カクレクマノミ(ニモ)の飼育方法~餌・混泳・寿命 他 基本情報まとめ

アクアリウム向けの「海水魚」といえばまず、カクレクマノミを思い浮かべる方も多いでしょう。カクレクマノミは映画「ファインディング・ニモ」などにも登場したりしますし、水族館ではほぼ確実にみることができる魚だからです。また近年は養殖もされているため、安価で購入することもでき、丈夫で飼育しやすい海水魚ともいえます。

実際に、私のTwitter上で「初心者におすすめの海水魚」ということでアンケートを取ったところ、カクレクマノミがトップ。本種で海水魚飼育の基本を学び、より難しい魚へのステップアップをしていくアクアリストも多いのです。

カクレクマノミにはイレギュラーな斑紋や改良品種を集めたり、さらに上級者になると繁殖に挑戦したり、イソギンチャクと共生を楽しんだりと、海水魚の魅力が詰まった魚ともいえます。今回はカクレクマノミの飼育方法をご紹介します。

標準和名 カクレクマノミ
学名 Amphiprion ocellaris Cuvier, 1830
別名 オセラリス(学名から)
分類 スズキ目・スズキ亜目・スズメダイ科・クマノミ亜科・クマノミ属
全長 約10cm
飼育難易度 ★☆☆☆☆
おすすめの餌 メガバイトレッド冷凍イサザアミ
温度 23~27度
水槽 45cm以上
混泳 気が強い魚とは注意が必要
サンゴ飼育 基本的に可(後述)

カクレクマノミって、どんな魚?

カクレクマノミはスズキ目スズメダイ科クマノミ属の海水魚です。オレンジ色の体と白い横帯という、熱帯性の海水魚らしいいでたちをしています。映画での活躍(後述)はもちろん、イソギンチャクと共生するというユニークな生態、かわいい泳ぎなどが多くのファンを集めています。日本では奄美諸島以南に分布し、ダイビングなどでその姿をおがむことができます。

映画「ファインディング・ニモ」のカクレクマノミ

出典:ファインディング・ニモ

カクレクマノミの名前が一般にも広く知られるようになったきっかけは映画「ファインディング・ニモ」なのですが、実際にこれに登場するのは近縁の「ペルクラ」と呼ばれる種とされており、カクレクマノミではない可能性が高いです。この2種は非常に似ていますが、体側の白い帯のまわりが黒くなったりするのが特徴です。Disneyの紹介ページやWikipedia上でも「カクレクマノミ」と紹介されていますが、そもそもの分布はカクレクマノミが奄美諸島以南の日本、アンダマン海・オーストラリア西岸からインドネシア、フィリピン、シンガポールにかけての東インド-西太平洋域、ペルクラはグレートバリアリーフなどオーストラリア東岸、ソロモン諸島、バヌアツ、そしてニューギニア島などで、ある程度分布が分かれています。

映画がグレートバリアリーフ周辺の海域を舞台にしていることを考えると、映画に出てきたのは「ペルクラ」と判断した方が自然でしょう。

カクレクマノミとイソギンチャクの共生

カクレクマノミをふくむクマノミの仲間は、イソギンチャクの仲間と共生する習性があります。カクレクマノミはイソギンチャクに身を守ってもらいます。ただしカクレクマノミの胃の中からイソギンチャクの触手なども見つかっており、一部はカクレクマノミの食糧ともなっているようです。

しかしながら、カクレクマノミとイソギンチャクの共生を水槽で再現するのは難しいところがあります。その理由はなんといっても、イソギンチャクの飼育が難しいことがあげられます。イソギンチャクはよく動き回り、パイプやストレーナーを詰まらせたり、魚を毒のある触手でとらえたりするなど、トラブルメーカーになりやすいので注意が必要といえます。

初心者が失敗しがちなカクレクマノミの組み合わせ

海水魚初心者の場合、映画「ファインディング・ニモ」の影響で、

  • カクレクマノミ(ニモ)
  • イソギンチャク
  • ナンヨウハギ(ドリー)
  • ツノダシ(ギル)

などを飼育したいと思うのですが、カクレクマノミ以外の3種は非常に飼育難易度が高く、これらをいっぺんに水槽に入れてしまえば100%失敗します。実際にチャームなどでも「仲良しセット」として販売されていることがありますが、やめた方がいいでしょう。

