ハードコーラルってどれくらい難しいの?飼育方法と初心者向きのサンゴ

ハードコーラルってどれくらい難しいの?飼育方法と初心者向きのサンゴ

海水魚とソフトコーラルを飼育するのに慣れてきたら、いよいよ骨格があるハードコーラルが気になるところ。しかしハードコーラルを飼育するのにはいくつかのポイントがあります。

ここではソフトコーラルの飼育からハードコーラルへのステップアップについて、注意することをまとめました。




ハードコーラルとは

▲アワサンゴは六放サンゴ。ポリプ先端に12の触手がある。

▲ソフトコーラルのスターポリプは八放サンゴ。

ハードコーラルはその名の通り、硬い骨格を持つサンゴのことを指します。それに対しソフトコーラルは硬い骨格をもたない、ふにゃふにゃのやわらかいサンゴです。

ソフトコーラルは多くが「八放サンゴ」ですが、ハードコーラルはほとんどの種類が六放サンゴです。ポリプの先端が8つに分かれているのが八放サンゴ、6または6の倍数なのが六放サンゴです。

八放サンゴにはスターポリプやウミアザミ、トサカの仲間などが含まれ、六放サンゴにはミドリイシやオオバナサンゴ、キクメイシなどが含まれます。ではハードコーラルが六放サンゴ、ソフトコーラルが八放サンゴ、ということでよいかというと、そうではありません。例えばアオサンゴはハードコーラルですが八放サンゴ、ソフトコーラルの中に入れられていることが多いマメスナギンチャクなどは六放サンゴである、というようなこともあります。

ハードコーラルはソフトコーラルと比べると硬い骨格があるという違いがあります。そのため欲している成分も異なり、当然難易度も高いものが多くなります。

添加した方がよいもの

▲添加剤やリアクタを使って生物に元素を届ける

ソフトコーラルはヨウ素や微量元素を中心に添加し、カルシウムなどは水換えで補うという方法で飼育することができますが、ハードコーラルの場合は、ヨウ素、微量元素のほかにカルシウムやストロンチウム、マグネシウム、ポタシウム、KHも添加したいところです。添加にはリアクタや添加剤を使用します。

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取り除きたい成分

▲水質を常にチェックしたい

取り除きたい栄養塩、たとえばリン酸、ケイ酸は吸着剤でとりのぞくことができます。このほかサンプ(水溜め)で海藻を飼育し栄養塩を取り除く方法があります。海藻は栄養塩を文字通り「栄養」として育ちます。もちろん硝酸塩は水替えで取り除きますが、お金に余裕があるならばプロテインスキマーの設置が望ましいと言えます。プロテインスキマーを使用すると硝酸塩になる前の段階で取り除くことができますのでおすすめです。

水質と光、どちらが大事?

▲光は重要だが、それよりも水質と水流が重要

サンゴは褐虫藻を体内に共生させ、そのエネルギーで生きている生物ですから、当然「光」が大切です。

しかし、水槽内でサンゴを飼育するときは、それよりも「水質」が重要となります。広大な海と違って小さな水槽は水質が変化しやすいのです。最も重要なものは水質、次いで、または同じくらい重要なものは水流、そしてその次が光です。

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初心者におすすめのハードコーラル~条件と種類

ハードコーラルはソフトコーラルよりどうしても飼育が難しくなってしまうものが多いのですが、その中では初心者でも長期飼育が可能なのは、以下の通りです。

丈夫で栄養塩の増加にもある程度耐えられる種類

初心者は魚を多数水槽に入れたくなるもの。当然栄養塩が水槽に蓄積されるようになりますが、そのような状態でも飼育できるようなサンゴが初心者にも向くといえます。

ただし硝酸塩の蓄積が度をすぎるとハードコーラル飼育は難しくなります。ちゃんと水替えをしたり、吸着剤を使ったりして、栄養塩を水槽から取り除くようにするべきです。

弱い水流でも飼育できる種類

▲タバネサンゴ。水流が弱いところにおいてある

水流は眼で確認することが比較的難しいものです。また「ふたつの水中ポンプから出る水流をぶつけてランダムな水流をつくるなどして強い水流を…」とか、「ウェーブコントローラを使って…」とよくいわれますが、初心者には難しいことがあります。ここで紹介しているハードコーラルは水流が弱い水槽でも飼育可能で、強い水流を作るのが難しい初心者にも向いているといえるでしょう。

しかし、あまり必要としない、といってもサンゴには必ず水流が必要です。最低でも1、または2個は水中ポンプをつけるようにしましょう。サンゴに直接当たる水流はNGです。

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餌だけでなく光からもエネルギーを得る種類

▲オオバナサンゴは飼いやすいハードコーラル。餌を食べるが光合成もする。

オオバナサンゴやオオトゲキクメイシなどは餌を食べますが、餌のほかに光からもエネルギーを得ています。このようなサンゴは餌に栄養を依存しているともいえるサンゴとくらべて飼育が簡単です。しかしそのようなサンゴにも、たまには給餌してあげたいものです。

