イトマンクロユリハゼの飼育方法~丈夫で飼育しやすいが飛び出しには要注意!

イトマンクロユリハゼは遊泳性ハゼの仲間で淡い緑色の体が特徴です。性格はやや強めではありますが、それでも温和な性格で、同じ遊泳性ハゼやそのほかのおとなしい魚との混泳が可能です。丈夫で飼育しやすく、病気にもかかりにくいのですが、飛び出しには十分に注意する必要があります。今回はイトマンクロユリハゼの飼育方法をご紹介します。

標準和名 イトマンクロユリハゼ
学名 Ptereleotris microlepis (Bleeker, 1856)
英名 Blue gudgeon, Green-eyed dart-goby, Smallscale hovergobyなど
分類 スズキ目・ハゼ亜目・クロユリハゼ科・クロユリハゼ属
全長 10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッドなど
温度 25℃前後
水槽 60cm~
混泳 おとなしい魚との混泳が望ましい
サンゴ飼育

イトマンクロユリハゼって、どんな魚?

イトマンクロユリハゼはクロユリハゼ科の遊泳性ハゼです。ゼブラハゼやオグロクロユリハゼなどに近い仲間で、全長10cmを超えるやや大きめの種になります。体は薄いグリーンという感じで派手さはないのですが美しく、ほかの似たような体色をもつ種とは胸鰭に黒い線があることにより見分けられます。また体には目立つ模様はないこと、背鰭が二つに分かれていること、尾鰭は伸びていないこと、下顎に肉質突起をもたないことによりほかの同属の遊泳性ハゼと見分けることができますが、よく似た種と間違えられることもあります。

イトマンクロユリハゼに似た別種

イトマンクロユリハゼには、よく似た種類が何種類かいます。これらはたまにイトマンクロユリハゼという名前で販売されることもあります。

ヒメユリハゼ

ヒメユリハゼはイトマンクロユリハゼによく似ています。しかしこの仲間の多くの種では背鰭が二つに分かれているのに対し、ヒメユリハゼの背鰭は第1背鰭と第2背鰭が鰭膜でつながっているのが特徴です。また色彩もメタリック色が強く、イトマンクロユリハゼの胸鰭基部に見られる黒い線はありません。海水魚店ではあまり見られない種類です。

スミゾメハナハゼ

スミゾメハナハゼはイトマンクロユリハゼよりは、同じクロユリハゼ属のハナハゼに近い仲間です。ハナハゼによく似た細い体をもち、下顎に小さな肉質突起を有しています。ただし、ハナハゼとは異なり尾鰭の鰭条が伸びるようなことはありません。また、鰓蓋や胸鰭基部にピンク色の点を有するのも特徴です。性格はかなり臆病なので、強い魚とは混泳させないほうがよいかもしれません。海水魚店ではたまに見られ、「イトマンクロユリハゼ」とか「ハナハゼラウンドテール」なる名前で販売されていることもあります。スミゾメハナハゼの飼育詳細はまた別にご紹介します。

イトマンクロユリハゼ飼育に適した環境

水槽

遊泳性ハゼとしてはやや大きめの種類ですので、できれば60cm以上の水槽で飼育したいものです。幼魚は小型水槽でも飼育できるのですが、成長することも考えると60cm以上の水槽が必要になってきます。

水質とろ過システム

丈夫な魚で比較的硝酸塩が蓄積されていても飼育できますが、できるだけきれいな水で飼育してあげましょう。まず外掛けろ過槽は水槽の上面が開きやすいため候補になりにくいです。また外掛けろ過槽や外部ろ過槽だけではろ過能力が低いのも困ったところです。おすすめは上部ろ過槽ですが、隙間をメッシュなどで埋めておき、飛び出し事故を防ぐようにしたいものです。もっともおすすめなのはろ過能力の高いオーバーフローシステムです。

イトマンクロユリハゼはサンゴにはいたずらすることはないのでサンゴ水槽でも飼育できますが、ベルリンシステムなどサンゴメインのシステムで飼育するのであれば魚は多く入れられないので注意が必要です。

水温

水温は25℃をキープします。22~27℃くらいまでなら状態よく飼育できるのですが、朝22℃、夜27℃と、水温の変化が大きいのはいけません。水温の変化により海水魚は状態を崩してしまうことがあり、丈夫なイトマンクロユリハゼといっても病気になるおそれがありますので、きちんとヒーターとクーラーを使用して一定の温度を保ちましょう。

フタ

イトマンクロユリハゼを飼育する際に重要なことはフタをしっかりするということです。そうしないと水槽から飛び出してしまうことがあります。このように飛び出して死んでしまうという事故も多いので、フタは隙間も埋めるようにしっかりしておきたいものです。またオーバーフロー水槽ではできればフロー管の上にもフタをしておきたいところです。

