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2020.02.11 (公開 2017.11.28) サンゴ図鑑

ソフトコーラルの飼育方法~初心者向きの種類や必要な添加剤まとめ

海水魚の飼育に慣れてきたら、次は「サンゴ」を飼育したくなるものです。サンゴはアクアリストによる分類では「ハードコーラル」と「ソフトコーラル」に分けられることが多いです。硬い骨格をもつハードコーラルよりもやわらかいソフトコーラルのほうが飼育しやすいイメージですが、実際にはソフトコーラルよりも飼育しやすいハードコーラルもあれば、ハードコーラルよりも飼育しにくいソフトコーラルもあります。また、「ソフトコーラル」は学術的な分類群ではなく、一部のサンゴはイソギンチャクやスナギンチャクの仲間です。ここではこれらソフトコーラルの飼育方法の基礎、一緒に飼える魚、初心者におすすめのソフトコーラルをご紹介します。

ソフトコーラルとは

サンゴは大きく二つに分けられます。硬い骨格をもつ「ハードコーラル」と硬い骨格がない「ソフトコーラル」のふたつです。

ソフトコーラルの分類

▲サンゴの分類

よくサンゴを分けるのに「ソフトコーラル」「ハードコーラル」、もしくは「ソフトコーラル」「SPS」「LPS」という分け方がされることが多いのですが、これは学術的な分類とはいえません。サンゴを学術的に分けるのであれば「六放サンゴ」と「八放サンゴ」の二つに分けるのが適切です。

六放サンゴというのはサンゴのポリプの先端が6、または6の倍数に分かれるもので、ミドリイシやハナガササンゴ、ハナガタサンゴ、アワサンゴ、コモンサンゴ、マメスナギンチャクなどがこの仲間です。八放サンゴはポリプの先端が8つに分かれるもので、トサカの仲間、ツツウミヅタやハナヅタ、スターポリプなど、多くのソフトコーラルが含まれるほか、アオサンゴが含まれています。

ここでは主にウミトサカ目のソフトコーラルとスナギンチャクやディスクコーラルの仲間を中心にご紹介します。

ソフトコーラルの魅力

ソフトコーラルはハードコーラルのような派手なものは少ないのですが、「ソフト」と名前にあるようにやわらかく水流になびくように動く様子が魅力的です。また、トサカやウミキノコなど、株分けして増やすことができるので、「増やす楽しみ」を味わうこともできます。さらに後述のように、サンゴ飼育経験がないマリンアクアリストでもうまく飼育できるようなものもおり、初心者がサンゴの飼育を学ぶのにも最適です。

ソフトコーラルの飼育に求められる水質とろ過システム

ソフトコーラルの多くの種はミドリイシほどの水質は必要ないといえます。硝酸塩が多少高くても、すぐ死んでしまうようなサンゴは少ないですが、長期的に見たらよくありません。硝酸塩は若干あったほうがソフトコーラル、とくにカタトサカ・ウミキノコの類にはよいという意見もありますが、ウミアザミなどにはよくありません。できるだけ低い硝酸塩を保つように心掛けるべきです。

ろ過槽については単体の水槽では大容量のろ過能力が得られる上部ろ過槽がベスト。外部ろ過槽を使用するときは酸欠に注意します。オーバーフロー水槽ではろ材を使った強制ろ過の水槽もできるだけでなく、インサンプ式のプロテインスキマーを使用したベルリンシステムにすることもできます。

個人的にはソフトコーラル水槽にして魚を多めに入れ安定させるのであれば強制ろ過、ソフトコーラルにほかのサンゴを加えるのであればベルリン水槽が最適だと思います。ただし初心者向けではないものの、陰日性のソフトコーラルを飼育するのであれば強制ろ過が推奨されます。陰日性のサンゴは水を汚すためです。

ソフトコーラルに必要な添加剤

ソフトコーラルが健全に活動するには様々な成分が必要になります。ヨウ素、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、鉄分などです。カルシウムはハードコーラルほど必要としませんができれば添加するべきですし、ストロンチウムは成長に、マグネシウムは海水の成分のバランスを保つのに重要です。ヨウ素は意外と重要でサンゴの活力の維持などのほか、魚や甲殻類にも重要です。

一方鉄分は光合成に必須で重要な成分なのですが、多くの微量元素添加剤にも含まれる成分であり、与えすぎはコケの大増殖を招くなどよくありません。できるだけ鉄分が入った微量元素を与えるようにしたいものです。

ヨウ素添加剤

微量元素添加剤(鉄分を含む)

