カクレクマノミ(ニモ)の飼育方法~イソギンチャクとの共生・基本情報まとめ | 海水魚ラボ

カクレクマノミ(ニモ)の飼育方法~イソギンチャクとの共生・基本情報まとめ

標準和名:カクレクマノミ
別名:オセラリス(学名から)
学名:Amphiprion ocellaris Cuvier, 1830
分類:スズキ目・スズキ亜目・スズメダイ科・クマノミ亜科・クマノミ属
全長:10cm

アクアリウム向けの「海水魚」といえば、本種カクレクマノミを思い浮かべる方も多いでしょう。カクレクマノミは海水魚の中でもかなり丈夫で、初めての方にもピッタリな魚です。また本種で海水魚飼育の基本を学び、より難しい魚へのステップアップをしていくアクアリストも多いです。

カクレクマノミにはイレギュラーな斑紋や改良品種を集めたり、さらに上級者になると繁殖に挑戦したり、イソギンチャクと共生を楽しんだりと、海水魚の魅力が詰まった魚ともいえます。

カクレクマノミの性格

カクレクマノミはスズメダイ科のクマノミ亜科に含まれる魚です。カクレクマノミは性格が強すぎず弱すぎず、人間にもよくなつくのでとても飼育しやすい・愛着が湧きやすい種です。

水槽内の上域~下域をまんべんなくブリブリ泳ぐため、一匹入れておくととても映えます。寿命も長く、うまく飼育すれば10年近くもちます。

カクレクマノミの基本的な色彩はオレンジ色で、体側には白色の横帯が3本ありますが、最近は体のオレンジ色ではなく真っ黒であったり、白色の帯の形が不規則であったりする改良品種も販売されています。

こちらは我が家のブラックオセラリス。カクレクマノミよりも一般的に「性格が強い」と言われていますが、カクレクマノミとペアになって仲良く泳いでいます。飼育方法は、カクレクマノミと同様で問題ありません。

映画「ファインディング・ニモ」のカクレクマノミの正体

カクレクマノミの名前が一般にも広く知られるようになったきっかけは映画「ファインディング・ニモ」なのですが、実際にこれに登場するのは近縁の「ペルクラ」と呼ばれる種とされており、カクレクマノミではない可能性が高いです。この2種は非常に似ていますが、体側の白い帯のまわりが黒くなったりするのが特徴です。

Disneyの紹介ページやWikipedia上でも「カクレクマノミ」と紹介されていますが、そもそもの分布はカクレクマノミが奄美諸島以南の日本、アンダマン海・オーストラリア西岸からインドネシア、フィリピン、シンガポールにかけての東インド-西太平洋域、ペルクラはグレートバリアリーフなどオーストラリア東岸、ソロモン諸島、バヌアツ、そしてニューギニア島などで、ある程度分布が分かれています。映画がグレートバリアリーフ周辺の海域を舞台にしていることを考えると、映画に出てきたのは「ペルクラ」と判断した方が自然でしょう。

カクレクマノミとイソギンチャクの共生

クマノミ亜科の魚(クマノミの仲間)はイソギンチャクとの共生でよく知られていますが、水槽内でのイソギンチャクの飼育は難しいものも多いので、初心者にはおすすめできません。

イソギンチャクならばどんなイソギンチャクにも入ってくれる、というわけでもなく、クマノミの種類によって好むイソギンチャクと、そうでないイソギンチャクというのが存在します。

カクレクマノミの好むイソギンチャクは、センジュイソギンチャクハタゴイソギンチャクといった種類です。しかしながらこれらの種類は比較的大きくなるイソギンチャクで、センジュイソギンチャクは水槽内をよく移動する、ハタゴイソギンチャクは強い光ときれいな水が必要となり初心者に向いていません。

温帯の海にも生息する、丈夫で飼いやすいサンゴイソギンチャクとは自然の海の中では共生することはありません。しかし、水槽内ではサンゴイソギンチャクにも入ることがあります。時間はかかりますが、初心者でもカクレクマノミとイソギンチャクの共生を楽しむことができるかもしれません。

初心者が失敗しがちなカクレクマノミの組み合わせ

海水魚初心者の場合、ファインディング・ニモの影響で、

  • カクレクマノミ(ニモ)
  • イソギンチャク
  • ナンヨウハギ(ドリー)
  • ツノダシ(ギル)

などを飼育したいと思うのですが、カクレクマノミ以外の3種は非常に飼育難易度が高く、これらをいっぺんに水槽に入れてしまえば100%失敗します。特にイソギンチャクは初心者が考えている以上に厄介です。もちろんカクレクマノミと共生している様子は心安らぐ光景ですが、

  • 光量不足で死にやすい
  • 毒性が強い
  • ポンプに吸い込まれバラバラになる可能性がある
  • フロー管に詰まりやすい
  • サンゴに害がある場合がある
  • ブリードのカクレクマノミの場合イソギンチャクに入らない

