カエルウオ族の魚であり、カエルウオとは非常によく似ていますが頬に斜線が入ること、腹鰭の軟条が1棘4軟条と、カエルウオよりも多くなっているのが特徴のよです。またその他の形質もカエルウオと異なるところがあり、別属の魚とされています。

雌雄の違い

▲雄(上の写真と同一個体)

▲雌

タネギンポの雌雄は頭部をみれば容易に見分けがつきます。雄の頭部正中線にトサカのような半円形の突起がありますが、雌にはそれがありません。これはカエルウオ雄同士では激しく争い、雌同士でも争うことがありますので、小型水槽では雄1、雌1が適当でしょう。

近縁種のタマギンポ

▲タマギンポの雄

タネギンポ属は世界(インド-太平洋域)に14種、日本に3種が知られています。同じように南日本太平洋岸で見られるものに、タマギンポという魚がいます。タマギンポはタネギンポによく似ている魚なのですが、頬や体に白い斑点が散らばることでタネギンポと見分けることができます。タマギンポもタネギンポ同様、雄の正中線に皮弁があることにより雌雄を判別することができます。タネギンポも南日本に分布してはいるとはいえ、タマギンポに比べて少ないです(ただ千葉館山からの記録もあるよう)。沖縄や奄美方面では普通に見られる種です。

また日本にはもう1種カブキギンポという種類が生息しています。こちらは屋久島と琉球列島にいます。頬に斜走線がありタネギンポに似ていますが、カブキギンポの斜走線は下部で合一するのが特徴です。

コケは食べてくれる?

藻類食性であり、水槽のガラス面や壁面についているコケも食べてくれます。

タネギンポに適した飼育環境

水槽

単独であれば小型水槽でも飼育できますが、45cm以上の水槽で飼育するのが理想的です。同種同士、もしくはほかのカエルウオと飼育するのであれば60cm以上の水槽が必要になります。

水質とろ過システム

タネギンポは水質の悪化に強いのですが、それでも良好な水質をキープしておきたいものです。外掛けろ過槽は水槽の上部に「空き」ができてしまい、脱走してしまうおそれがあるのでおすすめできません。一方外部ろ過槽は酸欠を招くおそれがあり、これも単独での使用はおすすめできません。上部ろ過槽がよいですが、不安なら外部ろ過槽も使用するとよいでしょう。

オーバーフロー水槽での飼育についても、注意しなければならないポイントがあります。これはタネギンポがフロー管から落下し、サンプの中に落っこちてしまうことがあるからです。これを防ぐためには円形のフロー管の水槽を使用し、その上にアクリル板などを置いておくなどの対策が必要になります。タネギンポはサンゴに悪影響を与えるようなカエルウオではなく、ベルリンシステムやゼオビットなどでの飼育もできます。ただしこれらのシステムでは魚を多めに入れられないので注意が必要です。

水温

基本的には25℃をキープしますが、サンゴ礁の浅場にすむという性質上、もっと高めの水温で飼育することもできます。しかし安定した水温で飼育したいものです。

フタ

カエルウオの仲間はどの種も水槽から飛び出すことがあるのでフタはしっかりしておかなければなりません。またフタに切り込みがあるとそこから逃げ出してしまい、干からびた姿とご対面してしまうことがありますので、フタの切り込みの上にもアクリル板を置いておくなどして対策します。

タネギンポに適した餌

タネギンポはカエルウオに近い仲間で、コケをよく食べてくれる種類です。ただし食んだ跡は残りますので、最終的にはスクレイパーで削ってしまいましょう。また、コケがないと飢えて死んでしまいますので、かならず配合飼料も同時に与えなければなりません。

タネギンポはほかのカエルウオと同様に藻類食性が強いため、藻類食魚用の配合飼料を与えるとよいでしょう。海藻類はあまり食べず、海藻を咥えていても海藻に付着する微小な藻類を食べているような感じです。ですから海藻そのものを与えるのではなく、「メガバイト グリーン」や「海藻70」のSサイズなどを与えるようにしましょう。

タネギンポをお迎えする

タネギンポは残念ながらアクアリウムショップではほとんど販売されていません。沖縄産の海水魚を扱う店で「カエルウオミックス」として販売されているものの中に、ホホグロギンポやニセカエルウオなどとともに混ざっていることがある程度です。

和歌山県や高知県などの太平洋岸の磯ではタイドプールで採集することができます。ごく浅いところでもよく見られ、岩の上を跳ねていることもあります。採集してバケツにただ入れておくだけだとぴょん、と飛び跳ねてしまうこともあるので、フタはかならずしなければなりません。

タネギンポとほかの生物との相性

同種同士の混泳

▲90cm水槽で飼育しているタネギンポ

同種同士は激しく争います。とくに雄同士は激しく争うため、雄同士の混泳は避けなければなりません。雌同士は雄同士ほど激しく争うことはないのですが、小型水槽では複数入れないように注意します。90cm水槽であれば複数個体の飼育が可能になります。

ほかのカエルウオとの混泳

ほかのカエルウオの仲間とは争うことがあります。特に雄同士では激しく争います。我が家のタネギンポもカエルウオの雄とは激しく喧嘩していました。90cmほどの大きめの水槽では複数種のカエルウオを組み合わせられますが、やはり小型水槽での混泳は避けたいところです。

ほかの魚との混泳

カエルウオの仲間に危害を加えないヤッコや(おとなしい)スズメダイ、小型のベラなど多くの魚と組み合わせることができます。組み合わせてはいけないのはウツボやカサゴなどの肉食性の強い魚です。細長いからだをしているタネギンポは肉食性の魚に食われやすいです。ほかメギス(ニセスズメ)の仲間や、スズメダイの仲間の大きいものなどは気性が激しく、これらの魚とも混泳させないほうがよいです。

サンゴ・無脊椎動物との相性

サンゴや無脊椎動物にはとくに害を与えないので、多くの種類と組み合わせることができます。ただしイソギンチャクの類、大型のディスクコーラル、ウチウラタコアシサンゴなど魚食性が強い種類とは組み合わせない方がよいでしょう。小型のディスクやマメスナギンチャクとの飼育は問題ありません。

甲殻類は小型のサンゴヤドカリやサロンシュリンプ、ペパーミントシュリンプ、サラサエビの類であれば問題ないでしょう。クリーナーシュリンプは概ね問題ありませんが、オトヒメエビは大きなハサミでタネギンポを捕食してしまうおそれもあるので組み合わせない方がよいでしょう。大型のヤドカリやカニ、イセエビの類もタネギンポを食べてしまうことがあるためよくありません。

タネギンポ飼育まとめ

  • カエルウオと近い仲間
  • 雄と雌では頭部の形状が違う
  • 同種同士を飼うなら大きめの水槽で飼育したい
  • 飛び出すことがあるのでフタが必須
  • オーバーフロー水槽でもサンプに落下する可能性あり要注意
  • コケだけでは餓死するので給餌は重要
  • ほかのカエルウオの仲間と激しく争う。混泳を考えるなら90cm水槽が欲しい
  • 肉食性の魚、気が強いメギスなどとの混泳はは避ける
  • 無脊椎には無害だがイソギンチャクなどには捕食されることも
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