オトメハゼの飼育方法~サンゴ水槽での飼育は要注意 | 海水魚ラボ

オトメハゼの飼育方法~サンゴ水槽での飼育は要注意

標準和名:オトメハゼ
学名:Valenciennea puellaris (Tomiyama, 1956)
英名:Maiden goby
分類:スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・クロイトハゼ属
全長:20cm

オトメハゼは口に砂をふくみ、鰓から吐き出す様子がかわいいハゼです。あまり派手ではありませんが、白っぽい体に特徴的な黄色の斑点があり名前のようにキレイな魚です。このオトメハゼを上手く飼育するためのポイントをまとめました。

オトメハゼってどんな魚?

海にすむハゼの仲間は種類が豊富ですが、いくつかのグループに分けることができます。小型でかわいいピグミーゴビー、テッポウエビと共生する共生ハゼ、中層を遊泳するクロユリハゼの仲間などいます。このオトメハゼは砂を口にふくみ、その中の餌を捕食して鰓から排出するハゼで「ベントスゴビー」などと呼ばれるグループの仲間です。

ベントスゴビーの中でもオトメハゼが含まれるクロイトハゼ属の魚は、種数はサラサハゼ属と同じですが、観賞魚としてはもっともよく流通するベントスゴビーといえます。本種は白っぽい体に橙色の斑紋が体全体に散らばるので、クロイトハゼ属のほかの魚と区別することができます。

オトメハゼの飼育に適した環境

水槽

オトメハゼは全長20cmと、ハゼの仲間としてはやや大きくなります。幼魚のうちは45cm位の水槽でも飼育できますが、水槽内でも成長することを考えると60cm以上の水槽が必要になります。できれば90cm以上の水槽を用意しておきたいものです。

ろ過槽

砂を掘って動かす習性があるので底面ろ過装置は使用できません。上部ろ過槽を使用したり、上部ろ過槽と外部ろ過槽を併用して飼育することもできますが、オーバーフロー水槽がオトメハゼの飼育にはもっとも有利といえます。

フタ

いつもは水槽の底のほうにいたり、臆病な性格なのでライブロックの隙間に隠れて出てこないこともあります。しかし、他の魚の動きに驚いたとか、何かの拍子に飛び跳ねてしまうこともあります。

もちろん、これはオトメハゼに限らず、ハゼ全般にいえることです。ですからハゼの仲間を飼育するのにフタは必須といます。

オトメハゼを上手く飼育する上でもっとも重要なものが「」です。数cmほどの厚さに砂を敷いておくようにしましょう。あまりにも厚く敷きすぎると汚物がたまってしまいやすく、オトメハゼが砂を攪拌することにより白点病を引き起こしたり、場合によっては硫化水素が発生してしまうおそれもありますので、ほどほどにします。

砂は細かいパウダー状のものや細かめのものが適しています。大きいものは写真のような粗めのサンゴ砂でも飼育できます。

水流

オトメハゼはパウダー状の砂など、細かい砂を敷いて飼育したい種類です。サンゴを飼育する際には水流ポンプを使用して水槽内に流れを作りますが、強すぎる水流で砂が舞い上がらないように気をつけましょう。

水温

ほかの熱帯性海水魚同様25℃前後が適温です。もちろん25℃で安定していることが大事で、クーラーやヒーターを使用して水温を保つようにします。

オトメハゼに適した餌

オトメハゼは砂の中の微生物などを捕食しますが、それだけではどうしても痩せてしまいますので定期的な給餌は重要といえます。オトメハゼは多めの餌を必要としており、水槽の底に粒状の配合飼料をばら撒いてあげたり、他に底の方にすむ魚が多いときはスポイトを使用し、砂の中に餌を埋めるようにして与えるとよいでしょう。

フレークのように水に浮かぶ餌はオトメハゼには食べにくいため、向いていません。沈降性のペレットが向いています。

オトメハゼの入手方法

▲やや太目の個体を選びたい

オトメハゼはインド-太平洋域に生息しており、日本でも太平洋岸で本種を見ることができます。観賞魚としてはフィリピンなどの東南アジア、またはスリランカなどのインド洋から来ることが多いのですが、インド洋のものは斑紋が美しく、また東南アジア産よりも状態がよいものが多くおすすめといえます。また沖縄産のものが出回ることもあり、こちらも状態よく届くことが多く、このハゼの仲間を初めて飼育するのにおすすめといえます。

