2019.10.21 (公開 2019.10.17) 海水魚飼育の基礎
海水魚飼育はじめたいと思ったときの情報収集の方法
私たちが情報を集めるための手段はいろいろあります。テレビ、ラジオ、新聞もありますが、今ではインターネットで知りたい情報を仕入れる、という方が多いのではないでしょうか。しかし、初心者がインターネットの情報だけをもとに海水魚飼育をはじめるのはおすすめできません。かならず本を読んだり、海水魚店に通うなどして情報を収集するようにしましょう。
インターネットでの情報収集は要注意
最近の情報収集は「インターネット」が主体になってきました。「海水魚ラボ」を訪問してくださる方も、インターネットで海水魚の飼育方法を調べてきてくれた方が多いと思います。しかしこのWEBサイトを運営していて矛盾をいうようですが、インターネットサイトだけを海水魚飼育の参考にしないほうがよいでしょう。
最近のインターネットでは、海水魚飼育の専門サイトが多数みられます。しかし、ちゃんと海水魚飼育のイロハを伝えているサイトであればよいのですが、最近インターネットを見てみるとどうしても大事なところが抜け落ちているようなサイトも散見されます。また、この海水魚ラボも情報源はほとんどが筆者の経験であり、読者の方とは魚の種類も、サンゴの種類も、水槽システムも照明も水流も餌も違うだけでなく、魚の性格も異なりますので注意が必要です。この海水魚ラボを含め、インターネットサイトは参考にはなるかもしれませんが、すべてを鵜呑みにしないようにしてください。
はじめて海水魚を飼うときに読むべき本
▲はじめて海水魚を飼うときに読む本
海水魚飼育をはじめるのにはどんな本を読めばよいでしょうか。海水魚ラボの管理人は、2006年にそれまで休止していた海水魚飼育を再度はじめたときに、枻(えい)出版社の「はじめて海水魚を飼う時に読む本」を読み、この本をもとに海水魚飼育をスタートしました。この本は基礎からしっかり押さえてあり、初心者にもおすすめの本です。
この本の問題点は2004年に発売された本(つまり映画「ファインディング・ニモ」公開にあわせてつくられた本)、ということです。書籍の情報はどうしても古くなってしまうので宿命といえますが、カタログの機材もメタルハライドランプ・蛍光灯はほぼ絶滅寸前、プロテインスキマーも筒型のみ(現在はハーフコーン型が主流)となっています。2016年に同じ枻出版社から、この本の後継版ともいえる「カクレクマノミの上手な飼い方」という本が映画「ニモ」の続編である「ファインディング・ドリー」公開に合わせ販売されておりますので、「海水魚の飼育をはじめたい!」と思った方は、こちらをおすすめします。
本の注意点
▲200リットル以上の海水が入る90cmオーバーフロー水槽。リセットには大量の海水が必要
▲スズメダイの仲間は初心者にはおすすめしない
この手の本を読んでいると、幅30cm水槽など、小さな水槽での海水魚飼育が紹介されることもありますが、私には疑問です。初心者が海水魚をうまく飼育するのであれば45cm~60cmが望ましいからです。小型水槽では水質が安定しにくいし、初心者はすぐに魚を追加したくなるものです。また、小型水槽ではろ過能力に優れる上部ろ過槽を使用することができないというデメリットもあります。初心者の方は本のまねをするときは45cm以上の水槽をまねするのがうまくいきやすいといえます。
逆に初心者に90cm、120cm水槽をおすすめする向きもありましたがこれもあまりおすすめできません。確かに水量が大きい分飼育は楽になるのですが、何らかの水質トラブルが発生した場合に全部の水を換えるとなると200リットル以上の海水が必要になってしまうからです。また専用の機材をそろえると高額になってしまいます。まったく海水魚飼育経験のないアクアリストがカクレクマノミ2匹をうまく飼育するのであれば60cm水槽がベストでしょう。
魚の種類としてはチョウチョウウオ、タツノオトシゴ、スズメダイなどで初心者向け水槽を組んでいることがありますが、これはやめた方がよいでしょう。チョウチョウウオは白点病にかかりやすく小さい個体は体力がなく痩せやすいです。タツノオトシゴは口が小さくプランクトンなどしか食べず手間がかかります。スズメダイは丈夫で飼いやすいですが性格がきつく後から魚を入れにくいです。「カクレクマノミの上手な飼い方」では最初に入れる魚をいれるときに「スズメダイはおすすめしません」との記述がありユニークですが、これにも上記のような理由があるからです。
海水魚専門店をたずねる
海水魚を飼育したい!と思ったらまず上記で紹介した本をよく読んだうえで、近くの海水魚専門店を訪問することをおすすめします。上記項目であげた「カクレクマノミの上手な飼い方」の136~141ページには全国の海水魚店のリストが掲載されておりますので訪問してみましょう。ただし埼玉の「ビーボックスアクアリウム」や東京の「東京サンマリン」など閉店や移転した店舗も存在しますので、注意が必要です。実際に訪問する前に必ず電話で問い合わせしてみましょう。
海水魚専門店の注意点
▲カクレクマノミ2匹+丈夫な魚数匹なら60cm水槽で十分
水槽のサイズは「どのような生物を飼育したいか」により変わってきますが、カクレクマノミと丈夫なサンゴの飼育からはじめるのであれば初心者に最適なのは60cm水槽が最適です。初心者には小さすぎる水槽を安易にすすめたり、逆にいきなり高級な大型水槽をすすめたりするお店は、あまりよいお店とはいえないかもしれません。また今でも初心者を馬鹿にするような風潮のお店もあり、そのようなお店も(初心者にとっては)あまりいいお店とはいえません。
ただ、「サンゴを本格的に飼育したい」「カクレクマノミだけでなくナンヨウハギもやりたい」のであれば、90cm以上の水槽での飼育をおすすめされるはずで、「60cm水槽でも飼えますよ」というのであれば魚にとって狭いですし、いずれは大きく育って90cm水槽が必要になるので、再度イチからはじめることになり、コストがかかってしまいます。ただしナンヨウハギは「餌をよく食べ水を汚しやすい」「成長が早い」「きれいな水をこのむ」「病気になりやすい」などの点から、初心者にはおすすめできません。90cm水槽を用意しても、最初のうちはカクレクマノミなどの丈夫な魚から飼育して飼育のコツをつかみ、その後魚の飼育に慣れ、ろ過バクテリアが定着してからナンヨウハギを追加していくことになります。
地元に海水魚店がない、どうすれば…
海水魚専門店はどうしても趣味のお店、ですからあまりお店がない地域もあります。首都圏、名古屋圏、近畿圏などではいいお店も多数ありますが、地方、とくに中国・東北・北陸地方などではいいお店が少なく、困ってしまいます。そのような時は時間をかけてでも海水魚店が多くあるところへ出かけることをおすすめします。遠くてもわざわざ出かければ、それだけの成果が得られるでしょう。
海水魚飼育の情報収集まとめ
- インターネットは手軽に情報収集できるがその内容が正しいとは限らない
- フリー画像を使うサイトやインスタグラムの写真を多く使用するサイトは注意
- 初心者はまず本を読み、海水魚店に相談しよう
- カクレクマノミと小型魚、少々のサンゴなら60cm水槽でよい
- 将来的にナンヨウハギを飼育したいなら90cm以上の水槽が必要
- 極端に小さな水槽や極端に大きな水槽をすすめるお店は要注意
- 地方でお店が少ないのであればは多くのお店がある地域をたずねたい