小型ヤッコが上手く飼えないときはここを見直そう!

小型ヤッコの仲間はその可愛いしぐさや鮮やかな色彩から観賞魚として人気があります。しかし、この小型ヤッコは初心者にはやや飼育が難しいところがあります。水質悪化に弱いこと、クマノミの仲間より病気になりやすいこと、餌の問題、タンクメイトの問題などです。小型ヤッコが上手く飼育できないとき見直すべきポイントをまとめてみました。

小型ヤッコとは

▲人気の高いシマヤッコ属のスミレヤッコ

小型ヤッコはキンチャクダイ科のアブラヤッコ(Centropyge)属、およびシマヤッコ属(Paracentropyge)のことをいいます。属学名からケントロピーゲ、パラケントロピーゲ(パラケン)などとも呼ばれています。サンゴ礁に生息しており、色鮮やかなものが多くしぐさがかわいいなどの理由から人気がある魚たちです。しかしヤッコは人気がある一方で、ヤッコをうまく飼育できないと嘆くアクアリストも多くいます。では、なぜヤッコが上手く飼育できないのでしょうか。

ヤッコが上手く飼えない理由

ヤッコが上手く飼えない理由としては、いろいろなことが考えられますが、大きく「水槽の状態や病気により死亡する」「タンクメイトに問題がある」「餌に問題がある」「小型ヤッコの種や個体に問題がある」という風に分けられるでしょう。

水槽の状態や病気により死亡する

▲初心者向けの海水魚で基礎を学んでから飼育したい

小型ヤッコはクマノミやハゼなど、初心者向けの魚よりもきれいな海水を好みます。ですから生物ろ過が十分にできている水槽で、なるべく硝酸塩の値を低めにすることが望ましいです。汚い水、古い水では弱ってしまったり、最悪病気になって死んでしまったりします。

また、海水魚を飼育するスキルが足りない、はじめたばかりのアクアリストにも小型ヤッコをおすすめすることはできません。はじめて海水魚を飼育するのであれば、小型ヤッコをショップで見てもすぐ購入せず、まずはハゼやカクレクマノミなど、飼育しやすい魚で海水魚飼育の基礎を学ぶようにします。ろ過バクテリアをしっかり繁殖させ、小型ヤッコが飼えるような環境を整えるのが先です。

小型ヤッコは「初心者向け」ではない

▲初心者向けの海水魚といえばカクレクマノミ

小型ヤッコはよく初心者向けマリンアクアリウムのハウツー本などで掲載されており間違えられやすいのですが、正直小型ヤッコはあまり初心者向けの魚とはいえません。クマノミやハゼの仲間などを飼育して海水魚飼育になれた人が飼育するべき魚といえます。これは小型ヤッコはカクレクマノミやハゼの仲間よりも水質にうるさいところがあり、やや病気にかかりやすい面があるからです。

立ち上がり初期に入れると飼育は難しい

「小型ヤッコは丈夫だよ」「飼いやすいよ」って言われることがあります。しかし、水質の悪化にはスズメダイなどよりも弱いです。とくに海水魚飼育をはじめてするときに本種を入れると数日で死に悲しい思いをすることになるでしょう。まずはハゼなど温和で飼育しやすい魚を飼育し、生物ろ過がうまく働くようになってから一度水かえをしてヤッコを追加するのが望ましいです。いずれにせよヤッコを飼育する前には、あまり魚がいない、水槽が寂しい期間(ろ過バクテリアを増やす期間)が重要といえるでしょう。

魚の数が多い

魚の入れすぎはアンモニアが発生するおそれあり

魚の数が多すぎると生物ろ過が追い付かず、生物にとっては毒性が強いアンモニアが発生して魚を死に至らしめることがあります。そのため魚は少なく抑える必要があります。もちろん、これはヤッコの仲間にかぎらず、多くの魚にいえることです。とくに60cm水槽では注意が必要です。

ろ過槽の種類に注意

小型ヤッコを飼育するには高いろ過能力のあるろ過槽が必要です。高いろ過能力があるのはオーバーフロー水槽にしてサンプでろ過をおこなう方式ですが、高価なオーバーフロー水槽のセットを一式そろえなければなりません。