特にイソギンチャクは初心者が考えている以上に厄介です。もちろんカクレクマノミと共生している様子は心安らぐ光景ですが、

  • 光量不足で死にやすい
  • 毒性が強い
  • ポンプに吸い込まれバラバラになる可能性がある
  • フロー管に詰まりやすい
  • サンゴに害がある場合がある
  • ブリードのカクレクマノミの場合イソギンチャクに入らないことも

など問題も多いのです(イソギンチャクはサンゴと異なり移動します)。なお、クマノミの仲間はを水槽で飼育するのに、イソギンチャクがなくても問題ありません。またナンヨウハギ、ツノダシも初心者向けの魚ではありません。くわしくは以下をご参照ください。

改良品種を楽しむ

▲カクレクマノミの改良品種ブラックオセラリス

クマノミの仲間は海水魚では珍しいことにブリード個体が非常によく出回っています。カクレクマノミも流通されている個体はブリード個体が多く、ワイルド(野生)の個体はやや高価です。そしてブリードの過程で様々な改良品種が出てきます。スノーフレークオセラリスとか、ネイキッドオセラリス、あるいは写真のようなブラックオセラリスといった体の斑紋が変わったものがほとんどですが、最近はロングフィンのものもあるようです。飼育方法はカクレクマノミと同様ですが、アメリカから来る個体などは着状態がイマイチなことも多く、入荷状態は注意したほうがよいでしょう。

なお、ブラックオセラリスと呼ばれる品種によくにた真っ黒な体に白い線が入ったものがオーストラリアなどからまれに入ってきますが、驚くほど高価なものです。一般に販売されているものはそのようなものを固定したものなのでしょうか。

カクレクマノミに適した環境

水槽

カクレクマノミは最大でも全長11cmほどの小型種で、ふつうはもっと小さいものです。45cmほどの小型水槽でも飼育可能です。60cm以上の水槽になれば、ほかの魚との混泳を楽しむこともできますのでおすすめです。もちろん。「ニモとドリー」を飼育するのであれば、ナンヨウハギを飼育するためにより大きな水槽(最低でも90cm、できれば120cm)が必要になります。

水質とろ過システム

カクレクマノミは小型水槽でも飼育できます。初心者であれば最低でも45cm、できれば60cm水槽で飼育したいものです。ろ過システムは45cm水槽なら外掛けろ過槽をメインにし、外部ろ過槽を追加するか、小型のプロテインスキマーを使用してろ過能力を増強させます。60cm水槽であれば上部ろ過槽を使用できるので高いろ過能力を確保でき、さらに外部ろ過槽を取り付ければ安定感も増します。もちろんどんな水槽であっても、オーバーフロー水槽は最高の選択肢となります。

カクレクマノミは一部のサンゴをのぞきいたずらすることはないため、サンゴ飼育に特化したベルリンシステムでの飼育もできます。ただしベルリンシステムの場合は魚を多く入れることはできませんので注意が必要です。

水温

カクレクマノミを飼育するのには水温も調整しなければなりません。初心者であれば25℃をキープすれば問題ないでしょう。ただし23~27℃くらいであれば快適に飼育できます。重要なのは常に水温を一定に保つようにすることで、水温の変動が大きすぎると体調を崩してしまうことがあります。一年中クーラーとヒーターを使用して水温をキープするようにしましょう。

カクレクマノミ飼育に適した餌

カクレクマノミは自然下では流れてくるプランクトンを主に捕食しています。水槽では最初から配合飼料を食べてくれることも多く、あまり餌についての問題は少ないでしょう。ただし水槽に導入したその日は餌を食べないこともあります。小粒の配合飼料が最適です。筆者はキョーリンの「メガバイト」シリーズ(Sサイズがおすすめ)、どじょう養殖研究所の「シグマ・グロウ」などを与えています。

繁殖を狙うときには栄養をつけさせるためにイワシミンチなどを与えたりすることもありますが、このような餌は水を汚しやすいので注意します。

なお、カクレクマノミに適したその他おすすめの餌を以下で紹介しているので併せて確認してみて下さい。

カクレクマノミの選び方

▲カクレクマノミを飼うときはここをチェックしよう!

