ウミバラの飼育方法~キッカサンゴに近縁のハードコーラル

ウミバラはイシサンゴ目ウミバラ科のハードコーラルです。ウミバラ科にはウミバラのほか、キッカサンゴの仲間も含まれています。キッカサンゴの仲間は派手な色彩のものもあり、近年は「フラグサンゴ」化され、アメリカの観賞魚関連メーカーのTwo little fishes(日本代理店:有限会社ブルーハーバー)からは「チャリスパワー」というキッカサンゴ専用の餌も出ているほど人気がありますが、ウミバラはその仲間ではマイナーなサンゴとなっています。今回はこのウミバラの飼育方法をご紹介します。

ウミバラって、どんなサンゴ?

▲ウミバラの一種

ウミバラはキッカサンゴと同科(ウミバラ科)のハードコーラルです。キッカサンゴと似ていますが、うねの大きな形状の骨格をもち、キッカサンゴとは容易に区別できます。ウミバラの種類もスジウミバラやレースウミバラなど、厳密にいえば何種類かありますが、同定は難しいため、観賞魚店では区別されず「ウミバラ」という名前で販売されていることも多いです。

カラーバリエーション

▲緑色が強い個体

日本の海水魚店で見られるものでは多くが緑系、灰色・褐色系となっています。海外では緑系を中心に口の周辺が赤くなるものなどのバリエーションが販売されているようですが、カラーバリエーション自体は多くはなく、色よりも形を楽しむサンゴといえます。

ウミバラ飼育に適した環境

水槽

▲90cm水槽で飼育しているウミバラの仲間

ウミバラは成長すると大きくなりますが、それほど成長が早いというわけではないので、60cm水槽でも飼育できます。しかしおすすめは90cm以上の水槽です。サンゴ水槽では水質を安定させることが重要であるから、できるさけ大きめの水槽で飼育したいというものです。とくに成長にさまざまな元素が必要となるハードコーラルであればなおさらです。

水質とろ過システム

ベルリンシステムがベストですが、ろ過槽をもちいた強制ろ過のシステムでも飼育できます。硝酸塩などの蓄積には比較的強めですが、それでも硝酸塩は少なくしたいところです。ろ過槽を使用していてもプロテインスキマーがあったほうが安心といえるでしょう。

水温

水温は22~25℃で、ほかの造礁サンゴと同じくらいの水温で飼育することができます。水温の急変はできる限り避けたいですので、ヒーターとクーラーで常に一定の水温をキープしましょう。

水流

ミドリイシほどつよい水流は必要ありませんが、それでも若干の水流は必要となります。コラリアなどの水流ポンプを効果的に使用し、水流をつくりましょう。もちろん強い水流がサンゴに直接あたるような状況はNGといえます。ウェーブコントローラなどを使用し水流の強弱をつけられるようにすればなおよいでしょう。

照明

照明はLED、T5、メタハラ(150w)といったものが適しています。ただし、メタハラの直下に配置することは避けなければなりません。

置き場所

短期間に背が高くなったりするようなタイプのサンゴではないので、水槽の上方にも置くことができます。照明にハイパワーLED照明やメタルハライドランプなどを使用する場合は直下を避けるようにします。水流は緩やかな水流が当たるような場所が望ましいです。多灯のSPS水槽では陰になるような場所に配置するとよいでしょう。

もちろん共肉や触手がほかのサンゴとふれるようなところには置いてはいけません。ウミバラは比較的強めの毒をもっているサンゴで、触れたサンゴにダメージを与えることもあるからです。

餌と添加剤

▲キッカサンゴなどに適した「チャリスパワー」

ウミバラも好日性サンゴで、光合成をしてエネルギーを得ています。そのため餌は不要とされていることも多いのですが、私は与えることをおすすめします。ウミバラは触手をだして動物プランクトンなどの餌を捕食しています。ですから水槽でも「チャリスパワー」などのプランクトンフードをたまに与えたいところです。チャリスパワーを付属のスプーンでビーカーにとり、それに海水を加えてスポイトなどで与えます。

