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2020.03.11 (公開 2018.02.28) 海水魚の採集

磯遊びで遭遇する危険生物~刺されたり噛まれたりした際の対処マニュアル

海は楽しいところではありますが、同時に命を落とすおそれがある危険な場所ともいえます。海難事故もありますが、海には触ったりすると痛い目に合う「危険生物」も沢山潜んでおり、刺されたり噛まれたりすると種類によっては死に至る場合もあります。

危険生物は写真のような浅い潮溜まりでも多く見られ、特に本州中部以南の太平洋岸の磯では生物の種類も多く、浅瀬に茂る海藻の中にもハオコゼゴンズイニジギンポなど、刺されたり噛まれたりすると痛い魚も沢山潜んでいます。

琉球列島など、熱帯域のタイドプールには多種多様な生物が潜んでいますが、知らない生き物には触らないようにしましょう。

子連れのアクアリストも磯でよく見かけます。しかしながら子供は好奇心旺盛ですので、色々な生き物に触ったり、小柄の体で遠いところへ行ったりする恐れもありますので、大人が常に子供の視界に入るようにしましょう。

【磯遊び中に起こった事故への対応】

118海上保安庁
磯、海上における事件・事故は海上保安庁に連絡。
119救急車
重大な病気・怪我は救急車に連絡。

磯遊びで注意したい危険生物まとめ

ここでは磯遊びで注意すべき、最低限覚えておきたい危険生物についてまとめています。以下「危険度」を表す指標を元に、磯遊びへ出かける前に確認しておきましょう。

  • :刺されてもそのうち痛みが引くことが多いもの。患部をお湯につけると痛みが和らぐことも多い。
  • ★★:できれば医療機関へ行くべきもの。
  • ★★★:速やかに医療機関へ行くべきもの。

危険生物【魚類】編

触ると危険な魚類はカサゴの仲間、エイの仲間、ニザダイの仲間、ゴンズイの仲間などです。またニジギンポやウツボなど、鋭い歯をもつものも注意するようにしましょう。

ハオコゼ:★★

磯で最も多く見られる小型のカサゴの仲間です。赤みを帯びた体色が愛らしく触ってみたくなりますが、背鰭の棘に毒があり、刺されると激しく痛みます。

また眼の下方にある涙骨にも大きな棘があり、毒の有無は不明なのですが触るとかなり痛みます。素手で触ってはいけません。

ハオコゼは毒をもつ魚ですが、毒棘があまり役に立たない捕食者から身を守るために海の中では茶褐色などあまり目立たない色をしています。周囲の海藻片などとよく似た色で捕食者からの身をまもるようです。甲殻類などの餌を用意すれば飼育は難しくはありません。

イソカサゴ:

赤みが強いハオコゼに似た感じの魚です。その名の通り磯に多く生息している種で、カサゴに似ていますが斑紋などから容易に見分けることができます。鰭の棘に毒があり、触ったらかなり痛みます。

熱帯のサンゴ礁域にはサンゴカサゴやグアムカサゴなど本種に似た種類が何種類か知られていて、それらの種類にも刺されるとかなり痛い思いをします。ぬるま湯に患部をつけると痛みがやわらぎ応急処置には役立ちますが、何度か刺されてしまうとアナフィラキシーショックが起きる恐れもあり、医療機関の処置を受けるのが確実といえます。

オニオコゼ・オニダルマオコゼなど:★★★

▲オニダルマオコゼ。背鰭に毒棘がある

オニオコゼ科の魚も背鰭の棘に毒があります。本州~九州の沿岸にはオニオコゼ科の魚は少ないのですが、沖縄方面に行くと、背鰭に極めて強い毒をもつオニダルマオコゼという大型種がおります。見た目はまさしく岩で、しかも海藻が生えてたりすることもあり、網を上においていても動きません。そのため気が付かないで刺されてしまう恐れがあります。死亡例もあり、しかも子供が遊ぶような海水浴場にも出現しますので、十分に気をつけなければいけません。刺された場合はできるだけ早く医療機関を受診するようにします。

潜っているとソラスズメダイなどがこの魚の仲間の周辺で群れていることがあります。群れで騒ぎ立て攻撃体制をとり捕食者を追い払うようにする行動でモビング(擬攻撃)と呼ばれています。このような行動が見られたらこの仲間の魚が潜んでいるおそれがあります。

ミノカサゴ:★★

▲青が有毒のところ、緑が毒のないところ

▲夜釣りで釣れた近縁のハナミノカサゴ。毒がある場所はミノカサゴと同じ。

ミノカサゴの仲間は磯の浅場でもたまに見られます。美しく、「採集する喜び」を感じやすい種ですが、鰭の棘に毒がありますので、素手で触ってはいけません。よく「胸鰭にも毒棘がある」などといわれますが、胸鰭の鰭条は無毒の軟条のみであり、毒のある棘はありません。そもそも胸鰭に棘がある魚はあまりおらず、日本の海に生息するような魚ではゴンズイやハマギギなどのナマズ類くらいのものです。