カクレクマノミは沖縄、フィリピン、インドネシアから野生の個体が、国内の各所やアメリカからブリードのものが入ってきますが、いずれにせよ入荷直後のものは絶対に避けます。できれば入荷後1週間ほど経って落ち着いた個体を選ぶようにします。これは入荷直後の個体は後述するトリコディナなどの病気にかかりやすいからです。

泳ぎ方はゆったり泳いでいるものを選びます。じっとしてほとんど動かない個体、表層をせわしなく泳いでいる個体は避けたほうがよいでしょう。ただし、水槽に入れてすぐのまだ慣れていない個体は水槽内をずっと泳いでいたりするか、岩などの隙間にじっとしていたります。体は色艶がよく、体表に擦れ傷のようなものがないものを選びます。鰭は仲間同士の小競り合いで若干裂けることもありますが、鰭が溶けてしまっているような個体は選ばない方がよいでしょう。

皮膚が赤くただれていたり、口に傷がついているものは危険です。このような状態の魚はもちろん、同じ水槽の魚も購入しないほうがよいかもしれません。もし可能でしたら、お店の人に餌をあげてもらい、餌を食べようとしている個体を選ぶのがベストといえます。なお1~2cmのブリードのカクレクマノミが大量に入れられた水槽から購入するのはおすすめしません。だいたい3~4cm以上大きさのある個体を選んだほうが安全です。これは小さな個体は弱く、ブリードのカクレクマノミは安価であり雑な扱いがされていることも多いからです。

カクレクマノミの病気

カクレクマノミは比較的丈夫で病気になることも少ない魚ですが、注意しておかなければならない病気があります。特に白点病は調子が悪いとき、たとえば水温や水質の急変などにかかってしまうことがあり、トリコディナは汚れた海水で発症することも多いのです。またいずれの病気も購入してすぐの個体に出ることが多いと言えますので、水槽に入れた数日間はよく観察するようにしましょう。

白点病

体に小さな白っぽい点がつく病気です。白い点の正体はクリプトカリオン・イリタンスとよばれる原生動物により引き起こされ、進行してしまうと鰓などにもついてしまい、呼吸困難になって死んでしまうということもあります。

治療法は硫酸銅の水溶液で薬浴することですが、劇薬ですので用量を間違えると魚も死にますし、サンゴ水槽で使うこともできません。初心者には「グリーンFゴールド」などの薬で治療するのがよいですが、用量をきちんと守るようにします(規定量の半分くらいが安心)。なお、魚の数が少なく、綺麗な水のサンゴ水槽では自然になくなってしまうケースもあります。なお、淡水魚でも白点病が発生することがありますが、これは全く別の病気であり、注意が必要です。

トリコディナ

非常にやばい病気です。体の表皮にトリコディナ属の繊毛虫と呼ばれる生物がついて魚の上皮組織を蝕んでしまいます。見た目には、薄い膜を張ったり、体の一部が白っぽくなったりします。病気の進行が早く、薬もあまり効かないので厄介な病気です。治療法は淡水浴を行います。観賞魚店で1匹でもこの病気になっている魚がいたら、その水槽内の魚は購入しないほうがよいかもしれません。

淡水浴の方法

必要なものはバケツ、ヒーター、水温計、エアレーション用のセット(エアポンプ、エアチューブ、エアストーン)、カルキ抜きそしてバッファー剤です。バケツに真水を汲み、カルキ抜きで塩素を抜きます。ヒーターで飼育水温と同じ水温にし、水にバッファー剤を溶かしてpHを8.1くらいに上昇させ、エアレーションをし、その中に魚をいれてやります。その状態で数分ほど泳がせてあげます。もし膜などがあるようでしたら、指などでやさしくはがしてやります。その後慎重に海水にもどしてやります。

もしまた発症してしまうようでしたら、後程再度淡水浴を行うようにします。

この方法はトリコディナだけでなく、他の多くの病原菌やヒラムシなどの対策に有効とされます。観賞魚店においても、入荷してからまず淡水浴を行うところもあります。

pHの値を安全に8.1にまで上げるバッファー剤

エアレーション用セットとカルキ抜きがそろった便利なセット

淡水浴に関する具体的な手順や方法については以下で解説しています。合わせてご覧ください。

カクレクマノミの混泳

同種同士の混泳

カクレクマノミは同種同士の混泳もできますが、小型水槽では1ペアが理想でしょう。小さい個体を2匹入手すれば、どちらかが雌になり、ペアとなってくれるかもしれません。ちなみに我が家ではカクレクマノミとブラックオセラリスがペアとなりいつも一緒に泳いでいます。

お店では一つの水槽に大量のカクレクマノミが泳いでいることがありますが、これはおすすめできません。欲張ってたくさん購入し、それがうまく育っても死なせてしまったりします。また水質も悪化しがちで、そのような意味でもおすすめできません。やはり家庭の小型水槽で飼育する場合は、ペア飼育が理想でしょう。