隠れ家

イトマンクロユリハゼは臆病な性格をしており、危険がせまるとすぐにサンゴや岩の隙間に隠れてしまいます。飼育下でもライブロックやサンゴ岩を組むなどして隠れ家を用意してあげましょう。ただし複雑に組むとなかなか出てこなくなってしまうこともありますので、注意が必要です。

イトマンクロユリハゼに適した餌

イトマンクロユリハゼは海では動物プランクトンを食べていますが、飼育下では配合飼料をよく食べてくれます。ただし大きな粒のものはイトマンクロユリハゼは食べることができません。成魚であれば「メガバイト レッド」のSサイズが最適でしょう。コペポーダやホワイトシュリンプなどのプランクトンフードもよく食べてくれるのですが、このような餌を与えすぎると水質が悪化しやすいので注意が必要です。たまに与える程度にとどめておきましょう。

イトマンクロユリハゼをお迎えする

分布域は広く、紅海から仏領ポリネシア、トゥアモトゥ諸島まで広く分布しています。日本では琉球列島でふつうに見られるほか、静岡県以南の海で見られることもあり、採集することもできます。ただしクロユリハゼなどにくらべると数は少なく、関東の海では毎年来るというわけでもないようです。そのため一般的には購入して入手することが多いといえます。

入荷量は多くもなく、かといって極端に少ないというものでもありません。主に沖縄、マニラ、バリなどから入ってきますが、とくに海外産の個体は状態がよくないこともあり、注意が必要です。また背中の肉がついていないものも選ばないほうがよいでしょう。回復に時間がかかり、初心者では回復しないまま死なせてしまうことも多いからです。もちろん鰭が溶けているとか、体表や鰭に白点がついている、赤いただれがある、傷があるなどの個体も選んではいけません。

イトマンクロユリハゼとほかの生物の関係

同種同士の混泳

▲同種同士混泳可能

イトマンクロユリハゼは海の中でも水槽の中でも群れをつくります。性格はこの中では比較的強め(激しく争うことはない)ですので1匹だけでも大丈夫ではありますが、群れで飼育するとより楽しめるでしょう。とくに小さいのは群れで泳がせると非常にきれいです。

ほかの魚との混泳

▲ほかの魚との混泳も楽しめる

イトマンクロユリハゼはほかの魚との混泳もできます。同じ属の遊泳性ハゼ、あるいはハタタテハゼの仲間やサツキハゼの仲間であればどの種とも混泳できます。底生のハゼの仲間(共生ハゼ含む)はイトマンクロユリハゼと同じくらいの大きさか、やや底生ハゼのほうが小さいのであれば混泳できます。これは底生ハゼがイトマンクロユリハゼの幼魚を捕食してしまう可能性があるためです。

ほかの魚ではカクレクマノミや温和なスズメダイ、小型ヤッコ、小型のハナダイ、イトヒキベラ、各種カエルウオとの混泳が最適です。大きなスズメダイやメギスの仲間は攻撃的であまりイトマンクロユリハゼとの混泳には向きません。もちろんイトマンクロユリハゼを捕食してしまう可能性がある肉食性の魚との混泳もやめましょう。

サンゴ・無脊椎動物との相性

▲ディスクコーラルとの飼育例

サンゴにはいたずらをしないため、ソフトコーラル、ハードコーラルいずれの水槽でも飼育できます。イソギンチャクは魚を食べてしまうことがあり一緒にしないようにします。とくに本種は何かに驚くと、シュッと近くの岩陰などに身を隠す習性があり、イソギンチャクの触手に触れてつかまり、食べられてしまいやすいのです。ただし小型のディスクコーラルについては問題ありません、またマメスナギンチャクなども問題ありません。

一方甲殻類の仲間ではイトマンクロユリハゼなどの小魚を捕食することがあるので注意が必要です。とくに大きなカニ、大きなヤドカリ、イセエビなどは注意が必要です。小型のクリーナーシュリンプやサラサエビの類、共生テッポウエビ、サンゴヤドカリの類、ベニワモンヤドカリ、小型のオウギガニなどであれば問題ありませんでした。

イトマンクロユリハゼ飼育まとめ

  • 丈夫で飼育しやすいクロユリハゼ属の一種
  • よく似た種類も「イトマンクロユリハゼ」の名で流通することがある
  • 下顎に肉質突起がなく胸鰭基部にも黒い線がない
  • 水槽は60cm以上が必要
  • 外掛けろ過槽はしっかりフタをしにくい。上部ろ過槽かオーバーフロー推奨
  • 水温は25℃を保つようにしたい
  • フタはしっかりする
  • 隠れ家もしっかり作ってあげたい
  • 動物プランクトンが主食だが配合飼料もよく食べる
  • やせている個体や傷、ただれなどのある個体は購入しない
  • 同種同士やほかのおとなしい魚と混泳を楽しめる
  • 肉食魚や大きなスズメダイ・メギスなどは避ける
  • サンゴには無害

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