ストロンチウム添加剤

マグネシウム添加剤

細かい添加剤の選び方や成分ごとの解説は以下を参照して下さい。

取り除きたい物質

サンゴの飼育においてはアンモニア・亜硝酸が検出されない環境をつくる必要があります。これらは魚の排せつ物や残り餌から水槽内にもたらされます。ろ材を用いた強制ろ過システムでは、バクテリアの働きによりアンモニアや亜硝酸を比較的無害な硝酸塩に分解されますが、硝酸塩はそれ以降は分解されず、水槽に残ることになりますので、水かえにより硝酸塩を水槽から取り除いていきます。その一方でベルリンシステムでは大部分が排せつ物や残り餌の段階でプロテインスキマーにより取り除かれます。ただし魚が多すぎるとうまく機能しないこともあります。

このほか、リン酸塩、ケイ酸塩が水槽の中に含まれます。いずれもコケの元になる生物で、餌や水道水に含まれます。リン酸塩は吸着剤、ケイ酸塩はRO水などの使用で対応します。

ソフトコーラルに必要な水流

▲間接的に水流を当てて水流になびくウミアザミ

どのサンゴも水流が必要になります。とくにウミアザミやチヂミトサカ、ハナヅタ、ツツウミヅタを飼育するのであればある程度の強さの水流が必要になります。ハナヅタやツツウミヅタは水流がないとコケに覆われてしまって減退しやすいので水流は飼育に重要な条件となります。

一方、かなり強い水流が四六時中サンゴに直接当たるようではよくありません。弱めであっても複雑な流れがのぞましいといえます。ポンプを複数台使うとか、強力なポンプにコントローラーをつけるなどして複雑な水流を作ってあげましょう。

ソフトコーラルに必要な光

浅いところにいることが多いので、強めの光が欲しいところです。メタルハライドランプや、T5蛍光灯などもありますが、近年はLED照明をメインにしていることが多いです。細長いタイプのLEDをメインで使用し、グラッシーレディオなどのスポットLEDをサンゴにスポット的に照射します。参考までに筆者はゼンスイ製LEDライトをメインにスポットタイプのLEDライトを複数組み合わせていましたが、上手く飼育できました(上記のウミアザミもご参照ください)。

T5蛍光灯やメタルハライドランプは手堅い選択といえます。ただし強すぎる照明を好むタイプのサンゴには向きません。浅場のトサカやウミキノコであっても150Wのメタルハライドランプひとつで十分ということもあります。デメリットとしてはこれらの照明は廃れてしまい交換球が手に入りにくいということがあります。

初心者におすすめのソフトコーラルの条件

栄養塩の蓄積にも強い

初心者のアクアリストは魚をたくさん入れてしまいがちですので、硝酸塩がたまりやすい傾向にあります。そのため初心者向けのソフトコーラルは栄養塩が蓄積されてもある程度耐えられるものを入れるようにしましょう。おすすめはスターポリプやディスクコーラルなどです。

光から栄養を得ることができる

▲陰日性のトサカは飼育が難しい

ソフトコーラルの中には光から主なエネルギーを得るものと、光合成をせず餌からエネルギーを得るものに分けられます。初心者には前者の方がずっと飼育しやすいです。後者は餌を多く必要とし、水を悪化させやすいため頻繁な水かえと安定した水槽システムの二つが重要であり、初心者には難しいといえます。マメに給餌ができるエキスパート向けです。

初心者にもおすすめのソフトコーラル~種類

スターポリプ

▲スターポリプ

▲蛍光グリーンが美しいスターポリプ

和名でムラサキハナヅタと呼ばれるもので、共肉の部分がベージュのものと紫のものがいますが、同じ種類のようです。沖縄などから状態のいい個体が入ってくるので入手は容易、飼育も比較的しやすいです。ただし水流や照明など、条件を若干変更しただけで開かなくなってしまうこともあるので注意が必要です。その場合は水流や照明などを変えたりもとに戻すなどしてみましょう。

ウミキノコ

▲形や大きさ、色がさまざま。写真のタイプはとても飼いやすい。

▲まさしく「海のキノコ」

細長い茎のような部位と傘のような部位があり、まさしく海中のキノコのような存在ですが、茎の長さや傘のサイズなどは種類ごとに差があります。色彩はベージュかグリーン系がほとんどで、あまりバリエーションはありません。しかし蛍光グリーンのものはブルーLEDのもとで非常に美しく輝きます。

細長いポリプを出し、イソギンチャクのように見えることもあります。イソギンチャクとは異なり毒性は弱めで毒性の強いサンゴと接触するとダメージを受けることがありますので、注意が必要です。近縁種に傘がうねるウネタケなどがあり、これらも同じようなやり方で飼育できます。

ウミキノコは増やすことも可能で、カットしたウミキノコの破片をライブロックやサンゴ岩の隙間などに付着させておけば活着し容易に増やせます。分類学的にはカタトサカなどと同じウミトサカ科のサンゴになります。

カタトサカ・ヌメリトサカなど

▲カタトサカの仲間(ナグラカタトサカ?)