美しい色彩で飼育している人もいますし、かなり美味しい魚ですので食用にもなりますが、鰭棘の毒は死んでも残るので、注意しなければなりません。

危ないが、カサゴの採集は楽しい・・・。

アイゴ:★★

▲オレンジで囲んだところが危険

釣り人には有名な毒魚で、背鰭・臀鰭・腹鰭に毒棘をもっており、刺されたら激しく痛みます。腹鰭は他の魚と異なり、片方に2本の棘があり、腹鰭だけで合計4本の毒棘をもっています。

アイゴ科の魚には観賞魚として販売されているヒフキアイゴやヒメアイゴのような種類もいますが、これらの魚の鰭棘にも毒がありますので触ってはいけません。

釣り人の間では「アイゴの眼球を患部にぬるとよい」などともいわれていますがこの治療方法に根拠はなく、医療機関を受診するのが一番安心です。

アイゴの色彩

アイゴは色彩に変異が多いです。個体による変異、というより同じ個体でも色をよく変化させます。この2枚の写真はいずれも同じ個体です。小型個体は潮溜まりや藻場に多く見られ、海藻がよく茂る場所では大群で見られます。海藻を好んで捕食するので漁業者の間では嫌われてしまっています。

またアイゴは従来本州から九州に多い「アイゴ」と、琉球列島以南に多く生息する「シモフリアイゴ」の2種に分けられていましたが、この2種は遺伝的にほとんど差はないともいわれ、同種とされていることが多いようです。

クロハギ:

▲クロハギ属のナガニザ。鰭棘と尾の付け根の棘に注意。

ニザダイの仲間は観賞魚として人気で、浅い場所に生息することが多く、磯遊びでもよく見られます。ニザダイの仲間もアイゴに近縁で、鰭棘に毒があるとされます。強い毒ではないともいわれますが刺されると痛みますので注意が必要です。

さらに尾柄部にも大きな棘があるので触ってはいけません。刺されるとかなり傷みます。ニザダイの仲間を英語でサージャンフィッシュ(外科医の魚)と呼ぶのはまさしくこのメスのような棘が由来です。

ゴンズイ:★★

▲ゴンズイの成魚。赤く囲んだところに毒棘がある。

▲「ゴンズイ玉」を形成する幼魚

日本にはゴンズイとミナミゴンズイの2種類がいますが、この2種の同定は写真からではどうしても難しく、両種まとめて「ゴンズイ」として扱われていることが多いです。背鰭に1本、左右の胸鰭にそれぞれ1本、計3本の強い棘があり、この毒棘に刺されると激しく痛みます。

その生態はユニークで、幼魚は写真のように玉状に群れて「ゴンズイ玉」を作ったり、他の魚のクリーニングをする様子が観察されたり、ゴンズイは2007年に新種記載されたりするなど、話題が多い魚でもあります。

ナマズ目魚類は未記載のものを含めると4000種以上が知られていますが、海産種は少なく、日本ではゴンズイと稀種のハマギギ類に限られます。飼育してみたくなりますが、意外にも飼育は難しい魚です。

夜釣りでは頻繁に釣れ、サビキに鈴なりでかかってくることもあります。死んでも毒は残りますので、防波堤や磯の上に放置しておいてはいけません。意外と美味な魚ですので、持ち帰って食べるとよいでしょう。

イットウダイの仲間:

▲本州~九州の太平洋岸・琉球列島に多く生息するテリエビス

▲南方系種ニジエビスの鰓蓋。黒い丸が前鰓蓋棘。

キンメダイ目の魚です。南方に多い魚で、昼間は岩陰に潜み、夜間活発に泳ぎます。前鰓蓋の棘に毒があるとされており、刺されると意外なほど痛みます。毒性は弱いようですが注意が必要です。

磯採集というよりは防波堤の夜釣りなどで釣れることが多い魚です。テリエビスなどは鮮やかな赤色で体側に細い縦線があり観賞魚として飼育されることもあります。詳しくはこちらをご覧くださいませ。

エイ:★★★★★

▲赤丸のところに毒棘あり

磯で出会うことはあまり多くないのですが、河口付近や、砂地が近くにある磯ではエイに出会うことがあります。毒があるエイで沿岸の浅瀬に生息するのはアカエイ、ヤッコエイ、イズヒメエイ(写真)などのアカエイ科魚類や、トビエイ、ヒラタエイなどで、これらの種にはいずれも尾部に強い毒を有する棘が1~3本生えています。刺されると、刺された場所によっては落命する危険もあります。温和な魚ではありますが、いじめないように注意します。

ウツボ:★★

▲本州から九州の太平洋岸ではもっとも多く見られる標準和名ウツボ

▲ウツボの仲間のアミメウツボ。鋭い歯をもっている。

鋭い歯をもっているウツボの仲間ですが、歯に毒はありませんし、基本的に温和な魚です。しかしイカやタコ、小魚を好んで捕食する肉食性で、鋭い歯を持っており咬まれると大けがをする恐れがありますので、手をウツボの口の周辺におかないように十分に注意しましょう。

血液は有毒とされ、種類によってはアデウツボなどのように粘液に毒があるものもいますので、ウツボを触った後の手で目をこすったりしないように注意が必要です。

ウツボはよく人になれ飼育するのも楽しいものですが、飼育しているウツボの口にも、手で直接餌を持っていくのはやめたほうがよいでしょう。

ニジギンポ:

