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2019.12.08 (公開 2018.07.03) 水槽・器具

外部ろ過槽(パワーフィルター)の使用方法~メリットとデメリット

外部ろ過槽(パワーフィルター)

外部ろ過槽(パワーフィルター)は観賞魚店などでも使用をおすすめされることの多いろ過装置です。しかし、外部ろ過槽の使用方法を誤まったために魚が全滅したというアクアリストもいます。

外部ろ過槽はどのように使用すればよいのでしょうか。メリット・デメリットを理解して使用するととても便利なろ過槽です。

外部ろ過槽って何?

エーハイム クラシックの外部ろ過槽

エーハイム クラシックの外部ろ過槽

外部ろ過槽は水槽の横や下に置いて使うろ過槽です。筒状や四角い箱のような形をしたものが多く、ろ過槽の上や下にホースを接続し、水を循環させてろ過を行います。ろ過槽の上にポンプが設置されていることが多いです。

水槽の上に置く必要がないので、サンゴなどを飼育するのに重要な照明スペースを広く取ることができる、音が静かなどのメリットがあり、マリンアクアリウムではよく使われているろ過槽といえます。

外部ろ過槽のメリット

音が静か

外部ろ過槽は上部ろ過槽や外掛けろ過槽と比べると、とても静かです。ただし、この音が静か、ということは水面をばしゃばしゃ叩く音がせず、酸素がいきわたりにくいということですから、酸欠になりやすいというデメリットとは表裏ということになります。

クーラー・殺菌灯などを取り付けやすい

外部ろ過槽とクーラーの接続例

クーラーとの接続例

外部ろ過槽はホースを使って水槽から水を汲みあげたり、ろ過された水を水槽にもどしたりしますが、その途中に水槽用クーラーや紫外線殺菌灯を接続することができます。これらの器具を接続するのであれば、ろ過された水を水槽に戻すためのホースに接続します。

なお、クーラーと殺菌灯の両方を接続するのであれば、殺菌灯の次にクーラーが来るようにします。そうしないと、クーラーで水を冷やしても殺菌灯で水温を上げてしまうおそれがあるからです。ただしこれらはある程度抵抗になってしまうことを覚えておきましょう。外部ろ過槽は適合水槽サイズよりもワンランク上のものを使用するとよいでしょう。

水槽の上部に空間ができる

外部ろ過槽を使えば照明を多く置くことができる

照明を多く置くことができる

外部ろ過槽は水槽の横や下に置くことができます。上部ろ過槽とことなり、水槽の上部にろ過槽を置く必要がないので、水槽の上部に照明を置くためのスペースをつくることができ、水槽の魚やサンゴなどを容易に上から観察できるのもメリットといえます。また、外部ろ過槽本体を水槽キャビネットなどに収納しておけば、見た目もすっきりします。

外部ろ過槽を使用するデメリット

酸欠になりやすい

外部ろ過槽を使う上で最大、しかし見逃されやすいデメリットです。外部ろ過槽は密閉されたろ過槽ですので、ろ材がなかなか酸素に触れません。それでも好気性バクテリアが酸素を消費し、その結果酸欠が発生しやすくなります。私も、この酸欠で飼育していたホンソメワケベラやスズメダイを死なせてしまったことがあります。

そのため、常に酸素の量について考慮しておきたいものです。後述するシャワーパイプなどを上手く使えば外部ろ過槽単体でもそれなりに上手く魚を飼育できるでしょう。

パワーが低くなりやすい

殺菌灯ネワミラー

殺菌灯やクーラーを接続するときは要注意

外部ろ過槽はパワーフィルターという名称でも知られていますが、実際には海水魚飼育ではパワー不足の面もあります。外部ろ過槽で使用するホースの途中には殺菌灯やクーラーを取り付けているアクアリストも多いのですが、これが抵抗になってしまいやすいです。そのため、用途によっては適合水量よりも大きなろ過槽が必要になることがあります。

メンテナンスが面倒くさい

外部ろ過槽は上部ろ過槽、外掛けろ過槽、オーバーフロー水槽のサンプとくらべてろ過槽の掃除がしにくいという問題があります。上部・外掛けろ過槽、サンプのふたは海水の循環を止めることなく簡単に外すことができますが、外部ろ過槽はふたを外すのにいちいち循環を止めなければならないので、面倒くさいといえます。

そのため頻繁に取り出して洗浄する必要があるウールマットやスポンジなどのろ材は外部フィルターには使用しない方がよいかもしれません。

水漏れ注意

しっかりホースを接続しないと、水漏れを起こすことがありますので注意が必要です。水位が減って魚やサンゴが死んでしまったり、部屋中水浸し…なんていう恐ろしいことになる可能性もあります。

外部フィルターをうまく使用するには

ワンランク上のものを使用する

パワーフィルターと呼ばれながら、クーラーや殺菌灯などを接続してパワーがイマイチになりやすい外部ろ過槽を水槽のろ過装置に使用するのであれば、これがいちばんです。60cm水槽用に90cm、もしくは120cm水槽用のものを使用するなど、適合水量よりも大きいサイズのものを使用したいところです。