既存の水槽で、できるだけ安価にろ過能力を上げるのであれば上部ろ過槽がおすすめです。これに外部ろ過槽を併用すればなおよいです。ただし外部ろ過槽を単独で使用するのはよくありません。外部ろ過槽はその構造からどうしても酸欠になりやすいからです。外掛けろ過槽は酸欠になりにくいですがその構造の単純さからろ過能力はあまり高くないのでほかのろ過槽との組み合わせが必要です。水槽のサイズなどに制約があり、上部ろ過槽を置けない場合には外部ろ過槽をメインにし、酸欠を補うために外掛けろ過槽か、外掛けのプロテインスキマーを使用するのがおすすめです。

底面ろ過槽は水槽の底一面をろ過槽として使用できるのでろ過能力が高いですが、汚れは砂の中にたまってしまうため、定期的な「毒抜き」が必要になり面倒臭く、また砂を掘ったり砂を動かす魚は飼育できないというデメリットもあります。このほかろ過槽を使用しないナチュラルシステムもありますが、このシステムでは魚は少な目にしないと失敗しやすいです。

水温の変動に注意

▲チェルブなど大西洋のヤッコは水温低めがよい

水温の変動は大きいと白点病などの病気発生を招くので常に一定の水温で飼育することが求められます。大体23~27℃、基本は25℃が理想です。やや深場の種や、日本近海のレンテンヤッコ、ハワイのポッターズエンゼル、カリブ海産の種では高水温に弱いこともあるので、これらの種は22℃前後で飼育するのが望ましいといえます。

一般に病気の予防は「殺菌灯」をすすめられることが多いのですが、殺菌灯よりも水温の安定、きれいな水、適度な水流、良質な餌で抵抗力をつけさせることがずっと大事です。その上で感染症などの予防に殺菌灯を付けるのがおすすめです。

ろ材や底砂は動かさない・ベントス食ハゼも入れない

▲砂をまき散らすベントス食ハゼは後から追加しない方がよい

ろ材や底砂を極力動かさないのも病気対策の一つです。これはろ材や底砂を動かしてデトリタスを舞い上げてしまうと、その中に白点病のもとになる生物が潜んでいることがあるのか、汚れが舞い上がった影響による魚側のストレスなのかで、病気が発生しやすくなるからです。

底砂を入れてヤッコやクマノミだけを入れていた水槽にベントス食ハゼ(アカハチハゼやミズタマハゼなど)を入れると白点が出てしまった、というケースもあります。とくに深い砂を敷いた状態で後からベントス食ハゼを入れたときにおこりやすい感じがします。

つねにきれいな水で飼う

ヤッコに限ったことではないのですが、常にきれいな水で飼うようにしましょう。水が汚いだけで病気になってしまうこともあります。白点病とよく似た症状であるが症状が激しいウーディニウム病は古い、もしくは汚い海水で飼育していると発生することがありますので、水かえにより綺麗な海水を維持することは重要なことなのです。

水流は重要

▲水流ポンプも水槽内に設置したい

「水流」といえばサンゴ水槽というイメージが強いのですが、海水魚水槽でも、水流は大事な要素となります。水流が魚にとって活力を与え、酸素も届けてくれます。

水流がないと水がよどんでしまい、そうなるとデトリタスが堆積し、その中に病気の原因となる生物が潜んでいることもあるので、魚水槽でも水流は大事なのです。ただし魚が泳げないような強い水流はいけません。

タンクメイトの存在により死んでしまう

▲カクレクマノミなどとなら混泳可能

小型ヤッコは、おとなしめのスズメダイ、ハナダイ、小型のベラ、ハゼなどさまざまな魚と混泳できます。しかし、ほかの魚を襲ったりするような魚、攻撃的な魚とは混泳は避けた方が賢明です。小型ヤッコはカラフルなのでいくつかの種類を混泳してみたくなりますが、小型ヤッコは争うため初心者には複数飼育はおすすめしません。また小型ヤッコは水質悪化に強くなく、アンモニアが発生するようではだめです。魚の入れすぎには注意が必要です。