など問題も多いのです(イソギンチャクは移動します)。なお、クマノミの仲間は水槽内ではイソギンチャクがなくても問題ありません。

カクレクマノミに適した環境

水槽

カクレクマノミは最大でも全長11cmほどの小型種で、ふつうはもっと小さいものです。45cmほどの小型水槽でも飼育可能です。60cm以上の水槽になれば、ほかの魚との混泳を楽しむこともできます。

ろ過槽

小型水槽では小型の外掛け式ろ過槽、外部ろ過槽、60cm以上であれば外部ろ過槽や上部ろ過槽を選ぶとよいでしょう。総水量が少ない小型水槽や、イソギンチャクなど水を汚すおそれのある生物を一緒に飼育するときには小型のプロテインスキマーの設置も有効といえます。

クマノミの仲間は比較的水質の悪化にも強いのですが、汚れると病気になったりすることもありますので水替えもきちんとしましょう。

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水温

カクレクマノミは水温25℃前後を好みます。それよりも低い23℃でも、若干高めの27℃でも飼育可能ですが、水温の安定が何より大事です。水温が安定しないと、魚は病気に罹りやすくなってしまうのです。

カクレクマノミにおすすめの餌

カクレクマノミの餌は配合飼料をメインに与えます。餌はペレット状のもの、フレーク状のものどちらでもかまいません。雑食性なので餌付けも容易でよく食べてくれます。

繁殖を狙うためにイワシのミンチやイカなど生の餌を与えることもありますが、この場合餌を与えすぎると水が汚れやすくなりますので注意します。

なお、カクレクマノミに適したその他おすすめの餌を以下で紹介しているので併せて確認してみて下さい。

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カクレクマノミの選び方

カクレクマノミは沖縄、フィリピン、インドネシアから野生の個体が、国内の各所やアメリカからブリードのものが入ってきますが、いずれにせよ入荷直後のものは絶対に避けます。できれば入荷後1週間ほど経って落ち着いた個体を選ぶようにします。

泳ぎ方はゆったり泳いでいるものを選びます。じっとしてほとんど動かない個体、表層をせわしなく泳いでいる個体は避けたほうがよいでしょう。ただし、水槽に入れてすぐのまだ慣れていない個体は水槽内をずっと泳いでいたりします。

体は色艶がよく、体表に擦れ傷のようなものがないものを選びます。鰭は仲間同士の小競り合いで若干裂けることもありますが、鰭が溶けてしまっているような個体は選ばない方がよいでしょう。

皮膚が赤くただれていたり、口に傷がついているものは危険です。このような状態の魚はもちろん、同じ水槽の魚も購入しないほうがよいかもしれません。もし可能でしたら、お店の人に餌をあげてもらい、餌を食べようとしている個体を選ぶのがベストといえます。

なお1~2cmのブリードのカクレクマノミが大量に入れられた水槽から購入するのはおすすめしません。ブリードが悪いということはありませんが、可能な限り天然のもので、3~4cm以上大きさのある個体を選んだほうが安全と言えます。

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カクレクマノミの病気

カクレクマノミは比較的丈夫で病気になることも少ない魚ですが、注意しておかなければならない病気があります。

特に白点病は調子が悪いとき、たとえば水温や水質の急変などに発症することがあり、トリコディナは汚れた海水で発症することも多いのです。またいずれの病気も購入してすぐの個体に出ることが多いと言えますので、水槽に入れた数日間はよく観察するようにしましょう。

白点病

体に小さな白っぽい点がつく病気です。白い点の正体はクリプトカリオン・イリタンスとよばれる原生動物です。

治療法は硫酸銅の水溶液で薬浴することですが、劇薬ですので用量を間違えると魚も死にますし、サンゴ水槽で使うこともできません。初心者には「グリーンFゴールド」などの薬で治療するのがよいですが、用量をきちんと守るようにします(規定量の半分くらいが安心)。なお、魚の数が少なく、綺麗な水のサンゴ水槽では自然になくなってしまうケースもあります。

トリコディナ

やばい病気です。体の表皮にトリコディナ属の繊毛虫と呼ばれる生物がついて魚の上皮組織を蝕んでしまいます。見た目には、薄い膜を張ったり、体の一部が白っぽくなったりします。病気の進行が早く、薬も効かないので厄介な病気です。

治療法は淡水浴を行います。観賞魚店で1匹でもこの病気になっている魚がいたら、その水槽内の魚は購入しないほうがよいかもしれません。

淡水浴の方法

必要なものはバケツ、ヒーター、水温計、エアレーション用のセット(エアポンプ、エアチューブ、エアストーン)、カルキ抜きそしてバッファー剤です。

バケツに真水を汲み、カルキ抜きで塩素を抜きます。ヒーターで飼育水温と同じ水温にし、水にバッファー剤を溶かしてpHを8.1くらいに上昇させ、エアレーションをし、その中に魚をいれてやります。その状態で数分ほど泳がせてあげます。もし膜などがあるようでしたら、指などでやさしくはがしてやります。その後慎重に海水にもどしてやります。