▲下顎に大きな牙をもつ。上の写真とは別の個体。

ニジギンポは磯に茂る海藻の中にもいますが、ロープや流れ藻などの海表面を浮遊する物体にもよくついていたり、空き缶の中にも多く潜んでいたりする魚です。下顎に大きな歯をもち、咬まれると大きく裂けたような傷がつき、非常に痛い思いをします。口のところに手をもっていかないように注意しましょう。

このほか、ニジギンポに近い仲間の種類で、サンゴ礁域にすむオウゴンニジギンポやヒゲニジギンポのように牙に毒を持つ魚もいます。強い毒ではないようですが、注意が必要です。

フグ:★★

▲サザナミフグの口。噛む力が強い。

フグの仲間やハリセンボンなどは顎の力が強く、種類によっては肉を食いちぎられる恐れがあります。フグの口の周辺には手をもっていかないように注意します。

もちろん肝臓や消化器官、生殖巣、そして種類によっては筋肉にも強い毒がありますので、食べてはいけません。種類によっては皮膚から毒を出すものもおり、触ったらよく手をあらうことも大事です。

ダツ:★★★

▲ダツ科のテンジクダツ。口に鋭い歯が生えているので注意。

ダツの仲間は夜間光に向かって突進していく習性があり、歯も大きく強いので、刺さらないように注意が必要です。刺さって当たり所が悪いと死に至ることさえあります。

またルアー釣りで釣れることもあるのですが、鋭い歯がびっしりと生えているので噛まれないように気をつけます。対策としては電灯などで海をうかつに照らさないことです。

危険生物【爬虫類】編

日本近海に生息する爬虫類で危険なものはウミヘビとワニの仲間だけです。それもワニはごくまれに漂着する程度です。その一方ウミヘビ類は日本の温暖な海域に多数生息していますが、歯に強い毒をもつものがほとんどなので触ってはいけません。

ウミヘビ:★★★

有鱗目・コブラ科のヘビで強い毒をもちます。種類によってはハブなどよりもずっと強い毒をもち、噛まれて死亡した例もあります。噛まれたら速やかに医療機関へ。

なお、魚類にも「ウミヘビ」という名前のものがおり、紛らわしいものです。この二つの分類群については下の記事も参照してください。

魚のウミヘビとの違い

▲魚類のウミヘビの仲間・ダイナンウミヘビ

魚類のウミヘビはしばしば爬虫類のウミヘビと混同されますが、魚のウミヘビの歯には毒はありません。ただし魚類のウミヘビの仲間にも強い歯をもつものもいますので注意が必要です。

この二つの生き物を見分けるのは簡単です。体に大きな鱗があれば爬虫類のウミヘビ、外見上鱗がないように見えるのが魚類のウミヘビです。また魚類のウミヘビにはトガリウミヘビなど一部の種類をのぞき鰭がありますが、爬虫類のウミヘビには鰭がありません。

魚類のウミヘビの中にはシマウミヘビや、イレズミウミヘビといった種のように、体側に黒と白の縞模様があり、まるで爬虫類のウミヘビと見間違うような種類もいます。

危険生物【甲殻類】編

エビ・カニなどの仲間です。甲殻類は食べて中毒するものもいますが、触って危険な種は少ないです。それでもはさむ力が強いカニ、とくにイシガニやノコギリガザミといった種は注意しなければなりません。

イシガニ・ガザミなど:

▲ノコギリガザミの仲間

カニの仲間で、一番最後の脚がオール状になっているワタリガニ科のカニたちです。磯で見られるイシガニは強力なハサミをもち、挟まれるといたいので注意が必要です。

このほかワタリガニ科のカニもはさむ力が強く、ノコギリガザミの仲間のようにはさまれると危険な種類もいます。いずれの種も味噌汁などに入れて食べると美味しい種類です。

危険生物【棘皮動物】編

ウニやヒトデの仲間です。刺されると危険な生物も多く知られているので、見知らぬ種類には触らないようにしましょう。

ガンガゼ:

▲太平洋岸の磯ではふつうに見られる

非常に細長い棘をもつウニの仲間です。毒があるだけでなく、細くて折れやすいので取り除くときにも注意が必要です。

ガンガゼの棘の隙間はテンジクダイの仲間、ハシナガウバウオ、カクレエビの仲間など、さまざまな生き物の隠れ家になっています。毒針のおかげでこのような生物は身を守ることができるワケです。ただしこの針の隠れ家も、フエフキダイやイシダイの仲間には通用せず、ガンガゼをバリバリと好んで食べてしまうのです。

ラッパウニ:★★

▲付着物をたくさんつけたラッパウニ

ラッパウニも南日本太平洋岸の磯ではよく見られるウニです。体に小石やゴミなどをたくさんつけています。触って手に取って観察してみたくなりますが、ラッパ状の棘に毒があるので、触ってはいけません。

オニヒトデ:★★★

▲オニヒトデ。体表の棘に毒あり。

ヒトデで毒がある種類といえば、サンゴ礁域に生息するオニヒトデが有名です。直径40cmになる大型のヒトデで、サンゴの裏側に隠れていることも多く、毒棘に刺されるおそれがあります。刺されたら医療機関を受診します。