トサカも色々いますが、飼育しやすいのと飼育しにくいものがいます。飼育しやすいのはカタトサカの仲間とヌメリトサカの仲間です。色は地味なのですが、丈夫でよほど悪い水質でもない限り、すぐ死んでしまうことはないでしょう。ただしヌメリトサカやその近縁種のコルトコーラル、それほどではないもののカタトサカも毒性が強めなので、ほかのソフトコーラルとの接触には注意が必要です。

一方難しいトサカの仲間はチヂミトサカやキバナトサカ、ウミゼリ(気難しい)、陰日性のトサカです。

ディスクコーラル

円盤状の平たいソフトコーラルですが、分類学的にはサンゴというよりもイソギンチャクに近いタイプのようです。色彩はオレンジ、紫、青、白、グレー、緑、赤など色々な色彩があります。またフサフサのヘアリーディスクやツブツブ状のバブルディスクといったものもいます。ヘアリーディスクなどはたまに餌を与えるとよく食べ、分裂し増えていきます。

マメスナギンチャク

マメスナギンチャクもウミトサカの仲間とはことなり、スナギンチャクの仲間に属する六放サンゴです。カラーバリエーションが様々で、増殖もしやすいためフラグサンゴとして販売されていることもあり、きれいなもの、かわったものでは数万円の高値で取引されることもあります。基本的に飼育はしやすいサンゴで、光だけでも飼育できますが、餌を与えるとよく増えます。

初心者におすすめできないソフトコーラル

初心者に向いていない・おすすめできないソフトコーラルは、上記の「初心者におすすめのソフトコーラルの条件」の真逆なもの、と考えるとよいでしょう。つまり、栄養塩の蓄積にシビアであったり、光だけでは飼育することができないのが難しい種類といえます。

ウミアザミ

▲淡いピンクが美しいウミアザミ

ウミアザミはソフトコーラルの中でも繊細でやや飼育しにくい種類といえます。できるだけ硝酸塩の少ない環境で飼育したい種類です。栄養塩が濃すぎたり、シアノバクテリア対策の薬品を入れたりすると、あっという間に溶けてしまったりすることもあります。

また元素の欠乏に弱く、ヨウ素や微量元素の添加も必須と言えます。最近は輸送状態も改善されたりしており従来よりは飼いやすくなったとはいえますが、若干難しいサンゴであることには変わりありません。

ツツウミヅタ・ハナヅタ

▲ツツウミヅタ

ツツウミヅタやハナヅタは繊細なソフトコーラルで、雪の結晶や花のようなポリプが美しく人気のソフトコーラルです。輸入されるほか沖縄などからも入ってくるため入荷状態は概ね良好なのですが、それでも飼育は難しい種類です。サンゴ礁域の浅瀬に見られ、強い光と綺麗な水が必要です。また水が淀んでいるとコケが生えやすくなりますので強めの水流が必要ですが強すぎる水流は禁物です。

チヂミトサカ

ピンク色がきれいなチヂミトサカやスジチヂミトサカは美しいのですが、初心者には難しいサンゴとされます。水流や水質など、どこに問題があるのか突き止めるのが難しいということもあります。基本的にはきれいな水が必要ですが、あまりきれいすぎる水(硝酸塩などが少なすぎる)のもよくないのかもしれません。沖縄から来ることが多く着状態は悪くないものも多いのですが、なぜか長生きしないです。私も長期飼育の経験はありません。最近はあまり入荷がない、入荷しても高価ですが、サンゴを何度も何度も殺してしまうことを考えると、これでいいのかもしれません。

トゲトサカなど

▲餌を必要とする陰日トサカは初心者にはまったくおすすめできない。

このトゲトサカも難しいソフトコーラルです。これはカタトサカやヌメリトサカなどと異なり、液体状の餌が必要なサンゴです。マーフィードから販売されている「ズープランクトス」などの液体状プランクトンフードをほとんど毎日与える必要があり、マメな人でないと飼育できないのです。また餌を与えると水を汚しますので高い能力のろ過システムと、プロテインスキマーが必要になってきます。そういうことを考えると、初心者には成長どころか、現状維持さえ望めません。