また大きいものほどろ過槽の中にろ材をたくさん入れることができますのでろ過能力も当然アップします。酸欠を防ぐためにシャワーパイプやプロテインスキマーを併用すれば、高いろ過能力が確実に得られるでしょう。

シャワーパイプを上手く使う

シャワーパイプは外部ろ過槽を購入するとたいてい付属してくるパーツです。これを上手く使用して酸欠にならないようにします。これを使用すると静音というメリットはなくなりますが、魚を酸欠で死なせてしまうくらいならバシャバシャ音がしても空気を取り込んであげるようにしたいものです。必ず水面の上に取り付けましょう。

注意しなければならないのは「塩ダレ」です。水がはねて周囲に塩がこびりついてしまいやすいのでフタはきちんとしましょう。

プロテインスキマーを併用する

小型のプロテインスキマーを併用することにより、外部フィルターのデメリットのひとつ「酸欠になりやすい」という問題を容易に解消することができます。エアポンプとエアチューブ、そしてウッドやセラミック製のストーンを使用したエアレーションでもよいのですが、塩ダレが発生しやすいため注意が必要です。

他のろ過槽と併用する

外部ろ過槽と上部ろ過槽の併用例。クーラーも接続

私の「いちおし」の方法です。

外部ろ過槽単独ではなく、ろ過能力が優れている上部ろ過槽なども併用して使用するとよいでしょう。外部ろ過槽の吐水口の先に上部ろ過槽を通すこともできますが、それぞれ別に回すことをおすすめします。

そうすれば片方がなんらかの理由でストップしても、もう片方のろ過槽が動いていれば、水を循環させることができ、全滅を避けられます。このようにほかのろ過槽との併用が容易に行えるというのも、外部ろ過槽のメリットといえるでしょう。このほか専用のキットを使用すれば、外部ろ過槽をカルシウムリアクターのように運用することさえ可能です。

外部ろ過槽のメンテナンス

外部ろ過槽はろ材のチェックやメンテナンスをするのに、先述したようにいちいち水の循環を停止させて、フタを開けてチェックしなければならず、面倒くさいところがあります。

ホース内の汚れ掃除

外部ろ過槽用ホース

汚れが酷いときは新品に交換してもよい

ホースの内部がコケなどで汚れてくることがあります。汚くなったというのであればホースブラシで洗うようにします。ホースブラシは他用途に使用した「使い古し」のものでなく、観賞魚用の新品を使用しましょう。

ホース内の汚れが酷いときは交換するようにします。適合する径のホースを購入して使用しましょう。

ろ材の洗浄とおすすめのろ材

外部ろ過槽のろ材がひどく汚れている様子

外部ろ過槽のろ材。こうなってくるとメンテナンスが必要

ウールマットなど物理的なろ材を使用するのであればこまめに洗浄することが重要です。ウールマットに付着した残り餌や排せつ物は腐敗してしまいやすいからです。メンテナンスを行うのにいちいち水を止めてから開ける必要がある外部ろ過槽ではあまり使用しない方がよいかもしれません。どうしてもこれらのろ材を使用したいのであれば、上部ろ過槽を併用し上部ろ過槽で物理ろ過をするとよいでしょう。

海水魚やソフトコーラル、あるいは硝酸塩の蓄積にある程度耐性のあるハードコーラルを飼育するのにはサンゴ砂や、リングろ材など多孔質のろ材が適しています。サンゴ砂をろ材として使用するときは注意が必要で、サンゴ砂は細かいと水の通りが悪くなってしまいます。「砂」というより「カケラ」のような大きな粒のサンゴ砂がよいでしょう。

従来から使っているろ材の一部を捨て、新しいろ材を追加するときは水の流れを考慮し、上流に古いろ材、下流に新しいろ材を入れるようにして、新しいろ材にバクテリアがつきやすいように工夫するとよいでしょう。

ろ材については、こちらの記事もご参照ください。

Oリング、インペラーの交換

Oリングやポンプを動かすインペラーなども消耗品です。Oリングは劣化すると水漏れのおそれがあり、インペラーが壊れると動かなくなってしまいます。メーカーが推奨する交換時期を守るようにしたいものです。

外部ろ過槽(パワーフィルター)まとめ

  • 水槽の横や下に置いて使う
  • 水槽上部がオープンになり照明を設置しやすい
  • クーラーや殺菌灯を取り付けやすい
  • 密閉式ろ過槽のため酸欠に注意
  • メンテナンスが不便
  • ホースをきちんと接続しないと水漏れのおそれも
  • 海水魚飼育にはワンランク上の機種を使用したい
  • ほかのろ過槽と併用すればトラブル時全滅をさけられるかも
  • ホース内部の汚れは新品のホース用ブラシで洗う
  • ウールマットやスポンジフィルターの使用はおすすめしない
  • サンゴ砂は細かすぎるのはだめ
  • Oリングやインペラーも定期的に交換したい
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