もしまた発症してしまうようでしたら、後程再度淡水浴を行うようにします。

この方法はトリコディナだけでなく、他の多くの病原菌やヒラムシなどの対策に有効とされます。観賞魚店においても、入荷してからまず淡水浴を行うところもあります。

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淡水浴に関する具体的な手順や方法については以下で解説しています。合わせてご覧ください。

「魚がサンゴ岩やライブロックに体をこすり付けている」 「痒そうにしている」 そうした症状が見られ場合、魚の体表に寄生虫が付着して...

カクレクマノミの混泳

同種同士の混泳

スズメダイ科の魚は同種間で争うことも多いのですが、そのなかでもカクレクマノミは同種同士の混泳をさせやすい魚といえます。

ただし、よく観察して明らかに1匹だけいじめられたりしているようなときは、その個体またはいじめている個体を隔離したほうがよいでしょう。ふつうは他の魚とも一緒に混泳させてバランスをとります。

場合によってはペアとなって寄り添い泳ぐこともあります。ちなみに我が家ではカクレクマノミとブラックオセラリスがペアとなりいつも一緒に泳いでいます。

カクレクマノミと他の魚との混泳

カクレクマノミはさまざまな魚と混泳を楽しむことができます。カクレクマノミをいじめたり捕食したりしない、逆にカクレクマノミからのプレッシャーを受けない魚で、好む水温が一致するような魚であれば、ほとんどの魚と組み合わせが可能です。

カクレクマノミは一般的に他の海水魚と比較し物怖じしない強めの性格なので、逆にカクレクマノミを入れてしまうことで、観賞を楽しめない魚も多いです。

カクレクマノミとナンヨウハギの混泳

ほとんどのマリンアクアリスト初心者は、「カクレクマノミとナンヨウハギ」の組み合わせを希望し始める方が多いです(私もそうでした)。

しかし、カクレクマノミは難なく飼育できるものの、ナンヨウハギについては非常に問題が多く、とても初心者向けの魚とは言えません。混泳そのものは可能ですが、

  • 白点病にかかりやすい
  • 1年で2~3倍近く大きくなる(最終的に20~30cm近く成長する)
  • どんどん性格が強くなる
  • 最低でも100リットル以上の水槽が必要になる

など、病気のかかりやすさ・成長スピード・性格面・コスト面、様々な点で考えて初心者向けとはいえないのです。かわいらしくカクレクマノミと同じ大きさで水槽内を泳いでいる様子を楽しめるのは、3ヶ月~半年程度です。また「ファインディング・ドリー」の影響でナンヨウハギを飼育しようと考える初心者が急増し値段も高騰しています(@4,000~6,000円)。

標準和名:ナンヨウハギ 学名:Paracanthurus hepatus (Linnaeus, 1766) 英名:Palette...

カクレクマノミとサンゴ・無脊椎動物との関係

カクレクマノミはサンゴを捕食することがないので、多くのサンゴと組み合わせることができます。イソギンチャクのない水槽では夜間にハナサンゴやナガレハナサンゴ、ウミアザミなどのサンゴの合間で眠ることがあります。

甲殻類は多くの種と組み合わせられますが、カクレエビなどの非常に小型の甲殻類は、カクレクマノミに捕食されるおそれもあるため、あまり望ましいといえません。逆にイセエビなど大型になる甲殻類は、カクレクマノミを捕食してしまうおそれもあります。スカンクシュリンプ、ホワイトソックス、ペパーミントシュリンプやサンゴヤドカリなどとは安心して組み合わせられます。

初心者におすすめできない生物 前は初心者の方がカクレクマノミと一緒に飼育するのに適した無脊椎動物をご紹介しましたが、今回は逆に初心者の方が...

カクレクマノミの飼育まとめ

  • 初心者でも飼育は可能、共生や繁殖などの上級者向けの楽しみ方もある
  • 改良品種も多く販売されている
  • 小型水槽での飼育も可能
  • 水温は25℃
  • 入荷したばかりの魚は購入しない。体表や鰭、泳ぎ方も観察
  • 白点病やトリコディナに注意
  • 同種同士の混泳はよく観察
  • 他の魚やサンゴ、無脊椎動物の多くの種と組み合わせられる

「海水魚の飼育を始めたい」と思われる方の多くは、カクレクマノミの飼育から始める方がほとんどだと思います。カクレクマノミ自体の飼育難易度は決して高くありませんが、その準備や飼育の手間、お金の面で淡水魚より当然かかります。

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