餌を与えないほうがいいといわれることもありますが、これは餌の与えすぎは水を汚してしまうことがあるからです。定期的に水かえをするようにしましょう。また、極力水を汚さないように、水流を止めて餌の拡散を防いだり、小型のハゼなどプランクトン食の魚もいれたりするのもよいでしょう。また、「バイタリス」などLPS用のペレットフードなどをあげるのもよい方法です。このような餌は散らばりにくく水を汚しにくいという意味で優れています。

添加剤

ハードコーラルですので成長にカルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどを必要としますので、ぜひ添加してあげましょう。このほかすべての生物に必要なヨウ素の添加も重要です。このほか微量元素もあれば完璧といえるでしょう。ただしカルシウムの供給はカルシウムリアクターのほうがよいかもしれません。カルシウムリアクターを使用すれば、やはりサンゴに適したKH数値を維持することも容易です。

水槽内で成長させる

キッカサンゴ同様、水槽でもゆっくりですが骨格が成長していきます。ただハードコーラルですので、骨格の成長にはカルシウムリアクターがあったほうが有利といえます。

ウミバラをお迎えする

ウミバラはナガレハナサンゴやオオバナサンゴと比べると、あまり人気は無く、お店で見る機会がは少ないサンゴといえます。そのため選ぶことは難しいかもしれませんが、共肉がぷっくり膨らんでいるもの、もしくは共肉がしっかり骨格を覆っているものがよいでしょう。ただしサンゴも魚と同様、入荷直後のものは避けるようにします。

アワサンゴやコモンサンゴほどではないのですが寄生生物がいる可能性もありますので、専用の薬浴剤「コーラルRXプロ」や「リバイブ」でしっかりと薬浴を行うようにします。サンゴの薬浴については、こちらをご覧ください。

ほかの生物との関係

ほかのサンゴとの関係

▲右上がウミバラ。落下しないよう接着剤などで固定しておくこと

毒性は強く触れたサンゴを攻撃して溶かしてしまう、といわれることが多いウミバラですが、落下させてアザミハナガタサンゴ(巷で「ガラハナガタ」とされる方)と接触したらこのウミバラの方がダメージを受けてしまいました。種類によって毒性の違いがあるのかもしれません。いずれにせよほかのサンゴとの接触はさせないようにしましょう。またイソギンチャクやカーリー(セイタカイソギンチャク)もウミバラにダメージを与えるおそれがあるので注意が必要です。

またサンゴが落下するなどしてウミバラに触れてしまうと、落下しウミバラに触れたサンゴがダメージを受けてしまうことも多いです。もちろん真逆のケースもありえます。そのような事故を防ぐためには接着剤を使用して土台にサンゴを固定することをおすすめします。

魚との関係

▲ウミバラの上に乗っかるアオモンギンポ

ウミバラはチョウチョウウオはもちろん、ヤッコなどにもつつかれやすい種類です。とくにヘラルドコガネヤッコやソメワケヤッコなどのケントロピーゲ亜属の魚は要注意です。またフシウデサンゴモエビ(サロンシュリンプ)など、一部の甲殻類には食害されることもあるためなるべく組み合わせないようにしましょう。とくにウミバラのコンディションが万全でないとあっという間に食べられてしまいます。

一方カエルウオ類やゴンベの仲間が少し乗っかるくらいであれば問題ないことも多いです。

ウミバラ飼育まとめ

  • キッカサンゴに近い仲間のハードコーラル
  • キッカサンゴに似るが骨格の形状が異なる
  • 丈夫で飼育しやすく硝酸塩の蓄積にもよく耐える
  • ベルリンシステムでもろ過槽をもちいたシステムでも飼育できる
  • 水温は25℃
  • 水流は必要だが強すぎる水流は好まない
  • メタハラの直下は避ける
  • 餌は毎日必要ではないが、与えたら調子が上がる
  • カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、ヨウ素などを添加したい
  • カルシウムの維持にはカルシウムリアクターが有利
  • よく膨らんでいるもの、共肉が骨格をしっかり覆っているものがよい
  • 購入後はあらかじめ薬浴したい
  • 接触するとほかのサンゴを溶かしたり溶かされることも。ほかのサンゴと触れないように
  • チョウチョウウオはもちろん、小型ヤッコにもつつかれることがある

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