初心者にもおすすめのハードコーラル

▲オオタバサンゴ。餌をやるとよく増える。水質悪化にも強い

▲飼いやすいサンゴの代表的な存在 カクオオトゲキクメイシ

▲キクメイシも飼いやすいが毒性が強い。他のサンゴと接触させないように注意

▲シコロサンゴは飼育しやすいが、なるべく綺麗な水で飼う。触手がよく伸びるタイプが飼育しやすい。

上記のサンゴのほか、キッカサンゴ、タバネサンゴ、オオトゲキクメイシ、アワサンゴ、ウミバラ、キッカサンゴ、クサビライシ(パラオクサビライシは除く)、オオバナサンゴ、ハナガタサンゴ類、カビラタバサンゴ、スコリミア、ウィスカーズコーラル、スリバチサンゴなど。

初心者に向かないハードコーラル~条件と種類

逆に初心者に向いていないハードコーラルは、以下のような種類となります。

栄養塩の蓄積に弱い種類

▲リン酸は給餌することでも水槽に入る

これはサンゴ飼育の最高峰ともいえる、ミドリイシに代表されるSPSのほとんどの種のことです。ミドリイシの飼育には硝酸塩がほとんど検出されないことはもちろん、リン酸塩やケイ酸塩の数値にも気を配らなくてはなりません。またLPSとよばれるものでもナガレハナサンゴなどのような種類は、清浄な水を好みます。

元素の欠乏に弱い種類

▲コモンサンゴはミドリイシよりは飼いやすいが、カルシウムなどの添加は重要

これもミドリイシなど、SPSの仲間の飼育が難しいといわれる理由です。ミドリイシの仲間はKHが下がりすぎると白化しますし、カルシウムやマグネシウム、ストロンチウムといった元素の値も重要で、数値もシビアです。

水流が弱いと飼育しにくい種類

▲深場ミドリイシ。強い光は不要だが浅場のミドリイシ以上に強い水流と清浄な水が必要。

やはりミドリイシに代表されるSPSの多くの種類に当てはまります。自ら動くことが出来ないサンゴは、水流に栄養を届けてもらったり、デトリタスを飛ばしてもらったりする必要があるのです。

強い水流が必要といっても、逆に直接ポンプから水流を当ててしまうと弱ってしまいます。ポンプを水槽の壁面に当てたり、二つ以上のポンプで乱流をつくったり、場合によっては複数の水流ポンプを制御するコントローラを使ってランダムな水流をつくる必要があります。水流はなかなか目で見えるようなものではありません。ベテランの方やお店の方に相談してみるとよいでしょう。

餌による栄養に頼っている種類

▲よく開いたイボヤギ。頻繁に餌を与える必要があり飼育しにくいが、育てがいがある。

これはイボヤギやキサンゴの仲間に当てはまります。これらの種は褐虫藻がおらず、光合成をしないので、栄養は餌に頼ることになります。

これらの種には餌を与える必要がありますが、ひとつひとつのポリプに餌を与えることになり面倒です。かといって水で溶いた餌をサンゴに撒くようにして与えるというのでは、水質の悪化を招きやすいのでおすすめできません。

そもそも飼育方法が確立していない種類

観賞魚店で販売されているサンゴの中にも、飼育方法が確立していない種類というのがあります。たとえばハナガササンゴは一般的な海水魚・サンゴ専門店でもよく見られるにもかかわらず、いまだに飼育方法はベテラン・アクアリストでも試行錯誤の状態とのことです。特にコモチハナガサとよばれている種は、難しいとされることが多いようです。

初心者に難しいサンゴ

▲ミドリイシは初心者には飼育が難しいサンゴ。清浄な水、高めのKH、ランダムな水流、強烈な光など求められる要素が多い。

▲アオサンゴと深場ミドリイシ。深場ミドリイシは浅場のものと比べて光を必要としないが、水質や水流などに気をつかう。

上記のサンゴの他、コモンサンゴ、ハナヤサイサンゴ、ショウガサンゴ、トゲサンゴ、ハナガササンゴ、サザナミサンゴ、ナガレハナサンゴ、コエダナガレハナサンゴ、トランペットコーラル、パラオクサビライシ、イボヤギ、キサンゴなどは難しいものです。

飼いやすいサンゴからはじめて、このリストにあるサンゴを飼育したいと思うなら、ナガレハナサンゴあたりがおすすめといえます。画像は我が家のナガレハナサンゴ。水流はほとんど不要、光も差し込む程度で元気に開きます。ただ水質に気を使う必要があり、光も強すぎるとうまく開きません。