危険生物【軟体動物】編

軟体動物はあまり聞きなれないかもしれませんが、簡単にいえば貝類、イカ、タコなどのことをいいます。こういえば親しみを感じますが、その中には強い毒をもち人を死に至らしめるおそれがあるものも何種か知られています。

ヒョウモンダコの仲間:★★★

▲オオマルモンダコは熱帯域に生息する強毒種

タコは獲物を襲うときに口から毒を注入します。人間には無害であることがほとんどですが、サメハダテナガダコやヒョウモンダコ、ヒョウモンダコに近縁なオオマルモンダコなどのように強い毒をもつタコもいます。とくにヒョウモンダコの毒は「テトロドトキシン」、つまりフグと同様で、海外では近縁種による死亡事故が起こっていますので、注意が必要です。

噛まれたら早急に医療機関を受診することが大事です。大人しいタコなので、向かってくることはまずありません。たまに観賞魚店でも見られますが、やはり強い毒をもちますので取扱いには注意が必要です。

イモガイ:★★★

▲四国や沖縄の磯で見られるマダライモも有毒。要注意

イモガイの仲間も綺麗ですが毒の銛をもっています。この銛は餌を獲るときに使用するもので、多くの種はゴカイなどを捕食しますが、魚や貝を捕食するイモガイもいて、アンボイナガイやヤキイモ、タガヤサンミナシなどのようにヒトを死に至らしめるほどのかなり強い毒を持っている種類もあります。これらの種に刺されたら至急医療機関を受診するようにします。

ゴカイなどを食う種はあまり強い毒をもっていませんが、それでも注意しなければなりません。琉球列島以南に多く、関東ではあまり多くの種類は見られません。

危険生物【刺胞動物】編

サンゴやイソギンチャク、クラゲの仲間です。多数の「刺胞」と呼ばれる細胞をもっていることからこの名があります。「刺胞」とあるように毒のある針をもち、ヒトを死に至らしめるほどの強い毒をもつ種もいます。

イラモ:★★

▲ライブロックなどに付着していることもあるので注意

▲患部

イラモはサンゴやイソギンチャクに似ている生物ですが、クラゲの一種です。触ると痛痒く、それが数日、長いときは数週間にわたって続くことがあります。熱帯性の生物で沖縄などに多く生息しますので注意が必要です。またライブロックにもついていることがあり、メンテナンス中に触れて刺されるという事故例もあります。

シロガヤ:★★

海の中にある白い羽のような生き物です。植物のようにも見えますが刺胞動物の仲間で、刺されると腫れて痛むので注意が必要です。

カツオノエボシ:★★★

タコクラゲなどと異なるヒドロ虫綱と呼ばれる綱に分類されるクラゲの仲間で、極めて長い青色の触手に多数ある刺胞には強い毒があり、刺されると死に至ることもあるため「デンキクラゲ」の異名で恐れられています。

海面に特徴的な形状の浮き袋が浮遊していたらすぐに離れることです。打ちあがった個体も触らないように注意します。

よく「クラゲに刺されたら酢」といわれますが、本種の刺胞に対して酢は抑制の効果がなく絶対に塗らないように注意します。速やかに医療機関を受診しましょう。

ハブクラゲ・アンドンクラゲ:★★★

箱虫綱のクラゲの仲間です。日本のクラゲの仲間としてはもっとも強い毒をもつもののひとつで恐れられています。

ハブクラゲは主に琉球列島の海に生息している種ですが、本州の磯で見られる同じ箱虫綱のアンドンクラゲは同じように強毒をもち刺されると激しく痛むので注意が必要です。

こちらはカツオノエボシとは異なり、応急処置として酢を塗ると効果的ですが、なるべく早く医師の診察を受けるようにします。

磯遊びの注意点まとめ

危険生物【魚類】編

危険度 毒・危険な場所
ハオコゼ ★~★★ 背鰭の棘、涙骨
イソカサゴ 鰭の棘
オニダルマオコゼ ★~★★★ 背鰭の棘
ミノカサゴ ★★ 鰭の棘
アイゴ ★~★★ 背鰭・臀鰭・腹鰭
クロハギ 鰭棘
ゴンズイ ★★ 背鰭・胸鰭
イットウダイの仲間 前鰓蓋の棘
エイ ★★~★★★ 尾部
ウツボ ★~★★ 血液、粘液
ニジギンポ
フグ ★~★★ 肝臓・消化器官・生殖巣、筋肉、皮膚
ダツ ★~★★★ 口、歯

危険生物【爬虫類】編

危険度 毒・危険な場所
ウミヘビ ★★★

危険生物【甲殻類】編

危険度 毒・危険な場所
イシガニ・ガザミなど ハサミ

危険生物【棘皮動物】編

危険度 毒・危険な場所
ガンガゼ
ラッパウニ ★★
オニヒトデ ★★★

危険生物【軟体動物】編

危険度 毒・危険な場所
ヒョウモンダコの仲間 ★★★
イモガイ ★~★★★
オニヒトデ ★★★

危険生物【刺胞動物】編

危険度 毒・危険な場所
イラモ ★★ 刺胞
シロガヤ ★★ 刺胞
カツオノエボシ ★★★ 刺胞
ハブクラゲ・アンドンクラゲ ★★★ 刺胞

これらの危険生物に刺される事故を防ぐには、見知らぬ生物には触らないこと、これに限ります。

光に向かって突進してくるダツの仲間を除いて、触ったりいじめたり、誤って踏んだりしなければ痛い目にあうことはまずありません。

シロガヤなどは岩に小さな個体が付着していることもあり、刺されてしまうこともあります。採集をする場合は、岩などにうかつに触れたり、毒のあるオコゼやエイを踏んでしまうことのないように、足や手など十分に注意するようにしましょう。