ヤギ

▲陰日性のトゲナシヤギ

▲好日性のヤギの一種

ヤギの仲間は骨格を持っていますが、ソフトコーラルに分類されることが多いサンゴです。トゲナシヤギなどは非常に美しいヤギの仲間ですが、細かいポリプひとつひとつに餌を吹きかけて与える必要があり、さらに枝の部分に藻が絡むと死んでしまうのできれいな水を維持しなければいけません。トゲトサカ同様、ビギナーには飼育が困難なサンゴです。

カリブ海からもヤギの仲間が輸入されてきますが、こちらは光合成する好日性のサンゴであることが多く、ヤギの仲間を飼いたいならこの仲間がおすすめですが、それでも水流や水質には注意しなければなりません。

ソフトコーラルと一緒に飼いたい・相性が良い魚

小型ヤッコ

▲日焼けしたマルチカラーエンゼル

小型ヤッコもいろいろな種類がいますが、初心者に飼育しやすいのはクシピポプス亜属です。フレームエンゼルやルリヤッコ、アカハラヤッコ、チャイロヤッコといったところが飼育しやすいでしょう。ソフトコーラルの種類としてはウミキノコやトサカ、スターポリプであればヤッコに食べられにくいのでそのようなサンゴを中心にレイアウトするとよいでしょう。逆にウミアザミなどは食べられやすいです。

ソフトコーラルは浅いところに生息しているものでもミドリイシのようにメタルハライドランプを多灯しなくてもLED2、3灯で十分ですので、写真のような日焼けもミドリイシ水槽よりは起こりにくいでしょう。その意味で小型ヤッコとソフトコーラルの組み合わせは適した組み合わせといえます。

ハナダイ・バスレットの仲間

▲トサカの合間を泳ぐフチドリハナダイ

▲ロイヤルグランマ

ハナダイやバスレットの仲間はサンゴには全く無害であり、王道的な組み合わせといえます。ハナダイの仲間のうち小型のものは陰日サンゴとの飼育にも非常にむいていますが、これらのサンゴは初心者には向きません。ロイヤルグランマなどバスレットの仲間もサンゴには無害です。一方オレンジストライプバスレットなど、強い光の下では日焼けする種もおりますので注意が必要です。

ベラの仲間

▲ホンベラ属などはサンゴとの飼育に最適

ベラの仲間もいろいろいますが、一般に飼育されるホンベラ属(コガネキュウセン、ライムラスなど)、タキベラの仲間、イトヒキベラの仲間、ニセモチノウオの仲間などはサンゴには全く害を与えないため、サンゴ水槽に向いています。とくに浅瀬に生息するベラの仲間はソフトコーラル水槽では非常によく似合うので向いています。ただしホンベラ属の魚やタキベラ属の魚を飼育すると、甲殻類はどうしても捕食されてしまうということは頭に入れておかなければなりません。

スズメダイの仲間

▲サンゴ水槽を泳ぐヤノリボンスズメダイ

ほかの魚との混泳が難しいスズメダイの仲間でも、サンゴに対してはほぼすべての種が無害であるため、問題なく混泳は可能です。また、おなじスズメダイ科の魚であるクマノミの仲間も多くのソフトコーラルと飼育することができます。

ハゼの仲間

▲ハゼの仲間はソフトコーラルとの飼育が可能

ハゼの仲間は多くの種がソフトコーラルとの飼育を楽しむことができますが、ベントス食性のハゼのうち、アカハチハゼやサラサハゼといった中層を泳ぎ砂をまき散らすタイプのハゼは避けたほうがよいでしょう。ミズタマハゼやオトメハゼ、各種底生ハゼ、共生ハゼ、遊泳性ハゼなどであれば問題ありません。

カエルウオの仲間

カエルウオの仲間もソフトコーラルには無害です。浅い海にすむものが多いため、おなじく浅い海に生息するソフトコーラルとの相性はよいといえます。一般のカエルウオやヤエヤマギンポなどはサンゴに無害であり、ハードコーラルをつつくことがあるニラミギンポの仲間もソフトコーラルには影響が少ないです。

テンジクダイの仲間

テンジクダイの仲間もソフトコーラルとの相性がいい魚です。トサカの周辺にふわふわテンジクダイが浮いている様子は見ていて楽しいものです。一部のテンジクダイの仲間は甲殻類や小魚を食べてしまうこともあるので注意が必要です。基本的には丈夫で飼育しやすいのですが、スズメダイやハゼと比べると白点病などにかかりやすいので注意が必要です。