ハードコーラルおすすめの機材

ここではハードコーラル飼育の「お助けアイテム」をご紹介します。

プロテインスキマー

▲H&S社のハイパワースキマー

微細な泡を大量に発生させ、その泡に汚れを付着させて水槽から汚れを取り除く器具です。エアリフト式、ベケットヘッド式、ダウンドラフト式、ベンチュリ式などがありますが、一般的にベンチュリ式やエアリフト式のものが多く普及しています。小型水槽ではエアリフト式や小型のベンチュリ式のものがよく使用され、オーバーフロー水槽のものはベンチュリ式のものが使用されることが多いようです。

値段はピンキリですので初心者は安価なものから試してみましょう。

殺菌灯

魚の病気予防に役に立つ殺菌灯、といわれますが、実際にはコケの抑制や有機物の分解などサンゴ飼育にも役に立つアイテムです。

ただし殺菌灯も完璧でなく、汚れた水で飼育していると魚もサンゴも病気になりがち。綺麗な水で飼育してさらに病気を防ぐためのものと考えるのが正しいといえます。なおゼオビットなどのシステムでサンゴを飼育する場合は、殺菌灯は原則つけるべきではありません。マニュアルに従うようにします。

カルシウムリアクタ・他

ハードコーラルの骨格の要であるカルシウムを水槽に添加したり、KHを安定して維持するために重要な器具です。仕組みを簡単に言えばカルシウムメディアを二酸化炭素を使って溶解させ、その溶解させた水を水槽に添加させるというものです。

リアクタではなく、計測した上でカルシウムなどの添加剤を用いて添加する方法もとられることがあります。二酸化炭素の入った緑色のボンベやカルシウムリアクタそのものが高価であることも理由のようです。近年はマグネシウムを添加したり、硝酸塩やリン酸塩を除去するためのバイオペレットを入れるためのリアクタも販売されています。

メタルハライドランプ

最近はLEDやT5蛍光灯が主流になってきていますが、ベルリンシステムなどのナチュラルシステムでミドリイシを飼育するならばメタハラは今でも王道といえる設備です。

電気代がかかるほか灯具自体が高価、発熱の量も多く水槽が温められやすい、さらに最近はLEDやT5が主流になりつつあり、今後は消耗品であるメタルハライド球が高価になるおそれがある、などのデメリットもあります。

水槽用クーラー

▲クーラーは水槽にあったサイズのものを

クーラーは夏の必需品です。とくに初心者向けのハードコーラルの中には水深10数mなど、やや深場にいるものも含まれますので、必要になってきます。けちらずにメーカーが謳う対応水量よりもワンランク上のクーラーを買うのがコツです。とくにメタハラを照射すると、水温の上昇を招きますのでクーラーは必須になります。

一般的に、クマノミの仲間などサンゴ礁の魚を飼育するのに適した水温は23~25℃といわれています。 サンゴ礁域の浅場で水温30℃近くにな...

接着剤

▲サンゴ用の接着剤。サンゴだけでなくライブロックやアクセサリの接着にも使える

ソフトコーラルは岩の窪みに挿すだけで自然に活着するのですが、骨格をもつハードコーラルにそのような芸当は無理ですので、接着剤に頼ることになります。

接着剤には接着パテと、ジェル状のものがありますが、初心者にはジェル状のものが扱いやすいでしょう。サンゴと岩の接着だけでなく、岩同士の接着などにも使えます。格好いいレイアウトに仕上げましょう。

もちろんプラモデルなどの作成に使うような一般の接着剤は絶対に使ってはいけません。

ハードコーラルと一緒に飼育しにくい魚

▲意外にもハードコーラルをつつくテングカワハギ

ハードコーラル、とくにLPSは一緒に飼育できる魚の種類が制限されてしまうという問題があります。学名から「ケントロピーゲ」とよばれる小型ヤッコは、サンゴ礁の妖精的な存在で水槽に入れられることも多いのですが、かなりハードコーラルをつついてしまう種類もあります。

チョウチョウウオはサンゴを餌にするものも多く、白点病にかかったら魚病薬も使えないなどの問題もあり、一緒に飼育することは無理といえます。この他クロベラやマナベベラなどのベラ類の一部、カワハギの仲間のテングカワハギ、カエルウオの仲間のセダカギンポなどもハードコーラル水槽での飼育には向きません。

まとめ

  • 硬い骨格があるサンゴをハードコーラルとよぶ。
  • ヨウ素、微量元素のほか、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、ポタシウムなども添加する
  • 硝酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩を取り除く
  • 好日性サンゴは光が大事だが、水質や水流は非常に重要
  • 初心者向けのハードコーラルはカクオオトゲキクメイシ、オオバナサンゴ、オオタバサンゴ、キッカサンゴ、キクメイシなど
  • 初心者に難しいハードコーラルはミドリイシ、ハナヤサイサンゴ、ハナガササンゴ、ナガレハナサンゴ、パラオクサビライシなど
  • プロテインスキマー、カルシウムリアクタ、殺菌灯、クーラーは重要
  • メタハラを使うならクーラーは必須
  • 小型ヤッコ、チョウチョウウオ、クロベラ、マナベベラ、セダカギンポ、テングカワハギはハードコーラルと一緒に飼育しにくい







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