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2020.06.17 (公開 2020.06.09) 水槽・器具

ジェックス「デュアルクリーン600」でウツボを飼育~上部ろ過槽のメリットと脱走予防策

ジェックスの「デュアルクリーン600」高いろ過能力をもち、魚中心の飼育に最適なろ過槽です。上部ろ過槽は「照明が多く置けないためサンゴには不向き」などといわれることもありますが、経験上LPSやソフトコーラルは多くの場合問題ありません。たしかに強烈な光が必要となる浅場ミドリイシなどのSPSには確かに不向きではありますが、これは硝酸塩の蓄積を嫌うミドリイシはろ過槽を用いるシステムでは飼育が難しいからです。

上部ろ過槽はどんな海水魚を飼育するのにも適しているのですが、その中でもほかのろ過槽では飼育しにくいウツボの仲間を飼育するのにはもっとも適しているといえます(オーバーフロー水槽はのぞく)。なお、ここでは主に上部ろ過槽でウツボやそれとよく似たウミヘビの仲間の魚を飼育するための方法についても解説します。上部ろ過槽の詳細については、こちらをご覧ください。

なぜウツボ飼育には上部ろ過槽が最適なのか

以前、魚種別のおすすめろ過槽のお話をしてきました。上部ろ過槽はどんな海水魚を飼育するのにも適していますが、その中でも上部ろ過槽では飼育しやすいのに、ほかのろ過槽、たとえば外掛け式ろ過槽や外部ろ過槽では飼育が難しいものにウツボやウミヘビ科の魚がいます。

ウツボ飼育で最も気をつけなければならないのが「脱走」です。外掛けろ過槽ではどうしても水槽の上に隙間ができてしまいやすく、その隙間からウツボが脱走するおそれがあります。もちろん、上部ろ過槽を使用しても小さな隙間が出来てしまいますので、その部分は塞ぐ必要があります。

また、ウツボは大食いであり、しかもイカや魚の切り身など生の餌を与えることが多く、どうしても飼育水を汚しやすい魚です。外部ろ過槽や外掛けろ過槽だとろ過能力が追い付かないことも考えられるため、上部ろ過槽の方が有利と言えます。また外掛けろ過槽は概ね小型水槽用であり、大きくても60cm水槽までですので、大きく育つウツボの仲間を飼育するにはもともと使いにくいといえます。

デュアルクリーン600を改造

▲デュアルクリーン600を使用した60cm水槽

今回ウツボ飼育に使用する「デュアルクリーン600」はジェックスから販売されている上部ろ過槽です。その名の通り二つ(デュアル)のろ過槽をもち、オーバーフロー式散水器を採用することにより酸素をたっぷりと溶け込ませることができます。酸素がいきわたることにより好気バクテリアが活発に活動してくれ、酸欠の心配も解消されます。オープン価格ですが、ホームセンターやディスカウントストアの観賞魚扱い所などで販売されていることもあり、3000円代、もしくはそれ以下という低価格で購入できるのも注目のポイントです。

デュアルクリーンを購入するとき、ろ過材として「クリーンバイオ」「マット」がついてきますが、クリーンバイオはここでは使用しません。そのかわり粗めのサンゴ砂や、「パワーハウス ハード」などの海水魚用ろ材を使用します。ウールマットはあってもなくてもかまいません。確かに大きなゴミを濾しとるのには有用なのですが、そこで腐らせていては逆に水を汚してしまうこともあります。もし使用するのであれば、頻繁にウールマットの掃除をすることが重要です。また今回は別用途でウールマットを使用します。

ウツボ水槽用に改造

ほかの魚と異なる独特なキャラクターを持つウツボをうまく飼育するためには上部ろ過槽のすきまを埋める必要があります。といってもそれほど大がかりなものではなく、上部フィルターに簡単な脱走防止用のフタを施すだけで、安心してウツボを飼育することができます。

ウツボの習性をおさらいすると、まず「脱走しやすい」ことがあげられます。そのため、上部ろ過槽にできやすい隙間をふせぐようにします。また驚かすと「ジャンプするように泳ぎ逃げようとする」こともあるため、フタの上に重石を載せておきますが、重い石を水槽の上に乗せるとフタが割れてしまうこともあるため注意が必要です。

隙間を埋める方法

デュアルクリーン600は名前からもわかるように「二つのろ過槽」があります。写真の第2ろ過槽は説明書によれば「クリーンバイオ」と呼ばれるろ材が入るところなのですが、ここに穴が開いています(青い矢印)。そこからウツボが脱走するのを防ぐためにアクリル製のフタをします。先述のようにクリーンバイオはウツボ飼育には使用しませんが、海水魚飼育に適した粗目のサンゴ砂を敷き敷き詰めています。もちろんサンゴ砂は粗目のものを使用します。これは細かすぎるものだと詰まってしまい水の流れを遮ってしまうおそれもあるからです。

ちなみにこのアクリル板は正方形に見えますが実際には長方形で、119mm×110mmで作っています。またカットしたアクリル板はよく水道水で洗浄しておきましょう。注意点としてはデュアルクリーン600は2019年にリニューアルされたため(600SPからDC600へ)、若干寸法に変更があるかもしれないところです。改良の理由は散水器を改良したためとなっており、あまり関係はなさそうですが、もし寸法に変更があればその分大きさを調整する必要があります。なお今回使用したデュアルクリーン600は600SPです。

ポンプルームの隙間を埋めるのであれば硬めのウールマットが最適でしょう。ただし隙間を埋めすぎないよう注意します。そうするとヒーターの電源コードなどをつなげなくなってしまうおそれもあるからです。

メンテナンス

ほかのろ過装置も同様ですが、ろ材はあまり頻繁にメンテナンスしないほうがよいでしょう。汚れが舞うことによって魚が病気になったりするおそれもあります。また、ろ材にはバクテリアがたくさん付着しますので、頻繁に交換するのもよくありません。交換するのであれば半年に一回、半分くらい交換します。

ポンプが水を吸い込むストレーナーのスポンジフィルター部分にも汚れが付着するため、これもたまに水槽から出して水道水で洗い流すようにします。

また、ろ過槽にウールマットを使用するのであれば、ウールマットの掃除も必要になります。頻繁にろ過槽から出し水道水で洗うなどして、汚れを取り除きます。洗っても汚れが取り除ききれない、あるいはウールマットがぼろぼろになるようであれば交換するようにしましょう。ポンプルームの隙間を埋めるウールは頻繁に交換しなくても問題ありません。

このほか当然ながら水かえも必要になります。基本はほかの魚と同様2週間に一度、1/3の水かえです。ただしウツボはイカやタコの足、魚の切り身などを与えることになるため水を汚しやすいのでより多くの水をかえるとよいでしょう。逆に水かえをしないと水質が悪化しやすいので水かえは重要です。

まとめ

  • ウツボは大食いで脱走しやすい。オーバーフロー水槽でなければ上部ろ過槽での飼育がおすすめ
  • 上部ろ過槽を使用するときも隙間を埋めるなどの工夫が必要
  • 「デュアルクリーン600」では第2ろ過槽にアクリル製のふたを作ってつけるとよい
  • ポンプルームにも固めのウールマットを使って隙間を埋める
  • フタもしっかり。上にはペットボトルで重石をのせるとよい
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