ソフトコーラルと飼いにくい魚と無脊椎動物

チョウチョウウオの仲間

▲美ら海水族館のサンゴ水槽で飼育されているアミチョウチョウウオ

サンゴ水槽での飼育が難しいのがチョウチョウウオの仲間です。チョウチョウウオはサンゴを好んで食べ、ハードコーラルはもちろん、種類によってはソフトコーラルもつついて食べてしまうのです。また、家庭水槽でチョウチョウウオを飼育していると白点病やウーディニウムなどの病気にかかることも多く、治療には薬浴の必要性がありますが、そのような薬はサンゴには使用できません。

ただし、チョウチョウウオとソフトコーラルのコンビネーションが全く不可能かといえば、そうではありません。写真の沖縄美ら海水族館のサンゴ水槽では巨大な水槽にハード・ソフトとわず多量のサンゴが飼育されています。

フグ・カワハギの仲間

▲カワハギ科のソウシハギ

フグやカワハギの仲間にはソフトコーラルを食べてしまうものもいます。シマキンチャクフグなどアクアリストに人気なものもいますが、かじったり食べたりしてしまうのでサンゴ水槽には不向きな面もあります。カワハギの仲間もやめた方が無難でしょう。とくにソウシハギは大型化し、スナギンチャクの仲間を好んで捕食します。また、ソウシハギの内臓にはスナギンチャクの仲間に含まれる毒素を蓄積していることがありますので、ソウシハギを食するときは筋肉の部分のみを食べるようにします。沖縄ではセンスルーと呼ばれています。

ウツボの仲間

▲ウツボに限らず肉食魚は水を汚す

ウツボの仲間をはじめとする肉食性の魚は水を汚しやすいため、あまりサンゴ水槽には向いていない魚といえます。またウツボの力は強く、岩組を崩してしまうこともあるため、サンゴ水槽での飼育は避けたほうが賢明です。

エビ・カニの仲間

▲ペパーミントシュリンプ

ペパーミントシュリンプなどのエビは水槽に蔓延るカーリーと呼ばれるイソギンチャクの仲間を捕食することで知られています。しかし、このカーリーがマメスナギンチャクをついばむことがあるので注意しなければなりません。また、我が家ではアカシマシラヒゲエビ(スカンクシュリンプ)もカリブ海産のバブルディスクを捕食してしまうことがありましたので、一緒に飼育するのはやめたほうがよいかもしれません。大型になるイセエビなどはウツボの仲間などと同様岩組を崩すこともあるのでこれもだめな組み合わせです。

巻貝の仲間

巻貝の中にはトサカなどに寄生するものもいます。またスターポリプやウミアザミ、ツツウミヅタなどには専食するウミウシも知られています。これらの生物はサンゴを購入したときにこっそりついてくることもあり、注意が必要です。巻貝の仲間ではほかにウミウサギガイの仲間や大型のタカラガイがソフトコーラルを好んで食べますが、これらはある程度大きいものなので入れなければよいだけです。

ヒトデの仲間

サンゴを食するヒトデといえば、有毒の棘で武装した大型種オニヒトデが有名ですが、小型のヒトデであっても、マメスナギンチャクやウミアザミなどを捕食してしまうことがあります。ヒトデはライブロックのなかに潜んでいることがあり、水際で駆除することは難しいのですが、夜間に這い出てサンゴを捕食していないかよく観察し、見つけ次第取り除く必要があります。

ソフトコーラルの飼育まとめ

紹介したソフトコーラルについて飼育条件などをまとめた比較表です。

サンゴの種類 難易度 水流
マメスナギンチャク ★~★★ 中~強 弱~中 できれば与える
ディスクコーラル ★☆☆☆☆ 弱~強 弱~中 できれば与える
バブルディスク ★☆☆☆☆ 弱~中 弱~中 できれば与える
スターポリプ ★~★★ 中~強 弱~強 不要
ツツウミヅタ ★★★★☆ 中~強 不要
ハナヅタ ★★★☆☆ 中~強 不要
カタトサカなど ★★☆☆☆ 中~強 中~強 液状餌をたまに
チヂミトサカ ★★★★☆ 不要
トゲトサカ ★★★★★ 不要 中~強 重要
ウミキノコ ★★☆☆☆ 中~強 中~強 不要
ウミアザミ ★★★☆☆ 中~強 不要
好日性ヤギ ★★★☆☆ 不要
陰日性ヤギ ★★★★★ 不要 重要

[飼育難易度]
★☆☆☆☆:やさしい
★★☆☆☆:注意点あり
★★★☆☆:やや難しい
★★★★☆:難しい
★★★★★:困難

[光]
弱:弱めのスポットライト1灯
中:強めのLEDライト
強:LEDライト多灯

[水流]
弱:ろ過槽からの水流
中:水流ポンプとろ過槽からの水流
強:複数の水流ポンプ

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