2020.03.16 (公開 2018.02.21) 海水魚の病気

海水魚の淡水浴の方法~寄生虫を安全に駆除するために

「魚がサンゴ岩やライブロックに体をこすり付けている」

「痒そうにしている」

そうした症状が見られ場合、魚の体表に寄生虫が付着しているかもしれません。そういうときにおすすめなのが「淡水浴」です。

淡水浴は淡水に海水魚を泳がせることで、薬剤をほとんど使わず、病気や外傷の原因となる寄生虫を魚体から離れさせることができます。ぜひとも淡水浴の方法を身に着けておきましょう。

淡水浴の目的と効果

淡水浴は文字通り、淡水(真水)に海水魚を泳がせ、体表や鰭、鰓など付着した寄生生物を体から脱落させたり、活動を止めさせたりする時によく行われる方法です。薬品よりも安全に寄生生物を駆除することができ、特に最近多くみられるハダムシと呼ばれる寄生虫にも有効で水槽に魚を入れる前に淡水浴を行うアクアリストも多いです。

しかし忘れてはいけないことがあります。海水魚は基本的に海水中でのみ生きられる魚です。淡水で長く泳いでいたら弱ってしまいます。必ず魚の調子を見ながら泳がせる時間を加減してあげましょう。

淡水浴で落とすことができる寄生生物

トリコディナ

クマノミの仲間は丈夫で飼いやすく、初心者にもおすすめの魚ですが、輸入直後の弱っているときなどはトリコディナという病気にかかることもあります。寄生生物がクマノミの体表に付き、組織を食い荒らす恐ろしい病気ではありますが、早期発見できれば淡水浴で治療することができます。

ハダムシ

ハダムシとは、属の学名から「ベネデニア」とも呼ばれる寄生生物です。この生物が魚に寄生すると魚がかゆがり、体表を岩などにこすりつけ、スレによる傷がついてしまうことがあります。

そうなると他の生物や細菌による感染症にかかるおそれもあり危険です。このハダムシはブリなどの食用魚につくことでよく知られていましたが、観賞魚にも同様の生物がついてしまうことがあります。繁殖力が非常に強く、気が付いたら多くの魚にハダムシがついていた…ということもあります。サンゴアマダイの魚などはハダムシがよくついていることがあるため、水槽に入れる前に淡水浴をしたほうがよいでしょう。

淡水浴をすることにより、寄生するハダムシを落とすことができます。

リムフォシスティス

リムフォシスティス(病気)に対しても淡水浴を行うことがあります。リムフォシスティスは感染力が強くなく、鰭や体表に付着していてもすぐに魚が死に至るというようなことはありませんが、放置していたら巨大化してしまうおそれもありなるべく早く治療してあげたいものです。

白点病には淡水浴は有効?

「白点病には淡水浴が有効だ」という人もよくいますが、白点病にはあまり効果がありません

白点病の治療をするのであれば、淡水浴よりもバケツで水槽の水を全換水する方法のほうが安全であり、かつ高い効果があるように思います。

淡水浴を行うために準備するもの

  • バケツ
  • ヒーター
  • カルキ抜き
  • 水温計
  • pHメーター
  • pH調整剤
  • 計量カップ
  • 魚を掬う網
  • 隔離ケース
  • 魚病薬(エルバージュなど)
  • エアチューブ

太字は必ず必要になるもの、それ以外は必須ではありませんができれば必要になるものです。なおpHメーターは電子式のものが手軽で正確なのでおすすめです。pH調整剤(バッファー剤)はデルフィス製のものを我が家では使用しています。

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淡水浴の方法〜カクレクマノミで実践

我が家のカクレクマノミを例に、具体的な淡水浴の方法を解説していきます。

まずはバケツにカルキ抜きをした淡水をはり、ヒーターを使用して温度を合わせます。温度を確認するには、水温計を使用するのが確実です。

バケツの水にpH調整剤を入れて溶かし、水槽とバケツのpHを合わせます。pHを確認するにはpHメーターで確認します。

pHの測定方法としては試験紙タイプのものや試薬を使用して測定する方法もありますが、電子式のpHメーターが使いやすいです。pHは大体8.1~8.3くらいに合わせます。水槽とバケツのpHの変動が大きすぎると魚がショック死してしまうおそれもありますので、注意しましょう。

カクレクマノミを泳がせます。5分から10分ほど泳がせて、寄生虫が死んだり、魚体から離れたのを確認します。カクレクマノミのような小型の魚の場合は5分くらいがよいでしょう。トリコディナやリムフォシスティスなどを治療する場合は寄生生物を指の爪などでやさしく剥がしてやります。あらかじめスレ傷用の淡水魚用魚病薬である「エルバージュ」を溶かしておく方法もあります。