「パンパン」音に要注意

▲シャコの仲間は魚を襲うことがある

水槽にテッポウエビの仲間をいれているわけでもないのに、「パンパン」という音が聞こえてきたら、甲殻類のシャコの仲間が潜んでいることがあります。シャコの仲間は強い捕脚をもち、魚を傷つけてしまいます。シャコがいることが分かったら、なるべく早く水槽から出すことが重要です。

シャコはライブロックやサンゴについてくることが多いです。ライブロックのを購入したら、小さな穴の中にシャコが潜んでいないか、よくチェックするべきです。懐中電灯とピンセットを使用し、隅々まで怠りなくチェックしたいものです。ほかに無脊椎動物としてはオトヒメエビやイセエビなどはヤッコなど小魚を食べてしまうこともあるので避けます。イソギンチャクもやめた方が無難です。

小型ヤッコ同士の混泳は難しい

▲ソメワケヤッコとフレームエンゼルの混泳

小型ヤッコをうまく飼育するのであれば、小型ヤッコは1匹だけにして、あとはヤッコ以外の魚(カクレクマノミや遊泳性ハゼなど)を飼育するのが一番です。その一方でベテランとなるとひとつの水槽に何匹も小型ヤッコを混泳させて楽しんでいることもありますが、まずは1種類の小型ヤッコをうまく飼育することが先です。

大きめの魚からのプレッシャーにも注意

▲肉食魚との混泳は避ける

大きな魚からプレッシャーを受けてしまうことがあります。とくにスズメダイの仲間の大きなものはかなり気が強くなりますので、小型ヤッコとの混泳には向かないところがあります。中・大型ヤッコと混泳させているアクアリストもいますが、その場合も中・大型ヤッコからプレッシャーを受けていないか観察する必要があります。また肉食性の魚も避けた方が無難です。

サイズ以外の面としては、先ほど述べたベントス食ハゼなど砂を掘り起こす魚や、ダンゴウオなど生息水温が大きく異なる魚なども避けます。

隔離ケースを使用するときの注意点

▲うまく使えば便利な「ビックフィッシュハウス」

混泳前に「お見合い」をさせるとか、先住のヤッコをとらえて隔離するといったときに、隔離ケースは大きな助けになるでしょう。

しかし、隔離ケースは水がよどみやすいので、水流の強いところに置いておくとか、大きなケースにピコエボマグみたいな小型水中ポンプを付けるなどの工夫が必要になることがあります。また水がよどむからか、コケも生えやすくなります。水流のことは考えてあげましょう。また小さなケースでは魚が死んでしまうこともありおすすめできません。

餌に問題がある

▲適切な餌を適量与えたい

どんな魚にもいえることですが、餌は魚がエネルギーを得るために大事なものです。「食べるから」といって沢山与えすぎると消化不良などを起こすこともあり、よくありません。適切な餌を適切な量、与えることが大事です。

フレークフードは量が少ない

ヤッコの仲間は最終的に配合飼料に餌付かせるようにしたいものです。配合飼料は主にペレット状のものとフレーク状のものが販売されていますが、それぞれ一長一短です。フレーク状の餌は水面に浮遊し魚に見えやすいというメリットがありますが、薄っぺらいため量的には多くないのです。できるだけ「メガバイト」や「シグマグロウ」などのペレットフードも一緒にあげたいところです。

アサリなどの生餌はあげすぎ注意

▲アサリを食べるアブラヤッコ

ヤッコの仲間が餌付いていないときにアサリなどの餌を与えたくなります。しかし、生餌の与えすぎは水を汚してしまうおそれがあります。90cm以上の水槽であればともかく、60cm水槽やサンゴ水槽では与えすぎないように気をつけましょう。またろ過能力が低い、あるいはまだ生物ろ過が上手くできていないというときも与えるのは避けます。そういう意味でも、水槽を立ち上げた後の最初に小型ヤッコを入れるのはおすすめしません。

ヤッコの種・個体そのものに問題がある

一般に「小型ヤッコ」と称される魚には2属・36種がいますが、これらのすべてが飼いやすいというわけでなく、なかにはベテランでも飼育が難しいものがいます。一般的に簡単なものはチャイロヤッコやチェルブに代表されるフレームバック類、フレームエンゼル、ルリヤッコアカハラヤッコなどです。