カクレクマノミと他の魚との混泳

多くの魚と混泳可能です。しかし、細長い遊泳性ハゼはカクレクマノミがいると隠れがちでなかなか出てこない、なんていうこともあります。とくにクロユリハゼの仲間は細長くてやせやすいので注意しましょう。最初ハタタテハゼを飼育している水槽で、あとからハタタテハゼよりも若干小さめのカクレクマノミを追加するのであればうまくいくことも多いです。

このほかの魚、たとえば小型のベラ、キンギョハナダイ、ロイヤルグランマ、クレナイニセスズメ、各種ヤッコ、各種ニザダイなどであれば混泳に問題はありません。スズメダイも問題ないことが多いですが、スズメダイの仲間は大きくなると気性が激しくなる種も多いので注意が必要です。

カクレクマノミとナンヨウハギの混泳

ほとんどのマリンアクアリスト初心者は、やはり映画「ファインディング・ニモ」の影響から「カクレクマノミとナンヨウハギ」の組み合わせを希望しはじめる方も多いです。しかし、カクレクマノミは難なく飼育できるものの、ナンヨウハギについては問題が多く、初心者向けの魚とはいえないことがあります。カクレクマノミとナンヨウハギ混泳そのものは可能ですが、

  • ナンヨウハギは白点病にかかりやすい
  • 1年で2~3倍近く大きくなる(最終的に20~30cm近く成長する)
  • どんどん性格が強くなる
  • ある程度の大きさになったものは最低でも100リットル以上の水槽が必要になる

など、病気のかかりやすさ・成長スピード・性格面など、様々な点で考えて初心者向けとはいえないのです。小さな稚魚もあっという間に大きくなり、逆に小さい個体は臆病で白点病などの病気にかかってしまうこともあります。また近年は「ファインディング・ドリー」の影響でナンヨウハギを飼育しようと考えるアクアリストも多く、値段もずいぶんと高価になりました。

カクレクマノミとサンゴ・無脊椎動物との関係

カクレクマノミはサンゴを捕食するようなタイプの魚ではありません。そのため多くのサンゴと飼育できるように思われがちですが、クマノミ類はイソギンチャクだけでなく、サンゴの種類によってはすり寄ることがあります。とくにアワサンゴやハナガササンゴ、ナガレハナサンゴなどはこのすり寄りでダメージを受けることがあり、一緒に入れないほうがよいかもしれません。またヒユサンゴ(オオバナサンゴ)やハナガタサンゴなどは餌を与えると良好なコンディションを維持できるサンゴですが、カクレクマノミに餌を奪われることもあり、注意が必要です。それ以外のハードコーラル、ソフトコーラルであれば問題はなく、自らのスキルにあったサンゴを水槽に導入するとよいでしょう。

甲殻類との飼育についてはエビの仲間がおすすめです。しかしすべてのエビがカクレクマノミと飼育できるわけではありません。イセエビのような大型種やオトヒメエビなどは小魚を食べてしまうことがあります。おすすめはスカンクシュリンプこと、アカシマシラヒゲエビというもので、カクレクマノミの体表につく寄生虫を食べてくれます(白点病などは食べてくれない)。ほかホワイトソックスことシロボシアカモエビ、サラサエビの類などで、これらはカクレクマノミと一緒に飼育するのに最適です。ほか底砂の攪拌をしてくれてコケ対策にもなるマガキガイ、水槽のガラス面につくコケを食べてくれるタカセガイ、ニシキウズガイなどもおすすめです。

カクレクマノミの飼育まとめ

  • 初心者でも飼育は可能、共生や繁殖などの上級者向けの楽しみ方もある
  • 改良品種も多く販売されている
  • 小型水槽での飼育も可能
  • 水温は25℃
  • 入荷したばかりの魚は購入しない。体表や鰭、泳ぎ方も観察
  • 白点病やトリコディナに注意
  • 同種同士の混泳はよく観察
  • 他の魚やサンゴ、無脊椎動物の多くの種と組み合わせられる

「海水魚の飼育を始めたい」と思われる方の多くは、カクレクマノミの飼育から始める方がほとんどだと思います。カクレクマノミ自体の飼育難易度は決して高くありませんが、その準備や飼育の手間、お金の面で淡水魚より当然かかります。

この記事にコメントをする

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。

海水魚を探す
サンゴを探す
フリーワード検索
    もっと読む