ヒラムシは白っぽくなって魚の体表からはがれるのが分かりますが、写真の様な白いバケツでは確認しにくいかもしれません。

ベラやハナダイの仲間など、淡水浴をすると弱ってしまう魚もいます。そのような魚は飼育水槽の海水を半分、淡水を半分くらいにした「半海水浴」にするようにします。

カクレクマノミを淡水ごと計量カップなどに掬い、淡水を少しずつ捨て、チューブなどを使用し飼育水槽の水を少しずつカップに入れて水合わせを行います。早く水槽に戻したくなりますが、水質の急変は魚を弱らせてしまうことがありますので、時間をかけて行いたいものです。

その後カクレクマノミだけを飼育水槽に移します。水槽に戻してしばらくは様子を観察しましょう。場合によっては、魚を水槽に直接入れるのではなく、隔離ケースの中に入れて様子を見てから飼育水槽に戻すとよいこともあります。例えばスズメダイやヤッコの仲間のように、縄張りを持つ魚の場合や、強い魚がいる場合です。

淡水浴のまとめ

  • 魚体につく寄生虫を落とすのに適した治療方法
  • トリコディナ、リムフォシスティスなどの治療にも適する
  • ハダムシ(ベネデニア)駆除にも最適
  • 白点病にはあまり有効ではない
  • 真水に入れればいいというわけではなく、温度とpHを合わせておくのも重要
  • トリコディナやリムフォシスティスの治療にエルバージュを溶かすのもよい
  • ハナダイやベラなどは淡水浴に弱いので注意
  • 元の海水に戻すときは少しずつ時間をかけて水合わせ

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2020.12.04 (公開 2018.02.04) 海水魚図鑑

ナンヨウハギ(ドリー)の飼育は難しい!白点病にかかりやすく初心者におすすめできない

ナンヨウハギ

ナンヨウハギは、熱帯魚らしい青と黄色の色彩が特徴で、映画「ファインディング・ニモ」に登場する「ドリー」のモデルになったことでもおなじみの魚です。

アクアリスト、特に「これから海水魚飼育を始めたい」という初心者に人気の魚ですが、ニザダイの仲間はクマノミなどに比べると飼育がやや難しいものが多く、衝動買いすると失敗しやすい魚といえます。

標準和名 ナンヨウハギ
学名 Paracanthurus hepatus (Linnaeus, 1766)
英名 Palette surgeonfish, Blue surgeonfish など
分類 スズキ目・ニザダイ亜目・ニザダイ科・ナンヨウハギ属
全長 30cm
飼育難易度 ★★★☆☆
おすすめの餌 海藻70メガバイトグリーン
温度 24~26度
水槽 60cm以上(将来的には90cm以上必要)
殺菌灯 必要
混泳 同種同士は注意が必要
サンゴ飼育 可だが弱ったサンゴはつついてしまう

ナンヨウハギってどんな魚?

ナンヨウハギはニザダイ科の魚です。ニザダイ科の魚はテングハギ属・ニザダイ属・クロハギ属・サザナミハギ属・ヒレナガハギ属、そしてナンヨウハギ属の計6属・83種が知られています。ナンヨウハギ属はこのナンヨウハギのみが知られています。

ニザダイ科の他の多くの魚と同じ、鮮やかな色彩が特徴です。

初心者は注意

ナンヨウハギとカクレクマノミの混泳事例

映画「ファインディング・ニモ」やその続編「ファインディング・ドリー」に登場する人気者で、そのコラボを再現してみたくなる気持ちはよく分かります。しかし、マリンアクアリウムをはじめたばかりの初心者にはおすすめしません

その理由が以下4点です。

  1. 成長が早く、すぐ大きくなるので小型水槽では持て余しやすい
  2. 性格がきつい
  3. 病気になりやすい
  4. 鰭の棘に毒がある

ナンヨウハギの分布域とバリュエーション

ナンヨウハギの分布域は東アフリカからライン諸島、ハワイ諸島(島田,2013)までのインド-中央太平洋の広い範囲におよび、日本でも沖縄などのサンゴ礁で普通にみることができます。

太平洋とインド洋産では色彩に差があります。太平洋産のものは尾の付近を除き、体全体が青っぽいのに対し、ケニア便などで来るインド洋産の個体は腹部が黄色に染まり「イエローベリー」などと呼ばれます。飼育方法はあまり変わらないのですが遠隔地から来るのでお値段は高めです。

棘に注意

ナンヨウハギの棘の毒

ナンヨウハギの鰭の棘には毒があると言われており、素手で触らないようにしましょう。このほかに毒はないようですが尾鰭の付け根付近に非常に大きな棘があり、刺されると大けがをすることもあります。なるべく素手で触らないようにしましょう。

ナンヨウハギに適した飼育環境

水槽

60cm水槽でも飼育できないことはありませんが、成魚は水槽内でも20cmを超える大きさになること、遊泳性が強いこと、大食いで多くの排せつをして水を汚すことからできるだけ大きな水槽で飼育してあげたい魚です。