フィリピン・インドネシア産は要注意

▲飼いやすいアカハラヤッコだが入荷状態には注意

フィリピンとインドネシアは「海水魚の二大産地」とされます。この産地から入ってくるのはルリヤッコ、アブラヤッコ、ヘラルドコガネヤッコ、アカハラヤッコ、ナメラヤッコ、ソメワケヤッコ、オハグロヤッコ、エイブリーエンゼル、ゴールデンエンゼル、スミレヤッコ、シマヤッコなどです。

これらの地域の魚は安価ではありますが、その分小さい袋で来ることも多く、扱いは雑であることが多いといえます。ですから、購入する前には魚の様子をしっかりチェックしたいものです。入荷してすぐのもの、やせているものは絶対に選んではいけません。

初心者に飼いやすい小型ヤッコとしてはアカハラヤッコやルリヤッコがあげられますが、これらの種はフィリピンから来ることも多く、疲れが癒えて餌を食べている個体を選びましょう。ただし、お店で餌を食べているからといって家でも餌を食べる、というわけではありません。水質が悪かったり凶暴なタンクメイトがいて怯えているようではだめです。

一方フレームエンゼルフィッシュはフィリピンでは少なく、マーシャル諸島など中央―南太平洋から入ってくることが多いです。扱いはフィリピンよりもしっかりしています。中央太平洋のものはハワイ経由で入ってくることも多く、そのような魚は丁寧に扱われるので状態が安定していることが多いです。ただしその分お値段はちょっと高めです。

Centropyge亜属は初心者には難しい

▲ヘラルドコガネヤッコは初心者には難しい

上記の種ではアブラヤッコ、ヘラルドコガネヤッコ、ソメワケヤッコ、オハグロヤッコ、エイブリーエンゼル、ゴールデンエンゼルなどは飼育が難しいヤッコです。これらの種はアブラヤッコ属の中のCentropyge亜属とされ、飼育が難しいことで知られています。これらの種はサンゴなどを食する性質が強く、ある程度大きくなったものは配合飼料を食べないことも多くあまり初心者にはおすすめできません。また、ソメワケヤッコやアブラヤッコ、ヘラルドコガネヤッコといったヤッコは大きくなると気が強くなります。一方小さいものだと餌付きはよいのですが、餌を頻繁に与えなければならず初心者には難しいところがあります(後述)。同様にシマヤッコ属のシマヤッコやスミレヤッコも初心者には難しいデリケートなヤッコです。

このほかCentropyge亜属ではないのですが、レンテンヤッコやポッターズエンゼルなどは日本近海やハワイ周辺に多く生息するもので、高水温にはやや弱くデリケートな面があります。レンテンヤッコは大きく育ち、その分大きめの水槽が必要になります。

小さい個体は痩せやすい

どんなヤッコも、小さい個体は餌付けしやすくて人気があります。しかしあまりにも小さすぎる個体は日に何度か餌をあげるようにしないと痩せてしまうことがあるので注意が必要です。同じことはチョウチョウウオの仲間にもいえます。幼魚斑が残っている小さな個体はかわいいのですが、中~上級者むけといえるでしょう。逆に大きい個体は餌付きにくいです。

小型ヤッコ飼育まとめ

  • ハゼやクマノミと比べると飼育がやや難しい
  • アンモニア・亜硝酸はもちろん硝酸塩も少なめを維持したい
  • 立ち上げ初期に入れてはいけない
  • 水温変動・水のよどみなど病気になる要素も取り除きたい
  • 初心者は小型ヤッコを複数いれるのは避ける
  • シャコやオトヒメエビなども小型ヤッコを襲うことがある
  • 動物食性の魚や気が強いスズメダイ、ベントスハゼとの混泳も避ける
  • 隔離ケースの使用の際には水の流れにも配慮を
  • 配合飼料はフレークよりもペレットが最適
  • アサリなどは水を汚すので注意
  • フィリピン・インドネシアの魚は状態に注意
  • 初心者にはアカハラヤッコやルリヤッコ、フレームエンゼルがおすすめ
  • おすすめの種も状態などはよくチェックしたい
  • 小さなものは痩せやすく初心者にはあまり向かない

この記事にコメントをする

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。

海水魚を探す
サンゴを探す
フリーワード検索
    もっと読む