購入するときの注意点としては、お腹が凹んでいるような個体は避けた方がいいでしょう。お腹がふっくらしており、背に肉がしっかりついているような個体を選ぶようにします。もちろん他の魚と同様に、入荷したばかりの個体、鰭がぼろぼろ、または溶けている個体、皮膚の一部が周囲よりも明らかに赤い個体は選んではいけません。また、砂がないとハゼにとってはストレスになることもありますので、ストック水槽にちゃんと砂が敷いてあるかどうかチェックするとよいでしょう。いずれにせよ、安価な通信販売で購入するよりはお店で時間をかけて選ぶようにするべきでしょう。

オトメハゼの病気対策

オトメハゼは砂をいじるので、オトメハゼやそのタンクメイトは常に病気になるおそれがあるといえます。殺菌灯やオゾナイザーを使用したり、頻繁に水替えをしたり、水温を常に一定にするなどして病気になるのを防ぐようにしましょう。

オトメハゼの混泳

オトメハゼは温和な魚ではありますが、ペア以外の同種では争うおそれもありますので、他の魚と混泳させるのが安心といえます。

オトメハゼと他の魚との混泳

▲ベラの仲間は小さくても気が強いものが多いため注意

オトメハゼは温和な性格で同種同士を除いて争わないので他の魚との混泳も楽しめますが、大きなスズメダイの仲間など、気が強い魚との混泳は避けた方がよいでしょう。またチョウチョウウオやニザダイ、ハコフグの仲間など、白点病にかかりやすい魚との相性はよくないのでこれも避けるべきです。

もちろん、ハタやウツボなど肉食性の魚はハゼを食べてしまうこともありますので混泳はできません。ニセモチノウオやキツネベラなど、小型のベラの仲間にも性格がきつめのものがいますので、注意が必要です。

カクレクマノミなど小型のクマノミ、イトヒキベラ、小型ヤッコ、小型のハゼの仲間との混泳は可能です。

オトメハゼとサンゴ・無脊椎動物との相性

▲底のほうに置きたいクサビライシなどは要注意

クロイトハゼ属のハゼは砂を口にふくみ、鰓から砂を排出する習性があります。これにより底砂がかくはんされ、水槽の底砂にコケが生えにくいようになります。サンゴ水槽の底砂掃除に入れられることがありますが、砂がサンゴにかかってしまうと、サンゴにとってストレスとなり、砂の量によっては死んでしまうことさえあります。特に水槽の底の方(砂に近い場所)に置きたいクサビライシなどは注意して下さい。

オトメハゼは底層にとどまっていることが多く、中層を泳ぎ回るアカハチハゼやアカネハゼほどはサンゴに影響を与えにくいですが、それでもサンゴに砂がかかっていないかよく観察するようにしたいものです。またオトメハゼが砂を掘ることによりレイアウトが崩れていないかもチェックするようにします。

甲殻類ではホワイトソックスやスカンクシュリンプといったクリーナーや、サンゴヤドカリ、サロンシュリンプ、ペパーミントシュリンプなどと組み合わせられます。ただしオトヒメエビや大型のカニなどは動きが遅いハゼの仲間を襲って捕食してしまうこともあるので向いていません。

オトメハゼの飼育まとめ

  • 砂を口に含み、鰓から吐き出すベントスゴビーの仲間
  • できれば90cm水槽で飼育する
  • 底面ろ過槽は使用不可
  • フタをしっかりする
  • 砂を敷くことが重要
  • 病気対策に殺菌灯かオゾナイザーを使用。水温は常に一定
  • 沈降性のペレットフードを与えたい
  • ペア以外の同種同士では争うことも
  • お腹がふっくらした個体を購入する
  • 肉食魚、スズメダイ、ベラの仲間との相性が悪い
  • サンゴに砂をかけることがある
  • 砂を動かし、レイアウトを崩すおそれも