できれば90cm以上の水槽で飼育したいところです。設備を整える重要性についても、初心者にとってハードルが高い理由となります。

水質とろ過装置

ニザダイ類はどの種も綺麗な水を好みます。水が汚いとHLLEやその他の病気を発症してしまうおそれがありますので、しっかりとしたろ過装置を使用する必要があります。

外掛け式や外部式ろ過槽よりも、ろ過の能力が高い上部ろ過槽が適しているといえますが、オーバーフロー水槽にしてサンプをろ過槽にすればほかのろ過装置と比較して圧倒的大容量のろ過スペースを確保することができます。このほかサンゴを飼育するためのナチュラルシステムやULNSシステムなどを使用してもよいでしょう。

ライブロック

ライブロックの陰で眠るナンヨウハギ

▲ライブロックの陰で眠るナンヨウハギ

ナンヨウハギは夜間、サンゴの隙間やライブロックの中で眠る習性があります。魚混泳水槽であっても、ライブロックやサンゴ岩などを入れて寝床を作ってあげるようにしましょう。夜間は体を横たえて眠ることもあり驚かされるアクアリストも多いようです。

水温

他のサンゴ礁にすむ魚と同様、水温25℃前後で飼育するのが望ましいと言えます。もちろん水温が一定に保たれていることが重要です。温度が頻繁に大きく変動するような環境では白点病などの病気が発生しやすくなります。とくに白点病にかかりやすいナンヨウハギを飼育するときは温度が安定していることは重要といえます。

ナンヨウハギの選び方・購入

ナンヨウハギの選び方

ナンヨウハギは自分で採集することも不可能ではありませんが、一般的な入手方法は海水魚専門店での購入です。観賞魚店への入荷数は決して少なくはないのですが、人気のある魚のためすぐ売り切れてしまうこともあります。また価格も4000~6000円と安くはありません。

フィリピンやインドネシアから輸入されることが多く、インド洋産のイエローベリーはあまり入ってきません。サイズは500円玉くらいのサイズから20cmくらいのものまでさまざま。

そしてナンヨウハギは同種同士で争います。よく「3匹●●円!」といった売られ方がされていますが、小型水槽では激しく争い1匹しか残らないので複数購入はおすすめできません。

ナンヨウハギは極めて遊泳性が強い魚ですが、あまりにも忙しない泳ぎ方をしているものや、泳ぎながら壁面や岩などに鰓の周辺や体をこすりつけたりするものは寄生虫がついている可能性があり、避けるようにします。もちろん入荷したばかりの個体なども避けた方が賢明です。

ナンヨウハギの好む餌

海藻70

海では動物プランクトンや藻類を好んで食べていますが、ニザダイの仲間は概ね藻類などを食べる植物食性だと考えましょう。

ニザダイやアイゴ、大型ヤッコのように植物食性の強い魚類に適した配合飼料が各メーカーから販売されています。写真の「海藻70」はキョーリン製の人気配合飼料「メガバイト グリーン」をベースに海藻を強化しているおすすめの餌です。このほか海藻をフリーズドライした餌や、海藻を海苔状にした餌も販売されています。

ナンヨウハギは大食いで、餌をあげればその分大きく成長します。小さな個体は大変かわいらしく、大きくならないように餌の数を極端に減らしたくなりますが、障害が出てくることがあるためよくありません。

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ナンヨウハギの病気とその対策

殺菌灯ターボ

殺菌灯は病気予防に有効

ナンヨウハギはカクレクマノミやハタタテハゼ、スズメダイと比べると病気に罹りやすく初心者にはやや難しい魚といえます。飼育にあたっては殺菌灯を設置しておくことが安心材料に繋がります。中でもかかりやすい病気は以下3つです。それぞれ病気の症状と具体的な対策をまとめていきます。

  • 白点病
  • リムフォシスティス
  • HLLE

白点病

白点病は原生生物の一種により引き起こされる病気です。体に小さな白い点々がついたり、消えたり(魚体から離れたり)します。最初は1~2個ほど体表についていますが、次第に増えていき、酷いものは体に多数付着してしまうようになり魚が弱って死んでしまいます。

ナンヨウハギを始めとするニザダイの仲間、チョウチョウウオの仲間がかかりやすい病気で、他の魚に感染することもあります。

治療

最初1~2個ほどの白点がついているだけであれば様子見です。原因の生物が魚体から離れたときに水かえして取り除いたり(もちろん水温が変動しないように注意)、殺菌灯を使用して原因の生物を殺すこともできます。

白点がなかなか消えず、数が多くなったら薬品を用いて治療します。銅イオンを使用して治療するのが主流でしたが、銅イオンは使い方を誤まると魚を殺してしまうことも多いので、特に初心者であれば「グリーンFゴールド」などの魚病薬で治療するようにします。淡水浴はあまり効果がありません。

予防

紫外線殺菌灯の使用が効果的ですが、それを使用していても水が汚かったり、温度が上がったり下がったりするようでは予防できません。殺菌灯だけでなく、きれいな水をキープし、温度をできるだけ一定に保つようにしましょう。

餌に添加剤を添加するなど工夫して、抵抗力を高めたりするのも病気対策には有効です。しかしながら最も重要なのは綺麗な水をキープし、環境の変化を抑えることです。

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リムフォシスティス

ウィルス性の病気で、白い粒が魚の皮膚や鰭につく病気です。白点病とは違い、粒が同じ場所についていて、どんどん大きくなっていく病気です。口周辺の皮膚につくこともあり、そうなると餌を食べられなくなりますので、早めに対処することが重要です。

進行は遅く伝染性も低いので、安全に対処できます。

治療

治療薬もあるのですが、病魚をバケツなどに隔離して淡水浴を行い、鰭や体表についた粒を爪の先などで取り除いてあげるとよいでしょう。もし粒が大きくなってしまい、剥がした際に出血してしまうようでしたら、「エルバージュ」などをバケツに少量溶かしたりするとよいでしょう。

予防

イサキの仲間のクロオビダイ(ポークフィッシュ)は魚の外部寄生生物を食べる習性があり、リムフォシスティスの粒も食べてくれるようです。またホンソメワケベラも捕食することがあるようです。いずれにせよ個体差があり、100%食べる保証はありません。

HLLE

Head and Lateral Line Erosionの略で、日本語に訳すと「頭部および側線浸食」という病気です。「頭皮欠損」ともよばれるように頭皮が剥がれてしまうという病気です。発症しても直ちに死に至るような病気ではありませんが、発症してしまうと皮膚に穴があき痛々しい姿になってしまい、海水魚の魅力を大きく下げてしまいます。ナンヨウハギを始めニザダイの仲間や中・大型ヤッコに多くみられる病気です。

治療

HLLEの発症の原因としては、微量元素が足りない、ビタミンが足りない、銅などを使用した、活性炭を使用した、などさまざまな原因が考えられます。ビタミン不足であれば、ビタミンを添加したり、活性炭を使用しているのであれば活性炭を抜くのもよいでしょう。もちろん水が汚いのはよくありませんので、きちんと水替えをすることも重要です。

予防

特に活性炭によって引き起こされる可能性が高いといわれますが、ビタミン不足や水質悪化でも発症することがあり、それらの原因を取り除くようにします。

また、さまざまな病気に共通する事柄として、汚れた水では病気が発生しやすいということがあげられます。プロテインスキマーや強力なろ過槽を用い、定期的な水かえをサボらないようにして、常にきれいな水をキープするように心がけましょう。

ナンヨウハギの混泳

同種同士の混泳

自然の海ではニザダイの仲間の群れを見かけますが、水槽内では猛烈に争うので同種同士の飼育は避けた方が無難といえます。極めて巨大な水槽で、他の大型魚と一緒に組み合わせるのであればナンヨウハギを複数飼育することも不可能ではないのですが、あまりおすすめできません。

ほかの魚との混泳

ナンヨウハギの混泳事例

ナンヨウハギの幼魚はまだおとなしい方ですが、成長するにつれて性格がかなり強くなり弱い魚を追い回したりするようになります。

特にハタタテハゼやハナゴイなど温和な魚との飼育は避けるようにして、体が大きい、あるいは気が強めの魚と飼育するようにします。大型ヤッコ、小型ヤッコ、小~中型のベラの仲間、アイゴなどはもちろん、小型のスズメダイやクマノミの仲間など、意外とさまざまな魚との組み合わせが可能です。

ナンヨウハギとカクレクマノミの混泳

ナンヨウハギとカクレクマノミの混泳事例

冒頭から繰り返しになりますが、ナンヨウハギとカクレクマノミの混泳は決して「不可」ということはありません。しかし、十分に海水魚の基礎を学び、ここにまとめたナンヨウハギの性質について理解した上で飼育する必要があります。

サンゴ・無脊椎動物との相性

ナンヨウハギはサンゴ礁に生息する魚で、ミドリイシが健康に育つサンゴ水槽で飼育すると鮮やかな色彩が維持されやすい魚です。ただし個体によっては弱ったサンゴをつついてしまうおそれがあります。

ミドリイシやソフトコーラルを多数入れた水槽で飼育するのがおすすめです。ただしナンヨウハギは大食漢でそれなりの量の排せつをするため水を多めにかえたり、大きめのプロテインスキマーを使用するようにしましょう。

本種に限らずニザダイ科の魚や、ニザダイ科に近い仲間のアイゴの仲間は植物食性が強いため、海藻水槽では飼育することはできません。別の水槽で海藻を育てて餌にしているアクアリストもいます。

ナンヨウハギの飼育まとめ

  • 映画でもおなじみの人気種だが初心者には難しい
  • インド洋の個体は腹部が黄色
  • 鰭棘に毒があり尾鰭付け根にも大きな棘がある。素手で触らない
  • 終生飼育するには90cm以上の水槽が必要
  • 綺麗な水を好む。オーバーフロー水槽やナチュラルシステムの水槽で飼いたい
  • 水温は25℃ほど、安定していることが重要
  • サンゴやライブロックの陰で眠る
  • 植物質の餌を好む
  • 白点病、リムフォシスティス、HLLEなどの病気に罹りやすい
  • 水温の安定、きれいな水、殺菌灯の使用などで病気になる確立を減らせる
  • 気が強い魚、または大きめの魚と混泳したい
  • サンゴ水槽での飼育も可能。ただし弱ったサンゴをつつくことも
  • 海藻水槽での飼育は不可

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